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神々は無職を選んだ  作者: 夜凪 灯
第一章 七柱と無職
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48/71

神託ログ48『神様と、無職のままで』

朝。


目を開けるより先に、右手を握った。


動く。


左手。


動く。


身体を起こす。


頭痛はない。


吐き気もない。


記憶も――たぶん、ある。


「俺は?」


声に出す。


レン。


職業、なし。


性質、ブレイカー。


魔力、三。


「……よし」


最後だけ、いらなかった気がする。


昨夜。


夢を見た。


『最初の名前を思い出せ』


目を覚ましたあとには、見たことのない表示。


【初期名称:照合不能】


そして、西から聞こえた声。


『明日、境界で待っている』


『――それが、本当に、お前の名前なら』


今日。


その“明日”になった。


怖い。


普通に。


かなり。


それでも。


一人ではない。


「おはようございます、レンさん」


フィリアの声。


「おはよう」


【戦神ガルド】


『寝坊しなかったな!』


「俺を何歳だと思ってんだ」


【魔法神セレナ】


『精神年齢?』


「実年齢!」


【商神メルク】


『どちらも大差ないでしょう』


「朝から敵多くない?」


【知識神ノア】


『訂正。現在、敵対判定されている神はいません』


「そういう意味じゃない」


いつも通り。


それが。


今日は少しだけありがたかった。


◇ ◇ ◇


食堂。


リナはもういた。


そして。


俺の分のパンを持っていた。


「……何?」


「いや」


「食べないの?」


「昨日は二個食ってたのに」


「根に持ってる?」


「ちょっと」


パンを受け取る。


「ありがと」


「うん」


それだけ。


昨日。


約束した。


変だったら止める。


危なかったら戻る。


たったそれだけの約束。


でも。


今日の俺には、十分だった。


◇ ◇ ◇


出発前。


大神殿の入口に、アリアが立っていた。


「レン」


「はい」


「これを」


紙。


地図。


昨日のものより細かい。


境界周辺。


水場。


退避できそうな場所。


帰路。


「昨日の夜に?」


「はい」


「寝た?」


「二時間ほど」


「寝て」


「帰ってきたら」


「今寝て」


「嫌です」


強い。


「それと」


アリアが俺を見る。


「昨日の百八名についてですが、変化はありません」


性質観測個体。


百九。


現在応答数。


百八。


一人。


観測から消えた。


「分かった」


「追跡は?」


「しない」


俺は答える。


「でも、調べる方法は探す」


「はい」


勝手に覗かない。


だからといって。


何もしないわけでもない。


難しい。


でも。


たぶん。


そういう面倒なところに。


俺が選びたいものがある。


「行ってきます」


アリアが頷く。


「行ってらっしゃい」


少し間を置いて。


「必ず、帰ってきてください」


「はい」


◇ ◇ ◇


西へ。


昨日と同じ道。


違うのは。


荷物が重い。


「リナ」


「何?」


「これ全部必要?」


「レンが入れた」


「誰だよこんなに入れた奴」


「レン」


知ってる。


水。


食料。


薬。


ロープ。


火起こし。


毛布。


予備の布。


そして。


母なる根から受け取った、小さな白い種。


袋の奥。


まだ。


何も起こらない。


「……お前、何なんだろうな」


種に聞く。


返事はない。


当然。


――ピコン。


【知識神ノア】


『現時点で詳細不明です』


「種に聞いた」


『失礼しました』


真面目。


すぎる。


「ノア」


『はい』


「境界」


『はい』


「越えたら、本当に聞こえなくなる?」


短い沈黙。


『可能性は高いです』


「戻ったら?」


『復旧する保証はありません』


「そっか」


歩く。


昨日。


境界の前で。


俺は切らなかった。


何を壊すか。


分からなかったから。


今日も。


それは変わらない。


だから。


今日も。


分からないままなら。


切らない。


それでいい。


◇ ◇ ◇


昼前。


森の空気が変わった。


鳥。


少ない。


風。


ある。


葉も揺れている。


なのに。


妙に静か。


「近い」


リナが言う。


「分かる?」


「昨日と同じ」


俺にも。


分かった。


神様の声。


少し。


遠くなった気がする。


接続は。


まだある。


「エリオス」


『いる』


「ガルド」


『おう』


「セレナ」


『いるわよ』


「メルク」


『います』


「ヴォルグ」


『……いる』


「ノア」


『はい』


「フィリア」


『ここにいます』


七柱。


いる。


「点呼?」


リナ。


「大事」


「遠足みたい」


「神様七人連れてく遠足って何」


その時。


足。


止まる。


あった。


黒い線。


道を。


横切っている。


昨日と。


同じ。


細い。


ただ。


そこにあるだけ。


壁でもない。


光ってもいない。


なのに。


向こう側だけ。


世界が。


少し。


遠い。


「…………」


昨日。


いた。


影のない存在。


今日は。


いない。


「待ってるんじゃなかったの?」


リナ。


「俺に聞かれても」


五分。


待つ。


何も。


起きない。


十分。


「……帰る?」


「早い」


「いや、待ってるって言ったの向こうだし」


「確かに」


その時。


「遅い」


声。


前。


俺とリナ。


同時に構える。


いた。


いつから?


境界の。


向こう。


人。


男。


たぶん。


年齢。


分からない。


若くも。


見える。


疲れても。


見える。


灰色の髪。


黒い服。


武器。


見えない。


そして。


やっぱり。


影がない。


太陽。


出てる。


俺とリナには。


影。


ある。


そいつには。


ない。


「昨日の」


俺が言う。


男。


俺を見る。


「来たか」


「呼んだのそっちだろ」


「来るとは思わなかった」


「じゃあ呼ぶなよ」


リナが小さく笑った。


男の目が。


リナへ。


動く。


「職業を外した女」


リナの顔。


変わる。


剣。


手。


かかる。


「違う」


俺。


言う。


男。


見る。


「リナは、外されたんじゃない」


「…………」


「自分で」


少し考える。


「まだ決めてる途中」


男。


初めて。


少し。


笑った。


「そうか」


「何がおかしい」


「いや」


男。


俺へ。


戻る。


「思ったより」


「似ていない」


「誰に?」


答えない。


「名前」


男。


言う。


「聞かせろ」


昨夜。


夢。


同じ。


質問。


『名前は?』


「レン」


「それだけか」


「今は」


男の目。


細くなる。


「今は?」


「アルヴェインって名前もあった」


リナが俺を見る。


「でも」


続ける。


「今の俺は」


「レン」


風。


吹く。


黒い境界。


揺れない。


「ブレイカーは?」


男。


聞く。


「力の名前」


「職業は?」


「ない」


「神は?」


七柱。


声。


聞こえる。


俺は答える。


「いる」


男。


一瞬。


眉。


動く。


「捨てなかったのか」


「何を?」


「神を」


「捨てる必要ある?」


「ある」


初めて。


即答。


空気。


変わる。


リナの手。


剣。


握る。


俺は。


まだ。


抜かない。


「理由は?」


「神がいる限り、人は自由にはならない」


男。


静か。


怒ってない。


叫ばない。


だから。


余計に。


重い。


「職業」


「名前」


「祝福」


「神託」


「役割」


「善悪」


「正解」


「全部」


一歩。


こちら。


近づく。


境界は。


越えない。


「上から与えられたものだ」


俺。


七柱。


思う。


ガルド。


走らせた。


セレナ。


魔法。


メルク。


銅貨。


ヴォルグ。


木剣。


フィリア。


助ける。


ノア。


知らない。


エリオス。


責任。


たしかに。


たくさん。


教えられた。


でも。


「だから?」


男。


目。


少し。


開く。


「与えられたもの全部捨てたら」


俺。


言う。


「自由なの?」


沈黙。


「俺」


「神様から色々もらったよ」


「知識も」


「考え方も」


「助けも」


「たぶん」


「面倒も」


――ピコン。


【商神メルク】


『最後は余計です』


今。


入ってくるな。


「でも」


男を見る。


「使うかどうかは」


「俺が決める」


男の表情。


消える。


「それを」


「自由って言ってる」


長い。


沈黙。


男。


笑った。


今度は。


さっきと。


違う。


少し。


寂しそうに。


「同じことを言った奴がいた」


心臓。


鳴る。


「誰」


「知らないのか」


「知らない」


「なら」


男。


一歩。


後ろ。


「まだ早い」


「またそれ?」


「昨日も言われた」


「来るな」


「戻れ」


「死ぬぞ」


「言ったのは」


「お前?」


「違う」


即答。


俺とリナ。


固まる。


「……違う?」


「ああ」


「じゃあ」


「昨日」


「俺に話しかけてたの」


「誰?」


男。


口。


閉じる。


「答えろ」


「知らない」


今度は。


こいつが。


言った。


分からない。


じゃない。


知らない。


「お前でもない?」


「あれは」


男。


初めて。


境界の。


西。


見る。


「俺たちの声ではない」


俺たち。


聞き逃さない。


「仲間いるんだな」


男。


こっち。


見る。


「いる」


「何人?」


「教えない」


「名前は?」


「教えない」


「目的は?」


「教えない」


「ケチ」


「お前に言われたくない」


「俺そんなケチ?」


リナ。


横。


「たまに」


「今?」


男。


また。


少し笑う。


敵。


なのか。


まだ。


分からない。


でも。


少なくとも。


こいつ。


俺たちを。


歓迎。


してない。


「一つ」


男。


言う。


「答えてやる」


「何?」


「お前が」


「一番知りたいことだ」


嫌。


な。


予感。


「お前は」


「なぜ」


「神に拾われた?」


第一話。


あの日。


死んだ。


気づいたら。


神様。


いた。


異世界。


来た。


無職。


だった。


それから。


ずっと。


目の前。


こと。


多すぎて。


ちゃんと。


考えなかった。


「偶然じゃないの?」


男。


首。


横。


振る。


「違う」


七柱。


沈黙。


「エリオス」


呼ぶ。


返事。


少し。


遅い。


『……私たちにも』


『分からない』


男。


聞こえて。


いる?


境界。


向こう。


なのに。


「そうだ」


男。


言う。


「神々は知らない」


「お前を育てている」


「その神々は」


「お前がなぜ選ばれたか」


「知らない」


空気。


冷たい。


「じゃあ」


「誰が知ってる?」


男。


自分。


指。


ささない。


西。


指す。


「向こうだ」


境界。


先。


「来い」


「そうすれば」


「教える」


リナ。


俺。


見る。


七柱。


声。


ない。


俺。


黒い線。


見る。


一歩。


近づく。


男。


待つ。


あと。


少し。


越えられる。


ブレイカー。


使わなくても。


足。


一本。


向こう。


出せる。


「レン」


フィリア。


声。


聞こえる。


『私は』


言葉。


詰まる。


『行ってほしくありません』


昨日の。


エリオス。


同じ。


命令。


じゃない。


願い。


「うん」


『ですが』


「うん」


『決めるのは』


フィリア。


続ける。


『レンさんです』


笑う。


「それ」


「言えるようになったね」


『……誰のせいですか』


「俺?」


『はい』


「じゃあ」


「俺も」


境界。


見る。


「育成できてるな」


【戦神ガルド】


『何だと!?』


【魔法神セレナ】


『調子に乗るな!』


【商神メルク】


『料金を請求します』


【知識神ノア】


『相互学習という表現が適切かと』


【鍛冶神ヴォルグ】


『……悪くない』


エリオス。


最後。


『レン』


「うん」


『私は』


『お前を止めたい』


「うん」


『だが』


少し。


震えてる。


『止める理由を』


『私自身が』


『まだ知らない』


「うん」


『だから』


『調べる』


ああ。


この人も。


変わった。


「頼む」


俺。


男。


見る。


「今日は」


「行かない」


男。


表情。


変わらない。


「答えを知りたくないのか」


「知りたい」


「なら来い」


「嫌」


「なぜ」


「お前を信用してない」


リナ。


吹き出す。


男。


黙る。


「あと」


俺。


言う。


「神様の声」


「消えるかもしれないんだろ」


「そうだ」


「なら」


「なおさら」


「今は行かない」


「神が怖いからか」


「違う」


俺。


首。


振る。


「まだ」


「教えてもらってる途中だから」


七柱。


沈黙。


リナ。


笑う。


男だけ。


笑わない。


「育てられなければ」


「自分で立てないのか」


挑発。


たぶん。


昔の俺なら。


ムッと。


した。


でも。


今。


「別に」


肩。


すくめる。


「一人で立つ必要なくない?」


男。


止まる。


「俺」


「一人で何でもできるようになるために」


「育ててもらってるんじゃない」


言いながら。


気づく。


そう。


だった。


「自分で」


「選べるようになるために」


「教えてもらってる」


ガルド。


セレナ。


メルク。


ヴォルグ。


フィリア。


ノア。


エリオス。


全員。


正しくない。


俺も。


正しくない。


だから。


聞く。


考える。


選ぶ。


間違える。


また。


選ぶ。


「だから」


「今」


境界。


指す。


「越えない」


男。


しばらく。


何も。


言わなかった。


やがて。


「……そうか」


背。


向ける。


「待って」


止まる。


「お前」


「名前は?」


男。


振り返らない。


「ない」


「職業」


「ない」


「性質」


少し。


間。


「ある」


昨日と。


同じ。


「名前つけないの?」


「必要ない」


「俺は」


「つけた」


「知っている」


「ブレイカー」


「そう」


「悪くないだろ」


リナ。


「自分で言う?」


うるさい。


男。


少し。


横顔。


見える。


「名をつければ」


「それに縛られる」


「名を持たなければ」


「縛られない?」


「そうだ」


「じゃあ」


俺。


言う。


「俺とは」


「考え方違うね」


男。


初めて。


完全に。


振り返る。


目。


合う。


「だから」


「会いに来た」


その言葉。


意味。


聞く前。


男の姿。


薄くなる。


「待て!」


「次は」


声。


遠い。


「西で会おう」


「だから行かないって!」


「来る」


「何で決めんだよ!」


最後。


男。


笑った。


「お前は」


「そういう奴だからだ」


消える。


◇ ◇ ◇


帰り道。


「何だったの」


リナ。


「知らん」


「敵?」


「分からん」


「味方?」


「それは違う気がする」


「名前ないって」


「うん」


「職業も」


「うん」


「性質ある」


「うん」


二人。


歩く。


「似てるね」


リナ。


言う。


「誰に?」


「レン」


「どこが」


「面倒くさいところ」


「敵より先に味方から刺された」


リナ。


笑う。


俺も。


少し。


笑った。


◇ ◇ ◇


夕方。


大神殿。


帰る。


アリア。


入口。


いる。


「早くない?」


「待ってました」


「ずっと?」


「はい」


「寝た?」


「…………」


「寝て」


「報告が先です」


強い。


俺たち。


帰って。


きた。


約束。


守った。


その夜。


七柱。


全員。


呼ぶ。


別に。


会議。


する。


つもり。


なかった。


でも。


気づいたら。


全員。


いた。


「なあ」


言う。


「俺」


「まだ」


「育成対象なんだよね?」


一瞬。


静か。


最初。


答えたの。


ガルド。


『当然だ!』


セレナ。


『魔力三で卒業できると思ってるの?』


「そこ!?」


メルク。


『経済観念も不足しています』


「銅貨大事にしてるじゃん!」


ヴォルグ。


『剣もまだだ』


「はい」


ノア。


『知識量については――』


「長くなる?」


『はい』


「じゃあ後で」


フィリア。


笑う。


『人を助けることについても』


「うん」


最後。


エリオス。


『レン』


「何?」


『私は』


少し。


間。


『お前を育てるという言葉の意味を』


『勘違いしていたのかもしれない』


「どういうこと?」


『正しい場所へ』


『導くことだと思っていた』


昔。


なら。


そう。


だった。


『だが』


『違うのだな』


『お前が』


『自分で選べるようになるまで』


『共にいること』


『それも』


『育てるということなのかもしれない』


俺。


少し。


考える。


「じゃあ」


「まだまだだね」


『……そうだな』


「よろしく」


『ああ』


一拍。


「七人とも」


返事。


重なる。


うるさい。


バラバラ。


でも。


それで。


いい。


◇ ◇ ◇


夜。


部屋。


一人。


窓。


開ける。


西。


見る。


境界。


ここからは。


見えない。


あの男。


名前。


ない。


職業。


ない。


性質。


ある。


神。


いらない。


そう。


言った。


俺。


違う。


職業。


ない。


性質。


ある。


でも。


神様。


いる。


必要。


か。


不要。


か。


そんな。


二択。


じゃない。


明日。


また。


何か。


教わる。


たぶん。


失敗する。


怒られる。


ガルド。


走れ。


言う。


セレナ。


魔力三。


キレる。


メルク。


金。


取る。


ヴォルグ。


説明。


足りない。


フィリア。


答え。


くれない。


ノア。


正確。


すぎる。


エリオス。


悩む。


俺。


振り回される。


それで。


いい。


机。


上。


白い種。


置く。


隣。


木剣。


ある。


何も。


なかった。


俺。


少しずつ。


増えた。


でも。


一つ。


変わってない。


表示。


出す。


【名称:レン】


【職業:なし】


【性質:ブレイカー】


見る。


笑う。


「結局」


「無職かよ」


――ピコン。


【商神メルク】


『働きなさい』


「最後くらい綺麗に終わらせろよ!」


声。


聞こえる。


笑い声。


七つ。


俺も。


笑う。


異世界に来て。


無職になった。


神様に拾われて。


七人に。


育てられて。


世界の。


おかしなところ。


少し。


見つけた。


名前。


職業。


神。


性質。


まだ。


分からないこと。


山ほど。


ある。


西には。


俺を知る奴らがいる。


俺が。


なぜ。


ここに来たか。


知っている奴も。


いるらしい。


怖い。


でも。


行く。


急がない。


誰かに。


決められない。


自分で。


選ぶ。


そして。


選べなくなったら。


聞けばいい。


神様でも。


仲間でも。


誰でも。


聞いて。


考えて。


最後。


俺が。


決める。


窓。


閉じる。


明日。


何。


するかな。


その時。


――遠く。


西。


誰にも。


聞こえない場所。


黒い境界の。


向こう。


名前のない男が。


一人。


歩いていた。


「越えなかったか」


暗闇。


声。


返る。


『予定と違う』


男。


止まる。


「いや」


少し。


笑う。


「これでいい」


『なぜ』


男。


東。


見る。


境界。


向こう。


神々のいる場所。


レン。


いる場所。


「神を捨てる奴なら」


「いらなかった」


『…………』


「神を信じ切る奴でも」


「いらなかった」


歩く。


その先。


暗闇。


一つ。


二つ。


三つ。


人影。


増える。


誰にも。


影。


ない。


『では』


『あれは』


『何だ』


男。


答える。


「まだ」


「無職だ」


沈黙。


そして。


初めて。


男。


楽しそうに。


笑った。


「だから」


「面白い」


さらに。


西。


遥か。


遠く。


古い。


何か。


目を。


開く。


【第109代育成対象】


文字。


浮かぶ。


【第一段階】


【完了】


一度。


消える。


次。


表示。


【第二段階】


【条件成立】


その下。


今まで。


一度も。


表示されなかった。


文字。


現れる。


【育成対象】


【レン】


そして。


【育成者】


空白。


七つ。


枠。


ある。


その下。


八つ目。


ゆっくり。


浮かぶ。


【未登録】


さらに。


九つ目。


十。


十一。


増える。


止まらない。


誰かが。


笑う。


『さあ』


『次は』


『神だけではない』


――第一章 完――

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