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前世の夫の娘に転生した少女の様  作者: 雨傘 はる


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2/4

過去のこと


レミア・ルノー侯爵令嬢は、王太子クレマンの妃であった。

幼い頃から努力し続け、功績を上げ、優秀な次期王妃として期待されていた。


しかしある時、不義が告発される。


真面目で優れた王太子妃の姦通。王宮は揺れに揺れた。

レミアは否定したが、相手とされた騎士は、なぜか不義を認めたという。

数度の面識だけの、言葉を交わしたこともない騎士だった。


次々と不義の証拠が集まり、証人が名乗りを上げ、生家すらもレミアを見捨てた。

怒りに狂った王太子は、即刻レミアの首を刎ねた。


審議の場を設けることなく、断頭台ですらない大広間での出来事だった。殺人事件と大差ない。

ちょうど国王陛下や主だった重鎮が出払った、たった数週間のことだった。


シャロンには、その理由がはっきりわかる。


王太子とレミアとの仲は、元々義務的なものだった。初夜すら済ませていない。

理由は、王太子が長くレミアの妹、ミリアーナを想っていたからだ。


身体の弱いミリアーナは、王家に嫁ぐ資格はない。

しかし、二人は憚ることなく寄り添い、想い合っていた。

レミアは最初から、国と婚姻するつもりで嫁いだ。


けれど、ミリアーナが身ごもったのだ。────シャロンを。

一夫一婦制で、側妃などは許されていない。けれど、愛する人を公妾にはしたくない。


王太子や、ミリアーナを溺愛していた生家に、レミアは嵌められたのだ。

最期の最期まで強気ではあったが、レミアは間違いなく敗者だった。


陛下の不在を狙った断罪劇だが、現状を見れば不義が虚言だったと明かされたのだろう。

ふう、と、シャロンは幼子らしくないため息をついた。


両親の名前は、クレマン王子とミリアーナ・ルノー侯爵令嬢と教えられた。

つまり、クレマンは王太子ではなくなり、ミリアーナとの婚姻も許されなかったということだ。


離宮に閉じ込められているのは、クレマンとシャロンの二人。

ミリアーナは心を病み、産後しばらくして亡くなったという。


記憶の中では、断罪の場にはミリアーナもいた。

真っ青な顔色で、何度か処刑を止めようとする仕草が見られたように思う。


元々、ふわふわとお花畑のお姫様のような子だった。

まさか殺すとまでは思っていなかっただろうし、姉の首が落とされる瞬間を見ては心を保っていられなかったのだろう。


過去と現在の記憶が入り交じり、人格がどちらにも引っ張られて、シャロンは少々疲弊した。

状況を整理するために、侍女にあれこれと質問したが、これ以上は教えてもらえなさそうだ。


────とりあえず。また処刑されるのは嫌だな……。


事実、シャロンは幽閉されたクレマンと、浮気相手の間の子供である。

王族として数えられているかどうかも怪しい。認知されていないかもしれないし。


シャロンはシャロンで、レミアではない人間なのだから、身の振り方を考えなければいけない。

何せ、罪人(?)の子なので。下手をして、また処刑だ何だとなっては敵わない。


重たい頭をふるふると振って、生まれた瞬間から閉じ込められた少女は、小さな拳を握った。


生きたい。

今度は、できれば老いて死にたい。

前の生では敗者だったが、今世は負けてたまるか。




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