12本の斧と弓矢
その晩、オデュッセウスは寝付けなかった。
オデュッセウス:「いよいよ明日か・・・」
屋敷内では、いまだ求婚者たちの騒ぎ声と、女たちの嬌声が聞こえている。
ペネロペもなかなか眠ることができず、神に祈りを捧げていた。
ペネロペ:「弱き者の守護者アルテミス様、どうかお守り下さい。」
女神アテナ:「やれやれ、私ではなくアルテミスか・・・まあよい。」
アテナは二人に熟睡を与え、翌日に備えさせた。
翌朝、物乞い姿のオデュッセウスも含め、全員が広間に集まっていた。
求婚者:「なんで、こんな小汚ないヤツがいるんだ」
求婚者の一人が、物乞いのオデュッセウスを見て言った。
テレマコスは、構わずオデュッセウスを席に座らせる。
アンティノオス:「おいおい、そいつと一緒に食事をするのか?」
テレマコス:「ここは私の屋敷です。私が決めます。」
アンティノオス:「ハハハハ・・・ぼくちゃんも言うようになったな」
エウリュマコス:「今日は、全員が集まったんだ、きっと何かあるのでしょう」
しばらくして、ペネロペがやってくる。
侍女たちがテーブルの上に12本の両刃の斧を並べ始めた。
その斧は交互にテーブルの上に刺して並べられ、ちょうど斧とテーブルの空間が一直線になったところに的が置かれた。
ペネロペは、オデュッセウスが愛用していた弓矢を取り出して言った。
ペネロペ:「これは我が夫オデュッセウスが愛用していた弓です。この弓に弦を張り、12本の斧の隙間を通って、あの的を射た者と私は結婚します。」
ペネロペは、弓矢を求婚者たちのテーブルに置いた。
ペネロペ:「私を妻にと望む方は、どなたでもこの競技に挑戦して下さい」
豚飼いのエウマイオス:「ついに、ペネロペ様は決断なさったんだ」
エウマイオスは悲しくなって涙を流した。
アンティノオス:「おいおい、あんた泣くんなら外で泣いてくれ」
エウマイオスが外でオイオイ泣いていると、メントルがやって来た。
エウマイオス:「あなたはぼっちゃんと一緒にいた」
メントル:「メントルです。少しあなたのお力が借りたいのですが・・・」
エウマイオス:「どういった事でしょう?」
メントル:「今からひと騒動おこります、危ないので侍女たちの部屋に鍵をかけてください」
エウマイオス:「はぁ?」
メントル:「テレマコス殿が何か考えがあるみたいですよ」
エウマイオス:「ぼっちゃんのお力になれるのであれば」
エウマイオスは侍女たちの部屋に鍵を掛け、外に出ないように注意を促した。
メントルは中庭の門に鍵を掛けた。
広間では、テレマコスは試しに弓に弦を張ろうと3度試みたが出来なかった。
求婚者たちからの笑い声が聞こえる。
テレマコスは汗だくになりながら4度目の挑戦で弦を張ってみせた。
テレマコス:「ふー、こ、こんな風に弦を張ってください。はぁはぁ」
求婚者A:「おいおいあいつ汗だくだよ」
求婚者B:「そんなにあの弓は固いのか?」
次に、テレマコスは渾身の力で弦をはずし「どうぞ」とテーブルの上に弓を戻した
アンティノオス:「さてと、じゃあ全員で順番に試していくか」
こうして求婚者は弓を試していった。




