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地球軍特別防衛隊  作者: 悪魔神官長
第一章 日本奪還編

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第11話 独立宣言、そして太平洋へ

凛がコンソールを凝視していると、超大型が光の波に飲み込まれた瞬間、その周囲から、これまで見たこともない濃度の「黄金色の雪」のような粒子が舞い上がった。それは美しくもあり、同時に何かを浸食していくような不気味な輝きを放っていて、それを見た凛は思わず、ぶるっと震えていた。

膨大なエネルギーが巻き起こす衝撃波が、雷電たちに襲い掛かる。


(お願い。みんなを守って!)


亜理紗は思念波を強くして、明星シールドを展開した。

哲夫は、伊沢隊、伏見隊がシールドに入る様に調整しながら、離脱を続けた。

エネルギーはシールドで阻むことが出来ても、衝撃波で飛んでくる瓦礫などは、シールドで防ぐことが出来なかった。

(これは、今後の課題でもあるな。エネルギー砲は止められても、体当たりは止められないか)

哲夫は、明星の状態を確認しながら、そう思っていた。


慣性飛行から大気圏内飛行に移行した不死鳥では、


「状況は?」

「現在、特装砲のエネルギーにより、各レーダーが乱れています。また、映像も回復していません」


そう言いながら、タブレット上でハテナマークをまき散らしている、デフォルメされた蜘蛛たちをつついていた。

凛は、小さなころからプログラムに勤しみ、自作OSやプロテクトを展開するころから、割り込んで来ようとするデータやプログラムに対して、悪い虫と定義するようになり、それを駆除してくれる、蜘蛛をプログラムに常駐する事になったのが始まり。

現在では、独自AIを搭載し、凛と会話テキスト出来るまでに発達している。

(おぃ、やめろー)(つ、つぶれる)

等のテキストを表示させて逃げ惑う蜘蛛たちを見て、(ふふっ)っと、微笑んでいた。

春花は、(いつもの事ね)と追及することなく、不死鳥のスクリーンを見ながら、超大型の状況と、哲夫たちの安否を心配していた。


「あっ、明星のシグナル確認しました。傍に、雷電のシグナルも確認しました。現在通信および、切れてしまった戦術リンクの再構築を試しています」

「光学映像回復します」

凛の言葉と同時に、不死鳥のスクリーンに、大きなクレーターと、離れた所に浮かぶ明星の姿が見えた。

「超大型の反応は?」


春花の問いに、凛は、コンソールを何度も見直して


「大量の残骸を確認。その他は確認できず。超大型を撃破した模様」


超大型が鎮座していた部分は、大きなクレータが出来ていて、その中に何かの白い靄がかかっているような感じであった。傍にあった巣も、完全に消滅したようだった。



その報告に、ブリッジ内は歓喜に包まれていた。



そして次に明星のボロボロの姿を見てしまい、


「おいおいおい、明星がボロボロじゃねぇか。あれだけ癖を教えたのに、何してくれてんねん」

と、魁が叫び。

「あれは、坊やたちを守ったのね」


と、春花は自慢の娘がクルーを守ったことに、誇りを感じていた。


「どんなにボロボロになっても、飛んでいるのであれば、わしが元通りにするから、安心しな」


そう言いながら、緊急発進などでごちゃごちゃしていた不死鳥内部の区画を整理し、明星を整備するための専用ドック区画を、使用できる状態にしていた。


「通常通信、回復します」


不死鳥のスクリーンに雷電のコクピットが映し出された。

そこには、喜び溢れた哲夫と由美、少ししょんぼりしている亜理紗が映し出された。


「姉さん、やりましたね」

「えぇ。あなたたちの頑張りが、あればこそですよ」

「これで、我われの第一歩が踏み出せたわけですね」

「そうね。これから、EasdpJというかEasdpからの離脱とNEasdpの設立宣言を始めるわよ」


春花の言葉に、


「本当に始めるのですね」


哲夫は、目を瞑った。


「杏、準備は良いかしら?」

「えぇ。私の準備は、出来ているわ」

「それじゃぁ、凛。始めてくれる」

「了解」


コンソールに向かう凛の指先が、ピアノを奏でるような速度で踊る。

モニターにはEasdpJが情報統制に使っていたファイアウォールが次々と蜘蛛たちに食い荒らすエフェクトが走り、警告音が赤から白へ、そして沈黙へと変わった。

凛はカップに残った冷めたコーヒーを一気に飲み干すと、口角をわずかに上げ、背後の杏へと振り返った。


「全世界、主要衛星および地表波、すべての回線……ぶんどりました!」

「……お見事」


杏が静かに立ち上がる。その瞳には、かつての「守られる少女」の面影はない。


「これより、偽りの王たちを玉座から引きずり下ろします。……映像、送出しなさい」

「了解。フェーズ01、偽装プロトコル……開始」


全世界の街頭ビジョン、地下シェルターのモニター、さらにはEasdp本部、そしてEasdpJ幹部たちの司令室に、突如として杏の姿が映し出された。ただし、その背景にはEasdpJの黄金の紋章が神々しく掲げられ、彼女の声もまた、組織の正当性を説く「力強い代弁者」として響き渡った。


「……国民諸君。我がEasdpJ日本支部は、今、最大の英雄を失った。結城悠、そして彼と共に散った戦士たちの死は、我々に何を問いかけているのか!」


杏の声は、冷徹なまでに響く。


「それは、Alogという名の不浄な種族に対し、我々人類が取るべき道は唯一つ……『絶対的な力による支配』であるということだ! 我々EasdpJこそが人類の選ばれた盾であり、この混乱を収める唯一の秩序である!」


世界中が息を呑む。EasdpJの幹部たちは「よし、この娘は使えるぞ!」と膝を打った。だが、その直後。


「――というのは、彼ら『偽りの指導者』たちが、皆さんに信じ込ませたかった物語に過ぎません」


杏の表情が、氷のように冷たく変わる。


「凛、フェーズ02へ。……真実を見せてあげて」

「了解。回線ジャック……維持。チェックメイトですわ」


画面が激しく乱れ、EasdpJの紋章がノイズと共に砕け散る。 代わって映し出されたのは、400m級Alogが、不死鳥の圧倒的な一撃によって塵へと還る「無修正」の記録映像だった。


「これが、我われの戦果です。これを以て我々は・・・・」


そこで、映像にノイズが走っていた。

凛は、コンソールを確認しながら、

「あら? EasdpJが割り込んできました。ブロックします。・・・あれ? 雷電システムが、ゲートを開けている?」


その瞬間、全世界のモニターにEasdpJの冷徹な高官が映し出される。


『――国民諸君、騙されてはいけない。あの戦艦は我が軍の資産を盗んだ反逆者だ。雷電を開発した如月さやか博士も、地下で泣いていることだろう。彼女は我が軍の優秀なる開発者である。雷電は、この日本を住みやすく支配するように設計されたのだ。彼らは、それを我われから奪い取った反逆者なのだ。騙されてはいけない・・・・』


高官の横には、当時の開発している如月さやかと、雷電の姿を我が物の様に表示させていた。


それをコクピット内で聞いていた哲夫は、


「ふざけるなッ! さやかを、死んだ人間を政治に使うな!」


だが、その叫びを遮るように、雷電のコンソールが虹色に発光する。


『……ありがとう、哲夫。でも、大丈夫。私の名前は、自分で守れるから』


脳裏に直接響く、懐かしい声。それは生きた人間のものではなく、雷電の深層から溢れ出した「思念の記録レコード」だった。


「――捉えた! 逆探知完了。EasdpJの送信元、丸裸にしました。……さやか様、どうか力を、その声をお貸しください。全世界の視線、あなたに釘付けですわ」


凛が雷電の奥底に眠っていた「さやかのバックアップ」を、全世界のネットワークへ強引にバイパスさせる。EasdpJの高官の傲慢な顔がノイズと共に消え、真っ白な仮想空間に立つ「如月さやか」が映し出された。


『……皆さん、こんにちは』


全世界が凍りついた。

画面の中のさやかは、どこか透き通っており、その瞳には生身の人間とは違う「記録レコード」の静謐さが宿っていた。


『私は、如月さやか。……いいえ、今は雷電のシステムの一部として、皆さんの隣にいます。先ほどの演説は、嘘です。雷電は、人を支配するために作られたものではありません。人が、人を信じるために作られた『橋』なのです』


EasdpJの司令室では「回線を切れ! 爆破しろ!」と怒号が飛ぶが、凛がさやかの力を借りて構築した重力波回線は、もはや物理的な破壊すら受け付けない。


『EasdpJは、私の技術を盗み、愛する人を戦わせる道具にしました。……私はそれを、許しません。だから私は、彼らを選びました。新しい、私たちの『同士』を』


さやかの瞳が、モニター越しに全世界の人々と視線を合わせる。


『私たちは、もう命令には従いません。……自らの意志で、地球を取り戻します』


その瞬間、さやかの姿が砂嵐のように揺れ、元の「雷電のOS」へと戻っていった。 彼女は生き返ったのではない。消えゆく間際に、未来の哲夫たちのために「最後の手札」を残していたのだ。


再び、画面は杏のアップへと戻る。彼女の背後には、満身創痍ながらも気高く浮かぶ『不死鳥』と、その傍らに寄り添う『明星』の姿。


「私は、杉里杏。本日を以て、旧体制の駒であることを辞し、独立同盟軍『NEasdp』の設立を宣言します。これより我々はEasdp本部救出を旗印とし、太平洋を越えます。……真に戦う意志を持つ者は、この鳥の翼に続きなさい!」


凛が静かにエンターキーを叩き、全世界への一方的な通信を断ち切った。

ブリッジに、完全な静寂が訪れる。


「……やりすぎましたかね?」 凛が、少しだけいたずらっぽく笑った。

「いいえ。世界を驚かせるには、これくらいで丁度いいわ」


杏の言葉に、春花が、そして岩蔵が、不敵な笑みを浮かべて頷いた。


「世界の反応は、マチマチですね」


そう言いながら、凛は、世界の情報網にNEasdpの情報を流していった

凛は、先ほどの凛々しい姿のさやかをデフォルメした、新キャラをコンソール内にインプットしていた。

蜘蛛たちが、さやかに屈服している姿を見ながら、(ふふっ)とほほ笑んでいた。


日本中に散り散りになりながらも、Alogと戦っていた末端のEasdpJ兵士たちは、

「いつまで経っても救援すら寄こさないEasdpJは信用できないな」

「NEasdpという新組織? も、同じではないのか?」

「だが、日本にいた400m級を撃破したのであれば、事態が好転するのではないのか?」

「とにかく情報だ。情報が欲しい」


そうして、NEasdpの事を調べるたびに、EasdpJへの忠誠心というか、期待感は無くなり、NEasdpに合流しようとする者が、数多く現れた。


一般人の様子は、

「如月博士は生きていたのか?」

「あの娘、かわいいな」

「NEasdp? 新しい詐欺か?」

「いや、あの映像の迫力は本物だぞ」

「さやかたん、はぁはぁ」

など、半信半疑で、さやかの姿が皆の記憶に強く印象付けられたようだった。


Easdp本部では、

「日本支部でクーデターが起きたのか?」

「杉里というのは、聞いたことがあるか?」

「あの如月さやかという女、AIではないのか?」

「あの戦力(不死鳥)をこちらに取り込めないか?」

など、こちらも混迷を極めていた。


そんな状況を、コンソールを見ながら、ほくそ笑んでいる凛が居た。


「名声なんて、後からついてくるものですわ。今は、この子『蜘蛛たち』が世界中のサーバーに植え付けた『事実』という名の毒が、じわじわと回るのを待てばいいんです」


その蜘蛛たちを指揮するデフォルメされたさやかの姿を見て、微笑んでいた。


そして、雷電や雹花、紫雲はおろか、明星さえもドックに入れて、不死鳥は日本の領土を旅立った。



杏が、ブリッジで春花たちに説明している。


「まずは、ハワイにいるAlogを倒し、中継ポイントをつくるわ」


凛が問い返す。


「直接行かないのは、何故ですか?」

「守屋さんの情報のおかげで、かなりの数の元EasdpJの兵士たちが、合流したがっているのよ。だから、受け入れるためにも、中継ポイント必要よ」


腕を組んでいた岩蔵が、低く唸るように口を挟んだ。


「戦力を増強するとなれば、不死鳥一隻で戦うのは、あり得んじゃろ? そこで、合流してきた中に船があれば、それを随伴艦として改装するぞ」

「そういうこと。だからハワイを救援した後、Easdp本部にハワイを救った恩を売って、そのままハワイをNEasdpの自治区として認めさせるわ」


タブレットを見ていた凛が、


「本当に色々な人たちから連絡が来ていますよ」


さやかに統率された蜘蛛たちが、合流を希望する兵士たちの過去の通信ログや軍歴などを調査精査し、どんどん表示していった。


「とりあえず、こいつらの情報は、杉里さんに渡しますね。問題なければ、合流ポイントを送りますよ」


そう言いながら、EasdpJのセキュリティをモグモグ食べている蜘蛛たちを、微笑みながら、見つめていた。

情報を受け取った杏は、


「みんなも手伝ってね」

「わしは、明星や各種艦載機の整備に行ってくるぞ」

「俺は、小娘に明星の癖を叩き込んでくるぜ」

「わたしは情報を整理するので、忙しいので、お任せします」


と、三人が逃げていった。


「はぁ、仕方がないわね。凛、雷電のシステムを借りて頂戴。あのシステムなら正確でしょうから」

「了解です。さやか様に連絡してみます」


明星が収まっているドックに、亜理紗、岩蔵、魁が整備兵と共に集まっていた。


「ありがとう、明星。あなたのお陰で、兄さんたちを守ることが出来たの。本当にありがとう」


亜理紗が、明星をなでていた。


「これは、エネルギー砲のダメージではなさそうだな。何故、避けなかったのだ?」


ボロボロになった装甲を魁がなぞっていた。


「雷電だけでなく、雹花や紫雲も守ろうとした時に明星から声がしたの」

「これが、明星の意志という訳じゃな。魁のボウズよ、明星は皆を守れて誇らしげじゃぞ」


亜理紗の発言を引きついた岩蔵に、


「くっ、俺なんか、明星の声を聞いたこと無いんだぞ。くそぅ」


魁が悪態をついた。


「まぁ、それは、明星が何も言わなくても、ボウズなら操縦してくれるって思っているのかもしれないからの」


岩蔵のフォローに、


「へっ。そうだよな」


一瞬で立ち直っていた。


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