【4/28】ねこが太ももに乗っている
太ももに、猫が乗っている。
友人宅の猫に引っかかれて猫ひっかき病にかかったあの頃、
犬派なのに妻に合わせて猫を飼ったあの頃、
猫を飼ってもちっとも懐かなかったあの頃、
あの頃の僕に言ってやりたい
「太ももに猫が乗ってくるわよ!」
さながら、ビッグウェーブを待つサーファーの彼女のような、嬉しいゲストのごとく。
椅子に座ると、来る。どんなにイスとテーブルの距離を狭めて、進入禁止の意思を強く表しても、脛を登ってくる。短パンだと、危険すぎる。通年、家では長ズボン派だ。
太ももの右だけ、左だけと、その日の気分によって使い分けを試みる猫。小さい猫なので、さほど負担にはならないが、時々本気で爆睡されてしまうので、動けない。
寝て脱力した生物は、体重が1.5倍になると、亡くなった父がよく言っていた。車で出かけると帰りは爆睡する幼少期の僕。抱きかかえて、ガレージから寝室まで運び込んでくれていたのを思い出す。
「おもてぇ……」
今も太ももを不法占拠している。両太ももだ。さっき歯医者から帰ってきて、パソコン立ち上げて、妻と雑談しているうちに、もう太ももにいる。
じゃぁ、おさわりでも、と触ると
「んんん、にゃぁがぁああ」と明らかにクレーム。
なんだよ、おさわり禁止かよ、とこっそりお尻を触る。
「んにゃ」と短めのクレーム。
もしかしたら、そこいいよ、の合図かも。
連続して触り続ける。
ちいさくて身軽な上半身をくるりと翻して、僕の左手を甘噛みする。
「いったーーー」と大げさに言うと、ペロリと舐めてくる。
だいたいこれを何回か繰り返しているうちに、30分ぐらい過ぎてしまい、
「もう、降りてくんない?」と交渉を始める。
「んぎゃぁおん」と容認しない構えを示す猫。
もう一匹の先輩猫が遠くから、じーっと見ている。
「こっち来る?」なんて誘うと、先輩猫は「いやっ」と言わんばかりにスタスタと隣の部屋に逃げ込む。
こ、この子たち、言葉わかってるよね?
ときどき、隣の部屋で猫二匹がおしゃべりしている。にゃにゃ、あぎゃおぎゃ、と言っているのが聞こえる。
「こっちおいでよ」なんて言っても、二匹とも知らんぷりで、わかっているけどあえて来ないのだろう。
気まぐれって、とてつもない魅力だなって。




