第61話
冒険者ギルドを出てから三十分ほど。マーガレットたちは大聖堂近くの路地裏にある魔道具店がある大聖堂の近くの路地裏へと来ていた。
「確か、このあたりでしたね……」
路地裏の入り組んだ場所にあるため多少迷子になりながらもマーガレットたちは魔道具店がある場所の近くまで来てあちらこちらを見ながら店を探していた。
「あっありましたよ」
そうした中でアイが魔道具店の看板を発見し、そちらの方を指さしてマーガレットに伝える。
「ありがとう。では、さっそく行ってみましょうか」
そう言ってマーガレットは魔道具店の方へ向かい、そのまま店の中へと入って行く。
「こんにちわーギルドの依頼を受けてきたんですけれど……」
「いらっしゃい。あなたたちが受けてくれたのね」
マーガレットが店の中に入って行くと、店主はどこか安心したような表情を浮かべながら奥の方から出てきた。
「はい。それで、今回の件について詳しく聞きたいのですが」
「えぇもちろん話をさせてもらうわ」
そこから店主は今回の件について詳しく話をしていく。きっかけは一週間ほど前。時期的にはマーガレットたちが聖書を発見して冒険者ギルドに出入りするようになった時期ぐらいの出来事だ。突然、常連とは違う……さらに言えば少し挙動不審な男性が大量の魔導書や古文書をもってやってきたのだという。店に入るなり男性はそれらすべてを買い取ってほしいと言い出したそうだが、店主は怪しいと感じたのでそれに関しては断ったのだという。その場ではそれでよかったのだが、その後店に出入りする常連の客から大聖堂の近くの闇市でこっそりと魔導書などが売買されているという情報を耳にし、冒険者ギルドに調査を依頼したのだとか……このあたりまでは冒険者ギルドで聞いた話と大体一致する。問題はその先だった。なんでも常連の客が言うには『闇市を開いているのは大聖堂の関係者なのではないか』と言っているのだそうだ。
もともと、大聖堂の近くでは闇市が定期的に開かれており、本来なら大聖堂の関係者でないと手に入らないであろう物品がたびたび売買されていたそうだ。最も、これに関しては何かしらの形で大聖堂に関わっている人間が私腹を肥やすために自らに支給された物品をこっそりと売っているだけだと思っていたのでそこまで気にしてなかったそうなのだが、今回に関しては魔導書や古文書などどう考えても貴重な物品が売られていたので店主に心当たりはないのかと言いに来たそうだ。
「なるほど……出どころ不明の魔導書や古文書ですか……」
などと言いながらもマーガレットの頭の中には大聖堂の隠し部屋にあった魔導書や古文書のことが頭の中にある。現状、あの部屋に入ることが出来るのはマーガレットとアイを除けばアルベルトぐらいだ。そうなると、アルベルトが自らの私腹を肥やすためにあの部屋にあった数々の本を闇市で売りさばこうとしていると考えるのが自然だろう。
「……闇市について衛兵などには相談したんですか?」
「相談は多くの人がしているさ。でもね、なんというか衛兵も自警団も闇市を黙認しているっていうのがこの町の現状だね」
どうやら闇市については国は黙認という姿勢をとっているらしい。しかし、大聖堂に会った貴重な本が勝手に売買されているとなればさすがに話は変わって来るだろう。そういった意味では本の出所が大聖堂であると特定し、なおかつその主犯がアルベルトだと証明する必要が出てくるだろう。
「……情報ありがとうございます。それでは失礼します」
「えぇこの件がちゃんと解決することを願っているよ」
「はい。ぜひとも協力させていただきます。私としても貴重な魔導書などが適切に扱われないことに関しては気になりますので」
そう言ったあと、マーガレットと店主はしっかりと握手をする。
それから、マーガレットは闇市が開かれているという場所を聞いてそちらの方へと向かって歩き出す。
「問題は私たちとアルベルトしか見ていない文献をどうやって大聖堂から持ち出したモノだと証明するかですね」
「もう少し言えば私たちに冤罪がかからないように注意しないといけないわね」
マーガレットの不安に対してアイは少し首をかしげて返答をする。
「そのあたりは大丈夫じゃないですか? 私たちは発見したあとは大聖堂に出入りしてしないわけですし」
「わからないわよ。勝手に大聖堂の文献を持ち出しているぐらいだし、保身のためにそれぐらいしてもおかしくないとは思うわよ」
「うーん。そういうものですかね」
「残念ながらそういうものよ」
そういった会話を交わすころには二人は路地を抜けて大通りへと出ていた。
店主から教えてもらった情報によれば闇市は大聖堂を挟んで向かい側ぐらいのとある場所で行われているのだという。闇市というぐらいなので治安も悪いらしく、そのあたりに関しても注意は必要だろう。
マーガレットはそういったことを考えながら闇市が開かれているという場所に向かっていった。




