神託ログ27 職業:なし
翌朝。
七柱との話し合いは。
思ったより。
短かった。
「で」
俺は。
聞いた。
「結論は?」
沈黙。
一。
二。
三。
「何で誰も喋らないの?」
【戦神ガルド】
『俺は反対だ!』
「お」
【魔法神セレナ】
『私は見たい』
「おお」
【商神メルク】
『危険性と得られる情報次第だ』
「普通」
【鍛冶神ヴォルグ】
『分からん』
「ヴォルグらしい」
【生命神フィリア】
『私は……』
止まる。
「反対?」
『できれば』
「ノア」
【知識神ノア】
『現時点では、推奨も非推奨もできません』
「エリオス」
【創世神エリオス】
『…………』
「また最後に黙る」
『考えている』
「昨日から?」
『ああ』
「長くない?」
『長い』
認めた。
俺は。
ため息。
つく。
「そもそも」
「職業判定って」
「そんな危ないの?」
ノア。
『通常は危険ではありません』
「じゃあ何で」
「みんなそんな感じなの?」
返事。
ない。
「俺だから?」
沈黙。
答え。
出たようなもの。
「…………」
やっぱり。
「何か知ってる?」
エリオス。
『可能性を』
「可能性?」
『知っている』
「何の?」
『お前の職業判定が』
少し。
間。
『通常とは異なる結果になる可能性だ』
「…………」
「それ」
「昨日言えたよね?」
『ああ』
「何で言わなかった?」
エリオス。
黙る。
胸。
少し。
ざらつく。
西の森。
神託。
あの時も。
そうだった。
分からない。
なら。
分からない。
知っている。
なら。
知っている。
その違いを。
勝手に。
曖昧にしてほしくない。
「エリオス」
『……不安を』
「うん」
『与えると思った』
「それを決めるの」
「俺じゃない?」
沈黙。
フィリア。
何も。
言わない。
ノアも。
「危険なら」
俺。
続ける。
「危険って言って」
「分からないなら」
「分からないって言って」
「可能性だけ知ってるなら」
「可能性って言って」
「その上で」
一拍。
「俺が決める」
エリオス。
長く。
黙った。
『分かった』
「じゃあ」
「もう一回聞く」
「職業判定」
「受けたら」
「何が起きる可能性がある?」
ノア。
答える。
『判定不能』
『初回と同じく無職と表示』
『別の職業が表示』
『判定装置が正常に反応しない』
「他は?」
『不明です』
「危険?」
『身体への直接的危険は、通常の判定では極めて低いです』
「俺の場合」
『保証できません』
「それでいい」
分からない。
ちゃんと。
分からない。
「俺」
息。
吐く。
「受ける」
ガルド。
『レン』
「うん」
『俺は反対だ』
「分かってる」
『何が起きるか分からん』
「うん」
『なら』
「でも」
止める。
「何が起きるか分からないから」
「ずっと見ないのも」
「違うと思う」
ガルド。
黙る。
「俺」
「自分が何なのか」
少し。
笑う。
「そろそろ」
「ちゃんと知りたい」
無職。
それが。
嫌だから?
たぶん。
少し。
ある。
職業。
欲しい。
普通に。
なりたい。
リナみたいに。
自分はこれだって。
言えるもの。
欲しい。
でも。
それだけじゃない。
世界律。
接続失敗。
分類不能。
謎の炎。
木剣。
知らない神託。
俺だけ。
何か。
おかしい。
それを。
見ないふり。
したくない。
エリオス。
『分かった』
「止めない?」
『止めたい』
「正直だな」
『だが』
一拍。
『お前が決めた』
「うん」
『なら』
『我々も見る』
七柱。
全員。
いる。
それなら。
行く。
◇ ◇ ◇
職業院は。
神殿から。
少し。
離れた場所に。
あった。
「ここ?」
想像より。
普通。
石造り。
大きな。
建物。
入口。
人。
多い。
若い人。
冒険者。
商人。
兵士。
「神殿じゃないんだ」
ノア。
『初回の天職判定は神殿でも行われます』
『再確認』
『職業情報の証明』
『適性確認』
『一部の職業変更に伴う検査などは』
『このような施設でも扱われます』
「へえ」
中。
入る。
受付。
並ぶ。
俺の。
前。
男。
紙。
出す。
「職業証明の更新を」
「はい」
普通。
次。
女性。
「適性の再確認を」
「こちらへ」
普通。
みんな。
自分の。
職業。
持ってる。
俺だけ。
無職。
「…………」
ちょっと。
帰りたい。
【戦神ガルド】
『今なら帰っていいぞ』
「心読むな」
『顔に出てる』
「行く」
『そうか』
「でも」
「途中でやめてもいいんだよな」
『ああ』
あの日。
門番に。
言われた。
自分で。
決めたことに。
意地を。
張るな。
行くと。
決めても。
途中で。
やめていい。
それも。
自分で。
決めること。
覚えてる。
「次の方」
俺。
前。
出る。
「再判定を」
受付。
女性。
「証明書は?」
「ないです」
「初回判定は?」
「神殿で」
「結果は?」
「…………」
言いたくない。
「無職です」
受付。
女性。
一瞬。
止まる。
「無職?」
「はい」
周り。
少し。
見る。
やっぱ。
珍しい。
「氏名を」
「レン・アルヴェイン」
女性。
紙。
見る。
「あ」
「何?」
「あなたですか」
「どの俺ですか」
「魔法を使った無職の方」
「もう肩書きになってる!」
最悪。
噂。
完全に。
定着してる。
「昨日」
「照会が?」
「はい」
女性。
少し。
申し訳なさそう。
「魔法の使用には必ずしも特定の職業が必要なわけではありません」
「そうなの?」
「ただ」
「無職判定の方が」
「魔法を習得した例は」
紙。
見る。
「かなり珍しいので」
「再確認を推奨しました」
「なるほど」
筋。
通ってる。
「受けます」
「分かりました」
奥。
案内。
される。
その時。
「レン?」
聞き覚え。
ある。
声。
振り向く。
「リナ?」
リナ。
いた。
「何してるの?」
「それ俺の台詞」
「私は更新」
「何の?」
「職業証明」
腰。
剣。
叩く。
「狩剣士の」
また。
その言葉。
「レンは?」
「再判定」
リナ。
止まる。
「何で?」
「無職じゃなくなるかもしれない」
「…………」
少し。
間。
「本当?」
「分からない」
「じゃあ」
リナ。
笑う。
「何になると思う?」
「魔法使い」
【魔法神セレナ】
『魔力3』
「うるさい!」
リナ。
「え?」
「何でもない」
「剣士?」
【戦神ガルド】
『まだ早い!』
「商人?」
【商神メルク】
『交渉力が足りん』
「鍛冶師?」
【鍛冶神ヴォルグ】
『論外だ』
「治療師?」
【生命神フィリア】
『レンさんは治せません』
「学者?」
【知識神ノア】
『知識量が不足しています』
「お前ら全員ひどくない!?」
受付。
リナ。
俺を見る。
「本当に大丈夫?」
「遠いところの知り合いが一斉に俺を否定した」
「何それ」
「気にしないで」
リナ。
笑う。
「じゃあ」
「何になるんだろうね」
「それを見に来た」
「私も見ていい?」
「いいの?」
受付。
女性。
「本人の許可があれば」
「じゃあ」
リナ。
「見る」
「暇なの?」
「気になる」
「素直だな」
「だって」
少し。
笑う。
「無職じゃなくなるかもしれないんでしょ」
胸。
少し。
鳴る。
そう。
無職じゃ。
なくなる。
かもしれない。
◇ ◇ ◇
判定室。
中央。
台。
その上。
透明な。
石。
神殿で。
触った。
水晶とは。
少し。
違う。
白い。
光。
内部。
ゆっくり。
動いてる。
「これが」
職員。
男。
頷く。
「職業石です」
「触るだけ?」
「はい」
「壊れない?」
職員。
笑う。
「普通は壊れませんよ」
七柱。
沈黙。
「…………」
その沈黙。
やめて。
リナ。
先。
更新。
する。
「手を」
「はい」
リナ。
石。
触れる。
すぐ。
光。
【名称:リナ】
【職業:狩剣士】
「おお」
俺。
見る。
「本当に出た」
「何でレンが驚くの」
「実物初めて」
「神殿でやったんじゃないの?」
「俺の時は無職しか見てない」
「悲しい」
「言うな」
職員。
「問題ありません」
リナ。
手。
離す。
普通。
簡単。
数秒。
それだけ。
「次」
俺。
呼ばれる。
足。
一歩。
出す。
七柱。
静か。
「最後に」
俺。
聞く。
「何か言うことある?」
ガルド。
『嫌ならやめろ』
セレナ。
『無理に魔力を流さないで』
メルク。
『結果に価値を決めさせるな』
ヴォルグ。
『出たものを、分かったふりするな』
フィリア。
『怖ければ、手を離してください』
ノア。
『表示と事実が一致するとは限りません』
最後。
エリオス。
『レン』
「うん」
『何が出ても』
間。
『それは、お前の全部ではない』
「…………」
「分かった」
手。
伸ばす。
職業石。
冷たい。
触れる。
一秒。
何も。
起きない。
二秒。
「…………」
三秒。
職員。
眉。
寄せる。
「少しお待ちください」
四秒。
石。
中。
白い。
光。
揺れる。
「来た?」
五秒。
【名称:レン・アルヴェイン】
出た。
「名前」
次。
待つ。
【職業:剣士】
「え?」
ガルド。
『待て』
文字。
揺れる。
【職業:剣士】
消える。
【職業:魔術師】
「セレナ?」
『私じゃない』
消える。
【職業:商人】
メルク。
『違う』
消える。
【職業:鍛冶師】
ヴォルグ。
『…………』
消える。
【職業:治療師】
フィリア。
『違います』
消える。
【職業:学士】
ノア。
『判定が安定していません』
消える。
「何これ」
職員。
顔。
変わる。
「手を離してください」
離そうと。
する。
でも。
その瞬間。
光。
強く。
なる。
「っ!」
手。
離れる。
俺は。
一歩。
下がる。
職業石。
光。
内部。
ぐるぐる。
回る。
文字。
次々。
出る。
【剣士】
【魔術師】
【商人】
【鍛冶師】
【治療師】
【斥候】
【学士】
【運搬士】
【狩人】
【神官】
「神官!?」
リナ。
声。
上げる。
全部。
出て。
全部。
消える。
「止めろ!」
職員。
石。
触れようと。
する。
ノア。
『触れないでください!』
「待って!」
俺。
職員。
止める。
「触らないで!」
「ですが!」
石。
音。
――ピシ。
「…………」
小さい。
ひび。
入る。
「え」
職員。
固まる。
「俺」
「触ってないよね?」
リナ。
「触ってない」
「今」
「離れてたよね?」
「うん」
――ピシ。
二本目。
ひび。
「下がって!」
全員。
離れる。
石。
白い。
光。
点滅。
文字。
また。
出る。
【職業:――】
消える。
【職業:未判定】
消える。
【職業:不明】
消える。
【職業:無職】
「…………」
出た。
最初と。
同じ。
「無職」
胸。
少し。
落ちる。
やっぱり。
そう。
思った。
でも。
ノア。
『待ってください』
「え?」
文字。
揺れる。
【職業:無職】
一文字ずつ。
崩れる。
無。
職。
消える。
そして。
石。
完全に。
静かに。
なった。
光。
消える。
真っ白な。
画面。
そこへ。
ゆっくり。
文字。
浮かぶ。
【職業】
一拍。
【なし】
「…………」
誰も。
喋らない。
俺も。
喋れない。
「なし?」
ようやく。
声。
出る。
「無職じゃ」
ない?
職員。
顔。
青い。
「こんな表示」
「見たこと」
「ないんですか?」
首。
振る。
「無職は」
職員。
言う。
「あります」
「職業適性が」
「まだ定まっていない者」
「判定時点で」
「適合する職が確認できない者」
「そういった場合」
「無職と表示されることは」
「あります」
「じゃあ」
俺。
石。
見る。
【職業】
【なし】
「これは?」
職員。
答えない。
「何が違う?」
ノア。
『…………』
「ノア」
『通常の無職は』
声。
いつもより。
少し。
遅い。
『職業という分類の中で』
『該当項目が存在しない状態として扱われます』
「じゃあ」
「なしは?」
『分かりません』
「…………」
神様が。
分からない。
リナ。
俺の。
横。
来る。
「レン」
「うん」
「手」
「え?」
見る。
少し。
震えてる。
怖い。
今になって。
分かった。
俺。
怖い。
「大丈夫?」
「分からん」
正直に。
言う。
「無職」
笑う。
「嫌だったんだけどな」
「うん」
「なしって言われたら」
喉。
乾く。
「無職の方が」
「まだ」
「マシに見える」
リナ。
何も。
言わない。
でも。
横に。
いる。
それだけで。
少し。
助かる。
◇ ◇ ◇
職員。
別の。
職員。
呼ぶ。
さらに。
上の人。
来る。
石。
調べる。
「故障では?」
「他の石を」
「待て」
「同じことが起きたら」
「…………」
俺。
聞く。
「もう一個」
「やる?」
ガルド。
『やめろ』
即答。
セレナ。
『私も反対』
メルク。
『得るものより危険が大きい』
ヴォルグ。
『一度で十分だ』
フィリア。
『やめてください』
ノア。
『追加検証は推奨しません』
エリオス。
『レン』
「うん」
『今日は』
『ここまでにしろ』
全員。
一致。
珍しい。
「分かった」
俺も。
今回は。
意地。
張らない。
「やめる」
職員。
少し。
安心。
した。
その時。
――パキ。
音。
職業石。
中央。
ひび。
一気に。
走る。
「下がれ!」
全員。
離れる。
石。
割れない。
でも。
中。
何か。
黒い。
線。
浮かぶ。
「何だ?」
職員。
覗く。
白い。
石の。
内側。
黒。
細い。
模様。
広がる。
文字。
じゃない。
亀裂。
でも。
ない。
「セレナ」
『魔力反応を確認しています』
「ヴォルグ」
『構造破損だけじゃない』
「ノア」
『記録します』
「エリオス」
返事。
ない。
「エリオス?」
『…………』
声。
来る。
『離れろ』
「何?」
『その石から』
低い。
声。
『離れろ』
俺。
二歩。
下がる。
その瞬間。
石。
中。
さっき。
流れた。
職業名。
全部。
一瞬だけ。
浮かんだ。
【剣士】
【魔術師】
【商人】
【鍛冶師】
【治療師】
【斥候】
【学士】
【運搬士】
【狩人】
【神官】
そして。
全部。
黒い線に。
触れる。
消える。
一つずつ。
消される。
みたいに。
最後。
残った。
表示。
【職業】
【なし】
それも。
消える。
石。
完全に。
沈黙。
「…………」
職員。
座り込む。
「職業石が」
「壊れた?」
「違う」
別の。
職員。
震える。
「壊れただけなら」
「表示は消えない」
「じゃあ」
誰も。
続き。
言えない。
俺。
木剣。
腰。
触る。
自分が。
何か。
した。
感覚。
ない。
魔力。
使ってない。
火。
出してない。
ただ。
触った。
それだけ。
「俺のせい?」
フィリア。
『まだ決めないでください』
「でも」
『まだ』
少し。
強い。
声。
『決めないでください』
「…………」
「分かった」
◇ ◇ ◇
外。
出る。
空。
明るい。
人。
歩いてる。
店。
開いてる。
普通。
世界。
さっきまで。
いた。
部屋だけ。
別の場所。
みたい。
「レン」
リナ。
隣。
歩く。
「何?」
「大丈夫?」
「さっきも聞いた」
「今は?」
「…………」
考える。
「ちょっと」
「怖い」
「そっか」
「でも」
「うん」
「知れてよかった」
リナ。
俺を見る。
「本当に?」
「分からん」
「どっち」
「両方」
知りたかった。
だから。
受けた。
結果。
怖かった。
でも。
見なかったことには。
したくない。
「リナ」
「何?」
「さっき」
「うん」
「狩剣士って出た時」
「どんな感じ?」
「どんな?」
「自分だって思う?」
リナ。
少し。
考える。
「思うよ」
「迷わない?」
「迷わない」
腰。
剣。
触る。
「私は狩剣士」
「うん」
「それが私」
「…………」
まっすぐ。
言う。
羨ましい。
でも。
少し。
怖い。
なぜ。
そう思ったのか。
まだ。
分からない。
「レンは?」
「俺?」
「なしって」
リナ。
言いにくそうに。
止まる。
「ごめん」
「いいよ」
「それ」
「自分だと思う?」
「…………」
職業。
なし。
俺は。
何だ。
「思わない」
答える。
意外と。
早く。
出た。
「何で?」
「だって」
手。
見る。
「火」
「出せる」
「木剣」
「使える」
「荷物」
「運べる」
「店」
「手伝える」
「人」
「助けられることもある」
「治せないけど」
少し。
笑う。
「水くらい運べる」
リナ。
聞いてる。
「だから」
俺。
言う。
「なしって書かれても」
「俺まで」
「なくなるわけじゃない」
「…………」
リナ。
少し。
笑う。
「そっか」
「うん」
言って。
自分でも。
少し。
楽になる。
職業。
なし。
それが。
何を。
意味するか。
分からない。
でも。
俺は。
いる。
それだけは。
石に。
決めてもらうことじゃない。
◇ ◇ ◇
その夜。
七柱。
全員。
呼んだ。
「聞く」
返事。
それぞれ。
来る。
「今日の結果」
「知ってた?」
ガルド。
『知らん』
セレナ。
『知らない』
メルク。
『知らなかった』
ヴォルグ。
『知らん』
フィリア。
『知りませんでした』
ノア。
『記録上、同一例を確認できていません』
最後。
「エリオス」
沈黙。
「…………」
また。
胸。
ざらつく。
「知ってた?」
『結果は』
「うん」
『知らなかった』
「結果は?」
言葉。
拾う。
「じゃあ」
「何を知ってた?」
長い。
沈黙。
『可能性だ』
「何の?」
『お前が』
声。
低い。
『通常の職業分類に』
一拍。
『収まらない可能性』
「…………」
「いつから?」
『最初から』
「…………」
この世界へ。
来た。
日。
【天職:無職】
その裏。
【天職付与――失敗】
【世界律への再接続を実行】
【――失敗】
【分類不能】
「それ」
俺。
声。
少し。
低くなる。
「何で」
「言わなかった?」
誰も。
答えない。
「エリオス」
『…………』
「俺が」
「怖がるから?」
『それもある』
「それも?」
「他は?」
沈黙。
長い。
長い。
そして。
エリオス。
『我々にも』
「うん」
『判断できなかった』
「何を?」
『お前が』
一拍。
『何なのか』
「…………」
腹。
少し。
立つ。
でも。
同時に。
怖い。
神様。
七人。
俺を。
育ててる。
その神様が。
俺が。
何なのか。
分からない。
「じゃあ」
俺。
聞く。
「無職って」
「何だったんだ?」
ノア。
答える。
『人間側の判定装置が』
『既存の職業に適合する情報を確認できなかったため』
『便宜上』
一拍。
『そう表示した可能性があります』
「可能性」
『はい』
「今日の」
「なしは?」
『不明です』
「職業が」
「ない?」
『その解釈も可能です』
「適性がない?」
『同一ではありません』
「じゃあ」
「何なんだよ」
返事。
ない。
「…………」
分からない。
また。
それ。
でも。
今度は。
今までで。
一番。
大きい。
分からない。
◇ ◇ ◇
深夜。
俺が。
眠った。
後。
誰も。
いない。
職業院。
判定室。
壊れた。
職業石。
白い。
表面。
中央。
黒い。
線。
残っている。
職員は。
誰も。
いない。
灯りも。
ない。
それでも。
石の。
奥。
一瞬。
文字。
浮かぶ。
【個体:レン・アルヴェイン】
【職業領域への接続を確認】
【――接続なし】
【既存分類への照合を実行】
【――該当なし】
【再分類を実行】
【――失敗】
【警告】
【対象個体を既存職業へ固定できません】
文字。
消える。
少し。
間。
別の。
何か。
石の。
さらに。
深い。
場所。
古い。
記録。
反応。
する。
【――照合】
【――類似記録:一件】
【アクセス――】
そこで。
止まる。
黒い。
線。
広がる。
記録。
閉じる。
そして。
誰にも。
届かない。
どの神にも。
属さない。
声。
小さく。
落ちる。
『違う』
間。
『職がないんじゃない』
静かな。
声。
『“職”というルールそのものが』
一拍。
『乗ってない』
石。
完全に。
暗くなる。
俺は。
まだ。
知らない。
無職と。
なし。
その二つが。
同じ意味では。
なかったことを。




