神託ログ45『神のいらない力』
剣が。
鳴った。
カチ。
一度。
「今」
「鳴った?」
俺。
聞く。
リナ。
鞘。
見る。
「鳴った」
「抜く?」
「待って」
即答。
前なら。
もう。
抜いてた。
たぶん。
俺も。
触ってた。
二人とも。
少し。
学んだ。
「アリア」
「確認します」
記録板。
リナへ。
向ける。
【名称:リナ】
【職業:リナ】
まだ。
それ。
ちょっと。
面白い。
リナ。
「笑った?」
「笑ってない」
「今」
「口動いた」
「気のせい」
【性質観測】
【変化なし】
【外部接続】
【なし】
「神様じゃない」
アリア。
言う。
「魔力反応は?」
「ありません」
「じゃあ」
「何で鳴った?」
誰も。
答えない。
カイル。
繭の中。
目。
細める。
「抜いてみろ」
リナ。
「大丈夫?」
「たぶん」
「たぶんか」
「絶対って」
「言ったら」
「信用するか?」
「しない」
「なら」
「たぶんでいい」
それは。
そう。
なのか。
◇ ◇ ◇
リナ。
ゆっくり。
剣。
抜く。
半分。
何も。
ない。
全部。
抜く。
白い。
根。
一本。
動く。
剣先。
触れる。
淡い。
光。
走る。
でも。
さっき。
みたいに。
職業表示。
変わらない。
代わり。
記録板。
新しい。
文字。
【神性反応】
【なし】
次。
【職業補助】
【なし】
次。
【魔力補助】
【なし】
「なし」
「多いな」
俺。
「レンが」
「言う?」
「俺は」
「本家だから」
「何の」
知らない。
カイル。
笑う。
「振ってみろ」
リナ。
剣。
構える。
「何を斬る?」
「何も」
「素振り?」
「ああ」
リナ。
一歩。
踏み込む。
剣。
走る。
ヒュッ。
空気。
鳴る。
普通。
に。
見える。
二度目。
三度目。
四度目。
速い。
でも。
前と。
同じ。
「何か」
「違う?」
俺。
聞く。
リナ。
剣。
見る。
「軽い」
「剣が?」
「違う」
「身体?」
「それも」
「違う」
首。
傾げる。
「迷わない」
「何が?」
「振る時」
「今まで」
「身体が勝手に」
「動く時があった」
「職業補助?」
アリア。
「可能性があります」
「今は」
「自分で」
「振ってる感じ」
「弱くなった?」
リナ。
少し。
考える。
もう一度。
振る。
「たぶん」
あっさり。
「え」
「前より」
「速くないかも」
「大丈夫?」
「何が?」
「嫌じゃない?」
リナ。
剣。
見る。
「ちょっと」
「嫌」
正直。
「強い方が」
「いいし」
「うん」
「でも」
握り。
直す。
「これ」
「私が振った」
もう一度。
剣。
走る。
「今のも」
もう一度。
「これも」
口元。
上がる。
「なんか」
「楽しい」
◇ ◇ ◇
カイル。
目。
閉じる。
「それが」
「昔の力だ」
「昔?」
「職業制度が」
「できる前」
「人は」
「神の補助なしで」
「戦ってた」
リナ。
「当たり前じゃない?」
「今は」
「そうでもない」
アリア。
「職業による」
「身体補助」
「技能補正」
「感覚補助」
「程度の差はありますが」
「多くの人が」
「受けています」
「知らないうちに?」
「はい」
リナ。
嫌そう。
「それ」
「聞いてない」
大神官。
「一般には」
「職業の恩恵と」
「説明される」
「恩恵」
リナ。
剣。
見る。
「便利だったよ」
「なら」
「悪いものでは」
大神官。
言いかける。
「でも」
リナ。
続ける。
「選んでない」
大神官。
黙る。
「便利かどうかと」
「勝手にやっていいかは」
「別じゃない?」
俺。
見る。
リナ。
気づく。
「何」
「いや」
「何」
「成長したなって」
「殴るよ」
「何で!」
◇ ◇ ◇
カイル。
「神の補助が」
「悪いわけじゃない」
リナ。
見る。
「欲しい奴は」
「使えばいい」
「いらない奴は?」
「使わなきゃいい」
「そんなこと」
「できるの?」
「昔は」
「できた」
「今は?」
「できない」
「何で?」
「職業と」
「神性接続が」
「一緒になったからだ」
アリア。
筆。
動く。
「職業を得ると」
「対応する神性領域へ」
「自動的に接続する?」
「全部じゃない」
「でも」
「大半はそうなった」
「それ」
「七柱が?」
俺。
聞く。
カイル。
首。
振る。
「何度も言う」
「神だけのせいにするな」
「人間が」
「求めた」
「強くなりたい」
「失敗したくない」
「向いてる仕事を」
「知りたい」
「病気を」
「治したい」
「豊かに」
「なりたい」
「神は」
「応えた」
「それが」
「積み重なった」
「結果」
「繋がってることが」
「当たり前になった」
◇ ◇ ◇
「切れば」
「元に戻る?」
俺。
聞く。
「戻る?」
「何に」
「神様が」
「いなかった頃」
カイル。
笑う。
「戻る必要」
「あるか?」
「え」
「二百年前に」
「戻すのか?」
「もっと前?」
「違う」
「じゃあ」
「今から」
「選べるようにする」
カイル。
白い。
根。
見る。
「過去は」
「答えじゃない」
「昔の仕組みも」
「間違えた」
「今の仕組みも」
「間違える」
「じゃあ」
「何が正しい?」
「知らん」
早い。
「そこ」
「知らないんだ」
「知ってたら」
「二百年」
「根に吊られてない」
「確かに」
先輩。
「納得するな」
◇ ◇ ◇
白い。
根。
また。
小さく。
脈打つ。
記録板。
光る。
【旧観測機構】
【復旧率:十二%】
「十二?」
アリア。
「さっきまで」
「七%でした」
「リナの」
「固定解除で?」
「可能性があります」
次。
【神性補助外】
【性質観測可能】
「性質」
俺。
見る。
ブレイカー。
神から。
もらった。
ものじゃない。
職業でも。
ない。
魔法でも。
ない。
「俺の力」
「神様なしでも」
「使える?」
カイル。
「試せ」
「ここで?」
「小さく」
「危険なら?」
「やめろ」
昨日と。
同じ。
「対象」
カイル。
周り。
見る。
白い。
根。
一本。
細い。
枝分かれ。
先。
石。
絡んでる。
「これ」
「切っていい?」
根。
じゃない。
根が。
巻いてる。
石。
「石と根の」
「接触だけ」
「切れるか?」
「物理的に?」
「違う」
「繋がりを」
難しい。
「失敗したら」
「根を傷つける?」
「ああ」
「じゃあ」
「やらない」
カイル。
頷く。
「正解」
「試せって」
「言ったじゃん」
「断れるか」
「見たかった」
「性格悪いな」
先輩。
「昔からだ」
「お前に」
「言われたくない」
◇ ◇ ◇
別。
探す。
アリア。
古い。
記録棚。
見つける。
壊れた。
金具。
蓋。
錆。
完全に。
固まってる。
「これなら?」
カイル。
「中身は?」
「空です」
「生命反応?」
「なし」
「魔力反応?」
「なし」
「神性反応?」
「なし」
確認。
する。
多い。
でも。
今は。
それで。
いい。
「何を」
「切る?」
リナ。
「蓋と」
「錆の固着」
「そんな」
「細かくできる?」
「知らない」
「無理なら?」
「やめる」
手。
伸ばす。
触らない。
意識。
する。
蓋。
箱。
錆。
全部。
壊す。
違う。
蓋と。
箱を。
繋いでる。
固着。
だけ。
見ろ。
見える。
わけ。
ない。
でも。
感じる。
昨日。
七柱の。
接続。
切った時。
似てる。
一本。
太い。
何か。
そこ。
指。
向ける。
燃えない。
火。
灯る。
「それ」
先輩。
初めて。
見る。
「火?」
「たぶん」
「違う」
炎。
錆。
触れる。
熱。
ない。
赤く。
ならない。
一瞬。
何か。
弾ける。
カチ。
蓋。
少し。
浮く。
「…………」
リナ。
開ける。
普通に。
開く。
中。
空。
「できた」
俺。
「錆は?」
アリア。
見る。
蓋。
箱。
両方。
錆。
残ってる。
でも。
接触してた。
部分だけ。
離れてる。
「壊してない」
俺。
言う。
カイル。
「壊した」
「どっち?」
「繋がりを」
「物は」
「壊してない」
「でも」
「固着は」
「壊した」
「言葉」
「難しい」
「だから」
「名前だけで」
「分かった気になるな」
ブレイカー。
壊す者。
それだけ。
聞いたら。
何でも。
壊す。
力。
でも。
違う。
何を。
壊す。
そこ。
選ぶ。
◇ ◇ ◇
「魔力」
アリア。
「減少なし」
「神性反応」
「なし」
「職業補助」
「なし」
「じゃあ」
俺。
自分の。
手。
見る。
「本当に」
「俺の?」
カイル。
「何をもって」
「自分の力とするか」
「次第だ」
「身体に」
「最初から」
「入ってたら?」
「自分の?」
「誰かに」
「作られてたら?」
「自分じゃない?」
答え。
出ない。
カイル。
続ける。
「剣は」
「誰が作った?」
リナ。
「鍛冶師」
「今」
「誰の剣だ?」
「私」
「そういうことだ」
「同じ?」
「同じじゃない」
「え」
「例えだ」
「雑!」
カイル。
笑う。
「でも」
俺。
手。
握る。
誰が。
この力。
作った。
か。
分からない。
誰が。
俺に。
与えた。
か。
分からない。
最初から。
あった。
かも。
分からない。
でも。
使う。
のは。
俺。
何を。
切るか。
決める。
のも。
俺。
なら。
少なくとも。
選択は。
俺の。
もの。
◇ ◇ ◇
「神様に」
「聞いてみる?」
リナ。
「何を?」
「ブレイカー」
「知ってるか」
迷う。
昨日。
フィリア。
言った。
次から。
聞く。
俺も。
同じ。
聞けば。
いい。
「繋ぐ」
「大丈夫?」
「うん」
目。
閉じる。
七柱。
意識。
する。
今まで。
当たり前。
みたいに。
繋がってた。
でも。
今日は。
違う。
俺から。
「聞こえる?」
最初。
返事。
ない。
次。
柔らかい。
声。
『聞こえています』
フィリア。
「繋いでいい?」
『はい』
少し。
笑う。
「そっちも」
「俺に繋いでいい」
『……ありがとうございます』
次。
ガルド。
『俺もいいか!』
「声でかい」
『すまん!』
セレナ。
『私は?』
「どうぞ」
メルク。
『接続料は?』
「取るの?」
『冗談よ』
「怖い」
ヴォルグ。
『…………』
「ヴォルグ?」
『いる』
「分かりづらい」
ノア。
『接続を確認しました』
エリオス。
最後。
『……よいのか』
「何が?」
『我々を』
『再び受け入れて』
少し。
考える。
「全部」
「任せるわけじゃない」
『ああ』
「嫌なら」
「切る」
『ああ』
「それでも」
「いいなら」
長い。
沈黙。
『それでいい』
七柱。
戻る。
でも。
前と。
同じ。
じゃない。
気が。
する。
◇ ◇ ◇
「聞きたい」
『何でしょう』
ノア。
「ブレイカーって」
「知ってる?」
『名称としては』
『知りません』
「性質は?」
『現在』
『あなたから』
『許可された範囲で』
『観測します』
その。
言い方。
変わった。
「お願いします」
少し。
間。
『…………』
「ノア?」
『判定不能です』
「また?」
『ただし』
『昨日までとは』
『理由が異なります』
「どう違う?」
『職業体系』
『魔法体系』
『神性祝福体系』
『いずれにも』
『該当しません』
「じゃあ」
『私たち七柱の』
『権能を起点とした力では』
『ありません』
空気。
止まる。
分かってた。
ような。
気も。
する。
でも。
神様。
本人から。
聞くと。
重い。
「神様から」
「もらった力じゃない?」
『少なくとも』
『七柱の権能由来ではありません』
ちゃんと。
範囲。
つける。
ノア。
らしい。
◇ ◇ ◇
セレナ。
『魔力も』
『動いてないわ』
ガルド。
『身体強化でもない』
ヴォルグ。
『武具由来でもない』
メルク。
『取引もしてないわね』
「それ」
「関係ある?」
『一応』
フィリア。
『生命力を』
『消費している様子も』
『ありません』
「じゃあ」
「何使ってる?」
誰も。
答えない。
エリオス。
『性質』
「カイルも」
「そう言ってた」
『その言葉が』
『最も近い』
「神様が」
「いなくても」
「使える?」
一拍。
エリオス。
『おそらく』
「おそらく?」
『試したことがない』
「そりゃそうか」
『レン』
「何?」
『それを』
『喜ぶか』
変な。
質問。
「何で?」
『神を必要としない力だ』
「…………」
神様。
いらない。
力。
そう。
言われると。
少し。
違う。
「力に」
「神様がいらないだけ」
『……何?』
「俺に」
「神様がいらないとは」
「言ってない」
静か。
なる。
「友達に」
「剣振ってもらうのに」
「神様いらない」
「飯食うのにも」
「神様いらない」
「寝るのにも」
「たぶんいらない」
ガルド。
『俺が』
『寝かしつけてやろうか!』
「絶対寝れない」
メルク。
笑う。
「でも」
俺。
続ける。
「いらないことと」
「いてほしくないこと」
「同じじゃないでしょ」
返事。
しばらく。
ない。
フィリア。
小さく。
『はい』
◇ ◇ ◇
「俺」
「神様なしでも」
「使える力」
「持ってる」
『はい』
「でも」
「困ったら」
「聞く」
『はい』
「答え」
「そのまま信じない時もある」
『……はい』
「嫌なら」
「断る」
『はい』
「間違ってたら」
「止めて」
フィリア。
少し。
笑う。
『はい』
「俺も」
「止める」
『お願いします』
これ。
で。
いい。
神様。
いらない。
力。
神様。
いらない。
世界。
じゃない。
神様が。
いなくても。
立てる。
でも。
必要なら。
手を。
借りる。
それ。
くらい。
が。
いい。
◇ ◇ ◇
「レン」
カイル。
呼ぶ。
七柱。
接続。
したまま。
カイル。
見える。
のか。
知らない。
でも。
何か。
感じた。
みたい。
「神と」
「話したか」
「うん」
「何て?」
「この力」
「七柱由来じゃないって」
「そうか」
「驚かない?」
「知ってた」
「先に言って!」
「自分で」
「確認した方が」
「いいだろ」
「それ」
「便利な言い訳じゃない?」
「半分は」
半分。
認めた。
「カイル」
先輩。
「性格」
「変わってないな」
「お前は」
「少し悪くなった」
「何でだ」
「顔」
「顔?」
「老けた」
「二百年寝てたのに!?」
リナ。
吹き出す。
◇ ◇ ◇
その。
空気。
突然。
切れる。
記録板。
音。
鳴る。
ピッ。
短い。
アリア。
見る。
「また」
「何か出ました」
「今度は?」
【旧観測機構】
【復旧率:十三%】
十二。
から。
一。
上がった。
次。
【性質情報】
【新規登録】
【名称:ブレイカー】
【命名者:レン】
俺。
名前。
残る。
少し。
変な。
感じ。
次。
【神性由来】
【否】
次。
【職業由来】
【否】
次。
【魔力由来】
【否】
「全部」
「否」
リナ。
「じゃあ」
「何由来?」
次。
文字。
出る。
【由来】
長い。
間。
【個体】
「個体?」
アリア。
「本人」
「という意味でしょうか」
カイル。
「たぶんな」
【個体:レン】
【性質:ブレイカー】
【神性補助:不要】
「神様」
「いらないって」
俺。
言う。
ガルド。
『言い方!』
「ごめん」
リナ。
笑う。
でも。
次。
文字。
出る。
【使用条件】
全員。
見る。
【対象認識】
【必要】
次。
【切断意思】
【必要】
次。
【対象双方の状態観測】
【推奨】
「推奨?」
カイル。
「そこ」
「重要だ」
「双方を見る」
「片方だけで」
「決めるなってやつ?」
「ああ」
次。
【無差別使用】
【危険】
次。
【誤切断時】
文字。
一瞬。
止まる。
【復旧保証なし】
背中。
冷える。
「戻せない?」
アリア。
「保証なし」
「なので」
「戻せる場合もあるかもしれません」
「でも」
「戻らないことも」
「はい」
村。
根。
思い出す。
殺したら。
死ぬ。
切ったら。
戻らない。
力。
◇ ◇ ◇
「レン」
カイル。
「はい」
「強い力だと」
「思ったか」
「ちょっと」
「便利だと?」
「かなり」
「怖いか」
表示。
見る。
【復旧保証なし】
「今」
「怖くなった」
「それでいい」
「怖がってたら」
「使えない」
「怖がらずに」
「使う方が」
「危ない」
カイル。
言う。
「剣と」
「同じだ」
リナ。
剣。
見る。
「剣は」
「斬ったら」
「戻らない」
「うん」
「だから」
「斬るものを」
「選ぶ」
リナ。
俺。
見る。
「レンも」
「同じじゃない?」
「…………」
壊せる。
から。
壊す。
じゃない。
切れる。
から。
切る。
じゃない。
「選ぶ」
俺。
言う。
「そう」
カイル。
頷く。
「それを」
「忘れるな」
◇ ◇ ◇
外。
夕方。
母なる根。
紫の。
花。
揺れる。
今日は。
ここで。
泊まる。
カイル。
まだ。
出せない。
白い。
根。
維持。
必要。
でも。
話せる。
先輩。
ずっと。
そば。
いる。
二百年。
ぶん。
話。
ある。
だろう。
俺。
外。
出る。
リナ。
ついて。
くる。
「レン」
「何?」
「手」
「手?」
「見せて」
出す。
普通。
手。
「何?」
「ブレイカー」
「出さないよ」
「分かってる」
指。
つつく。
「普通だね」
「何だと思ってた?」
「もっと」
「禍々しくなるかと」
「失礼」
「角とか」
「生えない」
「目赤くなるとか」
「ならない」
「ちょっと残念」
「何で!」
笑う。
◇ ◇ ◇
「リナ」
「何?」
「職業」
「戻したい?」
少し。
間。
「狩剣士に?」
「うん」
「表示を?」
「うん」
考える。
長い。
「分かんない」
「そっか」
「前なら」
「絶対戻してって」
「言った」
「うん」
「今も」
「ちょっと戻したい」
「うん」
「でも」
「職業欄に」
「リナって出た時」
剣。
柄。
触る。
「怖かったけど」
一拍。
「ちょっと」
「嬉しかった」
「何で?」
「私が」
「私で」
「いいって」
「言われたみたいで」
風。
吹く。
紫。
揺れる。
「だから」
「今は」
「このまま」
「うん」
「嫌になったら?」
「変える」
「誰が?」
リナ。
笑う。
「私が」
それ。
で。
いい。
◇ ◇ ◇
夜。
焚き火。
七柱。
接続。
残ってる。
でも。
静か。
俺が。
呼ばない。
限り。
ほとんど。
話さない。
たぶん。
気を。
遣ってる。
変な。
感じ。
「フィリア」
『はい』
すぐ。
いる。
「今」
「呼んだ」
『はい』
「呼ぶまで」
「黙ってた?」
『はい』
「大変じゃない?」
『少し』
「正直」
『約束しましたから』
「ありがと」
『……はい』
少し。
嬉しそう。
◇ ◇ ◇
「聞きたいこと」
「ある」
『何でしょう』
「神様って」
「神様の力」
「なくなったら」
「神様じゃなくなる?」
フィリア。
止まる。
他の。
六柱も。
聞いてる。
『難しい質問です』
「ノア」
『定義によります』
「出た」
『神という語には』
『存在分類』
『権能保有』
『信仰対象』
『管理役割』
『複数の意味があります』
「じゃあ」
「フィリアが」
「生命神じゃなくなったら?」
長い。
沈黙。
『…………』
「ごめん」
「嫌なら」
『フィリアです』
「え?」
『生命神でなくなっても』
声。
少し。
震える。
『私は』
『フィリアでいたいです』
胸。
あったかい。
「そっか」
『はい』
「じゃあ」
「同じだね」
『何がですか』
「リナ」
剣。
見る。
「狩剣士じゃなくても」
「リナ」
自分。
胸。
触る。
「職業なしでも」
「レン」
一拍。
「生命神じゃなくても」
「フィリア」
フィリア。
しばらく。
答えない。
『…………はい』
それだけ。
でも。
十分。
◇ ◇ ◇
深夜。
目。
覚める。
何か。
聞こえた。
声。
じゃない。
音。
カチ。
木。
擦れる。
みたいな。
起きる。
リナ。
寝てる。
外。
出る。
母なる根。
月。
光。
白い。
その。
根元。
誰か。
立ってる。
「先輩?」
違う。
背。
高い。
細い。
人影。
「カイル?」
違う。
カイル。
地下。
いる。
人影。
こっち。
見る。
顔。
見えない。
「誰?」
返事。
ない。
近づく。
一歩。
人影。
消える。
「…………」
幻。
寝ぼけ。
た?
その場所。
何か。
ある。
白い。
根。
表面。
文字。
浮いてる。
古い。
表示。
【神性接続】
【なし】
【職業接続】
【なし】
【魔力接続】
【なし】
その下。
【性質】
【あり】
「俺?」
違う。
名前。
出る。
【個体名称】
文字。
乱れる。
読めない。
次。
【状態】
【活動中】
「誰が?」
背後。
気配。
振り返る。
誰も。
いない。
頭。
奥。
七柱。
静か。
気づいて。
ない。
神様には。
見えてない?
根。
表示。
変わる。
【神性を必要としない個体】
次。
【一名ではありません】
「…………」
俺。
息。
止まる。
一人。
じゃない。
俺だけ。
じゃない。
【旧観測範囲】
【再検索】
数字。
増える。
一。
三。
十二。
四十七。
百。
止まらない。
「待って」
何人。
いる。
神様。
なしで。
力。
持つ。
人。
この世界に。
【検索完了】
数字。
止まる。
【該当個体】
【――一〇九】
「…………」
109。
また。
その。
数字。
第109代。
爪切り。
そして。
今。
神を。
必要としない。
性質。
持つ。
個体。
百九。
「同じ」
「109?」
偶然。
かもしれない。
別の。
番号。
かもしれない。
勝手に。
繋ぐな。
俺。
自分に。
言う。
表示。
最後。
変わる。
【性質保有個体】
【神性登録】
【未実施】
次。
【職業登録】
【未実施】
次。
【観測対象】
【世界各地】
「世界中に」
いる。
神様に。
もらってない。
力。
持ってる。
人。
まだ。
職業に。
入ってない。
人。
それ。
知られたら。
どうなる。
職業。
なくなる?
違う。
神様。
いらなくなる?
違う。
そうじゃない。
選べる。
ようになる。
だけ。
たぶん。
でも。
それを。
怖がる。
人も。
いる。
◇ ◇ ◇
表示。
消える。
代わり。
根。
一本。
伸びる。
俺の。
前。
止まる。
先。
二つ。
分かれる。
右。
左。
どっち。
みたいに。
「選べって?」
返事。
ない。
右。
根。
淡く。
光る。
その先。
神殿。
方角。
左。
根。
北。
もっと。
遠く。
「どっち」
触らない。
まず。
見る。
右。
細い。
光。
七色。
神性。
たぶん。
神殿。
七柱。
左。
色。
ない。
でも。
強い。
脈。
性質。
神。
いらない。
力。
二つ。
道。
みたい。
見える。
でも。
どっちか。
選ぶ。
必要。
ある?
「両方」
言う。
根。
動かない。
「どっちか」
「捨てる気」
「ないよ」
右。
神様。
左。
人。
そんな。
簡単に。
分けるな。
「神様に」
「頼る人も」
「頼らない人も」
「途中で」
「変える人も」
「全部」
「いていいでしょ」
根。
ゆっくり。
動く。
二つ。
分かれてた。
先。
また。
近づく。
絡む。
一本。
になる。
「…………」
俺。
笑う。
「できるじゃん」
誰に。
言った。
か。
分からない。
◇ ◇ ◇
『レン』
エリオス。
突然。
声。
「うわ」
『すまない』
「どうした?」
『今』
『何かをしたか』
「何か?」
『世界の』
『接続が』
『一瞬』
『揺れた』
「俺」
「根に」
「話してただけ」
『何を』
説明。
する。
109。
個体。
二本。
根。
一本。
戻った。
エリオス。
黙る。
「知ってる?」
『知らない』
「そっか」
『だが』
「何?」
『今』
『七柱の権能域外で』
『複数の反応が』
『同時に発生した』
「どこ?」
『世界各地だ』
さっき。
表示。
同じ。
「何が」
「起きた?」
『分からない』
また。
それ。
でも。
エリオス。
続ける。
『一つだけ』
『言える』
「何?」
『神が』
『与えていない力が』
一拍。
『目を覚まし始めている』
母なる根。
大きく。
一度。
脈打つ。
遠く。
どこか。
知らない。
場所。
何かが。
始まる。
神様。
いらない。
力。
それは。
神様を。
捨てる。
ためじゃない。
人が。
自分で。
選ぶ。
ため。
その。
可能性。
なのかもしれない。
そして。
俺の。
手の中には。
壊せる。
力。
残ってる。
だから。
次に。
必要なのは。
もっと。
強く。
なること。
じゃない。
何を。
壊すか。
何を。
残すか。
それを。
選べる。
こと。
だった。




