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地球軍特別防衛隊  作者: 悪魔神官長
第一章 日本奪還編

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第4話 共鳴する思念

一番近いシェルターまで数分の道のりだった。

二人が避難シェルターへ近づいたときに、激しい頭痛と共に、哲夫の脳裏に懐かしい声が響いた。


「・ガ・・ガマ・・マスター・・・我がマスターよ!」


哲夫は、頭を押さえながらその場にうずくまった。


「きゃ」


突然の出来事だったため、亜理紗は哲夫に突っ込む形となった。

哲夫の異変に驚いた亜理紗は慌てて


「だ、大丈夫ですか?」


と、哲夫の背中に手を回した。

哲夫は頭を押さえつつ、声の主を探すために立ち上がった。

亜理紗の存在は見えていないかのように、先ほどの声の主を探すことに集中していた。

しかし、あたりを見回しても声の主は見つからず、首を傾げてしまった。


「兄さん?・・・・・お兄?・・・・・お〜に〜い〜ちゃ〜ん?」


亜理紗は、トリップしてしまった哲夫を、現実の世界に戻すかのように呼びかけた。

しばらくトリップしていた哲夫は、急速に現実へ呼び戻されていく感じがして、自分を呼ぶ亜理紗に気がついた。


「あ、あぁ。ごめんごめん。なんでもないよ」


哲夫は、亜理紗の声に反応して、振り返った。


「・・・・・!」


その瞬間、目の前には亜理紗ではない女性が立っていた。

頭を2、3振って見直すと、いつもの亜理紗がそこに立っていた。

先ほどの女性は誰だったのだろうか、哲夫は思い出そうとしたが、例の激しい頭痛に襲われてその思考を断念する形となった。

またまた、うずくまる哲夫を亜理紗は心配そうに近寄った。

その時、雹花が巻き起こす爆音が辺りに響き渡った。


「近いな」


哲夫は反射的に進行方向をじっと見入ってしまった。

肉眼では確認する事が出来ないほど遠いはずなのに、その存在を認識できてしまう。

自分のこの能力は何なのだろうか。哲夫は不安になりながらも、雹花の進行方向を見入っていた。

得体の知れない目標物と雹花が戦闘に入ったのは、その数秒後であった。

上空に戦闘の音が響き渡った。

「ブーン」という、重低音の羽音が近づいてくる。

このまま地上にいては危険だと、二人はシェルターへ急いだ。

哲夫は先程の声と女性の姿、そして目に見えない者の存在を感じることができる力の事を考えながら走っていた。

シェルターが見えてきた頃、


「ぜぃぜぃ、に、兄さん、ま、待ってください!」


と、亜理紗が後ろから悲鳴を上げてきた。

振り向くと、後方で息を切らせた亜理紗の姿が目に入った。

哲夫はそれほど速く走った覚えは無い、むしろ身体が勝手に動いている、そんな感覚であった。

しかしそれは、亜理紗にとってとんでもない速さとスタミナであった。

亜理紗が到着するまで、自分の能力に驚き戸惑っていた。


「兄さんは陸上の選手だったんですかね?」


と、乱れた呼吸を整えながら、吹き出た汗を拭っていた。

哲夫はそんな仕草に見とれながら、自分の身体の異常さを考えていた。

その時、突然、辺りに爆音が響き渡った。

紫雲が交戦状態に入ったのだ。

雹花二機、紫雲二機の計四機が敵と交戦していた。

敵の数は、確認できるだけで小型が十五機。

雹花が敵の編隊を乱して、紫雲が撃墜していく。平凡だが確実な方法で、一機また一機と撃墜していた。


「はやく、行きましょう」


と、亜理紗に促され、シェルターへ避難した。


シェルター内部は大勢の避難者で溢れかえっていた。

ちょうど二人用の個室が運良く空いていたため、そこへ落ち着いた。

母の所は一人用で、この混雑時に行っても邪魔なだけなので、2人はいつも平常時に訪れているのでした。

避難所での会話は、弾むわけもなく、沈んだ空気の中時間だけが過ぎていった。

その中でも哲夫は、先ほどの現象を振り返り、我が身に起きている異変を整理してみるのだった。

軍隊に対する評価、頭に突如響き渡る声、そして幻覚。

それらを繋げ合わせようとすると、頭の奥深くから激しい頭痛に見舞われてしまう。

これらを総合すると、軍隊に所属していて何らかの理由で記憶を奪われ、そのまま一般の世界へ投げ出されたような感じがする。

しかし、肝心なことは何一つ思い出すことが出来ない歯がゆさに、哲夫は身もだえた。


そういえば、慶子さんは何かしらないのであろうか?

この現象を言えば何か教えてくれるのではないのだろうか?

何も知らない私を拾い上げ、ここまで復帰するまで色々と尽力してくれた人。

以前、自分がどのようにして発見されたのかを聞いたことがあったが、上手くはぐらかされたような感じがしたが、身体を回復させることに集中したため、うやむやになっていた。

哲夫は、この様に自分の考えをまとめていた。

その頃、亜理紗は哲夫の横で、スヤスヤと小さな寝息を立てていた。

哲夫はその寝顔をじっと見つめながら、考えを続けていた。

亜理紗が何度目かの寝返りを打った時、避難警報の発令が解除された。

哲夫は亜理紗が目覚めるまで、これから何をすればよいのかを考えていた。



そのころ、雷電格納庫では技術員達が総出で、いきなり起動した雷電のメンテナンスを行っていた。


「内部はもちろん、外部からのハッキングは認められません」

「微弱な電波も見逃すな!」

「地上への攻撃が始まる少し前に、いきなり起動してますね」

「ブラックボックスに雷電の思念波が残ってます!」

「我がマスターよ。我がマスターよ。我がマスターよ。我がマスターよ」

「誰かに向けて思念波を飛ばしていますね」

「まさか、如月軍曹が生きて、いや、それよりも結城隊長が生きているのかもな」

「では、外部からの干渉で間違い無しですか?」

「どちらかというと、雷電からの干渉だな」

「・・・・・・・」

「何にしても確証が欲しい、もう一度、初めから調べよう」


雷電のメンテナンスは続いていった。


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