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11 スカイ→連携

「さて……」


 王都の南門、そのすぐそばで俺は待っていた。天ちゃんとの約束の時間まであと五分程ある。ちなみに俺は待ち合わせの時は、常に二十分以上前に来ると決めている。


 天ちゃんのアバターに会うのは今回が初めてだから、わかるどうか心配だ。一応プレイヤーネームは聞いていたから、大丈夫なはずだが……。


 だが大丈夫と言う考えはすぐさま吹き飛んでしまった。どこから来るかわからないのであちこち見回しているが、正直人が多すぎる。判別するのは難しいだろう。これは会えるまで時間かかるかな……。


「あのー……」

「ん?」


 そう感じた矢先に後ろから声が聞こえた。振り向くと後ろにいたのは一人の女性だった。腰まで届く長い銀髪に整った顔立ち。緑色のジャケットに白いズボン、茶色のブーツを身につけ、背中に弓と矢筒を背負っている。


 女性は内緒話と言わんばかりに、口元に手を添えて顔を近付けてくる。つられて俺も顔を寄せる。


「(もしかして夜くん?)」

「(その呼び方するのは天ちゃんか?)」


 顔を離すとニコリと笑ってこちらを見つめる。現実の体よりもやや背が高いな。そして何より気になるのは……。


「すぐ会えてよかった! えっと名前は……ヨミジなら、ヨミくんだね!」

「そっちは【スカイ】か。……なんか現実より胸削ってないか?」

「そ、そこは突っ込まなくていいの!」


 バシバシ背中を叩かれて地味に痛い。HPも削れるんじゃなかろうか。


「仕方ないじゃん……む、胸のせいで弓が引けなくなるんだもん……」

「確かに元々の体型だと、大きすぎて動きづらそうだしな」

「デリカシー!」

「痛ぁ!?」


 ストレートに言い過ぎて、勢いよくどつかれた。頭をさすりながら見ると、ほんのり顔が赤くなってるように見えた。今ゲームの中だよな? そこまで感情読み取って再現してるのか? 最新の技術って凄いな。


「まったく……で、ヨミくんは飛脚って聞いてたけど……なんか郵便屋さんみたいに見えるね?」

「それは俺も思う。さっき弓とか言ってたけど、そっちは弓使いか?」

「今は射手だよ。少し前に転職したの」

「え、転職とかできるのか?」

「できるよー。私は一次職で弓士を選んだんだけど、ランクアップして射手になったの」

「へぇ……」


 てっきり最初に選んだ職業でずっと続けるものと思っていたが、転職とかあるのか。


「じゃあ俺も転職とかあるのかな?」

「二次職が無い職業は無いと思うよ……多分」

「そこは断言しないんだな」


 そう突っ込むと、スカイは口を尖らせて言い返す。


「仕方ないでしょ。今まで飛脚なんて職業聞いたことなかったんだから」

「ふむ……やっぱり珍しいのかな、これ?」

「攻略サイトには載ってなかったよ。もし誰か知ってるなら書き込んでると思うし……ヨミくんが初めてかもね」


 自分で情報書き込んでみたら、なんて言われたが興味無かった。他にこの職業の奴がいるなら速くなるコツを聞こうと思ったが、いないなら特に読まなくてもいい気がする。とりあえず今はいいや。


「じゃあそろそろ行こっか?」

「おう、今日はスカイ一人なのか?」

「うん、パーティの子は時間が合わないみたいで……ログインしてないみたい」

「ふぅん。まぁ俺としてはスカイと二人でよかったけどな……ん?」


 歩きながら呟いた一言。それを聞いたスカイは急に挙動不審になった。視線があちこち動いて定まってないし、手も忙しなく動いている。


「そ、それは、つまり、私と二人っきりが……」

「大勢だと移動時間かかるし」

「……!!」

「ちょ、やめ、痛い痛い、なぜ無言でバシバシ叩く!?」


 不機嫌になったスカイにひたすら叩かれながら、南門へと歩いていった。



★★★



「さて、フィールドに出た訳だし、ヨミくん?」

「ん? どうした?」


 徐々に機嫌の直ってきたスカイと共に王都南門を抜け草原に出る。行こうとしたところで、隣のスカイが話しかけてきたので、足が止まった。


「ヨミくんはパーティ組むの初めてでしょ?」

「まぁそうだな」


 ゲーム初めてまだ二日だし、そんなもんじゃなかろうか。


「今からダンジョンに行くけど、その前に役割を確認しておこうよ」

「役割……俺は走りたい」

「そういう希望じゃなくて! ……戦闘の時にそれぞれ何をするかってことだよ」


 そういう意味か。だが俺は現状速く走る為のスキルと、スカイに言われて取った蹴り技スキルしかない。


「うーん……そうなるよね。じゃあやっぱりヨミくんが前衛で動いて、私が後衛で狙い撃つ感じかな」


 なんとなくわかった。俺がモンスターを引き付けて、その隙にスカイが矢でとどめを刺すってことだろう。


「ダンジョンに向かう前に少し練習しとかない?」

「そうだな、練習しといた方がいいかもな」

「バウ!」

「「え?」」


 とか話してるそばから、鳴き声が聞こえてきた。意図せずしてスカイとリアクションが被ってしまったが、それはいいとして。


 前方にいたのはマッドドッグの群れだった。俺がゲーム始めて最初に遭遇したモンスター。あの時と数も同じ五体、唸り声を上げて睨んでいる。


「スカイ、どうする?」

「とりあえずヨミくんは好きに動いていいよ!」


 ちらりと見ると、既にスカイは弓を構えて臨戦態勢だった。それを確認して走り出す。あの時は必死に避けるしかできなかったが、今は違う。


「【アクセル】……からの【フライングキック】!」

「ギャウッ!?」


 スキルを使った高速接近、そしてそこからの飛び蹴り。タイミングを上手く合わせれば、噛まれることなく吹き飛ばすこともできるようになった。


 まずは一匹。続けて遠巻きに居た二匹が同時にかかってくる。回避の為に身構えたが、二匹の眉間にほぼ同時に矢が刺さった。フラフラと勢いが無くなったが、HPはゼロになっていない。


「【ターニングキック】!」


 即断即決。迷わず回し蹴りを選んだ。上手いことクリーンヒットし、二匹とも吹き飛ぶ。残るは二匹か……。


「【トリプルショット】!」

「ん?」


 ……と思ったが杞憂だった。振り向いた時には既に、残りのマッドドッグは何本もの矢によって串刺しに倒れるところだった。


 一応周りを見るが他にモンスターはいないようだ。スカイも弓を下ろし、担ぎ直すところだった。


「なかなかやるな、スカイ」

「まぁ、私が先にプレイし始めたんだし、少しはいいところ見せないとね」


 会話しながら自然とまた歩き出す。いつも登下校してる時と変わらない雰囲気だ。


「レベルは? 今いくつなんだ?」

「昨日26になったよ?」

「マジか……! 結構差がついてるし、俺は戦闘向いてないし……やっぱり足手まといかもなぁ」


 多少は覚悟してたけど、改めて数値を知ると実感させられるな。


「まぁまぁ、そんなこと無いって。私は後衛職だから、前衛がいないと厳しいのは変わりないんだよ」


 だから充分助かる、とスカイは言う。だからと言って頼りっぱなしではついてきた意味が無い。なんとか役に立ちたいところだ。

すみません。色々あり、更新が不安定です。

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