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地球軍特別防衛隊  作者: 悪魔神官長
第一章 日本奪還編

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第10話 決戦、400メートル級撃破!

明星の主砲を不死鳥の副砲の一部に転用し、明星で使用していた思い出の品などが、不死鳥へ運び込まれて行った。

総舵手の海野魁が握る操舵には、明星の時に付けていたお守りが、括り付けられていた。

(これがあれば、どんな攻撃がきても、直撃を受けない気がする。明星も、最後まで直撃は受けなかったぜ)

オペレーターの守屋凛が持っているのは、明星の時から使っている、通信コンソールを握りしめていた。

(私専用にカスタマイズしたこのコンソールがあれば、不死鳥のオペレーティングも問題ないわね。早急に、不死鳥のシステムとリンクしなくては)

艦長の鳳春香の胸には、縮小された明星の艦名プレートが張られていた。

(明星。あなたは私にとって最愛の娘よ。そして、この不死鳥は、最愛の息子になってくれるのかしら)


不死鳥のブリッジで作業している整備兵と共に、三人は各席で、明星との違いに驚きつつも、新しいパネルを確認していった。

魁は、不死鳥の出力ゲージを見ながら、


「なんだこの化け物は。明星なんかお子様じゃねぇか。この出力を制御できるのか? いや、俺なら出来る。いや、やれる」


そう言いながら、各種設定をしていった。

凛は、情報パネルを見ながら、


「索敵範囲が広い。明星の時の数倍は広い。おかげで処理する情報が多すぎる。コンソールに解析するプログラムを追加しなくちゃ」


そう言いながら、プログラムを追加していった。

春花は、各種データを表示させながら、


「本当にすごいわね。明星の時とは比べ物にならないほどの火力と出力、さらにはリバースグラビティを使ったシールドに特装砲まで。これなら、あの400m級でさえ、倒せるでしょう」


と、決意を新たにしていた。

岩蔵は、不死鳥を整備しながらも、明星の事を気にかけていた。


「この不死鳥も凄いけど、一度飛び立てば、補給や整備などは急務では無いな。それよりも、主砲を失った明星だが、何かに使えないだろうか」


と、明星の事を考えていた。


雷電の整備では、亜理紗のレベルアップと共に、一度に4つのミサイルを誘導できるようになっていた。

由美の方は、一度に6人の意識を繋いでも、索敵に支障が出なくなっていた。

雷電の訓練で、亜理紗のリモート見ていた岩蔵は、


「これだ! これなら、明星を生き返らせられるかもしれん」


と、声を上げた。

みんなが集まってくると、


「亜理紗の嬢ちゃんが、リモートでミサイルを動かしているじゃろう? その対象をミサイルから明星にしたらどうかのう?」


と、無茶な事を言い出したのだが、それに慶子が反発した


「無茶よ。さすがに捕まえるには、亜理紗の負担が大きすぎですよ」

「そうかのぅ? 何も、今までと同じように戦闘しろと言う訳ではなく、ミサイルの様に、動かせないかって思ったのじゃがな」


亜理紗は、その状況を思い浮かべながら、


「でも、何のためにそんなことをするのですか? 動かすだけだなんて、それなら、ミサイルなどの武器の方が良いではないですか?」


と、疑問をぶつけると、


「そうじゃよな。それには、同意するのじゃ」


と、頭を掻いていた。

それを聞いていた哲夫は、


「それなら、リバースグラビティ粒子をふんだんに使って、大型シールドにすればよいかな?」

「いや、それなら、シールドを複数持った方が、コスト的にも賛成できるぞ」

「それに、これ以上、明星に傷ついて欲しくはないわ」

「俺が操縦すれば、問題ないけど、その娘が動かすのだろう? それは、面白くないな」


と、散々であった。


「ふん」


鼻を鳴らしながら、その場は引き下がった。だが、岩蔵は諦めたくはなかった。

(さんざん手塩にかけた明星だぞ。このままポイ捨てじゃ、あまりにも可哀そうじゃないか)

岩蔵は、哲夫の所に行き、


「隊長さんよ。雷電を貸してくれねぇか?」


と、雷電の作戦プランの立案力を頼っていた。

(雷電の計算では、明星を再利用できそうだな)

そんな岩蔵と雷電の作戦を見ながら、


「岩蔵さん。……期待してますよ。俺たちを、驚かせてください」

「へっ、若造が。……見てろよ、腰を抜かさせてやるからな」


と、今日一番の笑顔で答えていた。


次の日、岩蔵は雷電からの作戦案を元に、話しだした。

明星は、リバースグラビティの保管庫として使う。

不死鳥が発進する状況として、雷電の作戦プランの中で最悪のシナリオが、「Alog」たちがこの基地を発見し、強襲するという物であった。

その場合、基地内部の人々は不死鳥に乗艦し、基地は破棄する事になるという。

元々不死鳥は、基地を移動する時にも使用する予定だったので、基地内部の人々すべてを乗せても、問題ないほどの居住区画を持っていた。

ゆえに、基地にあるリバースグラビティ粒子の発生装置と、圧縮装置を明星に搭載させて、そのまま明星内で生産してもらう。


通常時は、不死鳥に格納させる。

戦闘時は、場合によっては、その場に放置か、不死鳥、もしくは雷電に随伴させる。

明星は攻撃出来ないが、豊富なリバースグラビティ粒子のお陰で、補給とシールドをはれる。

その強度は、雷電のシールドを遥かに凌駕する。

リバースグラビティ粒子の圧縮速度が基地内部と比べて遅いので、連続で何度も受けると、リバースグラビティ粒子が枯渇してしまう。


「こんな感じだな」


と、自慢げに花を鳴らした岩蔵だった。


「結城隊長。この襲撃は、どの程度の確率なんですか?」


杏が不安げに聞いてきたが、


「雷電の計算によると、明星受け入れの際に、確率がかなり跳ね上がったようです。」


哲夫の言葉に、


「私達の為に、申し訳ない」


春花が頭を下げた。


「いいえ、遅かれ早かれこうなっていたでしょう」

「真壁さん、この明星案を実現するのには、どの程度の時間が必要なんですか? それは、不死鳥等のメンテナンスと同時進行できるのですか?」


杏は、基地放棄という、最悪のシナリオを想定して、動き出した。


「明星は、わしにとっても可愛い娘なんじゃ。すぐにでも改修することが出来るぞ」


コンソールを弄っていた凛が、


「随行システムも、そこまで時間はかかりませんので、当面の問題は、矢吹さんの方ですね」

「明星を壊したら、ただじゃおかねぇぞ」


と、魁がすごんできた。


「大丈夫じゃ。どんな状態になっても、わしが直してやる」


岩蔵が、亜理紗に向けて、最高の笑顔を向けた。


「私! 頑張ります」


そして、急ピッチで作業が進んでいき、艦載機や明星に関しては改修・補給・整備作業が完了し、不死鳥も最終調整段階に入った時、基地内部にアラームが鳴り響いた。


「Alog接近中」

「Alog接近中」

「大型を確認、中型多数、小型はさらに多数の大部隊で接近中」

「繰り返す」

「Alog接近中」


基地の大型スクリーンに映し出されたのは、いまだかつてないほどの大群であった。


「どうやら、最悪のシナリオが的中したようね」


(だけど、真壁さんが先に提示してくれたおかげで、スムーズに基地を放棄できる)

杏は基地内部に向けて、


「総員、基地を放棄します。先のマニュアルの通り、不死鳥へ乗艦してください」


そう言って、基地を放棄することを決めた。

不死鳥のドックでは、雷電以下、雹花と紫雲がスタンバっていた。

また、不死鳥のブリッジでは、春花以下、魁と凛が大急ぎで不死鳥の立ち上げを行っていた。

岩蔵もエンジン回りを担当し、慶子は医務を担当していた。

早期にマニュアル化したことにより、不死鳥への乗艦はスムーズに行われて行った。

春花は、ブリッジの全天周透過スクリーンを見て、

(あんな子供たちまでいたのね。なんとしても、この艦だけは守らないと)

決意を新たにしていた。


しばらく乗艦が続いていたが、春花は少し間に合わないと判断し、哲夫を呼び出した。


「坊や、少し時間を稼げるかい? こっちは、もう少し時間がかかりそうだ。」

「了解です。先に来ているのは、小型だけですか?」


哲夫は、凛に向かって、


「索敵によると、小型が10匹編隊で、5小隊程この辺に向けて飛んできています」

「その後ろは、どんな感じですか?」

「今は何とも」

「了解。」


雷電にインプットしながら、


「智則・和彦行けるな?」

「はい!」

「もちろんだ!」


以前は「伏見さん」、と呼んでいたが、智則たちとの会話を聞いていて、


「おれも、和彦で良いぞ、部隊長殿」


と、名前で呼んで欲しいと、伝えてきたのだった。

哲夫は由美と亜理紗に、


「二人とも、準備を」


と言って、コクピットへ誘った。


伊沢隊・伏見隊が先行出撃し、それを雷電が追いかけた。


「とりあえずの敵は50匹ほど、雷電の作戦プランから導き出した作戦は、これだ!」

「由美、戦術リンクで、ブリッジと各小隊の通信兵を繋いでくれ」


由美の精神波が広がり、凛と、各小隊の通信兵、哲夫が雷電と繋がった。


「作戦プランを実行せよ」


哲夫の合図とともに、伊沢隊・伏見隊が飛び出していった。

その2隊で小型機を殲滅しそうなときに、ブリッジから、緊急通信が入った。


「結城隊長! 基地左翼側より、中型機が2匹ほど接近してます。また、その周りには、小型機が20匹!」


基地と2隊の中間で待機していた哲夫は、


「了解。やはり、別働体が居たか。伊沢隊・伏見隊は、そのまま前方を哨戒せよ。こっちは、私たちでやる」


そう言って、基地の左翼側へ急行していった。


「よし、捕らえました!」


由美が哲夫に敵の予想進路を送った。


「流石だ」


そう言って、雷電を突撃させていった。


「小型用にミサイル発射! 亜理紗、誘導は任せた」

「了解です」

「由美の方は、・・・」

「わかってる、さらに周囲の索敵を展開」


そう言って、二人は思念波を飛ばし続けた。

哲夫は、亜理紗に小型を任せ、中型に向けて行動を開始した。


「空を飛んできてくれているなら好都合、弱点ががら空きだぜ!」


そう言って、回避不能な距離まで一気に近づいた。

中型は、エネルギー砲で迎撃しようとしたが、


「それは、悪手だぞ」


哲夫の忠告通り、エネルギーを貯めていた口と思われる部分に、亜理紗の操るミサイルが、着弾した。

そして、そのまま肉薄した哲夫は、ミサイルが着弾し、エネルギーが体内で暴れている所に、さらにエネルギー砲を叩き込んだ。


「これで、二匹撃墜!」


そのまま、中型を撃破した。


「大隊長! 大変です!」

「万里子か? どうした?」

「敵です! 敵が接近! レーダーに映らない敵が数匹接近。肉眼で見えます。」

「なんだって!?」


哲夫は由美を見たが、


「こっちには映ってませんね」

「ブリッジは?」


凛が応答した。


「こちらの索敵にも、引っかかって。もしかして対象が違う? ステルス型の敵の様です。解析して、レーダーで捕らえられるようにします」

「了解した。万里子の方の損害は?」

「まだ、ありませんが、佐々木君が突撃していきました。ついでに伏見隊長も」


万里子の報告に、


「あの二人なら、仕方がないか」

「そのステルス機を撃破したら、一度こちらに戻り、合流せよ」


哲夫は新たな命令を出して、基地の傍に待機していた。

ステルス機を撃破し、意気揚々と伊沢隊・伏見隊が帰投した。


「これで、ステルス状態でも、発見できるはず。って、そんな、まさか!」


ブリッジから凛の声が響いてきた。


「艦長! 大変です。後方でステルス行動している大型が、長距離射撃を行うようです。既に発射体制に入っている模様」

「何ですって!?」


春花は、避難状況を見ながら、


「杏、すべての乗艦にはどのくらいかかるの?」

「今、最終チェックが完了したわ。これから私たちが乗れば乗艦完了よ」


そう言いながら、杏たちが慌ててやって来た。


「杏たちが乗艦したら発進よ! 艦起動と同時にRGリバースグラビティ衝撃波の展開準備! 岩蔵さん、いけるわね!?」


岩蔵は、出力が上がりきらないエンジンにイライラしながら、


「……ったく、無茶を言いなさんな! まだ粒子の充填率は60%だぞ!」


春花はそんなことを気にせず、


「発進シークエンス、スタート! プロセス01から15まで全カット! 直結バイパス回路を開きなさい!」


岩蔵は、この程度のことで、一々うろたえることなく、


「野郎ども聞け! 各ブロックの安全装置リミッターを叩き落とせ! 粒子炉、強制定格運転開始!」


凛がコンソールのレッド表示を見て、慌てて、


「RG粒子炉、オンライン! 重力歪曲率、上昇中……ですが、出力が安定しません! このままでは浮上前にドックの重圧で艦が潰れます!」


春花は、破棄される基地から全てを絞り取る事にして、


「ドックの外部電力を粒子炉へ逆流フィードバックさせて! 粒子を強制圧縮、重力反発リバウンドを利用して跳ね上がるわよ!」


凛は即座に設定し、


「外部電力接続! RGアキュムレーターにチャージ……定格まで15秒! 艦内、重力変動警報!」


計器と周囲の地形を見ていた魁が、


「CICオンライン! ジャイロ、コンタクト。重力バランサー、最大出力でホールド! カスみたいなGの揺れにビビるなよ!」


さらに、不死鳥の出力が高まっていき、凛が、


「RGフィールド、展開準備完了。磁気マニピュレーター、正常!」


冠の制御が自分の下に来た魁は、


「メインスラスター、コンタクト! 反重力浮揚リフトオフ、いつでもいけます!」


それに呼応すべく、凛は、


「システム・フェニックス、オールオンライン! 不死鳥、発進準備完了!」


全てのシークエンスが完了したことをみた春花が、


「杏、発進するわよ?」


ブリッジに入って来た杏は、


「どうやら、間に合った様ね」


杏がブリッジのオブザーバー席に着いたことを確認すると、


「全気密隔壁閉鎖! 総員、急激なG変化と艦体のキシみに備えよ。さらに、基地を出ると同時に敵大型機に向け、主砲を発射する。リバースグラビティ全開! 随行する明星を基地に当てないでよ! 不死鳥、発進ッ!!」


その巨大な戦艦が、基地から飛び立った。


「艦の損害を把握するのと同時に、主砲を敵大型に向けよ!」


主砲は3連装砲で、エネルギー砲2門、実弾砲2門の計4問が前方向に、後ろ方向には、各1門ずつの合計6問付いていた。

凛がコンソールを使い、大型に照準を合わせていた。


「前方の大型に向け、エネルギー砲および実弾砲のロックオンが完了しました。いつでも行けます」

「発射せよ!」


その時、大型もエネルギー砲を発射した。

不死鳥のエネルギー砲が、大型のエネルギー砲とぶつかり、互角のぶつかり合いをしている時に、実弾砲が、その上を通過して、大型に向かって飛んで行った。

大型は、エネルギー砲を撃つ体制のママ、翅を広げた状態で体を冷却していたがその広げていた弱点部分に、実弾砲が命中した。

その瞬間、周囲に物凄い量の体液をまき散らしながら、大型が爆散した。


「敵、大型の撃破を確認しました!」

「よし!」

「この不死鳥の力なら、超大型の400m級でも、倒せるかもしれないわね」

「艦長! さらに別方向から、敵大型、中型がこの基地に向けて接近してきます」

「これ以上は、厳しいわね」

「一時離脱します」

「どこへ行くのですか?」

「奴らが届かない、上空よ」


そう言って、雷電たちを回収して、上空100キロメートル付近まで、離脱した。

地上では、基地があった付近が集中的に破壊されていた。


岩蔵は、不死鳥に曳航されている明星を見ながら、


「やはり、あの子はええのぅ。リバースグラビティ粒子精製装置も、正常に稼働しているようじゃのぅ」


と、明星をほめていた。

亜理紗を見つけた魁が、


「おい。そこの娘! さっきは明星を動かしていたな! ただ曳航されているだけの軌道ではなかったからな。その援護、悪くなかったぜ。後で、明星の癖を教えてやるよ」


と、亜理紗に向けて一方的に言いながら、去っていった。


「デレたか?」


凛が呆れながら去っていく魁の背中を見ていた。

ブリッジでは、杏が、


「春花。この後、私たちは日本を占拠する400メートル級を排除する予定なのよ。少しは休まないと」


「もちろんわかっているわ。でも、私だって恐いのよ。明星の時の様にても足も出なくなってしまう事が、それによって、小さな子供たちまで犠牲にしてしまう事が」


「大丈夫よ。そうならない様に私たちがいるの。私がその決断の責任を共に背負うわ。そして、攻撃に関しては、結城君がいるでしょ。彼が、彼と雷電が居てくれれば、未来はきっと変わってくれる。私は、そう信じているの。悠が信じたあの子を、私も信じたい」


「杏。悠さんのことは本当にごめんなさい。あの作戦には、私も参加していたの」


「えぇ。もちろん知っているわ。でも、謝らないで欲しいわ。彼はあなたたちをかばったのかもしれない、でも、それは後ろ向きになって欲しいからではなく、前を向いて欲しいから。残された者たちが、未来に向かって走り出せるようにって、かばったの。だから、謝るのではなく。」


「ありがとう。ね。」


そう言って、春花と杏は泣きながら、微笑み合った。

二人だけのブリッジは、静かな時が流れていった。


数日後、しっかりと休んだクルーたちに向け、杏が、


「これより我々は、日本にはびこる400m級の撃破に向かいます。非戦闘員の皆さんには、不便な時間を過ごしてもらう事になりますが、もうしばらくの辛抱をお願いします」


「また、戦闘員の皆さんには、今まで以上の過酷な戦いになると思いますが、皆さんの力を結集して、共に勝利を勝ち取りましょう!」


そう言って、締めくくった。


「目標は、敵、400m級。また、突発的に目標が増える可能性もあるので、柔軟に対応せよ!」

「坊や! 雷電から作戦プランを提示させて!」

「了解です。既に数パターン用意しています。姉さんなら、Bパターンで行くと思いますがね」


そう言って、複数のプランを提示した。

全員で、全てのプランを見ていたが、春花が、


「流石坊やだね。わかっているじゃないか」


そう言って、にやりと笑った。


「坊やの言うように、Bパターンで行く。作戦開始時間は、一時間後! 総員、配置に着きなさい!」


春花の号令に、クルーたちは雷電が示した作戦を実行するために、奔走していった。


「亜理紗、明星からリバースグラビティ粒子を補給できるようになったか?」

「えぇ。もちろんよ」


雷電は、不死鳥に戻らずに、明星からリバースグラビティ粒子を補給することが出来ようになり、経戦能力が飛躍的に上昇したのであった。


「超光学映像出ます」


不死鳥のスクリーンに、ぼんやりと巨大な物体が映し出された。


「本当に400mか? もっとでかく見えるのは、気のせいだよな」


魁のつぶやきを、否定できるクルーは居なかった。


「解析したところ、大型は最大で3匹の様です。それ以上になると、中型や小型を率いて飛び立っていくようです」


それを聞いた哲夫は、


「そうなると不思議だよな。どこから大型や中型、小型は来ているのだろうな?」

「それも、近づいてみれば、わかるでしょう。さぁ、配置につきな!」

「了解」


春花の号令に、哲夫が雷電に乗り込んだ。


「由美、ブリッジと各隊に戦術リンクを。亜理紗は、明星のチェックを」

「はい」


二人の思念波が増幅していると、


「そろそろ作戦時間よ!」


春花の通信が入った。


「了解!」

「智則・和彦行けるな?」


二人の返事を確認し、伊沢隊・伏見隊が飛び出し、さらに雷電が飛び出し、その後ろを明星が付いて行った。

哲夫は雷電のコンソールを見ながら、


「明星、安定しているようだな」

「はい。海野さんに明星の癖を教わったので、さらに動かしやすくなりました」

「そうか、良かったな」


哲夫は、亜理紗が順調そうなので、安心した。

400m級の後ろの方から侵入した哲夫たちは、かなり近くまで接近することに成功していた。


「由美、どうだ?」

「大型1、中型4、小型30です」


由美の報告とともに、敵の予測進路も表示されていた。


「雷電、作戦プランを頼む」


瞬時に複数のプランが提示される。


「今回は、超大型の気を引きつつ、弱点を露出させるのが目的だから、このプランを中心に作戦を立てるか」


そう呟きながら、作戦プランを立てる。


「由美、全員に送信だ!」


作戦プランを受け取った、伊沢隊・伏見隊そして、不死鳥が動き出した。


「小型、予定通りこちらに来ます」



伊沢隊


「よし、予定通り、中型を撃破するぞ」

「どけどけどけ、小さいのを抑えておいてくれ、一気に中型をやってくる」


そう言って、大輔が突っ込んでいった。

その動きに小型たちが陣形を乱し、


「今日も、大量に倒しますよ。父の分まで!」


そう言いながら、愛香が大輔のあけた穴を、押し広げていった。


「あらら、二人とも行っちゃいましたね」

「まったく、誰も俺の指示を聞きゃしない」


と、二人でぼやきながら、撃ち漏らした小型を殲滅していった。



伏見隊


「波多野、後は任せた。俺は一匹でも多く、あの虫野郎を叩きつぶす!」

「ちょっ。またですかぁ」


毎度のやり取りが行われ、


「美恵、あたいも突っ込もうか?」

「そうですね、今回は、利花ねぇも行ってください。ここは、私と奈津子で受け持ちます」

「そうか? それなら、行ってくる」


そう言って、利花は和彦の後を追いながら、迫りくる小型を撃破していった。



雷電


「いい感じに分断できましたね」


由美の索敵で、敵が分かれていくのが見えていた。


「大型は、こちらに気が付いて、真っすぐ来るようだね。超大型も、気が付いてはいるが、旋回速度が遅い、というよりも、でかすぎで遅く見えるって感じだな」


「まずは、大型をやる」

「明星をこの空域に一時固定します」


そう言いながら、明星をこの場で待機させた。


「大型、来ます。エネルギー砲は使わない模様」


飛んでは来ている物の、弱点をさらさない様に、翅を小さく開くようにし、こちらの攻撃を当てにくくしているようだ。また、弱点部分の装甲も、中型に比べて厚いので、ミサイル数発やこちらのエネルギー砲一発では、倒せそうになかった。


「やっかいだな」


哲夫はつぶやきながら、雷電を突撃させた。


「まって、大型の足に、小型が5匹ずつ付いています」


哲夫はハッとし、


「まさか!」


驚くと同時に、小型が一斉に突撃してきた。


ブーン


「一気に31体1か」


「亜理紗、任せるよ」


そう言いながら、ミサイルを大量にばらまいた。

ミサイルは亜理紗に操られ、または、そのまま飛んでいき、かなりの数の小型を撃破していった。

だが、近距離まで接近され、仕方なく近距離で撃破すると、その体液が雷電にかかり、白い煙を上げていた。


「やはり、強力な酸のようだ。雷電の装甲を持ってしても、防ぎきれないとは驚きだな」


そう言いながら、小型を殲滅していると、大型がかなり接近して来ていた。


「この距離なら、当たる」


エネルギー砲を発射するも、硬い外側の翅にはじき返された。

(おいおい。硬すぎるだろう)

そのまま大型が、勢いよく突っ込んできた。


「速度を上げた今なら、弱点が大きく露出しているわ」


その隙を、由美は見逃さなかった。

哲夫は、回避しながらエネルギー砲を発射していた。

亜理紗も、ミサイルをガンガン当ててていた。

一度のすれ違いで、かなりのダメージを与えることに成功した雷電だが、返り血のせいで、雷電もダメージを負っていた。


「超大型が、首だけこちらに向けたわ」


大型との戦いの最中に、400m級の超大型が、こちらをとらえようとしていた。


「あれは、何?」


由美は、超大型の横にある、大きなアリ塚の様なものを見つけて、哲夫に言った。


「あんなものは、見たことが無いな。大きさも小さいのから大きいのまで色々あるようだな」


そして、再度大型が突撃してくるところを、絶妙の間合いで、攻撃を当てていった。


「大型の撃破を確認! 超大型は、まだ、こちらを見ています」


と、言ったときに、アリ塚の様な所から、中型が姿を現した。


「中型が、生まれました!」


由美の報告に、一同が唖然とした。


「あれは、巣、なのか?」


哲夫は状況を確認し、


「伊沢隊・伏見隊の状況は?」

「両隊とも、中型を撃破、現在小型を掃討している所です」


哲夫は雷電にプランを提示させ、


「両隊に通達、小型の掃討後、敵卵と思われるアリ塚を、攻撃・撃破せよ」


と、指示を出した。


「亜理紗、明星を呼び出して、リバースグラビティ粒子を補給するぞ」


亜理紗が明星を呼び寄せると、超大型が反応して、エネルギー砲を貯めだした。


「哲夫、エネルギー砲が来るわ」


雷電に発射角度を計算させると、回避すると日本の大地をえぐり取られる角度になっていた。


「まずいな。だが、絶好の機会でもあるな。由美、不死鳥に連絡しておいてくれ」


そう言いながら、囮となるべく、超大型に接近していった。


「このシールドで、何処までもつか、それだけが心配だ」


そう言いながら、岩蔵が作ってくれた、リバースグラビティシールドを大量に出していた。


「来ます」


超大型が、エネルギー砲を発射した。間に居た先ほど生まれた中型は、エネルギーに押し流され、消滅した。


ドーン

バチバチバチバチ


周囲にエネルギー同士の弾け合いが起こり、雷の様になっていた。


(まだ、続くのか?)


既に、数枚のシールドが焼失し、今もなお、シールドが焼失していっていて、かなり焦っていた。


(このままでは、シールドが無くなる)


哲夫の焦りは、同じコクピット内に居る二人にも伝わっていた。

二人は、何か出来ないかを考えていると、亜理紗の脳裏に、知らない女性の声が響いてきた。


(私を使いなさい)


亜理紗はハッとすると、


「まさか、明星?」


そう言いながら、明星のシールドを最大にして、雷電の前に移動させた。



バチバチバチバチ



長時間エネルギー砲を発射していた超大型は、その弱点を下方向だけでなく、後ろや上方向にも露出していた。



不死鳥


「雷電から連絡が来ました。超大型がエネルギー砲の発射体制に入ったと」

「了解。そろそろ地球へ帰るよ」


そう、不死鳥は大気圏を抜け、宇宙を飛んでいた。超大型からの索敵を逃れるために。


「目標、捕らえているな?」

「もちろんです」

「岩蔵さん、特装砲撃つわよ」

「了解だ。守屋の嬢ちゃんの所から、撃てるはずだ。もちろん、艦長の所からもな」


そう言った。


「攻撃オプションを表示、特装砲発射準備」


艦首が開き、中から特装砲が出現した。


「エネルギー充填、90%でホールド。発射準備完了です」


特装砲内に、圧縮リバースグラビティ粒子が充満した。


「敵は?」

「本艦の真下です」

「魁、任せるわよ。敵に艦首を向けなさい」


つまり、一直線に地上に向かうという事。


「おうよ! 任せな」


魁はそう言いながら、不死鳥を垂直に、下向きにしていった。

ブリッジは艦と同じ方向に重力が発生する様に設計されているので、ブリッジ内のクルーは、全員前方に落ちていく感覚であった。

居住区に関しては、一定方向にのみ重力が働くように設計されているので、このようなアクロバティックな動きをしても、気づかれなかった。


「流石坊やね、完全に弱点が露出しているわ」


そう言いながら、弱点にロックオンして、


「特装砲、発射!」


物凄い勢いで落下していた不死鳥が、その重力に逆らうように、その場に留まるほどのエネルギーが発射された。



言い表せないような音を放ちながら、超大型に向かうエネルギーが見えた雷電は、


「離脱する。全機、離脱せよ。繰り返す、全機離脱せよ。雷電の方向へ全力で離脱せよ。」


そう言って、超大型のエネルギー砲を受け止めきった明星と共に、全力で離脱していった。

伊沢隊・伏見隊たちも、巣を攻撃していたが、慌てて雷電と明星の方へ離脱していった。


超大型は、その行動を見て、不思議に思ったのかその場に留まっていたが、何かに気づき上を見た瞬間、エネルギーの波に飲み込まれて行った。



それが、人類初の400m級を撃破する光であった。


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