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神々は無職を選んだ  作者: 夜凪 灯
第一章 七柱と無職
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43/71

神託ログ43『最初の名前』

「神様と」


「約束した」



先輩の。



その言葉。



頭に。



残る。



「母なる根で?」



「ああ」



「カイルと?」



「ああ」



「フィリアも?」



先輩。



答えようと。



して。



止まる。



「……いた」



「本当に?」



「分からない」



「え?」



「フィリアという」


「名前の神はいた」



「でも」



男。



目。



伏せる。



「今のフィリアと」


「同じ存在かは」


「分からない」



そうだった。



名前が。



同じ。



だから。



同じ。



そう。



決めるな。



「北東へ」


「行けば分かる?」



「分からない」



「でも」


「何かは残ってる」



「根拠」



「カイルが」


「残すと言った」



「何を?」



先輩。



ゆっくり。



息を吐く。



「名前を」



「…………」



リナ。



首。



傾げる。



「名前?」



「ああ」



「誰の?」



「最初の」



◇ ◇ ◇



神殿。



東棟。



走る。



大神官。



先頭。



アリア。



俺。



リナ。



先輩。



後ろ。



いや。



先輩。



遅い。



「大丈夫?」



「二百年」


「寝てた人間に」


「走らせるな」



「言ったの」


「先輩でしょ」



「そうだった」



リナ。



先輩の。



腕。



取る。



「ほら」



「悪い」



「後で」


「パン一個」



「金取るのか?」



「パン」



「現物か」



「硬いやつ」



「やめてくれ」



こんな時。



なのに。



少し。



笑う。



その。



普通。



助かる。



◇ ◇ ◇



東棟。



着く。



人。



集まってる。



中央。



神像。



白い。



女性。



両手。



胸。



前。



重ねてる。



フィリア。



たぶん。



でも。



顔。



今まで。



見たこと。



ない。



俺には。



神様。



声しか。



分からない。



「これが」


「フィリア?」



大神官。



「ああ」



「似てる?」



「何に」



「本人」



「神像は」


「古い伝承をもとに」


「作られている」



「じゃあ」


「本人と同じかは?」



「保証できない」



また。



それ。



見る。



神像。



胸。



真ん中。



ひび。



一本。



そこから。



顔。



肩。



腹。



まで。



走ってる。



完全には。



崩れてない。



でも。



割れてる。



「いつ?」



アリア。



神官へ。



聞く。



「神託と」


「ほぼ同時です」



「触れた人は?」



「いません」



「地震」



「ありません」



「他の神像」



「異常なしです」



七柱。



フィリア。



だけ。



◇ ◇ ◇



「接続」


「戻す?」



リナ。



聞く。



「…………」



フィリア。



本人に。



聞きたい。



でも。



知らない声。



神に。



届いた。



さっき。



切った。



ばかり。



「先輩」



「俺に聞くな」



「まだ何も」



「顔が」


「聞いてる」



「みんな」


「俺の顔」


「読みすぎじゃない?」



「分かりやすい」



リナ。



「そう?」



「うん」



悲しい。



「でも」



先輩。



神像。



見る。



「ここで」


「繋ぐのは」


「やめた方がいい」



「理由」



「神託が」


「来た直後だから」



「知らない声が?」



「ああ」



「神を」


「呼んでる可能性がある」



「じゃあ」


「フィリアに聞くのは後」



「俺なら」


「そうする」



「了解」



自分で。



決める。



「今は」


「繋がない」



◇ ◇ ◇



「神託」


「もう一回」


「確認したい」



大神官。



頷く。



若い。



神官。



紙。



持ってくる。



「受信した内容は」


「これだけです」



『約束を、返せ』



「返せ」



何を。



約束。



返す。



変な。



言い方。



「約束を守れ」


「じゃない」



アリア。



「はい」



「果たせ」


「でもない」



「はい」



「返せ」



先輩。



顔。



曇る。



「昔も」


「聞いた?」



「…………」



「似た言葉」



「何て?」



男。



目。



閉じる。



「名前を返せ」



「誰が言った?」



「カイル」



「誰に?」



「俺に」



「何で?」



「…………」



長い。



沈黙。



「俺が」


「奪ったから」



空気。



止まる。



「名前を?」



「ああ」



◇ ◇ ◇



「どういう意味?」



先輩。



答えない。



拳。



握る。



「職業固定」



やっと。



言う。



「最初は」


「職業を」


「付けるだけだった」



「剣士」


「魔術師」


「商人」



「その人の」


「性質を見て」


「一番近いものを」


「表示する」



「それが」



アリア。



「固定へ変わった」



「ああ」



「でも」


「名前を奪うとは?」



先輩。



神像。



見る。



「管理機構では」


「名前と」


「職業は」


「同じ場所に」


「記録されてた」



「同じ場所?」



「個体を」


「識別するためだ」



「名称」


「分類」


「接続」


「性質」



「全部」


「一つの記録に」


「紐づいてた」



俺の。



表示。



思い出す。



【名称:レン・アルヴェイン】



【職業:なし】



「じゃあ」


「名前も」


「システムの一部?」



「違う」



先輩。



強く。



言う。



「そこを」


「俺たちが」


「間違えた」



「…………」



「名前は」


「先にあった」



「人が」


「呼び合うために」



「家族が」


「呼ぶために」



「自分が」


「自分だと」


「分かるために」



「それを」


「管理しやすいからって」



一拍。



「仕組みの中へ」


「入れた」



◇ ◇ ◇



「入れただけなら」


「奪ってない」



リナ。



言う。



「そうだ」



先輩。



頷く。



「最初は」



また。



その。



言葉。



嫌な。



予感。



する。



「何した?」



俺。



聞く。



「職業と」


「本人が」


「合わない時」



「分類を」


「修正した」



「職業を?」



「ああ」



「それでも」


「合わない奴がいた」



「その時」



男。



唇。



噛む。



「個体記録の方を」


「修正した」



「…………」



アリア。



筆。



止まる。



「名称を?」



「ああ」



「名前変えたら」


「職業に合うの?」



俺。



聞く。



「名前だけじゃない」



「記録全体だ」



「性質」


「祝福」


「接続」


「名称」



「全部を」


「職業側へ」


「寄せた」



「人を」


「職業に合わせた」



「ああ」



前。



聞いた。



矯正。



その。



中身。



「でも」


「本当の名前は?」



リナ。



「消えた」



先輩。



言う。



「記録から」



「本人は」


「覚えてるでしょ」



「最初は」



「…………」



リナ。



顔。



変わる。



「最初は?」



「長く」


「強い接続を」


「受けた人間は」



先輩。



声。



低く。



なる。



「自分を」


「職業名で」


「認識するようになった」



◇ ◇ ◇



「例えば」



「剣士として」


「固定された人間がいる」



「名前は」


「ある」



「でも」


「神具に触れれば」


「剣士」



「神託でも」


「剣士」



「周りからも」


「剣士」



「祝福も」


「剣士として」


「与えられる」



「何年も」


「何十年も」



「そうやって」


「呼ばれる」



先輩。



俺たち。



見る。



「どっちが」


「自分の名前だと思う?」



誰も。



答えない。



リナ。



自分の。



胸。



見る。



「私は」


「リナ」



「そうだ」



「狩剣士だけど」


「リナ」



「ああ」



「逆じゃない」



「そうだ」



先輩。



少し。



笑う。



「今は」


「そう言えるんだな」



リナ。



「前は」


「ちょっと怪しかった」



俺。



言う。



「ちょっと?」



「かなり」



「レン」



「はい」



「後で」



「何?」



「殴る」



「理不尽」



◇ ◇ ◇



「カイルは」


「それに反対した?」



俺。



聞く。



「ああ」



「最初から?」



「違う」



「カイルも」


「職業制度に」


「賛成してた」



「神官なのに?」



「だからだ」



「神の力が」


「人を助ける」



「向いてることが」


「分かれば」


「生きやすくなる」



「そう信じてた」



「でも」



「名前を」


「忘れた人を」


「見た」



「誰?」



「子ども」



声。



変わる。



「十歳くらいの」


「男の子」



「職業は?」



「採掘師」



「十歳で?」



「当時は」


「試験だった」



「年齢制限も」


「今ほど」


「整ってなかった」



嫌な。



言葉。



試験。



だから。



やった。



「その子」


「どうなった?」



「自分の名前を」


「聞かれて」



先輩。



一拍。



「採掘師」


「って答えた」



胸。



重い。



「本当の名前」



「カイルは」


「知ってた?」



「ああ」



「何て?」



先輩。



目。



閉じる。



「…………ルーク」



「ルーク」



「ああ」



「母親が」


「何度」


「呼んでも」



「自分のことだと」


「分からなかった」



◇ ◇ ◇



「戻った?」



リナ。



聞く。



「少し」



「どうやって?」



「接続を」


「弱めた」



「職業を」


「外した?」



「外せなかった」



「じゃあ」



「母親が」


「毎日」


「名前を呼んだ」



「ルーク」



「ルーク」



「ルーク」



「何度も」



「何日も」



「何週間も」



先輩。



小さく。



笑う。



「ある日」


「振り向いた」



「…………」



「それで」


「カイルは言った」



『名前は』



『神様が与えるものじゃない』



『呼んでくれる人が』



『守るものなんだ』



何か。



胸。



奥。



引っかかる。



俺。



レン。



アルヴェイン。



誰が。



付けた。



◇ ◇ ◇



「俺の名前」



口。



出る。



全員。



見る。



「レン・アルヴェイン」



「誰が」


「付けた?」



誰も。



答えない。



七柱。



接続。



切ってる。



最初。



目。



覚ました。



時。



俺。



レン。



だった。



この世界。



来て。



名前。



あった。



「先輩」



「何だ」



「あなた」


「こっち来た時」


「名前あった?」



「日本の名前が」



「表示された?」



「…………」



先輩。



止まる。



「いや」



「じゃあ」



「最初は」


「名称なし」



「後で」


「登録した」



「自分で?」



「ああ」



「日本の名前?」



「たぶん」



「今」


「忘れてるけど」



「そうだ」



俺。



違う。



最初から。



レン・アルヴェイン。



日本の。



名前。



じゃない。



たぶん。



俺が。



日本で。



レン・アルヴェイン。



だった。



記憶。



ない。



「俺」



「名前」


「最初からあった」



アリア。



「神々から


聞いていませんか」



「育成対象の」


「表示に」


「最初から」



【第109代育成対象】



【レン・アルヴェイン】



「…………」



先輩。



顔。



変わる。



「それ」


「誰が登録した?」



「分からない」



「神は?」



「七柱は」


「俺を選んでない」



「…………」



「現れた時には」


「もう」


「育成対象だった」



男。



立ち上がろうと。



する。



ふらつく。



「先輩」



「その名前」



「何?」



「レン」



「違う」



「アルヴェイン?」



「ああ」



「知ってる?」



先輩。



頭。



押さえる。



「聞いた」



「どこで?」



「二百年前」



心臓。



一回。



強く。



鳴る。



◇ ◇ ◇



「誰から?」



「待て」



「思い出す」



「無理しないで」



「今」


「出そうなんだ」



先輩。



目。



閉じる。



「アル」



「アル……」



「ヴェイン」



「人?」



「違う」



「場所?」



「違う」



「神?」



「違う」



男。



呼吸。



荒く。



なる。



「記録」



「何の?」



「最初の」



「最初の記録?」



「そうだ」



「さっき」


「探せって」



「ああ」



「名称」



「なかった」



「性質」



「未固定」



「でも」



先輩。



顔。



上げる。



「その前」



「前?」



「もっと古い」



「管理機構が」


「作られる前」



「人を」


「観測する仕組み」



「最初の名前が」


「あった」



「誰の?」



「違う」



先輩。



首。



振る。



「人の名前じゃない」



「じゃあ」



「仕組みの名前」



「何て?」



男。



口。



開く。



「アルヴェイン」



◇ ◇ ◇



誰も。



動かない。



「俺の」


「名字と同じ?」



「ああ」



「偶然」



「分からない」



「意味は?」



「思い出せない」



「記録は?」



「最下層」



「さっきの部屋?」



「もっと下」



「まだ下あるの!?」



大神官。



「図面にはない」



「もう」


「図面信用してないです」



「私もだ」



大神官。



早い。



「アルヴェイン」



アリア。



呟く。



「神殿記録では」


「家名として」


「確認できません」



「この世界に?」



「少なくとも」


「北方領の」


「主要記録には」



「じゃあ」


「俺の名字」


「どこから?」



答え。



ない。



神様。



知らない。



先輩。



知らない。



俺も。



知らない。



でも。



二百年前より。



もっと。



前。



同じ。



言葉。



あった。



◇ ◇ ◇



「母なる根」



先輩。



突然。



言う。



「何?」



「アルヴェインの」


「記録」



「そこにも」


「あった」



「北東?」



「ああ」



「カイルが」


「最後に」


「持っていった」



「何を?」



「最初の記録の」


「一部」



「何で?」



「守るため」



「誰から?」



先輩。



答え。



止まる。



「俺から」



「…………」



「当時の俺は」


「管理者だった」



「最初の記録を」


「消そうとした」



「何で?」



「古い仕組みが」


「残ってると」


「職業制度が」


「安定しない」



「そう」


「言われた」



「誰に?」



「知らない声」



また。



そいつ。



「カイルは」


「止めた?」



「ああ」



「記録を」


「盗んだ」



「神殿から?」



「ああ」



「神官なのに」



「だから」


「追われた」



◇ ◇ ◇



「俺が」


「追った」



先輩。



言う。



「カイルを?」



「ああ」



「捕まえた?」



「母なる根で」



「それで?」



先輩。



顔。



歪む。



「剣を」


「向けた」



「…………」



リナ。



剣。



柄。



触る。



「殺した?」



「分からない」



「そこ」


「覚えてない?」



「違う」



「最後まで」


「見てない」



「何があった?」



「フィリアが」


「来た」



「二百年前の?」



「ああ」



「俺と」


「カイルの」


「間に立った」



「何て?」



先輩。



声。



震える。



『その剣を』



『置いてください』



「俺は」


「拒否した」



『これは』



『世界のためだ』



「そう言った」



「フィリアは?」



『世界のために』



『一人を消すことを』



一拍。



『その人は』



『選んでいますか』



胸。



刺さる。



フィリア。



昔から。



同じ。



なのか。



それとも。



違う。



のか。



「俺は」


「答えられなかった」



「カイルは?」



「笑った」



「何で?」



「俺に」



先輩。



目。



伏せる。



『お前』



『昔から』



『正解があると』



『思いすぎなんだよ』



少し。



笑う。



「友達」



「だったんだね」



「ああ」



「たぶん」


「一番」



◇ ◇ ◇



「その時」


「約束した?」



「そうだ」



「三人で?」



「俺」



「カイル」



「フィリア」



「内容」



「人の名前を」


「仕組みが」


「決めない」



「職業が」


「人を」


「決めない」



「神が」


「人の選択を」


「奪わない」



「管理者が」


「神の代わりに」


「ならない」



二百年前の。



誓約。



繋がる。



「でも」


「誓約書」


「人間代表」


「空欄だった」



「ああ」



「先輩が」


「署名しなかったから」



「ああ」



「カイルは?」



「署名する前に」


「いなくなった」



「どこへ?」



「母なる根の」


「奥」



「死んだ?」



「分からない」



「追わなかった?」



「追えなかった」



「何で?」



「声が」


「命令した」



「何て?」



男。



唇。



震える。



『管理者は』



『神に戻れ』



「…………」



「それで」


「戻った?」



「ああ」



「友達を」


「置いて?」



「ああ」



「後悔してる?」



「二百年」



即答。



重い。



◇ ◇ ◇



若い。



神官。



走って。



戻る。



「大神官様!」



「今度は何だ」



「北東部から」


「第二神託です」



「内容」



神官。



紙。



差し出す。



『最初の名前を返せ』



俺。



紙。



見る。



「最初の名前」



リナ。



「レンの?」



「分からない」



先輩。



「アルヴェイン」



「仕組みの?」



「可能性はある」



アリア。



「第一神託は」


「約束を返せ」



「第二神託は」


「最初の名前を返せ」



「誰が」


「誰に?」



分からない。



「発信場所」



俺。



聞く。



神官。



「特定できません」



「北東ってだけ?」



「はい」



「母なる根は?」



神官。



固まる。



「何で」


「その名を」



「知ってる?」



「知っているも何も」



若い。



神官。



大神官。



見る。



「禁足地です」



「…………」



大神官。



目。



細く。



する。



「今も?」



「はい」



「場所」



「神殿から」


「北東へ」


「二日ほど」



先輩。



「昔と」


「同じだ」



「何がある?」



神官。



「巨大な」


「白い樹」



「樹?」



「根の一部が」


「地上へ出ています」



白い。



根。



村。



思い出す。



「周辺に」


「紫の花?」



神官。



驚く。



「あります」



「ムラサキネムリ?」



「地方名は」


「そう呼ばれています」



繋がった。



◇ ◇ ◇



「村の地下の」


「白い根」



俺。



言う。



「母なる根と」


「繋がってる?」



アリア。



「距離的には」


「可能性があります」



「でも」


「証拠ない」



「はい」



「黒い水」



「古い施設」



「二百年前」



「母なる根」



「カイル」



「最初の記録」



頭。



いっぱい。



「行く?」



リナ。



聞く。



行きたい。



今すぐ。



でも。



前。



俺なら。



もう。



走ってる。



「準備する」



リナ。



笑う。



「成長」



「二回目」



「褒めてる」



「ありがとう」



大神官。



「許可は」


「私が出す」



「禁足地なのに?」



「禁足にした理由を」


「調べる」



「記録は?」



アリア。



「探します」



「私も」



大神官。



「休め」



「ですが」



「ユリウスなら」


「言うだろう」



アリア。



止まる。



「…………四時間」



「八時間」



「六時間」



「七」



「六」



「交渉成立」



俺。



「何これ」



リナ。



「大人の会話」



「雑」



◇ ◇ ◇



神殿。



一室。



戻る。



先輩。



ベッド。



座る。



「寝た方が」



「二百年寝た」



「それ」


「今後ずっと使う?」



「便利だからな」



「寝不足には?」



「効かない」



「寝て」



「はい」



素直。



俺。



扉。



出ようと。



する。



「レン」



「何?」



「名前」



「うん」



「気をつけろ」



「何に?」



「名前が」


「分かった時」



「それが」


「お前の答えだと」


「思うな」



「…………」



「レン・アルヴェイン」



「それが」


「誰かに」


「付けられた名前でも」



「仕組みの名前でも」



「何かの」


「役割でも」



先輩。



俺。



見る。



「今」


「お前が」


「レンって呼ばれて」


「振り向くなら」



一拍。



「それも」


「お前の名前だ」



「…………」



「カイルの」


「受け売り?」



先輩。



少し。



笑う。



「たぶん」



「いい言葉」



「あいつ」


「そういうの」


「得意だった」



◇ ◇ ◇



部屋。



戻る。



リナ。



ベッド。



倒れる。



「疲れた」



「俺も」



「寝る」



「六時間」



「私は八」



「ずるい」



「狩剣士だから」



「久しぶりに」


「使ったな」



「便利だから」



先輩と。



同じ。



「リナ」



「何?」



「俺」


「レンに見える?」



「何それ」



「名前」



「俺が」


「本当は」


「別の名前だったら」



リナ。



枕。



顔。



埋めたまま。



「知らない」



「即答」



「でも」



顔。



少し。



上げる。



「レンって呼んだら」


「返事するでしょ」



「する」



「じゃあ」


「今はレン」



「単純」



「悪い?」



「いや」



悪くない。



◇ ◇ ◇



眠れない。



目。



閉じる。



日本。



思い出そうと。



する。



顔。



出ない。



家。



出ない。



家族。



出ない。



名前。



出ない。



でも。



日本語。



分かる。



スマホ。



知ってる。



コンビニ。



知ってる。



俺。



誰。



その。



問い。



前より。



怖くない。



少し。



だけ。



だって。



分からなくても。



今日。



俺は。



俺。



だった。



ユリウス。



助けられなかった。



知らない。



命。



助けた。



先輩。



見つけた。



リナ。



隣。



いる。



それ。



全部。



名前。



なくても。



消えない。



目。



閉じる。



その時。



声。



する。



「レン」



「ん……」



「レン」



リナ?



違う。



女。



声。



柔らかい。



「レン」



目。



開ける。



部屋。



暗い。



リナ。



寝てる。



「…………」



神様?



接続。



切ってる。



「誰?」



返事。



ない。



また。



「レン」



今度。



近い。



ベッド。



横。



見る。



誰も。



いない。



でも。



声。



懐かしい。



何で。



分からない。



のに。



懐かしい。



「誰」



声。



言う。



『その名前を』



一拍。



『誰にも』



『返さないで』



身体。



起こす。



「待って」



『あなたが』



ノイズ。



入る。



『選んだ』



「俺が?」



『最初の――』



消える。



「待って!」



リナ。



飛び起きる。



「何!?」



「声」



「また?」



「うん」



「知らないやつ?」



「分からない」



「何て?」



伝える。



リナ。



眠そうな。



顔。



一気に。



起きる。



「レンが」


「選んだ名前?」



「そう聞こえた」



「じゃあ」


「誰かに」


「付けられたんじゃない?」



「分からない」



「アルヴェインは?」



「そこまで」


「聞けなかった」



「…………」



二人。



黙る。



その時。



窓。



外。



淡い。



光。



北東。



空。



一本。



白い。



光。



上がる。



「何あれ」



リナ。



窓。



開ける。



神殿。



鐘。



鳴る。



一回。



二回。



三回。



廊下。



足音。



「また?」



扉。



叩かれる。



「レン!」



アリア。



開ける。



「北東です」



「見えてる」



「違います」



「何が?」



アリア。



紙。



一枚。



持ってる。



「禁足地の」


「監視記録が」


「更新されました」



「内容」



アリア。



読む。



【母なる根】



【休眠状態――解除】



次。



【保護対象】



【一名】



「一人?」



「はい」



「誰?」



アリア。



俺。



見る。



「名称が」


「出ています」



胸。



鳴る。



「何て?」



アリア。



答える。



「カイル」



先輩の。



友達。



二百年前。



母なる根へ。



消えた。



人。



「生きてる?」



「記録上は」



一拍。



「保護対象として」


「現在も」


「存在しています」



二百年前の。



約束。



まだ。



終わってない。



そして。



最初の名前を。



知っているかもしれない。



人間が。



まだ。



生きている。

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