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オリーブの木

矢を撃ち終えたオデュッセウスは、用意してあった武器に持ちかえ求婚者たちに襲いかかる。

数名の求婚者たちは逃げ出そうとするが扉には鍵が掛かっていて出られない。

求婚者たちは扉に何度も体当たりを繰り返し、扉を壊して武器を探しまわる。

やっとの思いで武器をみつけ反撃するが、すでに半数以上の仲間を失っていた。

もう求婚者たちに勝ち目はなかった。


こうして騒ぎが終わり、使用人や侍女たちが集められる。

年老いた侍女エウリュクレイア:「ペネロペ様をお呼びしましょうか?」

オデュッセウス:「まて、部屋の掃除が終わってからだ」

侍女たちは、血だらけになった部屋や死体の片付けをさせられた。


そして、オデュッセウスの不在中、テレマコスやペネロペに非礼を働いていた者12人が集められた。

テレマコス:「お前たちのやったことは許されることではない」

12人の使用人や侍女たちは処刑された。


オデュッセウスは部屋を清める為に香を焚いた。

年老いた侍女エウリュクレイアがペネロペを呼びに行く。

エウリュクレイア:「ペネロペ様、ことが終わりましたよ」

ペネロペ:「騒ぎはどうなったの?」

エウリュクレイア:「オデュッセウス様が帰ってこられて、ならず者どもを成敗いたしました。あの物乞い様がオデュッセウス様でした。」

ペネロペは心のどこかで、やはりそうだったのかと思いながら

ペネロペ:「でも、どうやってあれだけの人数を・・・」

エウリュクレイア:「それが、テレマコス様やそのお付きの方も加勢して、神がかりのような強さで倒していきました。死体の山を前に返り血を浴びたオデュッセウス様はまるで獅子のようでした。」

エウリュクレイアは夢中になって、戦いの様子をペネロペに説明しました。


エウリュクレイアに伴われながら、ペネロペが広場にやってくる。


オデュッセウス:「ペネロペ!」

ペネロペに近づくオデュッセウスに、ペネロペは少しおびえた。

返り血を浴びた物乞いの姿が、本当にオデュッセウスだという確信が持てなかったのだ。

ペネロペ:(似ている・・でも似てないとも思える)


テレマコス:「なにをしているのです母上!父上ですよ!」

ペネロペ:「もし本物のオデュッセウス様なら、二人だけで確認したいことがあります」


オデュッセウスは自分の今の姿を見て、

「そうだな、この姿では信じられなくても仕方があるまい、すぐに湯浴みの準備を!」

オデュッセウスは血と汗と泥が洗い流し、体には油を塗り、新しい衣をまとった。


そして、ペネロペの部屋にやって来た。

オデュッセウス:「少し疲れた。横になって休みたい。」

ペネロペ:「それではオデュッセウス様が作られたベッドを運んで隣の部屋で休んで下さい。」


オデュッセウスは不思議そうな顔をした。

これはペネロペが本物のオデュッセウスか試す試験だった。

ペネロペ:(どうか本物のオデュッセウス様であって)


オデュッセウス:「これは、おかしな事を言う、私の作ったベッドは大地に生えたオリーブの木をそのままベッドにしたもの動かせる物ではない」


ペネロペの顔から笑顔がこぼれ、涙を流した。

ペネロペ:「オデュッセウス様!」

ペネロペはオデュッセウスに駆け寄り抱き合った。

ペネロペ:「どうか、私の非礼をお許しください。あまりにも時が経ちすぎて誰かが私を騙しているのではと恐れたのです。」

オデュッセウスは「うんうん」と頷き、頬をペネロペの頭にすりよせた。


その夜、二人は今までの時間を埋めるように愛しあった。

女神アテナは、この日の夜を少しだけ長くしてあげた。


オデュッセウスは今日までの冒険の日々を、ペネロペは求婚者たちの事を朝まで話した。


翌朝、オデュッセウスはペネロペに伝えた。

オデュッセウス:「まだ、やらなければならない事がある。私は父上の所に行く、お前は屋敷に残り片付けをしてくれ、そして侍女たちと2階の部屋にこもるんだ。」


オデュッセウスはテレマコスとメントルと共に青銅の鎧を身に付け、父ラエルテスの農園に向かった。


この事件の噂はたちまちに広がり、殺された求婚者の親族たちが、オデュッセウス邸へ押し寄せてくる。

親族たちのリーダーはアンティノオスの父エウペイテスであった。


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