自己紹介します。俺はクロエ
はじめまして。俺の名前はクロエという。魔界城という場所で一応階級は中佐だ。俺の叔父は大臣で魔王がいない今、おじさんがこの魔界を仕切っていると言ってもいい。あと・・・・
「お~い!クロエ!」
・・・・・・おじさんが呼んでる。すまない、まだ話の途中だが行かなくては・・・。どうやら今日は、新たな魔王様がこの世界へ来る日なんだそうだ。そのお迎えに俺が任命された。・・・・・・めんどくさい・・・・・・
「クロエ!遅い!!玉座の間に行くぞ!」
・・・・・・玉座?なんでまた・・・・魔王様もいないのに・・・
「・・・・・フィリップが魔王様とその部屋におる・・・・」
・・・なるほど。またか・・・・・・、あのめんどくさいやつ
「ほら、行くぞ!・・・・余計なことを言っていなければよいが・・・」
「大臣のおなーり」
玉座の間の中にはいると、えらく満足げなフィリップとかなりいらついた様子の黒髪の少女がいた。
「これはこれは大臣殿」
フィリップがわざとらしく一礼をした。
「おお、フィリップか。わざわざご苦労。じゃが、魔王様をお連れするおつとめはクロエに頼んだはずじゃが?」
こっちもわざとらしく非難する。
「申し訳ございません。ですが、そのような大役はクロエではなく私が相応しいと考えましたので。」
またか・・・・。こいつはなぜ俺を敵視する。放っておけばいいのに・・・・
「今度からは勝手な判断をせぬように。下がってよいぞ」
「ですが、魔界のこれからが話されるのですから、いずれ魔王様の側近となる私もいたほうが・・・・・・」
「いいから下がれ、階級をおとされたいのか?」
おじさんがそう言うとフィリップはしぶしぶと引き下がった。
・・・・こいつは相変わらずだな。
フィリップは部屋からでるとき少女に向かって女性を口説くときのスマイルを見せた。
・・・・あいつは、一体何をしたいんだ?
俺は呆れるばかりだった。
「えへん!あー、魔王様?」
フィリップが去ったあとの雰囲気を誤魔化すように、おじさんが声をかけた。
「えーとさ、あたしその魔王様じゃないんですけど・・・・」
少女は少し困った様子だ。
「いいえ、貴方は間違えなく魔王様でございます。」
おじさんがあまりにもきっぱりと言うので
「そう言える根拠は?」
と、戸惑っている様子だ。
「言い伝えでございます。言い伝えに双子花が咲く頃に一人の魔王様が異世界から来られ、世界を救って下さるだろうとあります。」
「・・・・・・それがあたしだと?」
「左様でございます。」
「あたしはこの世界を救う気はないし、ここで魔王様をやるきはないから」
・・・大人しそうな見た目の割にきっぱりと言う少女だ。
「なにかご用事でも?」
「・・・・・・妹を探さなきゃいけないの」
さきほどと表情が一変して、不安げな顔になる。
「では、それはこちらで対処いたしましょう。」
「え?いいよ!自分で探すし・・・」
「いえいえ。魔王様にはやらねばならないことがありますので。」
「だから、私には魔王なんてするきが・・・、人違いです。」
ぐー
突然お腹が鳴った。
・・・・この場面でお腹がなるとは・・・
「・・・ごめん、なにか食べさせてもらえる?もうお腹が減って減って・・・」
少女が照れ笑いをして言った。
「おい!直ちに夕食の準備を!!魔王様がお腹が空いておられる!!」
さすがおじさん。パンパンと手を叩きながら言った。
「では、魔王様、できるまで湯浴みでもいかがですかな?」
その言葉を待っていたかのように、メイドが部屋に入ってきた。
「では、魔王様♪行きましょうか」
そして、少女を連れて行った。
「・・・・思ってたより、若い魔王様だったな」
おじさんがぼそっと呟いた。
「・・・・・・!!おいしすぎる!」
少女がばくばくと料理を頬張る。
・・・・その体にどうしてそんなに入るんだ?
おじさんもまさかそんなに食べるとは思わなかったらしく、愕然としていた。
たくさん食べた少女が満足そうに寝室に向かったあと、俺は今後のことについておじさんの部屋によばれた。
「なあ、クロエ・・・、お前どうおもう?」
「あの少女のことか?」
「魔王様と呼びなさい。・・・・そうだ・・・若すぎやしないか・・お前と同じ位ではないか・・・それに女の子だ・・・・あんな子に・・・この辛くて困難なことができようか・・・私も出来ればお前にもこんなことは・・・・」
「自分で決めたことだ。」
俺がそう言うとおじさんは悲しそうな顔をした。
「・・・・そう・・だな・・・では、あの若い魔王様を守ってはくれないか?」
「・・・めんどうだ」
「お前は相変わらずだな・・・大佐の昇進も断ったそうじゃないか」
・・・・知っていたか・・・
「俺はそういうがらじゃない」
「はぁ・・・そこがお前の悪いところだ。」
おじさんはため息をついた。
次の日おじさんは少女にこの国のことについて話すと言って玉座に向かった。俺はとくにする事もなくぶらぶらしていると、フィリップに会った。
「おー、これはこれは、クロエじゃないか。どうしたんだい、こんなところで」
・・・・めんどくさい奴にあったものだ
フィリップは俺の返事も待たずに話し出す。
「お前が魔王様のお世話係になったんだって?お前みたいな能面にそんな大役務まるのか?」
・・相変わらず耳が早いやつだ・・・
能面とは、俺が陰で言われているあだ名だ。表情が変わらず、いつも無表情だから能面らしい。こいつの場合堂々と俺の前でも言う。
「まぁ、いい。魔王様は俺を選ぶからいいがな。知ってたか?魔王様は俺に惚れてるんだぜ。」
・・・またきた。こいつの根拠のない自信・・・誰がどう見ても嫌がってただろ・・・
「見たか?俺が微笑んだ時の魔王様の顔。あの顔は俺に惚れたな。」
・・・・・俺には睨んでいるようにしか見えなかったが・・・?
「くくく、魔王まで惚れさせるとは、俺って罪なやつ」
そういって、高笑いしながらフィリップは去っていった。
魔王様が異世界にきて3日がたった。俺が朝食をとってると、おじさんから呼ばれた。俺が部屋に行くと、かなり疲れた顔のおじさんがいた。
「おじさん、話したいことってなに?」
「クロエか・・・大変なことになった」
「大変なこと?」
「ゴッドスレイヤーが・・・動き出した。」
・・・あいつらか・・・
「魔王様を狙っておる。」
「・・・なぜだ?あいつらにとって新たな魔王様ってのは救世主のはずだろ?」
「若すぎるからだ・・・・魔王様に任せられないと考えたのだろう・・・」
最近になってあいつらは、神獣だけでなくあちらの世界の人や自分たちの邪魔をする者を手段を選ばず殺している。今回はあの子が邪魔だと判断したのだろう。救世主は自分たちで十分だと・・・・・・
「・・・それで、俺に魔王様を守れと」
「ああ、護身の魔法がいい。いつでもお前がそばにいることは出来んじゃろ」
「分かった」
「いやー!!これはこれは魔王様ではございませんか!」
部屋から出てしばらく歩くとフィリップがあの子をちょうど口説いていた。
「こんなところでなにを?」
「いいや、なんでもないよ。・・・えーと名前を聞いてもいい?」
・・・・あいつ、名前すら名乗っていなかったのか・・・・だが、名前を聞くところ惚れてるってことはあながち間違えではなさそうだな。・・・・物好きな奴もいたもんだ。
俺は呆れながら、その場をあとにした。
「では、クロエ!」
おじさんが玉座の間の前で待機させてた俺を呼んだ。
「はい。」
「お前が魔王様の魔法の稽古を担当するのだ。いいな?」
「はい。」
「では、さっそく今から始めよ。」
「はい。」
・・・・・・めんどいな・・・自己紹介したがいいな・・・・
「魔王様、クロエと言います。よろしくお願いします。」
「あっ、うん!よろしく~」
まずは・・・・・
「それでは、最初に魔法の原理について簡単に説明いたします。」
「うん」
「魔法というのは、常人には不可能な手法や結果を自然の力を借りて実現する力のことです。」
「へー!・・・・・・でもさ自然の力を借りるってどうやって?」
「自然を司る者たち・・・私たちは精霊と呼んでおりますが・・・呪文を唱えることによって精霊たちとの契約が完成し、代償を対価に魔法が使えるのです。」
「代償って?」
「精霊たちは魔力を源としていて、それをたくさん持っていれば持っているほど、その精霊自身が強い力を持つことができます。」
「あーね!じゃあ、代償は魔力なんだ・・・・・・あれ?ねえ、私は持ってるの?」
「魔力は、人間であれば誰でも持っているものです。ただ、その純度によって強さや大きさが変わります。」
「なんか、さまざまなんだね~」
「なので、魔力がなくなってしまうとそのもの自体、消滅してしまいます。」
「えっ?消滅って?」
「魔力は、そのものの本質です。それが無くなるのは、すなわちその存在自体が無くなってしまうのと同じなのです。」
「うわっ、じゃあ気を付けて使わないといけないんだ」
「はい。」
「あとさ、その呪文を覚えないと魔法って使えないの?」
「だいたいはそうです。」
「ふーん・・・」
・・・・これで全部だな
「では、さっそくやってみましょう」
「えっ?でも呪文分かんないよ?」
「私がやるのを見ておいてください。」
何をしようか・・・・。あれからでいいか・・・
『火の精霊よ、我は火を望む。我と契約し火をだしたまえ。』
ボウッ!!
これは、初級だ。最初はこういうのからしたほぅいいだろう。
「では、魔王様も」
「うん!」
魔王様が張り切って立ち上がろうとするとき、
「クロエ、少しいいか?」
おじさんの声が水をさした。
・・・なんだ?
「はい。すみません。」
そう言っておじさんのところに向かった。
「お~!クロエ!!お前からもいってくれないか」
・・・・フィリップか・・・
そしてフィリップは話を続ける。
「魔王様はクロエより俺が教えるのを望んでいらっしゃる。ですから・・・」
「だから、お前よりクロエのほうができる。お前個人の意見は聞いておらぬのだ。いい加減にせよ!!」
とうとうおじさんがキレた
「しかし・・・・」
「フィリップ、魔王様は今たくさんのことを学んでいらっしゃる。中でも最強級の高等魔法、守護霊の魔法を習得されようとしている。」
俺がそう言うとしぶしぶ引き下がったようだった。
これ以上めんどくさいことに巻き込まれたくないな・・・・まぁ、守護霊の魔法なんて賢者レベルだから、まだ無理だろうが・・・・中佐のこいつですら、まだ教えるまでいたってないからな。
「・・・では、魔王様が本当に私を必要とされた時、呼んでください。」
そう言うと、フィリップは去っていった。
・・・はぁ、疲れる。
「クロエ、すまなかったな。戻って続きをしなさい。」
「・・・・はい。」
・・・はぁ、なぜ俺につっかかってくる。めんどくさいことかぎりない。
その時、あの子の声が部屋な響きわたった。
「火よ!」
ブォッ!!
!!いきなり初めてで詠唱解除だと?しかも、こまでの威力・・
「!!水よ!」
危うく燃え広がりそうだった炎(火?)を俺の出した水がとめた。
「魔王様!!大丈夫ですか?・・・・これは一体?」
「ごめんごめん!私が勝手に魔法を・・・」
「先程の火の魔法ですか?これは・・・火というより・・・」
・・・炎だな。
「おかしいなぁ、私呪文言ってないのに」
・・・今、なんて言った?・・・呪文なし?嘘だろ!!
「!!精霊の力がなくて、これほど・・・・」
普通精霊たちの協力がないと、魔法は使えない。そういうルールになっている。それを・・・この魔王様は・・・・。
「魔法には、精霊と契約して使う魔法と、精霊の力は借りずに自分の魔力だけでする魔法があります。だいたいは前半のほうしか使えないのですが・・・・・・」
自分に言い聞かせるように俺は呟いた。
・・・・・・この魔王様の力・・・・果たして吉と出るか凶とでるか・・・




