第6話 邂逅の洞窟、蘇る英雄
その作戦の中、伏見隊は副隊長と通信兵を、中川隊は隊長と副隊長を失うこととなった。
伊沢隊は、最後方で敵の猛追撃をかわし、味方部隊への追撃を許さなかった。
伊沢隊長は、周囲のAlog掃討後、崩壊したEasdpJ本部ではなく、哲夫達が避難している山の隠し基地へ帰投した。
伏見・中川隊の生き残りも、伊沢隊長に連れられ、隠し基地へ帰投した。
哲夫と亜理紗は異常な数のAlog達と、それと闘った伊沢達に目を奪われていた。
伊沢達の攻撃により四散したAlogの残骸や体液があちこちに降り注ぐ中、哲夫は大きく脳を揺さぶるような衝撃を受け、その場にうずくまった。
「兄さん!しっかりしてください!」
亜理紗は頭を押さえる哲夫を、覆い被さるようにそっと抱きしめた。
落ち着いた哲夫が顔を上げると、そこには女の子がほほえみながら立っていた。
「きみは・・・?」
そんな哲夫の声に亜理紗が顔を上げると、いつか見た女の子が立っていた。
「あなたは・・・」
二人が唖然としていると、女の子は走り出した。
「あ、えっと・・・」
哲夫達が動けないでいると、女の子は付いてくるようにとのゼスチャーをした。
哲夫は不思議な感覚に襲われている自分に戸惑いながらも、その子について行った。
亜理紗も渋々ながら、哲夫が行くなら私も行くと、ついて行った。
しばらく山を登ったところに、洞窟があり、女の子はその中へ入っていった。
「ここが彼女の住まいなのかな?」
哲夫と亜理紗は首をかしげながら、女の子を見失わないようについて行った。
薄暗い洞窟を抜けると、そこは大きな空間が広がり、機械が一台置いてあった。
雷電である。
哲夫は、その機体を見た瞬間全ての記憶がフラッシュバックした。
「あ。あ。あ。あ。あ。あ。あ。お、俺は・・・・」
哲夫は頭を抱えながらも、自分に何があったかを、取り戻していた。
「に、兄さん!」
いつも以上に苦しむ哲夫の痛みを少しでも和らげようと、苦しむ哲夫をやさしく抱きしめていた。
そんな二人を見ていた女の子が、二人に思念波を飛ばしてきた。
「ようやく思い出してくれたようね、哲夫」
哲夫は、頭痛から解放され、亜理紗から離れ
「ああ、迷惑をかけたな、さやか」
二人は心の奥からわかり合っているやりとりを交わしていた。
「に、兄さん? 記憶が戻ったのですか?」
亜理紗は、見知らぬ女の子とまるで恋人のように話す哲夫に対して、心のもやもやを覚えながらも話しかけた。
「誰だ! そこで何をしている!」
その時、雷電の格納庫に兵士の声がこだました。
「動くな!」
銃を突きつけ、哲夫達を拘束しようと近づいて来る途中で、その兵士の顔が驚きに満ち始めた。
「ま、まさか。結城隊長と如月軍曹でありますか?」
結城は反射的に2人を後ろにかばって身構えていたが、知った声を聞いたので警戒を解いた。
「大輔か?」
記憶を呼び起こすかのように、浮かんできた名前をよんだ。
「はい! し、しかし、お二人とも亡くなったと聞いておりましたが、ご無事で何よりです」
彼は、哲夫の元部下でエースとして働いていた。哲夫が軍を抜けてからは、伊沢の元でエースを務めていた。
騒ぎを聞きつけた各部隊の隊長及び副隊長が格納庫へ集まってきた。
皆、哲夫とさやかの顔を見るなり、驚愕の声を上げるが、その後は涙ぐむ者もいて、哲夫とさやかのカリスマ性が伺えた。




