思いもよらぬ緊急事態
「病院内の設備等に関する報告は以上です」
「うむ。足りないものがある場合は遠慮せずに言うように…いざ必要な時に足りなくては意味がないからな……ところで、勇者の容体はどうだ?」
執務室に報告に来たシスターエボラに、勇者の容体について問いかけた。
「栄養失調という状態は乗り切りました。まだ、ストレスは溜まっているでしょうが……概ね大丈夫かと」
「ふむ……ストレスに関しては、薬ではなんともならんからな…」
「本人の気持ちも落ち着いておりますし、しばらくは様子見かと…」
「そうか…しかし、予想とは違っていたな…もっととり乱すかと思っていたが…」
そうでなかったのから、喜ぶべきなのだがな…
「…やはり、勇者としてのこれまでの経験が支えになっているのでしょう……数多くの修羅場を乗り越えられてきたのですから」
「…そんな強靭な心に大きな傷をつけた一撃か……まぁ、これだけのことが本当であれば大きな傷にはなるか…」
そういいつつ、俺は噂をまとめた資料を見ながらため息を吐いた。
これだけの事が、負担として勇者の重荷になっているのであれば…
どれだけ強い者でも、心に傷を負うだろうさ。
「…私もその噂については耳にしましたが…真のことでしょうか?」
疑わしそうに問いかけるシスターエボラ。
勇者を間近で見て、何処か引っかかる部分があるのだろう。
「多少なりとも脚色しているであろうがな……して、勇者は今どこに?」
「気分転換のためにも、子供達と一緒に木の実集めに向かってもらいました」
「…ふっ…なんだ、結局噂を信じていないではないか」
もし信じていたなら、少しでも疑っていたなら子供達を任せたりはしない。
「ふふっ…私も多くの人を見てきましたからねぇ。勇者様の目を見れば、とても自分から噂のようなことは、起こさない人だとわかっていますよ」
「…貴方も油断ならない人だ…」
心からの言葉を吐いた。
「恐れ入ります」
まったく…どうして俺の周りには優秀な人材ばかりなのだと、内心羨ましく思っていると…
“ガチャッ!!”
と勢いよく扉が開いた。
「…ッおッ…王様ッ!!」
今日も慌ただしくアーリャが駆け込んできた。
「どうした、アーリャ?。今日もそんなに慌ただしく」
「大変なんですッ!森にモンスターがッ…ナックルコングが現れたって!」
「っ…!?」




