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神々は無職を選んだ  作者: 夜凪 灯
第一章 七柱と無職
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13/71

神託ログ13 町の外、神様七人、寄り道多数

朝。


目を覚ました瞬間。


嫌な予感がした。


理由は。


分からない。


ただ。


昨日の会議が。


頭に残っていた。


七柱。


全員集合。


話し合う。


意見が割れる。


何も決まらない。


そして最後。


俺が。


「街の外へ行ってみたい」


と言った。


正確には。


俺が言った直後から。


また会議が始まった。


危険だ。


経験が必要だ。


護衛が必要だ。


いや、過保護だ。


魔力訓練を優先すべきだ。


装備を整えるべきだ。


食料が必要だ。


知識が必要だ。


最終的に。


俺が寝る直前まで。


神託が飛んできていた。


そして。


今朝。



――ピコン。



【創世神エリオス】


『レン』


「はい」


『昨日の件だが』


「うん」


『街の外へ出ることを許可する』


「…………」


一瞬。


意味を理解するのに。


時間がかかった。


「本当に?」


『ああ』


「七柱全員?」


『全員ではない』


「やっぱり」


『正確には』


嫌な予感。


『条件付き賛成三』


『消極的賛成二』


『反対一』


『判断保留一だ』


「全然まとまってないじゃん!」


昨日の会議。


何だったんだ。


【戦神ガルド】


『細けえことはいい! 行ってこい!』


【生命神フィリア】


『細かくありません!』


朝から。


増えた。


【魔法神セレナ】


『私も行くなら賛成よ』


「行くっていうか、神託でついてくるんだろ?」


『そうとも言うわね』


【商神メルク】


『食料を買え』


【鍛冶神ヴォルグ】


『装備を確認しろ』


【知識神ノア】


『現在地から半日の範囲であれば、危険度は比較的低いと判断します』


「一気に喋るな!」


昨日の会議で。


一つ。


分かった。


七柱は。


意見が違う。


でも。


俺を育てようとしていることだけは。


たぶん。


同じだ。


やり方が。


恐ろしくバラバラなだけで。


「で」


俺は。


起き上がる。


「今日は誰の授業?」


少し。


間があった。


【創世神エリオス】


『全員だ』


「帰って寝ていい?」


【戦神ガルド】


『駄目だ!』


即答だった。



◇ ◇ ◇



街の門。


初めて来た時とは。


少し。


見え方が違った。


あの日。


俺は。


ここで止められた。


金がなくて。


入ることすら。


できなかった。


銅貨三枚。


門番が。


代わりに払ってくれた。


今も。


借りたまま。


今日も。


同じ兵士がいる。


「お」


俺を見る。


「無職の兄ちゃん」


「だからその覚え方やめてくださいって」


「分かりやすいだろ」


「嫌な分かりやすさなんですよ」


兵士が。


笑う。


「今日は外か?」


「はい」


「仕事?」


「勉強……ですかね」


「外で?」


「俺もよく分かってないです」


兵士の目が。


少し。


細くなる。


「一人か?」


「見た目は」


「見た目は?」


「いや、何でもないです」


七柱付きです。


とは。


言えない。


兵士は。


俺の格好を見る。


腰には。


護身用として借りた。


短い木剣。


水。


少量の食料。


最低限。


「遠くまで行くなよ」


「そんなに危ないんですか?」


「街道沿いなら、そうでもない」


兵士は。


門の外を見る。


「ただ」


少し。


声が変わった。


「知らない場所で、“大丈夫だろ”はやめとけ」


「…………」


ガルドの言葉と。


似ている。


怖くても。


見ろ。


考えて。


動け。


「分かりました」


「夕方までには戻れ」


「はい」


門を。


通る。


数歩。


進む。


そして。


俺は。


振り返った。


街。


壁。


門。


兵士。


何でもない。


景色。


でも。


少しだけ。


胸が高鳴った。


異世界に来てから。


初めて。


自分の意思で。


街の外へ出た。



◇ ◇ ◇



「…………広」


思わず。


声が出た。


街道。


その左右に。


草原。


遠くには。


森。


さらに向こう。


低い山。


空が。


大きい。


街の中では。


建物に切り取られていた。


空。


それが。


全部。


見える。


「異世界だな……」


今さら。


実感した。


【魔法神セレナ】


『今さら?』


「聞こえてた?」


『聞こえてるわよ』


「こういう独り言は聞き流して」


【知識神ノア】


『神託接続中の発話について、選択的に――』


「設定の話はいい」


歩く。


気持ちいい。


風。


草。


土。


日本にいた頃。


こんな場所を。


歩いたこと。


あっただろうか。


少なくとも。


覚えていない。


【戦神ガルド】


『レン!』


「何?」


『前を見ろ』


「見てるよ」


『違う』


「え?」


『景色じゃねえ』


少し。


意味を考える。


街道。


前。


荷車。


旅人。


道の端。


草。


「……何を見る?」


『危険だ』


「魔物?」


『それだけじゃねえ』


ガルド。


『道の窪み』


『折れた枝』


『足跡』


『荷車』


『人間』


『全部だ』


「人間も?」


『当然だ』


その言葉で。


少し。


気分が変わった。


観光じゃない。


街の外。


守ってくれる。


壁がない。


俺は。


足元を見る。


街道には。


何本もの。


車輪の跡。


馬。


人。


たくさんの足跡。


『見ろ』


今度は。


ヴォルグ。


「何を?」


『荷車』


前を。


一台。


荷車が進んでいる。


商人らしい男。


御者。


荷物。


「普通の荷車じゃない?」


『本当に?』


また。


それ。


俺は。


少し速度を上げる。


近づきすぎない程度に。


見る。


車輪。


軸。


荷台。


積まれた木箱。


縄。


「あ」


一つ。


気づいた。


「片方だけ、車輪が沈んでる?」


『なぜだ』


「荷物が偏ってる?」


【商神メルク】


『違う』


「メルク?」


『荷物は大きく偏っていない』


「じゃあ」


見る。


車輪。


右。


左。


「……右の車輪が少し傾いてる?」


『そうだ』


ヴォルグ。


『軸が傷んでいる』


「見ただけで?」


『見れば分かる』


「それ初心者に通用しないって昨日言ったよな?」


沈黙。


【魔法神セレナ】


『あ、拗ねた』


『拗ねていない』


「神様って拗ねるんだ……」


『拗ねていない』


二回言った。


絶対。


拗ねてる。


その時。


前の荷車が。


止まった。


「おいおい……」


御者が。


降りる。


車輪を。


確認している。


「やっぱり?」


『ああ』


近づく。


「大丈夫ですか?」


男が。


振り返る。


「ああ?」


「車輪」


「……兄ちゃん、分かるのか?」


「いや」


正直に。


「神……じゃなくて」


危ない。


「ちょっと、傾いてるように見えたんで」


男は。


車輪を見る。


「ちっ。軸か」


荷車の下へ。


しゃがみ込む。


俺も。


少し離れて。


見る。


木製の軸。


一部が。


削れている。


「直せる?」


【鍛冶神ヴォルグ】


『応急なら』


「どうやって?」


『考えろ』


「ここでも!?」


御者が。


荷台から。


道具を出す。


縄。


木片。


金具。


慣れている。


「よく壊れるんですか?」


「壊れる前に直すのが普通だ」


「…………」


昨日。


聞いた。


違和感を。


無視するな。


道具は。


自分で。


状態を説明してくれない。


「今回は?」


「昨日から音はしてた」


男が。


苦い顔をする。


「急いでたからな」


ヴォルグ。


無言。


「…………」


嫌な予感。


【鍛冶神ヴォルグ】


『昨日から?』


来た。


「ヴォルグ」


『音がしていた?』


「落ち着け」


『異常を認識していた?』


「落ち着いて」


『それで走らせた?』


「お願いだから」


昨日の。


大噴火が。


頭をよぎる。


【戦神ガルド】


『始まるぞ』


「実況するな!」


【生命神フィリア】


『ヴォルグ、深呼吸を』


『必要ない』


【知識神ノア】


『神格存在に人間と同一の呼吸行動が必要かについては――』


「ノアも今じゃない!」


御者が。


俺を見る。


「兄ちゃん?」


「すみません」


完全に。


怪しい人。


「……ちょっと、頭の中が騒がしくて」


「医者行くか?」


「そういう病気じゃないです!」


たぶん。


男は。


手際よく。


応急処置を始めた。


俺も。


言われた通り。


荷台を少し持ち上げる。


重い。


でも。


ガルドに教わった。


足。


腰。


腕だけで。


持たない。


「よっ……!」


以前なら。


無理だったかもしれない。


男が。


軸へ木片を噛ませる。


縄で。


固定。


金具。


締める。


「よし」


荷車を。


下ろす。


車輪。


さっきより。


まっすぐ。


「これで街まで戻れる」


「目的地じゃなくて?」


「無理させたら今度こそ折れる」


ヴォルグが。


ようやく。


静かになる。


『正しい』


「聞こえてないけど褒められてますよ」


「何が?」


「何でもないです」


御者は。


礼に。


干した果物を。


一つくれた。


「ありがとう」


「こっちこそ」


荷車は。


来た道を。


ゆっくり。


戻っていった。


その背中を。


見送る。


『レン』


ヴォルグ。


「何?」


『覚えておけ』


『違和感は』


『壊れてから見つけるものではない』


「うん」


昨日。


鍛冶場で。


聞いた話。


それが。


街の外で。


少し。


現実になった。



◇ ◇ ◇



さらに。


街道を進む。


今度は。


メルクが。


質問してきた。


『レン』


「はい」


『今すれ違った荷車』


「うん」


『何を積んでいた』


「木箱」


『0点』


「また採点!?」


『中身を聞いている』


「知らないよ」


『考えろ』


「果物?」


『なぜ』


「箱だから」


『0点』


「俺、今日何点まで下がるの?」


『箱を見ろ』


もう。


通り過ぎた。


「見えないよ」


『だから、通り過ぎる前に見ろ』


「無茶言うな」


『商売は、物が店に突然現れるわけではない』


「…………」


『誰かが作る』


『誰かが集める』


『誰かが運ぶ』


『誰かが売る』


前方。


別の荷車。


今度は。


見る。


袋。


大量。


「穀物?」


『なぜ』


「袋の形と……」


考える。


「重そう」


『それだけか』


「あと」


荷車。


土。


車輪。


「車輪に泥がついてる」


『だから?』


「……畑の方から来た?」


少し。


間。


『40点』


「おお!」


上がった。


『だが、その程度で喜ぶな』


「昨日80点取った男だぞ」


『昨日は昨日だ』


厳しい。


でも。


分かってきた。


街の中で。


売られている物。


それは。


どこかから。


来ている。


街道は。


人が移動するためだけの。


道じゃない。


物。


金。


情報。


全部。


流れている。


「街の外に出るだけで、見えるもの変わるな」


【商神メルク】


『だから来た』


「メルクが決めたの?」


『俺だけではない』


「珍しく会議が役に立った」


【創世神エリオス】


『聞こえているぞ』


「ごめんなさい」



◇ ◇ ◇



昼。


街道から。


少し離れた場所。


大きな木。


その下で。


休憩する。


パン。


朝。


買ってきたもの。


干した果物。


さっき。


もらったもの。


水。


「いただきます」


【生命神フィリア】


『手を洗いましたか?』


「お母さん?」


『洗いましたか?』


「洗いました」


『なら大丈夫です』


「完全にお母さんじゃん」


【戦神ガルド】


『食ったら走るぞ!』


「走らない」


【魔法神セレナ】


『魔力の練習もできるわよ』


「しない」


【鍛冶神ヴォルグ】


『木剣を見ろ』


「あとで」


【商神メルク】


『食料の残量を確認しろ』


「食べ終わってから」


【知識神ノア】


『午後の行程について提案があります』


「待って」


一気に。


来る。


「なあ」


俺は。


パンを持ったまま。


空を見る。


「今日、全員担当って言ったよな?」


【創世神エリオス】


『ああ』


「これ」


一拍。


「全員が好き勝手言ってるだけじゃない?」


沈黙。


【戦神ガルド】


『…………』


【魔法神セレナ】


『…………』


【商神メルク】


『…………』


【鍛冶神ヴォルグ】


『…………』


【生命神フィリア】


『…………』


【知識神ノア】


『否定材料が不足しています』


「ノア!!」


思わず。


笑った。


昨日。


会議で。


あれだけ揉めた。


今日も。


やっぱり。


バラバラ。


でも。


前ほど。


嫌じゃない。


ガルドに。


身体の使い方を教わった。


セレナに。


魔力を教わった。


メルクに。


価値を教わった。


ヴォルグに。


道具を見ることを教わった。


フィリアに。


人を見ることを教わった。


ノアに。


知ることと。


決めることの違いを教わった。


それぞれ。


違う。


だから。


見るものも。


違う。


もしかすると。


一人の神だけに。


教わっていたら。


俺は。


一つの見方しか。


知らなかったのかもしれない。


「まあ」


パンを。


齧る。


「悪くないか」


【戦神ガルド】


『何がだ?』


「別に」


ちょっと。


恥ずかしいから。


言わない。



◇ ◇ ◇



午後。


さらに。


街道を進んだ。


人の数が。


少しずつ。


減っていく。


街から。


離れている。


それが。


目で分かる。


「どこまで行く?」


【知識神ノア】


『この先に、小さな分岐があります』


「そこまで?」


『本日の行動範囲としては適切です』


「了解」


風が。


吹く。


草が。


揺れる。


鳥。


遠く。


何羽か。


飛んでいる。


平和。


思っていたより。


ずっと。


平和だ。


「魔物とか出ないな」


【戦神ガルド】


『出ない方がいい』


「戦神なのに?」


『戦わずに済むなら、それが一番だ』


意外。


「もっと戦え戦えって感じかと思った」


『俺を何だと思ってる』


「走れ走れっていう神」


『間違ってねえな!』


「認めるんだ」


その時。


道の先。


人が。


一人。


立っていた。


老人。


大きな籠を。


背負っている。


俺を見ると。


手を上げた。


「街へ行くのか?」


「いや、街から来ました」


「そうか」


老人は。


少し。


困った顔。


「西へ行くなら、気をつけな」


「西?」


指。


街道から。


外れた方。


森。


遠く。


深い緑。


「何かあるんですか?」


「分からん」


「分からない?」


「ああ」


老人が。


籠を。


背負い直す。


「このところ、獣が寄りつかん」


「獣?」


「鳥もな」


俺は。


西を見る。


森。


普通に。


見える。


「危険な魔物とか?」


「それなら、まだ分かりやすい」


老人が。


笑わなかった。


「何も見てない」


「…………」


「ただ」


西の森を。


見る。


「猟師が言ってた」


「何て?」


「獣が」


少し。


間。


「避けてるって」


風。


吹く。


さっきまで。


何とも思わなかった。


森。


急に。


少しだけ。


違って見えた。


「どれくらい前から?」


「さあな」


老人は。


首を振る。


「俺も聞いただけだ」


断定しない。


分からないことを。


分からないと言う。


「ありがとうございます」


「ああ」


老人は。


街の方へ。


歩いていった。


俺は。


その背中を。


見送る。


そして。


西を見る。


【知識神ノア】


『レン』


「うん」


『現時点で、異常を断定できる情報はありません』


「分かってる」


【戦神ガルド】


『近づくな』


「今日は?」


『今日はだ』


「…………」


ガルドが。


珍しく。


即座に止めた。


【魔法神セレナ】


『周辺魔力に、大きな異常は確認できないわ』


【生命神フィリア】


『生命反応も、ここからでは判断できません』


【商神メルク】


『噂一つで動くな』


【鍛冶神ヴォルグ】


『だが、覚えておけ』


「うん」


六柱。


それぞれ。


少しずつ。


違う答え。


「エリオスは?」


返事が。


ない。


「エリオス?」


少し。


間。


【創世神エリオス】


『今日は戻れ』


それだけ。


「…………」


何か。


引っかかった。


危険だ。


とは。


言わない。


何もない。


とも。


言わない。


ただ。


今日は戻れ。


「分かった」


今は。


行かない。


知らないものへ。


好奇心だけで。


突っ込むほど。


俺は。


強くない。



◇ ◇ ◇



帰り道。


来た時より。


いろんなものが。


見えた。


車輪の跡。


人の足跡。


馬の糞。


折れた草。


道端に。


捨てられた縄。


鳥。


風。


荷車。


人。


同じ道なのに。


朝より。


情報が。


増えている。


「面白いな」


【知識神ノア】


『何がですか』


「知ると、見えるもの増える」


『はい』


「でも」


西を見る。


もう。


森は。


遠い。


「見えるものが増えると」


少し。


考える。


「分からないものも増えるな」


ノアは。


少し。


間を置いた。


『正常です』


「正常?」


『知識が増えるほど、自分が知らない範囲も認識できます』


「……それ、永遠に終わらなくない?」


『はい』


「知識神がそれ言うの?」


『だから、私は知識神なのかもしれません』


珍しい。


ノアが。


少しだけ。


冗談みたいなことを。


言った。


「今の、冗談?」


『判断は任せます』


「逃げた」


歩く。


街の壁が。


見えてくる。


初めての。


街の外。


魔物とは。


戦わなかった。


大事件も。


起きなかった。


でも。


来る前と。


同じではない。


街の外は。


ただ。


危険な場所じゃない。


物が。


動く。


人が。


動く。


知らないものが。


ある。


そして。


何か。


少しだけ。


変なものも。



その時だった。



白いものが。


視界を。


横切った。


「ん?」


立ち止まる。


風に。


運ばれている。


小さな。


白い羽。


鳥の羽。


だと思う。


ふわり。


ふわり。


俺の前を。


通り過ぎる。


「鳥?」


空を見る。


いない。


周囲にも。


見当たらない。


羽は。


地面へ落ちそうになって。


また。


風に持ち上げられた。


そして。


流れていく。


「…………」


西へ。


俺は。


無意識に。


目で追った。


【戦神ガルド】


『レン』


「分かってる」


追わない。


今日は。


戻る。


そう決めた。


羽は。


遠ざかる。


小さくなる。


そして。


草の向こうへ。


消えた。


「ただの羽だよな」


誰に。


聞いたのか。


自分でも。


分からなかった。


【知識神ノア】


『現時点では』


ノア。


『それ以上の判断材料はありません』


「……だよな」


分からない。


なら。


分からない。


決めつけない。


それでいい。


俺は。


街へ向かって。


歩き出した。


数歩。


進んで。


もう一度だけ。


振り返る。


西。


森。


何も。


変わっていない。


なのに。


なぜか。


覚えておこうと思った。



獣が。


避ける森。



鳥が。


寄りつかない場所。



そして。



鳥の見えない空から。



西へ流れていった。



一枚の。



白い羽。



初めて街の外へ出た日。


俺は。


世界が。


思っていたより。


ずっと広いことを知った。



同時に。



知らない場所があることも。



知った。

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