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神々は無職を選んだ  作者: 夜凪 灯
第一章 七柱と無職
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45/71

神託ログ45『神のいらない力』

剣が。



鳴った。



カチ。



一度。



「今」


「鳴った?」



俺。



聞く。



リナ。



鞘。



見る。



「鳴った」



「抜く?」



「待って」



即答。



前なら。



もう。



抜いてた。



たぶん。



俺も。



触ってた。



二人とも。



少し。



学んだ。



「アリア」



「確認します」



記録板。



リナへ。



向ける。



【名称:リナ】



【職業:リナ】



まだ。



それ。



ちょっと。



面白い。



リナ。



「笑った?」



「笑ってない」



「今」


「口動いた」



「気のせい」



【性質観測】



【変化なし】



【外部接続】



【なし】



「神様じゃない」



アリア。



言う。



「魔力反応は?」



「ありません」



「じゃあ」


「何で鳴った?」



誰も。



答えない。



カイル。



繭の中。



目。



細める。



「抜いてみろ」



リナ。



「大丈夫?」



「たぶん」



「たぶんか」



「絶対って」


「言ったら」


「信用するか?」



「しない」



「なら」


「たぶんでいい」



それは。



そう。



なのか。



◇ ◇ ◇



リナ。



ゆっくり。



剣。



抜く。



半分。



何も。



ない。



全部。



抜く。



白い。



根。



一本。



動く。



剣先。



触れる。



淡い。



光。



走る。



でも。



さっき。



みたいに。



職業表示。



変わらない。



代わり。



記録板。



新しい。



文字。



【神性反応】



【なし】



次。



【職業補助】



【なし】



次。



【魔力補助】



【なし】



「なし」


「多いな」



俺。



「レンが」


「言う?」



「俺は」


「本家だから」



「何の」



知らない。



カイル。



笑う。



「振ってみろ」



リナ。



剣。



構える。



「何を斬る?」



「何も」



「素振り?」



「ああ」



リナ。



一歩。



踏み込む。



剣。



走る。



ヒュッ。



空気。



鳴る。



普通。



に。



見える。



二度目。



三度目。



四度目。



速い。



でも。



前と。



同じ。



「何か」


「違う?」



俺。



聞く。



リナ。



剣。



見る。



「軽い」



「剣が?」



「違う」



「身体?」



「それも」


「違う」



首。



傾げる。



「迷わない」



「何が?」



「振る時」



「今まで」


「身体が勝手に」


「動く時があった」



「職業補助?」



アリア。



「可能性があります」



「今は」


「自分で」


「振ってる感じ」



「弱くなった?」



リナ。



少し。



考える。



もう一度。



振る。



「たぶん」



あっさり。



「え」



「前より」


「速くないかも」



「大丈夫?」



「何が?」



「嫌じゃない?」



リナ。



剣。



見る。



「ちょっと」


「嫌」



正直。



「強い方が」


「いいし」



「うん」



「でも」



握り。



直す。



「これ」


「私が振った」



もう一度。



剣。



走る。



「今のも」



もう一度。



「これも」



口元。



上がる。



「なんか」


「楽しい」



◇ ◇ ◇



カイル。



目。



閉じる。



「それが」


「昔の力だ」



「昔?」



「職業制度が」


「できる前」



「人は」


「神の補助なしで」


「戦ってた」



リナ。



「当たり前じゃない?」



「今は」


「そうでもない」



アリア。



「職業による」


「身体補助」


「技能補正」


「感覚補助」



「程度の差はありますが」


「多くの人が」


「受けています」



「知らないうちに?」



「はい」



リナ。



嫌そう。



「それ」


「聞いてない」



大神官。



「一般には」


「職業の恩恵と」


「説明される」



「恩恵」



リナ。



剣。



見る。



「便利だったよ」



「なら」


「悪いものでは」



大神官。



言いかける。



「でも」



リナ。



続ける。



「選んでない」



大神官。



黙る。



「便利かどうかと」


「勝手にやっていいかは」


「別じゃない?」



俺。



見る。



リナ。



気づく。



「何」



「いや」



「何」



「成長したなって」



「殴るよ」



「何で!」



◇ ◇ ◇



カイル。



「神の補助が」


「悪いわけじゃない」



リナ。



見る。



「欲しい奴は」


「使えばいい」



「いらない奴は?」



「使わなきゃいい」



「そんなこと」


「できるの?」



「昔は」


「できた」



「今は?」



「できない」



「何で?」



「職業と」


「神性接続が」


「一緒になったからだ」



アリア。



筆。



動く。



「職業を得ると」


「対応する神性領域へ」


「自動的に接続する?」



「全部じゃない」



「でも」


「大半はそうなった」



「それ」


「七柱が?」



俺。



聞く。



カイル。



首。



振る。



「何度も言う」



「神だけのせいにするな」



「人間が」


「求めた」



「強くなりたい」



「失敗したくない」



「向いてる仕事を」


「知りたい」



「病気を」


「治したい」



「豊かに」


「なりたい」



「神は」


「応えた」



「それが」


「積み重なった」



「結果」



「繋がってることが」


「当たり前になった」



◇ ◇ ◇



「切れば」


「元に戻る?」



俺。



聞く。



「戻る?」


「何に」



「神様が」


「いなかった頃」



カイル。



笑う。



「戻る必要」


「あるか?」



「え」



「二百年前に」


「戻すのか?」



「もっと前?」



「違う」



「じゃあ」



「今から」


「選べるようにする」



カイル。



白い。



根。



見る。



「過去は」


「答えじゃない」



「昔の仕組みも」


「間違えた」



「今の仕組みも」


「間違える」



「じゃあ」


「何が正しい?」



「知らん」



早い。



「そこ」


「知らないんだ」



「知ってたら」


「二百年」


「根に吊られてない」



「確かに」



先輩。



「納得するな」



◇ ◇ ◇



白い。



根。



また。



小さく。



脈打つ。



記録板。



光る。



【旧観測機構】



【復旧率:十二%】



「十二?」



アリア。



「さっきまで」


「七%でした」



「リナの」


「固定解除で?」



「可能性があります」



次。



【神性補助外】



【性質観測可能】



「性質」



俺。



見る。



ブレイカー。



神から。



もらった。



ものじゃない。



職業でも。



ない。



魔法でも。



ない。



「俺の力」


「神様なしでも」


「使える?」



カイル。



「試せ」



「ここで?」



「小さく」



「危険なら?」



「やめろ」



昨日と。



同じ。



「対象」



カイル。



周り。



見る。



白い。



根。



一本。



細い。



枝分かれ。



先。



石。



絡んでる。



「これ」



「切っていい?」



根。



じゃない。



根が。



巻いてる。



石。



「石と根の」


「接触だけ」


「切れるか?」



「物理的に?」



「違う」



「繋がりを」



難しい。



「失敗したら」


「根を傷つける?」



「ああ」



「じゃあ」


「やらない」



カイル。



頷く。



「正解」



「試せって」


「言ったじゃん」



「断れるか」


「見たかった」



「性格悪いな」



先輩。



「昔からだ」



「お前に」


「言われたくない」



◇ ◇ ◇



別。



探す。



アリア。



古い。



記録棚。



見つける。



壊れた。



金具。



蓋。



錆。



完全に。



固まってる。



「これなら?」



カイル。



「中身は?」



「空です」



「生命反応?」



「なし」



「魔力反応?」



「なし」



「神性反応?」



「なし」



確認。



する。



多い。



でも。



今は。



それで。



いい。



「何を」


「切る?」



リナ。



「蓋と」


「錆の固着」



「そんな」


「細かくできる?」



「知らない」



「無理なら?」



「やめる」



手。



伸ばす。



触らない。



意識。



する。



蓋。



箱。



錆。



全部。



壊す。



違う。



蓋と。



箱を。



繋いでる。



固着。



だけ。



見ろ。



見える。



わけ。



ない。



でも。



感じる。



昨日。



七柱の。



接続。



切った時。



似てる。



一本。



太い。



何か。



そこ。



指。



向ける。



燃えない。



火。



灯る。



「それ」



先輩。



初めて。



見る。



「火?」



「たぶん」


「違う」



炎。



錆。



触れる。



熱。



ない。



赤く。



ならない。



一瞬。



何か。



弾ける。



カチ。



蓋。



少し。



浮く。



「…………」



リナ。



開ける。



普通に。



開く。



中。



空。



「できた」



俺。



「錆は?」



アリア。



見る。



蓋。



箱。



両方。



錆。



残ってる。



でも。



接触してた。



部分だけ。



離れてる。



「壊してない」



俺。



言う。



カイル。



「壊した」



「どっち?」



「繋がりを」



「物は」


「壊してない」



「でも」


「固着は」


「壊した」



「言葉」


「難しい」



「だから」


「名前だけで」


「分かった気になるな」



ブレイカー。



壊す者。



それだけ。



聞いたら。



何でも。



壊す。



力。



でも。



違う。



何を。



壊す。



そこ。



選ぶ。



◇ ◇ ◇



「魔力」



アリア。



「減少なし」



「神性反応」



「なし」



「職業補助」



「なし」



「じゃあ」



俺。



自分の。



手。



見る。



「本当に」


「俺の?」



カイル。



「何をもって」


「自分の力とするか」


「次第だ」



「身体に」


「最初から」


「入ってたら?」



「自分の?」



「誰かに」


「作られてたら?」



「自分じゃない?」



答え。



出ない。



カイル。



続ける。



「剣は」


「誰が作った?」



リナ。



「鍛冶師」



「今」


「誰の剣だ?」



「私」



「そういうことだ」



「同じ?」



「同じじゃない」



「え」



「例えだ」



「雑!」



カイル。



笑う。



「でも」



俺。



手。



握る。



誰が。



この力。



作った。



か。



分からない。



誰が。



俺に。



与えた。



か。



分からない。



最初から。



あった。



かも。



分からない。



でも。



使う。



のは。



俺。



何を。



切るか。



決める。



のも。



俺。



なら。



少なくとも。



選択は。



俺の。



もの。



◇ ◇ ◇



「神様に」


「聞いてみる?」



リナ。



「何を?」



「ブレイカー」



「知ってるか」



迷う。



昨日。



フィリア。



言った。



次から。



聞く。



俺も。



同じ。



聞けば。



いい。



「繋ぐ」



「大丈夫?」



「うん」



目。



閉じる。



七柱。



意識。



する。



今まで。



当たり前。



みたいに。



繋がってた。



でも。



今日は。



違う。



俺から。



「聞こえる?」



最初。



返事。



ない。



次。



柔らかい。



声。



『聞こえています』



フィリア。



「繋いでいい?」



『はい』



少し。



笑う。



「そっちも」


「俺に繋いでいい」



『……ありがとうございます』



次。



ガルド。



『俺もいいか!』



「声でかい」



『すまん!』



セレナ。



『私は?』



「どうぞ」



メルク。



『接続料は?』



「取るの?」



『冗談よ』



「怖い」



ヴォルグ。



『…………』



「ヴォルグ?」



『いる』



「分かりづらい」



ノア。



『接続を確認しました』



エリオス。



最後。



『……よいのか』



「何が?」



『我々を』


『再び受け入れて』



少し。



考える。



「全部」


「任せるわけじゃない」



『ああ』



「嫌なら」


「切る」



『ああ』



「それでも」


「いいなら」



長い。



沈黙。



『それでいい』



七柱。



戻る。



でも。



前と。



同じ。



じゃない。



気が。



する。



◇ ◇ ◇



「聞きたい」



『何でしょう』



ノア。



「ブレイカーって」


「知ってる?」



『名称としては』


『知りません』



「性質は?」



『現在』


『あなたから』


『許可された範囲で』


『観測します』



その。



言い方。



変わった。



「お願いします」



少し。



間。



『…………』



「ノア?」



『判定不能です』



「また?」



『ただし』


『昨日までとは』


『理由が異なります』



「どう違う?」



『職業体系』


『魔法体系』


『神性祝福体系』



『いずれにも』


『該当しません』



「じゃあ」



『私たち七柱の』


『権能を起点とした力では』


『ありません』



空気。



止まる。



分かってた。



ような。



気も。



する。



でも。



神様。



本人から。



聞くと。



重い。



「神様から」


「もらった力じゃない?」



『少なくとも』


『七柱の権能由来ではありません』



ちゃんと。



範囲。



つける。



ノア。



らしい。



◇ ◇ ◇



セレナ。



『魔力も』


『動いてないわ』



ガルド。



『身体強化でもない』



ヴォルグ。



『武具由来でもない』



メルク。



『取引もしてないわね』



「それ」


「関係ある?」



『一応』



フィリア。



『生命力を』


『消費している様子も』


『ありません』



「じゃあ」


「何使ってる?」



誰も。



答えない。



エリオス。



『性質』



「カイルも」


「そう言ってた」



『その言葉が』


『最も近い』



「神様が」


「いなくても」


「使える?」



一拍。



エリオス。



『おそらく』



「おそらく?」



『試したことがない』



「そりゃそうか」



『レン』



「何?」



『それを』


『喜ぶか』



変な。



質問。



「何で?」



『神を必要としない力だ』



「…………」



神様。



いらない。



力。



そう。



言われると。



少し。



違う。



「力に」


「神様がいらないだけ」



『……何?』



「俺に」


「神様がいらないとは」


「言ってない」



静か。



なる。



「友達に」


「剣振ってもらうのに」


「神様いらない」



「飯食うのにも」


「神様いらない」



「寝るのにも」


「たぶんいらない」



ガルド。



『俺が』


『寝かしつけてやろうか!』



「絶対寝れない」



メルク。



笑う。



「でも」



俺。



続ける。



「いらないことと」


「いてほしくないこと」



「同じじゃないでしょ」



返事。



しばらく。



ない。



フィリア。



小さく。



『はい』



◇ ◇ ◇



「俺」


「神様なしでも」


「使える力」


「持ってる」



『はい』



「でも」


「困ったら」


「聞く」



『はい』



「答え」


「そのまま信じない時もある」



『……はい』



「嫌なら」


「断る」



『はい』



「間違ってたら」


「止めて」



フィリア。



少し。



笑う。



『はい』



「俺も」


「止める」



『お願いします』



これ。



で。



いい。



神様。



いらない。



力。



神様。



いらない。



世界。



じゃない。



神様が。



いなくても。



立てる。



でも。



必要なら。



手を。



借りる。



それ。



くらい。



が。



いい。



◇ ◇ ◇



「レン」



カイル。



呼ぶ。



七柱。



接続。



したまま。



カイル。



見える。



のか。



知らない。



でも。



何か。



感じた。



みたい。



「神と」


「話したか」



「うん」



「何て?」



「この力」


「七柱由来じゃないって」



「そうか」



「驚かない?」



「知ってた」



「先に言って!」



「自分で」


「確認した方が」


「いいだろ」



「それ」


「便利な言い訳じゃない?」



「半分は」



半分。



認めた。



「カイル」



先輩。



「性格」


「変わってないな」



「お前は」


「少し悪くなった」



「何でだ」



「顔」



「顔?」



「老けた」



「二百年寝てたのに!?」



リナ。



吹き出す。



◇ ◇ ◇



その。



空気。



突然。



切れる。



記録板。



音。



鳴る。



ピッ。



短い。



アリア。



見る。



「また」


「何か出ました」



「今度は?」



【旧観測機構】



【復旧率:十三%】



十二。



から。



一。



上がった。



次。



【性質情報】



【新規登録】



【名称:ブレイカー】



【命名者:レン】



俺。



名前。



残る。



少し。



変な。



感じ。



次。



【神性由来】



【否】



次。



【職業由来】



【否】



次。



【魔力由来】



【否】



「全部」


「否」



リナ。



「じゃあ」


「何由来?」



次。



文字。



出る。



【由来】



長い。



間。



【個体】



「個体?」



アリア。



「本人」


「という意味でしょうか」



カイル。



「たぶんな」



【個体:レン】



【性質:ブレイカー】



【神性補助:不要】



「神様」


「いらないって」



俺。



言う。



ガルド。



『言い方!』



「ごめん」



リナ。



笑う。



でも。



次。



文字。



出る。



【使用条件】



全員。



見る。



【対象認識】



【必要】



次。



【切断意思】



【必要】



次。



【対象双方の状態観測】



【推奨】



「推奨?」



カイル。



「そこ」


「重要だ」



「双方を見る」



「片方だけで」


「決めるなってやつ?」



「ああ」



次。



【無差別使用】



【危険】



次。



【誤切断時】



文字。



一瞬。



止まる。



【復旧保証なし】



背中。



冷える。



「戻せない?」



アリア。



「保証なし」


「なので」


「戻せる場合もあるかもしれません」



「でも」


「戻らないことも」



「はい」



村。



根。



思い出す。



殺したら。



死ぬ。



切ったら。



戻らない。



力。



◇ ◇ ◇



「レン」



カイル。



「はい」



「強い力だと」


「思ったか」



「ちょっと」



「便利だと?」



「かなり」



「怖いか」



表示。



見る。



【復旧保証なし】



「今」


「怖くなった」



「それでいい」



「怖がってたら」


「使えない」



「怖がらずに」


「使う方が」


「危ない」



カイル。



言う。



「剣と」


「同じだ」



リナ。



剣。



見る。



「剣は」


「斬ったら」


「戻らない」



「うん」



「だから」


「斬るものを」


「選ぶ」



リナ。



俺。



見る。



「レンも」


「同じじゃない?」



「…………」



壊せる。



から。



壊す。



じゃない。



切れる。



から。



切る。



じゃない。



「選ぶ」



俺。



言う。



「そう」



カイル。



頷く。



「それを」


「忘れるな」



◇ ◇ ◇



外。



夕方。



母なる根。



紫の。



花。



揺れる。



今日は。



ここで。



泊まる。



カイル。



まだ。



出せない。



白い。



根。



維持。



必要。



でも。



話せる。



先輩。



ずっと。



そば。



いる。



二百年。



ぶん。



話。



ある。



だろう。



俺。



外。



出る。



リナ。



ついて。



くる。



「レン」



「何?」



「手」



「手?」



「見せて」



出す。



普通。



手。



「何?」



「ブレイカー」



「出さないよ」



「分かってる」



指。



つつく。



「普通だね」



「何だと思ってた?」



「もっと」


「禍々しくなるかと」



「失礼」



「角とか」



「生えない」



「目赤くなるとか」



「ならない」



「ちょっと残念」



「何で!」



笑う。



◇ ◇ ◇



「リナ」



「何?」



「職業」


「戻したい?」



少し。



間。



「狩剣士に?」



「うん」



「表示を?」



「うん」



考える。



長い。



「分かんない」



「そっか」



「前なら」


「絶対戻してって」


「言った」



「うん」



「今も」


「ちょっと戻したい」



「うん」



「でも」


「職業欄に」


「リナって出た時」



剣。



柄。



触る。



「怖かったけど」



一拍。



「ちょっと」


「嬉しかった」



「何で?」



「私が」


「私で」


「いいって」


「言われたみたいで」



風。



吹く。



紫。



揺れる。



「だから」


「今は」


「このまま」



「うん」



「嫌になったら?」



「変える」



「誰が?」



リナ。



笑う。



「私が」



それ。



で。



いい。



◇ ◇ ◇



夜。



焚き火。



七柱。



接続。



残ってる。



でも。



静か。



俺が。



呼ばない。



限り。



ほとんど。



話さない。



たぶん。



気を。



遣ってる。



変な。



感じ。



「フィリア」



『はい』



すぐ。



いる。



「今」


「呼んだ」



『はい』



「呼ぶまで」


「黙ってた?」



『はい』



「大変じゃない?」



『少し』



「正直」



『約束しましたから』



「ありがと」



『……はい』



少し。



嬉しそう。



◇ ◇ ◇



「聞きたいこと」


「ある」



『何でしょう』



「神様って」


「神様の力」


「なくなったら」


「神様じゃなくなる?」



フィリア。



止まる。



他の。



六柱も。



聞いてる。



『難しい質問です』



「ノア」



『定義によります』



「出た」



『神という語には』


『存在分類』


『権能保有』


『信仰対象』


『管理役割』



『複数の意味があります』



「じゃあ」


「フィリアが」


「生命神じゃなくなったら?」



長い。



沈黙。



『…………』



「ごめん」


「嫌なら」



『フィリアです』



「え?」



『生命神でなくなっても』



声。



少し。



震える。



『私は』


『フィリアでいたいです』



胸。



あったかい。



「そっか」



『はい』



「じゃあ」


「同じだね」



『何がですか』



「リナ」



剣。



見る。



「狩剣士じゃなくても」


「リナ」



自分。



胸。



触る。



「職業なしでも」


「レン」



一拍。



「生命神じゃなくても」


「フィリア」



フィリア。



しばらく。



答えない。



『…………はい』



それだけ。



でも。



十分。



◇ ◇ ◇



深夜。



目。



覚める。



何か。



聞こえた。



声。



じゃない。



音。



カチ。



木。



擦れる。



みたいな。



起きる。



リナ。



寝てる。



外。



出る。



母なる根。



月。



光。



白い。



その。



根元。



誰か。



立ってる。



「先輩?」



違う。



背。



高い。



細い。



人影。



「カイル?」



違う。



カイル。



地下。



いる。



人影。



こっち。



見る。



顔。



見えない。



「誰?」



返事。



ない。



近づく。



一歩。



人影。



消える。



「…………」



幻。



寝ぼけ。



た?



その場所。



何か。



ある。



白い。



根。



表面。



文字。



浮いてる。



古い。



表示。



【神性接続】



【なし】



【職業接続】



【なし】



【魔力接続】



【なし】



その下。



【性質】



【あり】



「俺?」



違う。



名前。



出る。



【個体名称】



文字。



乱れる。



読めない。



次。



【状態】



【活動中】



「誰が?」



背後。



気配。



振り返る。



誰も。



いない。



頭。



奥。



七柱。



静か。



気づいて。



ない。



神様には。



見えてない?



根。



表示。



変わる。



【神性を必要としない個体】



次。



【一名ではありません】



「…………」



俺。



息。



止まる。



一人。



じゃない。



俺だけ。



じゃない。



【旧観測範囲】



【再検索】



数字。



増える。



一。



三。



十二。



四十七。



百。



止まらない。



「待って」



何人。



いる。



神様。



なしで。



力。



持つ。



人。



この世界に。



【検索完了】



数字。



止まる。



【該当個体】



【――一〇九】



「…………」



109。



また。



その。



数字。



第109代。



爪切り。



そして。



今。



神を。



必要としない。



性質。



持つ。



個体。



百九。



「同じ」


「109?」



偶然。



かもしれない。



別の。



番号。



かもしれない。



勝手に。



繋ぐな。



俺。



自分に。



言う。



表示。



最後。



変わる。



【性質保有個体】



【神性登録】



【未実施】



次。



【職業登録】



【未実施】



次。



【観測対象】



【世界各地】



「世界中に」



いる。



神様に。



もらってない。



力。



持ってる。



人。



まだ。



職業に。



入ってない。



人。



それ。



知られたら。



どうなる。



職業。



なくなる?



違う。



神様。



いらなくなる?



違う。



そうじゃない。



選べる。



ようになる。



だけ。



たぶん。



でも。



それを。



怖がる。



人も。



いる。



◇ ◇ ◇



表示。



消える。



代わり。



根。



一本。



伸びる。



俺の。



前。



止まる。



先。



二つ。



分かれる。



右。



左。



どっち。



みたいに。



「選べって?」



返事。



ない。



右。



根。



淡く。



光る。



その先。



神殿。



方角。



左。



根。



北。



もっと。



遠く。



「どっち」



触らない。



まず。



見る。



右。



細い。



光。



七色。



神性。



たぶん。



神殿。



七柱。



左。



色。



ない。



でも。



強い。



脈。



性質。



神。



いらない。



力。



二つ。



道。



みたい。



見える。



でも。



どっちか。



選ぶ。



必要。



ある?



「両方」



言う。



根。



動かない。



「どっちか」


「捨てる気」


「ないよ」



右。



神様。



左。



人。



そんな。



簡単に。



分けるな。



「神様に」


「頼る人も」



「頼らない人も」



「途中で」


「変える人も」



「全部」


「いていいでしょ」



根。



ゆっくり。



動く。



二つ。



分かれてた。



先。



また。



近づく。



絡む。



一本。



になる。



「…………」



俺。



笑う。



「できるじゃん」



誰に。



言った。



か。



分からない。



◇ ◇ ◇



『レン』



エリオス。



突然。



声。



「うわ」



『すまない』



「どうした?」



『今』


『何かをしたか』



「何か?」



『世界の』


『接続が』


『一瞬』


『揺れた』



「俺」


「根に」


「話してただけ」



『何を』



説明。



する。



109。



個体。



二本。



根。



一本。



戻った。



エリオス。



黙る。



「知ってる?」



『知らない』



「そっか」



『だが』



「何?」



『今』


『七柱の権能域外で』


『複数の反応が』


『同時に発生した』



「どこ?」



『世界各地だ』



さっき。



表示。



同じ。



「何が」


「起きた?」



『分からない』



また。



それ。



でも。



エリオス。



続ける。



『一つだけ』


『言える』



「何?」



『神が』


『与えていない力が』



一拍。



『目を覚まし始めている』



母なる根。



大きく。



一度。



脈打つ。



遠く。



どこか。



知らない。



場所。



何かが。



始まる。



神様。



いらない。



力。



それは。



神様を。



捨てる。



ためじゃない。



人が。



自分で。



選ぶ。



ため。



その。



可能性。



なのかもしれない。



そして。



俺の。



手の中には。



壊せる。



力。



残ってる。



だから。



次に。



必要なのは。



もっと。



強く。



なること。



じゃない。



何を。



壊すか。



何を。



残すか。



それを。



選べる。



こと。



だった。

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