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13 探索→昆虫

 なにはともあれ、試してみないことには何とも言えない。とりあえず、スカイを背負ったままダンジョン内を歩いていく。


「ところでここにはどんなモンスターがいるんだ?」

「えーと、確か……昆虫タイプのモンスターが中心かな」


 ジャイアントモスキートとかアシッドワームとか色々名前を挙げてくれた。名前からなんとなく想像はつく。そこでふと思った。


「スカイは虫とか苦手じゃなかったか?」


 確か自分の部屋に虫が入ってきた時とか、よく俺に助けを求めてきてた。もしそうなら、今回付き合わせたのは悪いことしたかな?


「ううん、ここなら大丈夫!」


 本人いわく、ここのモンスターは本物の虫ほどキモいデザインじゃないし、動物並に大きいから虫って感じがしないので逆に平気らしい。


 そんな話をしながら角を曲がった。すると前方二十メートルほど先に、毒々しい赤色の大きなナマコのような物が数体転がっているのが見えた。


「あれは?」

「あれはアシッドワームだよ。でっかい芋虫で、口から溶解液を水鉄砲みたいに飛ばしてくるの」


 距離が遠いからか、俺達に気付いている様子はない。だが今のところ一本道だし、避けては通れない。どうしても倒して通る必要がありそうだ。


「準備はいいか、スカイ?」

「いいか悪いかで言うなら、おんぶをやめて欲しいんだけど……」

「よし、バッチリだな」

「ヨミくん話聞いて?」


 スカイの言うことは軽く受け流しつつ、正面を向いて体勢を低くする。走り出す時の構えだ。


「ああもう、しょーがないなぁ……!」


 深いため息が頭の上から聞こえてくる。それでも止めとこうと言い出さないのがスカイの優しさだろう。


「じゃあ攻撃頼むぞ!」

「任せて!」


 その言葉を合図に走り出した。すぐにアシッドワームとの距離が詰まる。全部で四体いるようだ。


 近くで見るとはっきりわかる。アシッドワームは体長がだいたい一メートルくらいで、体の先端に丸い口がある。そして目が見当たらない。ずんぐりむっくりした体型と合わさって、本当に陸に上がったでっかいナマコのように見えるモンスターだ。


 接近したことでこちらに気付いたらしい。体の半分というか口を持ち上げて、こちらへ向けてくる。スカイの言うとおりならおそらく……!


「っとぉ!」

「あっ!?」


 足を切り返して横にズレた。横目で見ると、今いた場所を水っぽい物が飛んでいった。溶解液を飛ばしたんだろう。


「悪い、大丈夫か?」

「大丈夫、ちょっと外しただけだから」


 回避できたのはいいが、問題もあった。タイミング悪くスカイが矢を放つ瞬間だったらしい。俺が急に動いたことで狙いが外れたようだ。


「ヨミくん、もう一度!」

「おし!」


 アシッドワームはうねうねと動いてこっちに近づこうとしているが、本物の芋虫同様動きは遅い。だが口の動きは速く、次々と溶解液を飛ばしてくる。一体でもなかなかの早撃ちなのに複数体いるから厄介だ。


 ……だが!


「あはははは! 遅い遅い! そんなスピードで当たるかよ!」

「なんかテンション上がり過ぎてない!?」


 避けながら走り回ってるうちに楽しくなってきた。スカイの慌てる声が聞こえるが、あんまり気にならない。そのうちどんどん走りたくなってきた。


「ちょっ、狙いが、定まらな、ああもう……! 【ワイドショット】!」


 そんな声が聞こえた。俺の頭上から放たれた矢は飛ぶ途中に白く光り、分身のように増えた。アシッドワームに斜め上から降り注ぎ、次々刺さっていく。


 防御力は大したことないらしく、数本矢が刺さるとアシッドワームは一体、また一体と倒されていった。


 俺はその合間も溶解液を躱して動き回っていたが、攻撃が減るにつれてスピードを徐々に落とした。程なく、アシッドワームは全て光の粒子となって消えていく。


「ふぅ、全部倒したか。先に進もう、スカイ……スカイ?」

「…………」

「うわぁ……笑顔怖ぁ……」


 背負ったまま振り返ると、そこには笑顔の夜叉がいた。背後に燃え盛る炎を幻視する程の気迫だった。


「ヨミくん」

「はい……」

「そこに正座」

「え、でも、ここ地面硬いんだが……」


 笑顔を崩さず真下を指差してくる。よくよく見ると目は笑ってない。


「正座」

「はい……」


 地面の硬さが足に伝わってくる。感覚再現度の高さを恨みながら渋々正座した。



★★★



「まったく、ヨミくんはもー……」

「わかったから、そんな怒らないでくれよ……」


 あれから三十分ほど説教された。スカイも足場が不安定なのはわかっていたので、多少狙いがずれるのは許容できた。だが、流石に俺がテンション上がって暴走したのは許せなかったらしい。


「全然狙い定まらないし、目が回りそうだったんだからね!」

「わかったって。次からはちゃんと加速する前に言うから」

「さては全然反省してないでしょ!」


 火に油を注いでしまったらしい。だが、まだ大丈夫。長年の経験からこのくらいの怒りならまだまだセーフだとわかっている。


「とりあえず、今はダンジョン攻略を優先しよう、な?」

「うーん……それもそうだけど……しょーがないね」


 なんとか怒りを鎮めることに成功したようだ。


「お説教の続きはログアウトしてからね」


 全然成功していなかった。仕方ない、この件はあとで言いくるめるとして、今は攻略に集中せねば。


「で、あとどのくらいかかるんだ?」


 そんなに長距離移動した気はしないが、ゴールはわかっておいた方がいいしな。


「多分、あと次の次くらいがボス部屋だったかな?」


 意外と短いらしい。これなら早めに終わりそうだ。……いや待てよ?


「ここのボスってどんなモンスターなんだ?」

「えっ!?」


 歩きながらふと疑問に思ったことを聞いたのだが、スカイはわかりやすく驚いた顔をしていた。なんかおかしなこと聞いたかな?


「いや、おかしなも何も……だってそれを倒しに来たんでしょ?」

「えっ?」

「えっ?」

「「…………」」


 見つめ合ってしばしの沈黙。何か話が噛み合ってない気が……。首を傾げていると、スカイが遠慮がちに話し始めた。


「ヨミくん……スパイラルスパイダーは、このダンジョンのボスモンスターだよ」

「なん……だと……?」


 てっきりダンジョンによくいるモンスターだと思っていたが、まさかボスだったとは……。


「つまり最初から、一人で倒すのは難しかったってことか……」

「ヨミくん……」


 なんだか呆れたような目で見られた。

仕事に忙殺されており、執筆がなかなか進みません。

ご容赦下さい。

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