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地球軍特別防衛隊  作者: 悪魔神官長
第二章 アメリカ奪還編

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第23話 ディアブロ山の邂逅

全機帰投後、不死鳥のブリッジと流星のブリッジで通信が行われていた。

最初に杏が、


「皆さんのお力により、アメリカ大陸の一部を奪還することが出来ました。本当にありがとうございます」

「だが、不死鳥のダメージは、軽くないだろう?」


ミラーが不安な声を上げた。

春花が資料を見ながら、


「そうですね。岩蔵、いや、真壁さんの話では、ちゃんとしたドックで修理しないと、特装砲が撃てない可能性が高いとの事でした」


それを聞いたジャックが、


「それは、これから超大型と戦うときに、勝算を見いだせないまま戦うようなものだな」


春花が資料から目を離し、ミラーに向かって、


「そこで、サンフランシスコの港はほぼ壊滅しているのですが、この辺に不死鳥を修理できる場所は、ありませんか?」


ミラーは少し考えて、


「そういえば、この辺の山。そう、ディアブロ山にEasdpAの基地が隠されていたと、記憶しています。連絡を取ってみます」

「お願いしますわ」


春花が頭を下げた。

少ししてミラーが、


「EasdpAのコードで繋がりました、生存者がいるようです。避難シェルターとして、周囲の州からの避難民で、溢れかえっているようです」


それを聞いた杏は、


「そもそも、我われNEasdpが立ち寄っても良いのでしょうか? EasdpAの基地ですよね?」


ミラーが弁解する。


「話によると、ハワイでの演説後に合流しようとしたけれども、Alogが外に居るため何もできなかったとの事だそうだ」

「NEasdpに賛同してくれたって事かしら?」


春花に疑問に、ミラーが回答した。


「そのようです。おっ、整備ドックを開放してくれたようです。主要機の残骸や備品が散乱しているが、全てを使ってしまっても良いそうです」


不死鳥は、その翼を休めるために、ディアブロ山のドックに降り立った。



不死鳥、流星のクルーを迎え入れたのは、NEasdpのロゴを大きく張った横断幕を掲げた民であった。


「あれが、映像で見た不死鳥!」

「あっちの艦は、明星なの?」

「さやかたんは?」

「准将!」

「よく来てくれた!」

「もっと早く来てくれれば!!」

「ありがとう!」


と、ほとんどが好意的なようだった。

その後、ディアブロ山駐屯軍により、基地内部を案内してもらっていたが、メインゲートが破られ、内部のサブゲートも、かなりの損害を受けていた。

後、数日遅ければ、避難してきた民衆にも、甚大な被害が出てしまう所だった。

ゲート確認した哲夫は、


「これは、小型が齧ったあとか?」


智則が齧られた跡を凝視しながら、


「こんなふうに、ゲートをこじ開けているのか」


和彦が変な跡を見ながら、


「こっちは、溶かされているな」


と、ゲートを確認していた。


その頃岩蔵は、不死鳥に乗っていた整備班を降ろして、不死鳥、明星、流星の各艦を同時に修理、補給、整備を行っていた。

整備兵が、


「やはり、不死鳥の特装砲が、一番酷いですね」


他の整備兵が、


「明星の出力プラグも、ダメになっている」


さらに、


「流星も、エンジン部とリバースグラビティシールド発生装置にも、負荷がかかりすぎている」


と、問題点を出していた。

それを聞いていた岩蔵が、


「問題がわかったか。お前たちなら、どのように取り掛かるのだ?」


と、整備兵達に考えさせていた。

(やはり、ハワイ基地に置いてきた、隆クラスに育てるのは、骨が折れるの)

と、心の中でぼやいていた。

そこへ、凛から通信が入った。


「真壁さん、バルダー・ゲートの新装備を設計したので、作ってもらえますか?」


それを聞いた岩蔵は、


「見てわからんのか、こっちは戦艦を修理するので手一杯じゃ、後にしてくれ」


凛は、タブレット上に表示されているさやかの吹き出しを読み上げた。


「それなら、ハワイ基地の榊隆サカキ・タカシさんにお願いするしか、なさそうですね」


タブレットの中で、ドット絵のさやかが『ニヤリ』と口角を上げ、ハワイ方面を指差すジェスチャーを見せていた。

それを聞いた岩蔵は、目を吊り上げ怒鳴るように叫んでいた

「……ぬかせッ! あの野郎は今、明星型の量産で手一杯のはずだ。あんな若造に、この繊細な調整が務まると思ってんのか! 凛の小娘、その図面をこっちに寄こせ!!」


そう言って、設計図を催促しつつ、整備兵からの修理案を確認していった。

案に対してダメ出しや、修正をさせて、各艦の修理、補給、整備をやらせていった。

そこへ、ディアブロ山駐屯軍の整備兵達も合流して、各艦の整備責任者から方法を聞きながら、持っている技術を惜しみなく発揮していた。また、基地内部には、破損した主要機や備品が数多くあったので、それも使用する事ができた。

設計図を見ていた岩蔵は、


「そうだ、不死鳥の特装砲の改修案も、出しておいてくれ。今の状態では連射が出来ないからな。それを補う改修案を頼むぞ」


と、凛にさらなる強化案を考えさせていた。

そして、バルダー・ゲートの新装備の設計図を見て、

(おいおい、この出力のエネルギー砲を持たせたら、機体がはじけ飛ぶぞ。いや、バルダー・ゲートなら、耐えられるのか? いや機体が無事でも、腕ははじけ飛ぶぞ)

試作品を、組立ていった。

その設計図を見た哲夫が、


「その装備、雷電でも使えませんか?」


凛のタブレットで、さやかがハテナマークを出しているのを見て、


「なぜですか? 雷電なら、十分な火力がありますよね? これ以上火力が欲しいのですか?」


凛の質問に、


「今後、ますますAlogとの戦闘が激化していくと思う。そんな時、一手でも多くの切り札が欲しい」


その言葉を聞いて、タブレットの内のさやかが、吹き出しを出しそれを凛が読み上げた。


「新装備は汎用型なので、全機使用する事は出来るが、出力が膨大なので反動が大きすぎる。なので、反動を相殺できる機体じゃないと、使用しない方が賢明ですね」


それを聞いた哲夫が、


「それなら、雷電でも使えそうですね」


と言いながら、岩蔵に通信を入れた。


「真壁さん、今作っている新装備なんですが、同じ物をもう一つ雷電用に作ってもらえませんか? さらに、実弾装備の外付け電磁コイル実弾砲を同じように強化出来ませんか? 発射速度を10倍にすれば、実弾でも大型を抜けそうな気がするのですが」


と提案すると、


「……ボウズ、無茶言うな。今の地球にある合金じゃ、その連射速度の摩擦熱と圧力に弾丸が耐えられねえ。撃った瞬間に、砲身の中で弾が溶けるぞ。同型のエネルギー砲であれば、作ってやる。だが、まずは試作品からだ」


そう言って、通信は切られた。

哲夫は横に居た凛に、


「という訳で、もっと硬い、熱に強い素材はどこにありそうかな?」


と、無茶ぶりをすると、


「うーん、実際に行ってみないとわかりませんが、月や火星の様な極限環境に眠っている『新素材』があるかもしれませんね」


それを聞いた哲夫は、


「そうか、雹花や紫雲の装甲の様な、新素材があるかもしれないって事だな」

「その可能性は、皆無ではないですね」


と、月や火星に希望を見出そうとしていた。



不死鳥の修理が終わり、これから改修作業に移ろうとした時、ハワイ基地から、二隻もの明星型が入港してきた。

大量の物資と共に、整備兵達も大量にやってきた様であった。隆のメッセージビデオを持って。

岩蔵がそのビデを見ると、


「おやっさん、お久しぶりです。明星型と同時に物資と整備兵を送りますね」


ハワイ基地では、日本とアメリカから集まる物資や人員でごった返していた。

隆は、その中で整備兵を鍛え上げ、岩蔵の下に物資と共に送り届けたのであった。

新たにやって来た整備兵は、新兵からベテランまで、日本アメリカの合同の者たちであった。

岩蔵は、鼻を鳴らしながら、


「ふん。わしの心配をするなんて、ケツの殻らも取れてないのによ」


と、嬉しそうであった。


そして、新たに配備された明星型を見て、


「さすが岩蔵さんの右腕ですね。この短期間で二隻も建造するなんて」


そう言いながら、新たに来た明星型のクルーたちとあいさつを済ませていた。

各明星型には、4機の艦載機が搭載されており、流星の艦載機を入れると12機の艦載機となった。

その様子を見ていた杏は、


「ミラー准将。これで、ユーラシア大陸方面への偵察をお願いします。日本は問題なく通過できると思いますが、そこから先は未知数です」


隣に居た春花が、


「無理は禁物です。超大型が居た場合は、引き返すことも重要です」


と、アドバイスしていた。

そんな中、凛は、

(もっと、情報を入手できるような、ネットワークを構築しなくては)

と、コンソールを動かし、新たに来た明星型に、新たな地域に行ったときにネットワークを構築できるプログラムを仕込んでいった。


「それでは、我われは一足先に、ユーラシア大陸へ向かいます」


ミラーは、杏に向かって言った。


「次に会うときは、アメリカ東海岸ですね」

「二体目の超大型との戦闘には、間に合わせましょう」


と、ミラーがにやりと笑った。



ミラーが明星型2隻と流星で日本へ旅立ってから、ディアブロ基地では、新たに来た整備兵達が、岩蔵の指揮のもと、バルダー・ゲートと雷電の新装備のテストと、不死鳥の特装砲強化に取り組んでいた。


「ばかやろう! そこはもっと優しく、そして大胆にだ!」


と、矛盾をはらんだ怒号を、岩蔵が叫んでいた。


「良く見ておけ!」


怒鳴るだけでなく、手本を見せていた。同じところを何度も叩いて整備していて怒られた整備兵が、岩蔵がその部分を一度の叩きで修理し、そこから磨き上げるという技を見せられ、


「榊班長の言う通り、神様的な方なんだな」


怒鳴り散らす荒っぽさとは裏腹な、精密機械のような指裁き。その神業に、整備兵たちはただ感嘆するしかなかった。

岩蔵は若手たちの視線を背中に感じながら、


「惚けてる暇があったらしっかりと見ておけ! 隆の野郎が送ってきた者たちは、出来損ないだって言われたいのか!」


とさらに怒鳴り散らしていた。だが、その口角はわずかに上がっていた。

隆が自分を『神様』と呼び、それを信じてついてくる若い力が、今のこの基地には満ちている。

一方、その様子を通信モニターで見ていた凛のタブレットでは、さやかが『イワゾウ、チョロイン(チョロい)』と文字を出して、ケタケタと笑うドット絵が踊っていた。


バルダー・ゲートの格納庫では、明星からケーブルで繋がった新たな装備である、RGアールジーバスターカノンがお披露目されていた。

岩蔵が、バルダー・ゲートの肩にマウントされた巨大な砲身を、愛おしそうに、かつ手荒に叩く。


「いいかエレーナ! こいつはただのデカい鉄砲じゃねえ。明星から引き出したRGエネルギーを、このバレルの中で『重力の渦』に変えて叩きつける……名付けて、『RGバスターカノン』だ!」


エレーナは新たな装備を見て、


「RGバスターカノン……。……すごい、明星と直結されているエネルギーの脈動が、機体越しに伝わってくるわ」

「おうよ! だがな、出力は不死鳥の主砲並みだ。反動で機体がバラバラになりたくなきゃ、しっかりと機体を制御するのだな! それでも、機体の整備が必要になるだろうけどな。さらに、一発撃ったら砲身の冷却が必要だ。地球上では外せば次はねえと思え!!」

「了解。……この一撃で、ワシントンの奴を沈めてみせるわ」

「そこまでの火力はないが、その意気だ!」


最終調整を終え、二本目のRGバスターカノンの制作を整備兵に任せ、特装砲の強化改修作業に取り掛かった。


「凛の小娘、特装砲の改修案を送れ。良い案があるのだろうな」


岩蔵の安い挑発に、


「もちろんです。冷却強化案、エネルギー圧縮率強化案、砲身強化案があります」


岩蔵がにやりと笑い、


「それだけあれば、かなり良い物が出来そうじゃな」


そう言って、改修案を精査していった。


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