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摂津国東成郡生玉荘後の大阪の管理も任されたよ

 さて、耕作放棄された場所は可能な限り正方形や長方形の乾田として、牛馬で犂を使った田起こしや二毛作が出来るようにした上で、田植えの際は正条植えを行えるようにしてみた。


「こんな面倒なことをする意味があるのか?」


 大道寺重時が言うが俺は頷いた。


「ああ、こうすれば雑草取りが格段に楽になるし、稲同士が近すぎて日に当たらなくなって育たなくなったり、水や肥料を取り合うこともなくなるからな。

 稲も人も同じようなものだ」


「ああ、あまり人が集まりすぎても食い物の奪いになったりもするな」


 そして俺は朝廷より生國魂神社がある荘園、摂津国東成郡生玉荘の管理も任されることになった。


 ここは後に石山本願寺や大阪城が築かれる場所になったところだ。


「ここでも備中鍬は色々と役に立ちそうだな」


 大阪は21世紀には日本で二番目の大都市であり、江戸時でも商業の町として栄えていたが、現在はさほど繁栄しているわけではない。


 のちの「大坂」が位置する上町台地は、戦国時代までは「難波潟」と呼ばれる葦原の広がる湿地に突き出した半島状の陸地で、浪速(なみはや)難波(なにわ)などと書き表されてきた。


 飛鳥時代には遣隋使や遣唐使などの使節を送り出したり、返答使の迎接を行った住吉津や難波津が置かれていて、聖武天皇の時代には難波京が置かれたりもしたが、土砂の堆積や温暖化による海岸線の変化などにより外港としての機能が衰え、奈良時代末から平安時代初期には神崎川河口の河尻泊、のちの尼崎湊や平清盛が修復した大輪田泊、後の兵庫湊などに繁栄を譲り、南北朝時代には堺が南朝についた住吉大社宮司の津守氏に関係して南朝の外港的役割を担うようになり、応仁の乱で戦火に巻き込まれて衰退した尼崎湊や兵庫湊に代わり堺が日明貿易の中継地として賑わっていくのに比べれば

陸上交通の熊野街道の起点である要衝ではあるものの港町としても門前町としても規模はそこまで大きくはない。


 生國魂神社で祀られているのは生島神(イクシマノカミ)足島神(タルシマノカミ)で伊邪那岐命と伊邪那美命の国生みによって生まれた大八島(オオヤシマ)(ミタマ)とされ大八島とは日本列島の本州などを含む日本列島全体のことである。


 新天皇の即位儀礼の一つである難波での八十島祭(やそしままつり)の際にも主神に祀られた重要な神々で、生國魂神社自体もそれら宮中祭祀と深い関わりを持つが、その祭祀儀礼の意味するところは新しい天皇による国土の統治権を島の神に報告して裏付けることだったといわれる。


「こうなったら生國魂神社もきちんと復興させないと駄目だな」


 大道寺重時が俺の言葉に頷いた。


「それで住むものが安心できるならいいんじゃないか」


「まあ、そうなんだけどな」


 そしてここなら入浜式塩田を作るのもそう難しくないだろう。


 本来なら入浜式塩田は平和になった後の江戸時代前期頃に、海水を自動的に塩田に取り込む方法として、潮の干満を利用する方法として開発されたものだ。要するに干潟の先の海の中に堤防を作り、満潮になれば海水が入り込むようにして地盤に海水を浸透させて、毛細管現象によって砂層上部に海水を供給し、干潮時に太陽熱と風で水分を蒸発させる方法だ。人間が海から桶で海水を担ぎ上げて塩田にぶちまける揚げ浜式よりもずっと楽に多くの塩が作れるので、これにより海水を塩砂に散布する作業が省略され、大幅な労力の軽減が実現したが、この方式の導入は干満の潮位差が大きな瀬戸内海や東京湾や伊勢湾と言った大きな湾内の一部地域に限られたりもする。


「入浜式塩田に必要な堤防を作るにも備中鍬は役に立つってな」


 塩は人間が生きていくために必要不可欠で、料理に関しての味付けにも大きな比率をしめているからな。


 それはそれとして大阪近辺の湿地帯は豊かな田園地帯にすることも可能だからここの再開発にも力を入れていかないとな。

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