王達の会談
時は過ぎて…
各国の王が集まり、世界のバランスを保つための会議が開催されるため、俺はここに訪れていた。
まぁ、世界のバランスがという前置きがあるが、実際は1大陸分の国の王しか集まっていないんだがな…
大体10ヶ国分ぐらいか…
後は、様子を見に来た先代の王達が何人か…
「…各国の王の皆様、本日はお忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます。議長はこの私、聖魔教会より派遣されましたハンスが担当させていただきます」
…ハンス……
あの聖人ハンスか…
医薬技術のスペシャリスト。
不治の病だと言われていた病気に効く薬を次々と産み出し、たくさんの命を救った功績で、聖人という立場まで上り詰めた天才だったか…
まぁ…それなりの人間だが…
…医薬品に関してはスペシャリストでも、この老人に国政の事がわかるとは思えんが…
…飾りか?
教会としても、この会議を重要視しているという意味も込めて、それなりの役職をあてがったのだろうか…
…まぁ、でも…問題はなかろう…
何せ、この会議は他国に自分の功績を示す自慢大会みたいなものだからな…
とりあえず、さっさと仕込みをしておくか…
俺は懐からあるものを取り出すと、テーブルの上に置いた。
「では私からっ!」
先陣を切って話出したのは若き青年。
「はじめまして、皆々様方。私は先代国王に代わり、新たな王と任命されましたドマンド王国のナーレスと申します」
どこか演技じみたやり方…なんともうるさいものだ…
「皆様ご存知の通り、東の地に現れた魔王は我が国が選出いたしました勇者パーティーによって打ち倒されました。獲得した資材について、今後の使用目的を」
「すんまへん、一つええかいな?」
独特な喋り方の女が話を遮った。
「…何でしょうか?」
おいおい…あからさまに不機嫌になるなよ…
チャチャを入れられるなんて、あり得ることであろう。
「最近耳にした噂やけど…その魔王を討伐した勇者はんが罪人やったって話…あれ、ほんまなん?」
首を傾げながら問う女。
まぁ、当然突っ込むわな。
「ぁぁ…えぇ、本当ですっ。事もあろうか、あの元勇者は、罪なき人々を殺した殺人鬼でした」
…さて…青か…
「さらに、おかしいと思い私の指揮のもと調査させてみればどんどん罪状が溢れ出てきましたっ。魔王討伐という大きな功績はありましたが、断固として許すことはできませんっ!」
…赤…
「ふぅん…なるほどなぁ」
「ご理解いただけましたかな?」
「えぇ。ウチらとしても、そんな悪どい罪人が勇者なんて勘弁なりまへんからなぁ」
「そうでしょうっ、そうでしょうっ!。ですので、特例ではありましたが新しい勇者の選出をっ」
「でもねぇ。そうなると話はややこしくなるんよねぇ…何せ、罪人の元勇者はんが倒しはった魔王の資源をどう処理したもんかなぁ」
「…あ…え?」
…わかってなかったようだな、このアホは…
「ぁ…あの…仰っている意味が分からないのですが…そもそも、資源の管理については我が国が」
「せやからねぇ、その資源の保有権……今あんたはんの国にはあらへんのよ?」
「…は?」
…本来なら、勇者パーティーの選出国であり、勇者パーティーが所属する国が魔王討伐の際の資源を保有するのはおかしくはない。
だが、勘違いしてはならないのは、正当な所有者は国ではなく、勇者パーティーだ。
勇者パーティーが、国に寄付してきたため、ドマンド王国はこれまで自由に扱えてきた。
だが、その勇者パーティーの勇者は犯罪者、さらに他のメンバーは行方知れず…
はたして、その資源の保有権は誰にあるのだろうな?
「なッ…何をおっしゃるかと思えばッ。勇者パーティーが獲得した資源なのですから、我が国が保有し、使用する権利はあるでしょう!!」
「はぁ…勘違いしとらんかねぇ?、魔王を倒しはったんは、犯罪者であろうと元勇者パーティーの皆はん……なら保有権を有しているのは元勇者パーティーの面々だけや。いくら選出国やいうてもそんな権利あらへんよ?」
「でっですがッ、元勇者は罪人でッ」
「何言うてるん?、罪人やろうと権利を無理に剥奪するんは禁止だと国同士で決めた約束事…まぁ内容によってはやけど…資産に関しては、適応範囲内やね」
…青…確認するまでもないことだがな…
「まぁ、元勇者はん以外でも権利は持つ人らおるけど…その人らはみーんな行方不明なんやろ?」
「…ッ…!?」
…ほぅ……なるほど、最初から知っててこづいたのか、この女狐は…
敵にまわしたくない女だ。
「元勇者パーティーはみーんなおらへんなら、資源の保有権は宙ぶらりんこや…扱いに困るなぁ」
わざとらしく、ため息なんて吐きながら声にする。
何が困るだ。
初めから狙っていたくせに…
「…ですな、資源が資源ですから犯罪者へ全てそのまま返すわけにもいきますまい」
「勇者繋がりで、新規の勇者パーティーに一時保管させるとしても、国を守るために大怪我を負い、療養中だとか…」
「…やはり今後の事も考えて、地方にある共通の各施設の資産に当てる等いかがですかな?」
「いやいや、記念館なども。魔王討伐の資材など歴史的価値が」
「今まで余裕がなく、手が回っていなかったところの資金にっ」
女狐に賛同しだす他の王達。
何ともまぁ…王という存在は厚かましいな…いや、この場合はたくましいというべきか?
だが、王たる者これぐらいのガメツさがなければやっていけんからなぁ…
そしてドマンド王国の若造よ、お前が持っている資材の価値は理解できたか?
たかが豊潤な資源だと言う認識を改めたか?
どれだけ、勇者及び勇者パーティーという存在に価値があるか理解できたか?
魔王討伐による資材ともなれば、膨大な資源だ。
それは間違いないが…その価値は計り知れない。
歴史的価値、技術的価値、物質的価値…
魔王クラスのモンスターから取れる資源は、滅多にお目にかかれない最高級の品なのだからな。
そんな資源が手に入る機会があるとするならば…誰もが欲するだろう?
たとえ、王という立場であろうとな。
…本来であれば、資源の保有権はドマンド王国にあるはずだった。
何度も言うが、勇者パーティーを選出し、パーティー所属先がドマンド王国だ。
立場や恩賞を対価に、勇者達からその権利を買い取れる立場だった。
だが、この若造は自分からその権利を捨てたのだ。
勇者パーティーの真の価値に気がつけていなかったためにな…




