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狩野川の治水の開始も早めに考えねばな

 さて、地震や高潮による海岸線の村や湊の被害を抑えるための避難所という名前の物資集積所を作ろうとしたらいつの間にか山城の建設になってしまっていたのだが、長期保存が可能な雑穀である稗がメインとは言え食料を簡単に奪える状況にしておくわけにも行かないからこうなるのも仕方あるまい。


「まあ赤米とは言え米や銭を出しての普請だから文句を言ってくるものはいないようだが、俺が考えていたものよりだいぶ大掛かりになってしまったな」


 俺がそういうと大道寺重時は苦笑した。


「おいおい、雑穀だろうとなんだろうと飯になるものが大量にあれば奪おうとするやつがでてくる心配をするには当然だろう」


「まあ、そう言われればそうなんだがな。

 ああ、これが終わったら狩野川の治水にも手を付けんとな」


 俺がそう言うと風魔小太郎がうなずいた。


「それはまことに大事でございますな」


 狩野川は天城山から北に下田街道とほぼ同じ道筋を通って田方平野を蛇行しながら三島にいたりそこから西に向きを変えて、箱根山や富士山等を源とする来光川、大場川、柿田川、黄瀬川等と合流して沼津市において駿河湾に注ぐ沼津に出る川であるが、源流の天城山付近は、年間降水量が3,000mmを越える多雨地帯で、標高差が大きく流れが急なことや、下流部では大きく蛇行することもあり、古くから洪水が多発していたりする。


 とはいえコンクリートを使った持続的な護岸工事などが可能なわけではない時代でもあるし信玄堤のように大雨が降ったら流れの逆方向に水を溢れさせて遊水地でもある水防林に留めさせ、大雨が収まったら流れに戻すという受け流しを行うことで堤防の決壊を防ぐようにしたほうがいいだろう。


 そもそもコンクリート堤の最悪の欠点は、ある程度時間が経ったら劣化するので持続的な改修工事が必要なことだったりする。


 逆に石積みできちんと柳を植えたりなどの植樹を行えば年とともに固くなるので基本的には作り直しとかは不要なのだ。


 まあそれはともかく中国の神話でも治水に成功したものが皇帝となったりするわけで治水は政治と大きく関係するものである。


 なにせ洪水の被害が出れば生活に大きな影響が出るしな。


 まあ沼津のあたりが”沼”津と言われているのも洪水被害がでかくて沼が多いからでもあるわけだが。


 大道寺重時もうなずく。


「ふむ、まあ洪水が起きれば食い物も家もすべて失うわけだからそれも大事だな」


 この頃は2階建ての建物はないに等しいから床上浸水すれば本当にすべてを失うわけだ。


「ああそういうわけだよ、大阪でも大内に大和川の付けかえを行わせたからだいぶマシになったはずだしな」


「ならば三島付近は早めに取り掛かるとするか」


「ああ、そうしよう」


 というわけでまずは狩野川が蛇行し北側の川と合流することから洪水を引き起こしやすい三島付近の狩野川の治水に取り掛かることにしたのだ。


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