神託ログ36「不合格者、検査官になる」
『次に来る俺へ。』
その一文を。
俺は。
何度も。
見た。
次に。
来る。
俺。
意味は。
分かる。
でも。
意味が。
分からない。
「レン」
リナ。
声。
「大丈夫?」
「…………」
「レン」
「あ」
顔。
上げる。
アリア。
リナ。
二人とも。
俺。
見てる。
「ごめん」
「何が書いてあるんです?」
アリア。
聞く。
俺。
紙。
見る。
「次に来る俺へ」
「…………」
「それだけ?」
「この下は」
「ない」
紙。
端。
切れてる。
破れた。
というより。
意図的に。
切られた。
みたいに。
真っ直ぐ。
「続き」
「切られてる?」
リナ。
「たぶん」
アリア。
紙。
持ち上げる。
端。
見る。
「切断されています」
「いつ?」
「分かりません」
「また」
「はい」
アリア。
少し。
悔しそう。
「分からないことが」
「多すぎる」
「最近」
「ずっとそれです」
「あなたは」
「慣れているかもしれませんが」
「慣れたくない」
本当に。
◇ ◇ ◇
「一回」
「整理していい?」
俺。
椅子。
座る。
「はい」
アリア。
紙。
机。
戻す。
「二百年前」
指。
一本。
「職業制度が」
「今の形に」
「整備された」
「はい」
「その頃」
「試験対象〇〇一」
二本。
「職業分類」
「失敗」
「表示名称」
「なし」
「はい」
「その記録の」
「近くに」
三本。
「日本語」
「ニホンゴ?」
アリア。
「俺がいた世界の」
「文字です」
「…………」
アリア。
顔。
変わる。
「あなたの世界?」
「俺」
「ここの人間じゃないんです」
「レン」
リナ。
「言っていいの?」
「ここまで来たら」
「隠す方が面倒」
アリア。
俺。
じっと。
見る。
「異世界から」
「来たと?」
「はい」
「証明は?」
「ない」
「では」
「でも」
紙。
指す。
「これ」
「読める」
アリア。
黙る。
「この世界で」
「誰も読めない文字を」
「七柱も」
「読めない文字を」
「俺は読める」
「それが」
「証明になるかは」
「分からない」
「でも」
一拍。
「関係ないとは」
「思えない」
アリア。
眼鏡。
押し上げる。
「同意します」
「信じる?」
「まだ」
即答。
「ですよね」
「ですが」
「仮説としては」
「扱います」
「それでいい」
むしろ。
その方が。
信用。
できる。
◇ ◇ ◇
「続けます」
アリア。
別の。
記録。
出す。
「試験対象〇〇一の」
「記録は」
「これだけではありません」
「あるの?」
「断片だけ」
紙。
三枚。
石板。
一つ。
「完全な記録は」
「意図的に」
「分割された可能性があります」
「何で?」
「分かりません」
「はい」
慣れて。
きた。
「これは?」
一枚。
見る。
古語。
俺。
読めない。
アリア。
読む。
「第一回」
「職業分類試験」
次。
「対象個体」
「適合せず」
「第二回」
「再試験」
「複数分類」
「同時反応」
「…………」
俺。
職業石。
思い出す。
剣士。
魔術師。
商人。
鍛冶師。
治療師。
学士。
出て。
消えた。
「第三回」
アリア。
続ける。
「判定装置」
「破損」
リナ。
俺。
見る。
「レン」
「言わないで」
「同じ」
「言わないで!」
アリア。
「何がです?」
リナ。
「レンも」
「職業石」
「壊した」
「俺が壊したんじゃない!」
「触ったら割れた」
「言い方!」
アリア。
俺。
見る。
「……報告にあります」
「あるんだ……」
恥ずかしい。
◇ ◇ ◇
「対象〇〇一」
「その後は?」
「ここから」
「記録が変わります」
「変わる?」
「はい」
アリア。
次。
紙。
置く。
「第四回」
「分類試験」
一拍。
「中止」
「中止?」
「理由」
「対象個体から」
「申し入れ」
「…………」
「本人が」
「断った?」
「そのようです」
リナ。
「レンみたい」
「俺まだ」
「検査断ってないからね?」
「追加検査は断った」
「…………」
確かに。
「その後」
アリア。
指。
滑らせる。
「対象〇〇一を」
「分類対象から除外」
「除外」
「はい」
「職業」
「つかなかった?」
「記録上は」
「そのまま?」
「おそらく」
「…………」
二百年前。
俺と。
同じ。
なし。
人。
いた。
職業。
つかない。
判定装置。
壊す。
そして。
検査。
断る。
その人が。
日本語。
書いた。
「次に来る俺へ」
偶然。
そう。
思う方が。
難しい。
◇ ◇ ◇
「アリアさん」
「はい」
「〇〇一の」
「名前」
「ないんですよね?」
「はい」
「性別」
「不明」
「年齢」
「不明」
「出身」
「不明」
「能力」
「記録なし」
「何もない」
「だから」
「不完全記録として」
「扱われています」
「でも」
俺。
紙。
見る。
「本当に」
「最初から」
「なかった?」
アリア。
止まる。
「どういう意味です?」
「消された」
「可能性」
「…………」
アリア。
少し。
黙る。
「あります」
「やっぱり」
「ただし」
「証拠はありません」
「うん」
「古記録には」
「不自然な欠落が」
「多すぎます」
「誰が消した?」
「分かりません」
「神殿?」
「可能性はあります」
「七柱?」
アリア。
俺。
見る。
「それを」
「あなたが聞きますか」
「聞く」
七柱。
頭。
中。
いる。
「みんな」
呼ぶ。
「この記録」
「消した?」
ガルド。
『知らん』
セレナ。
『知らないわ』
メルク。
『俺ではない』
ヴォルグ。
『違う』
フィリア。
『していません』
ノア。
『私の管理記録には』
『該当する操作がありません』
最後。
エリオス。
少し。
遅い。
『私ではない』
「…………」
「全員」
「違うって」
アリア。
「信じますか?」
「今は」
「今は?」
「嘘ついてる証拠」
「ないから」
「では」
「神々が嘘をつく可能性は?」
七柱。
静か。
なる。
「ある」
俺。
答える。
「…………」
「あると思う」
「何で?」
「嘘じゃなくても」
「言わないことはある」
エリオス。
何も。
言わない。
「知らないことも」
「ある」
「間違うことも」
「だから」
「神様が言った」
「だけでは」
「事実にはしない」
アリア。
しばらく。
俺。
見る。
「なるほど」
「何?」
「あなたが」
「この記録を読む理由が」
「少し分かった気がします」
「どういう?」
「まだ」
「仮説です」
「じゃあ」
「仮説として聞きます」
アリア。
ほんの。
少し。
笑う。
「あなた」
「面倒ですね」
「よく言われます」
リナ。
「最近もっと」
「味方して?」
◇ ◇ ◇
アリア。
奥。
棚。
向かう。
「待っていて」
梯子。
上る。
箱。
一つ。
取る。
机。
置く。
鍵。
三つ。
開ける。
「厳重」
リナ。
「閲覧禁止資料です」
「見せていいの?」
「よくありません」
「アリアさん」
「意外と攻めるね」
「あなたにだけは」
「言われたくありません」
箱。
中。
小さい。
石板。
黒い。
「これは?」
「検査官用の」
「旧式判定板」
「職業石?」
「原型に近いものです」
「動く?」
「一部だけ」
嫌な。
予感。
「触らないよ?」
「まだ」
「何も言っていません」
「先に言っとく」
アリア。
石板。
机。
置く。
「これは」
「職業を判定するための」
「道具ではありません」
「え?」
「では何を?」
リナ。
聞く。
「判定装置が」
「正しく動作しているかを」
「検査するためのもの」
「検査機を」
「検査する?」
「はい」
「職業石を」
「判定する道具?」
「簡単に言えば」
「へえ」
俺。
近づく。
「どう使う?」
「検査官が」
「自身の情報を」
「基準として登録します」
「それから?」
「対象となる判定装置へ」
「接続する」
「異常があれば」
「検出する」
「今も使う?」
「いいえ」
「何で?」
「危険だからです」
「…………」
「先に言って」
「今言いました」
正しい。
◇ ◇ ◇
「どんな危険?」
「検査官と」
「判定装置の情報が」
「一時的に接続されます」
「接続」
また。
嫌な。
言葉。
「昔」
「事故が?」
「あります」
「何が起きた?」
「検査官の」
「職業情報が」
「上書きされた」
リナ。
「上書き?」
「一時的ですが」
「剣士が」
「商人として表示されたり」
「神官が」
「無職になったり」
「戻った?」
「多くは」
「戻らなかった人?」
「記録があります」
「じゃあ」
「使わない」
即答。
アリア。
「まだ」
「頼んでいません」
「予防です」
「ですが」
「ですが?」
アリア。
石板。
見る。
「対象〇〇一の」
「記録に」
「この道具が」
「出てきます」
「使った?」
「はい」
「誰が?」
「〇〇一本人」
「…………」
「検査される側が」
「検査官になった?」
「記録上は」
「何で?」
「判定装置が」
「〇〇一を」
「分類できなかったからです」
アリア。
古い。
記録。
読む。
「対象を」
「判定できない場合」
「対象ではなく」
「判定機構側に」
「異常がある可能性を」
「検証する」
「…………」
「なるほど」
リナ。
「分かる?」
「ちょっと」
俺。
石板。
見る。
ずっと。
俺。
判定。
されてた。
無職。
なし。
分類不能。
お前は。
何だ。
お前は。
どこに。
入る。
でも。
もし。
俺が。
おかしい。
んじゃなくて。
測る。
仕組み。
そっちが。
俺を。
測れない。
だけ。
なら。
「不合格者が」
俺。
呟く。
「検査官になった」
アリア。
「そのようです」
「結果は?」
「ありません」
「また?」
「記録が」
「切り取られています」
「…………」
徹底。
してる。
誰か。
何か。
残したく。
なかった。
◇ ◇ ◇
「これ」
俺。
黒い。
石板。
見る。
「今の職業石にも」
「使える?」
アリア。
止まる。
「理論上は」
「…………」
「使う気?」
リナ。
「まだ」
「顔が使う顔」
「どんな顔だよ」
「昨日」
「扉触った時と同じ」
「やめようかな」
「やめて」
即答。
でも。
気になる。
俺の。
職業石。
壊れた。
理由。
俺が。
異常。
だったから。
そう。
思ってた。
でも。
判定側。
おかしい。
可能性。
ある。
二百年前。
同じ。
人。
それ。
調べた。
「アリアさん」
「はい」
「今の職業石」
「正常かどうか」
「調べたことある?」
「定期検査は」
「あります」
「俺が触ったやつ」
「破損後」
「確認されています」
「結果」
「装置としては」
「異常なし」
「割れたのに?」
「破損箇所以外の」
「判定機構には」
「異常が確認されませんでした」
「じゃあ」
「俺?」
「そう」
「判断されています」
「されています」
その。
言い方。
「アリアさんは?」
「…………」
「どう思う?」
アリア。
眼鏡。
外す。
布。
拭く。
時間。
稼いでる。
「分かりません」
「うん」
「ですが」
眼鏡。
戻す。
「一つ」
「疑問があります」
「何?」
「正常な装置が」
「対象を」
「分類できなかった」
「はい」
「それなら」
「通常は」
「判定不能と」
「表示すればいい」
「…………」
職業石。
思い出す。
未判定。
不明。
無職。
全部。
出た。
そして。
消えた。
最後。
なし。
「なのに」
「装置は」
「何度も」
「あなたを」
「分類しようとした」
「剣士」
「魔術師」
「商人」
「鍛冶師」
「治療師」
「学士」
「全部」
「違うって」
「消した」
「誰が?」
「装置が」
アリア。
首。
振る。
「本当に?」
「…………」
ぞく。
背中。
寒い。
「何が言いたい?」
「判定装置は」
「分類を」
「提示するものです」
「はい」
「通常」
「自分で提示した分類を」
「自分で否定するような」
「動作はしません」
「じゃあ」
リナ。
「何かが」
「消した?」
「その可能性」
「ある?」
「あります」
俺。
黒い。
石板。
見る。
「それ」
「調べられる?」
「可能性は」
「危険?」
「はい」
「どれくらい?」
「分かりません」
「…………」
やる。
とは。
まだ。
言わない。
◇ ◇ ◇
「一回」
「休憩しよ」
リナ。
突然。
言う。
「今?」
「今」
「いいところ」
「レン」
「昨日から」
「ちゃんと食べてない」
「食べた」
「パン半分」
「食べてる」
「半分」
「…………」
アリア。
「休憩にします」
「アリアさんまで」
「判断力が落ちた状態で」
「旧式神具を扱わせるほど」
「私は無責任ではありません」
「扱うって」
「決まってない」
「扱いたい顔です」
「みんな」
「俺の顔読めすぎじゃない?」
リナ。
「分かりやすい」
不本意。
◇ ◇ ◇
神殿。
食堂。
パン。
スープ。
肉。
ちゃんと。
食べる。
「おいしい」
リナ。
「生き返る」
「昨日」
「生き返らせる側だったけどね」
「言い方」
アリア。
向かい。
座ってる。
「一つ」
「聞いていいですか」
「どうぞ」
「あなたは」
「なぜ」
「北方大神殿まで?」
「最初は」
「俺の職業」
「今は?」
「増えました」
「具体的には」
俺。
指。
折る。
「俺が」
「何なのか」
一つ。
「誰が」
「俺を選んだのか」
二つ。
「二百年前の」
「〇〇一は誰なのか」
三つ。
「古い施設は」
「何なのか」
四つ。
「根を切れって」
「誰が教えたのか」
五つ。
「日本語を」
「誰が書いたのか」
六つ。
「次に来る俺」
「って何なのか」
七つ。
「多い」
リナ。
「七個」
「神様と同じ数」
「縁起いい」
「そういう問題?」
アリア。
少し。
考える。
「一つ」
「抜けています」
「何?」
「あなたは」
「何をしたいのか」
「…………」
「答えを知った後」
「どうするのです?」
止まる。
考えて。
なかった。
俺。
何。
したい。
元の。
世界。
戻りたい?
最初は。
そう。
思った。
今。
どう。
だろう。
職業。
欲しい?
最初。
無職。
嫌だった。
今。
なし。
それでも。
生きてる。
「分からない」
アリア。
「そうですか」
「でも」
スープ。
見る。
「分からないまま」
「誰かに」
「決められるのは嫌」
「…………」
「だから」
「知りたい」
「知った上で」
「自分で決めたい」
アリア。
「面倒な人」
「さっきも言われた」
「褒めています」
「絶対嘘」
◇ ◇ ◇
休憩。
終わる。
記録庫。
戻る。
黒い。
石板。
机。
ある。
「使うなら」
アリア。
言う。
「条件があります」
「まだ」
「使うって」
「使いますか?」
「…………」
リナ。
俺。
見る。
「使いたい」
「正直」
「でも」
「怖い」
「それでいい」
リナ。
言う。
「怖くないって」
「言ったら止める」
「じゃあ」
「めちゃくちゃ怖い」
「盛った?」
「少し」
アリア。
「条件」
「はい」
「異常があれば」
「即座に中止」
「はい」
「神々から」
「危険の指摘があれば」
「中止」
「内容聞いてから」
「中止です」
「厳しい」
「当然です」
「三つ目」
「まだある?」
「私の指示に」
「従う」
「…………」
「レン」
リナ。
「何」
「嫌そう」
「神様お断り」
「した翌日に」
「指示に従えって」
アリア。
「私は神ではありません」
「確かに」
「なら?」
「分かりました」
「四つ目」
「多い!」
「結果を」
「自分の価値だと」
「思わないこと」
「…………」
言葉。
止まる。
アリア。
「判定は」
「判定です」
「あなたではない」
リナ。
少し。
笑う。
「それ」
「私も覚えとく」
「うん」
「分かりました」
◇ ◇ ◇
石板。
前。
座る。
アリア。
隣。
古い。
小型。
職業石。
置く。
「これは」
「訓練用です」
「壊しても」
「怒られない?」
「怒ります」
「はい」
「まず」
「私がやります」
アリア。
石板。
触る。
光。
淡い。
【基準個体】
【名称:アリア・クロウ】
【職業:記録官】
【分類接続:正常】
「正常」
次。
訓練用。
職業石。
触る。
黒い。
石板。
文字。
【判定機構】
【正常】
「これが」
「検査」
「はい」
「次」
「リナ」
「私?」
「比較対象が」
「必要です」
リナ。
俺。
見る。
「やる?」
「嫌なら」
「やらなくていい」
「やる」
リナ。
触る。
【基準個体】
【名称:リナ】
【職業:狩剣士】
【分類接続:正常】
「正常」
「ちょっと嬉しい」
「何で?」
「レン見てたから」
「基準俺にしないで」
アリア。
「次」
俺。
番。
手。
汗。
出る。
「レン」
リナ。
「うん」
「嫌なら」
「やめていい」
「うん」
「途中でも」
「うん」
「何かあったら」
「手離す」
「よし」
俺。
黒い。
石板。
触る。
冷たい。
何も。
起きない。
「…………」
一秒。
二秒。
光。
つく。
【基準個体】
次。
【名称:レン・アルヴェイン】
「ここまでは」
「普通」
アリア。
小さく。
言う。
次。
【職業】
止まる。
文字。
揺れる。
【なし】
「…………」
予想。
通り。
次。
【分類接続】
長い。
沈黙。
【接続なし】
アリア。
息。
呑む。
「やっぱり」
俺。
言う。
でも。
終わらない。
文字。
消える。
新しい。
表示。
【基準個体として登録できません】
「…………」
「不合格?」
リナ。
「また!?」
アリア。
「待って」
次。
【代替基準を検索】
「代替?」
ノア。
『挙動が』
『通常と異なります』
「離す?」
アリア。
「まだ」
表示。
変わる。
【既存分類】
【照合不能】
【職業情報】
【参照不能】
【神性接続】
一瞬。
止まる。
【なし】
七柱。
誰も。
声。
出さない。
そして。
最後。
【検査対象を変更】
「え?」
アリア。
顔。
変わる。
「手を離して」
俺。
離そうと。
する。
でも。
表示。
先。
出る。
【基準個体:レン・アルヴェイン】
【分類判定:不適格】
次。
【判定機構を検査します】
「…………」
「アリアさん」
「離して!」
手。
離す。
今度。
離れた。
光。
消えない。
訓練用。
職業石。
勝手に。
光る。
【検査開始】
「俺」
「触ってない」
「分かっています」
石。
中。
光。
揺れる。
【職業分類機構】
【正常】
次。
【神性接続機構】
長い。
沈黙。
【異常】
「…………」
アリア。
立つ。
「そんな」
次。
【対象範囲を拡張】
「何を」
「調べてる?」
ノア。
『分かりません』
「止められる?」
アリア。
石板。
触る。
反応。
ない。
【神性接続】
【照合中】
七つ。
光。
浮かぶ。
七柱。
紋章。
一つ。
二つ。
三つ。
全部。
正常。
そして。
八つ目。
「…………」
光。
一つ。
増える。
知らない。
紋章。
丸。
その中。
縦。
一本。
割れた。
みたいな。
形。
「何これ」
リナ。
七柱。
誰も。
答えない。
【未登録接続】
【検出】
「未登録?」
俺。
立つ。
【接続元】
文字。
揺れる。
【不明】
【管理権限】
【不明】
【名称】
一瞬。
空白。
そして。
【――】
何も。
ない。
「神様?」
俺。
聞く。
誰に。
聞いたか。
分からない。
ガルド。
『知らん』
セレナ。
『私も』
メルク。
『違う』
ヴォルグ。
『知らん』
フィリア。
『分かりません』
ノア。
『記録にありません』
エリオス。
『…………』
「エリオス?」
『私も』
『知らない』
八つ目。
七柱。
誰も。
知らない。
接続。
「アリアさん」
「これは」
アリア。
顔。
青い。
「旧式判定板が」
「検査官として」
「あなたを」
「受理した」
「でも」
「不適格って」
「分類される側としては」
「…………」
アリア。
俺。
見る。
「判定される側として」
「あなたは不合格」
一拍。
「だから」
「判定する側へ」
「切り替わった」
「そんなこと」
「ある?」
「知りません」
「〇〇一は?」
アリア。
古い。
記録。
見る。
「同じだった」
「可能性があります」
黒い。
石板。
最後。
文字。
出る。
【検査官権限】
【暫定付与】
【対象:レン・アルヴェイン】
「…………」
俺。
笑えない。
「無職」
「なし」
「不適格」
「次は」
「検査官?」
リナ。
「出世?」
「方向が」
「分からない」
でも。
その下。
もう一つ。
表示。
出る。
【検査対象を選択してください】
「選択?」
アリア。
「通常なら」
「判定装置を」
「指定します」
「じゃあ」
「これ?」
訓練用。
職業石。
「はい」
俺。
見る。
でも。
黒い。
石板。
勝手に。
文字。
変わる。
【候補を検出】
一つ。
表示。
【北方大神殿】
「…………」
部屋。
静か。
なる。
「神殿そのもの?」
リナ。
「そんな」
「検査対象」
アリア。
声。
震える。
「聞いたことがありません」
次。
【検査しますか】
【YES/NO】
「レン」
リナ。
「押さないで」
「まだ何も」
「顔」
「そんなに?」
「すごく」
俺。
表示。
見る。
北方大神殿。
ここ。
そのもの。
正常。
なのか。
異常。
なのか。
旧い。
判定板。
俺に。
調べろ。
言ってる。
「…………」
手。
伸ばさない。
まだ。
情報。
足りない。
「今日は」
「やめる」
リナ。
「ほんと?」
「ほんと」
アリア。
少し。
驚く。
「意外です」
「俺」
「どんな扱い?」
「触ると思いました」
「俺も」
「ちょっと思った」
「レン」
「でも」
黒い。
石板。
見る。
「怖いから」
「一回調べる」
「何を?」
「この神殿」
「この石板」
「〇〇一」
「八つ目」
一拍。
「全部」
アリア。
頷く。
「それが」
「いいと思います」
その時。
記録庫。
外。
――カタン。
音。
「…………」
リナ。
剣。
手。
伸ばす。
アリア。
扉。
見る。
「誰かいる?」
返事。
ない。
俺たち。
顔。
見合わせる。
アリア。
ゆっくり。
扉。
開ける。
廊下。
誰も。
いない。
「何?」
リナ。
床。
指す。
紙。
一枚。
落ちてる。
さっきまで。
なかった。
アリア。
近づく。
「触らないで」
俺。
止める。
「分かっています」
紙。
見る。
文字。
ある。
日本語。
「…………」
「レン」
「うん」
「読める?」
読める。
短い。
一文。
『検査するな。』
その下。
もう一行。
『神殿は、もう神のものじゃない。』
背中。
冷える。
「何て?」
アリア。
俺。
紙。
見たまま。
答える。
「検査するな」
「それと」
喉。
乾く。
「神殿は」
「もう」
「神のものじゃない」
七柱。
沈黙。
する。
リナ。
剣。
抜く。
アリア。
廊下。
見る。
誰も。
いない。
俺。
黒い。
石板。
振り返る。
表示。
まだ。
消えてない。
【検査対象:北方大神殿】
【YES/NO】
誰かが。
俺に。
検査しろ。
と言ってる。
誰かが。
検査するな。
と言ってる。
どっちが。
神。
どっちが。
人。
どっちが。
味方。
まだ。
何も。
分からない。
ただ。
一つ。
分かった。
ここへ。
答えを。
探しに。
来た。
はずなのに。
どうやら。
北方大神殿。
そのものが。
問題。
らしい。




