なにこの本?~由真編~
「魔王様!!」
「あっ、おじいちゃんだ。どうしたの?」
「どうしたのじゃございません!!今までどこにおられたのですか!!」
おじいちゃん、珍しく怒ってるなぁ~
「どこって、図書館にいたよ?」
私が適当な言い訳を言うと、
「この国の字も読めないのにですか?」
とおじいちゃんが切り返してきた。だがそこでめげるあたしではない。
「まぁねぇ~。・・・で、なんかあたしに用?」
「・・・・・・いえ。・・・とにかく!あまりはしゃぎすぎたことはしないでください!魔王様なのですから。あと、・・・魔王様には今日から護衛を付けさせていただきます。」
・・・・・・護衛?
おじいちゃんの後ろにはかなりごついお兄さんたちがいた。
「えー!いらないって!!」
「いいえ、いります!・・・・・・どうぞ魔王様、護衛たちの目をかいくぐってどこかにいかぬようお願いいたします。」
そう言ってスタスタとどこかにいっちゃった。
・・・・・・おじいちゃん、顔色悪かったなぁ。風邪でも引いたかな?あとで、特製あったか蜂蜜レモンティーでも作って持っていってあげよ。
「おー、これはこれは魔王様ではありませんか!」
・・・・・・げ!ナルシスト野郎!・・・・・・確か・・・・・・フィリップだったっけ?
あたしがどう対処しようかうんざりしていると、
「申し訳ございません。ここからさきは近づかないでいただきたい。」
と護衛のお兄さんたちがあたしの前に立ちはだかった。それにフィリップは少しイラッとしたようだ。
「・・・なんだね君たちは。誰の命令で動いている。私は中佐だぞ!」
「大臣様でございます。」
「あー、では心配ない。あの方は私を信頼して下さっているからな。」
そう言ってお兄さんたちを押し退けようとしたが
「申し訳ございません。大臣様の言いつけなので。」
とお兄さんたちに遮られた。
「なっ!!貴様、何様のつもりだ!」
・・・・・・お前こそ何様のつもりなんだよ
「申し訳ありません。」
「お前を今すぐ打ち首にもできるのだぞ!」
「・・・大臣様のご命令なので・・・」
・・・・・・なんかお兄さんたちすごいなぁ。フィリップに何を言われようが顔色一つ変えない。
「・・・・・・くそっ!お前たち!そんな無礼を働いていると、いつかクロエのようになるぞ!!」
そう言い残してフィリップは去っていった。
・・・・・・クロエのように?なにそれ?
「・・・・・・魔王様、そろそろ魔法の稽古のお時間です。」
「あっ、うん!行くよ」
まっ、いっか!
「ふぅ!」
終わったぁ!じゃあ、あたしはあそこに行こっと♪
「魔王様?どこに行かれるのですか?」
・・・・・・忘れてた、まずこの人たちをなんとかしないと・・・
「今日はもういいよ。あたしは大丈夫からさ。」
「いいえ、そうはいきません。」
「大丈夫だって」
「いいえ、ご命令ですので。」
・・・くっ!やはりだめか・・・・・・なら、ダメもとで!!
「あたし・・・お風呂に行くつもりなんだけど?」
「・・・・・・」
・・・・・・ん?まさか・・・
「・・・分かりました。では、私たちはこれで・・・」
・・・うっそぉ・・・まぁ、とりあえず、よっしゃだ!!
あたしはスキップしながらあそこへと向かった。
あそことは、書個室のこと。ここに、あたしたちが帰る手がかりがあるかもしれないって、メイドさんたちからの情報収集で分かった。やっぱりさすがだよ、メイドさんたち~!!
・・・・・・よし!!では、始めましょう。
手当たり次第に本を取っては読み、取っては読みを繰り返した。だんだんと隣には本が積み重なってくる。
と、その瞬間
「うわっ!!」
ドサドサドサドサ!!
重みに耐えられなくなった本の山が途端に崩れた。
「・・やばっ!誰かに気づかれたかな?・・・・・・あれ?」
本の山が積んであった所に、なにやら鍵穴らしきものがある。あたしはそっと鍵穴にてを触れると、
カチッ
と音がして、中の物がさらけ出された。
「・・・これは・・・」
それは、一つの黒い本だった。
「・・・わざわざ隠し金庫まで入れてあったんだから・・・これは・・・もしかして!!」
あたしが期待を込めてそっと本のページをめくると、
「・・・えっ」
真っ黒な本の中身は真っ黒のページだらけだった。
「・・・・・・はぁ、はずれかぁ」
あたしはかなりがっかりしてため息をついた。
「・・・・・・この音を聞いて誰かがくるかもだから、今日はここでおしまいだね」
そして、あたしは最近覚えたての透明になる魔法をかけて部屋に戻った。
「・・・・・・今日も収穫なしだったな・・・・ん?」
お風呂に入って、ベットに横になっていると強烈な眠気に襲われた。
「・・・・・・疲れ・・・・・・たの・・・かな?」
そしてあたしはそのまま眠りにおちていった。
・・・・・・?どこここ・・・・・・
『汝望むものはなにか』
・・・・・・おお・・・こりゃ夢?。ここまでリアリティーのある夢初めて見たわ。
『汝・・・・』
「あーはいはい!!望むものね!あたしは・・・うーん、そうだね・・・」
『我はそなたに知恵を授ける者なり』
「・・・・は?」
『そなたに知恵を授けよう』
・・・ちょっ、なに?選択権なし?
「・・・・・・魔王様?・・・・・・きゃー!」
・・・なに?うるさいなぁ・・・・・・あたしまだ寝ときたいんだけど・・・・・・
「魔王様!魔王様!誰か、大臣様を!!」
・・・ん?どうかした?メイドさんたち
「魔王様!どうかなされたのですか?」
・・・・・・あれっ?おじいちゃんだ・・・・・・・・・あたし?・・・別になんともないよ・・・・眠い・・・・・・
そしてそのまま眠りにおちた。
目が覚めると、周りはメイドさんたちが忙しく動いていた。
「・・・あっ!魔王様!!」
そのとたんメイドさんたちが一斉にこちらを見た。
「大臣様!!大臣様!!」
「!!魔王様!大丈夫でございますか!」
どうやらあたしは熱が出てたらしい。それもとてつもなく高い熱だそうだ。
「・・・・・・おっ・・・・・・」
私は呻く。今絶対に言わなければいけないのだ。
「どうかされたのですか?まだどこか具合でも・・・・・・」
慌てるおじいちゃんたち
「・・・・・・お腹減った・・・」
・・・こんなにも激しい空腹感、初めて経験したよ・・・・・・
その後ご飯を食べて元気100倍になった私は、ふとあることに気がついた。
・・・・・・あれ?私って字が読める?
そこらそこらに書かれている字が読めているのだ。
なんで急に・・・・・・考えるとしたら・・・・・・昨日のあれか・・・確か・・・知識をくれるって言ってたしね~。しかし・・・・・・熱が出るなんて聞いてないぞ!!多分知恵熱!!
「・・・魔王様、そろそろ・・・」
「あっ、はぁい!今いく~」
いけないいけない!今日はクロエに新しいことを教えてもらうんだった。
魔法の質も前より上がっていた。ってか、新しいことを教えてもらわなくても何故かあたしは知ってて、あたしは唯それを唱えればよかった。それにさすがのクロエも驚きを隠せないようだった。
「・・・・・・・・・」
・・・やばっ!まさか、感づかれたかな?
「・・・よく復習ができているようです。今日はここまでといたします。」
たんたんとそう言って、何処かへと行ってしまった。
・・・ふぅ!!今度から気を付けなきゃ!
「・・・よっこらせっ、と」
おばあちゃんみたいな台詞をいいながらあたしは玉座に腰をおろした。
「はぁーー!疲れたぁー」
あたしが玉座でゆったりとしていると
「・・・・・・だよな?」
・・・・・・ん?声?おかしいな、この部屋にはあたししかいないはず・・・
「・・・ほんとに大丈夫なんですかい?」
耳をそばたてると、確かに聞こえた。今度はっきりと。試しに目をつぶってみると、フィリップと知らない誰かとクロエがなにかを話しているのが見えた。
「ああ、心配ない。魔王様は俺に惚れてるからな!」
「そうですか!!さすがフィリップ様!」
「フフフ、あまり誉めるな。照れるだろ?」
・・・・・・・・・げっ・・・・疲れてるときに嫌なものを・・・・・・しかも、誰が誰に惚れてるって!!
「しかし、本当にあの小娘が伝説の魔王様なんですかね?あっしにはただの小娘にしか見えませんが・・・」
「まぁ、例え違ってたとしても関係ないさ。この世界を救うのはこの俺、フィリップ様だからな!」
「さすがっ!!フィリップ様!おっしゃることが一味違う!」
「ククク・・・だから誉めるなって・・・・・・お前はどう思う?クロエ」
「・・・分からない・・・・・・俺は俺のやるべきことをするだけだ。」
いつもと変わらぬ口調で言う。
「フン!だが俺の邪魔だけはするなよ」
フィリップとその手下ぽい奴はその場を後にした。クロエはその後ろ姿を眺めながら、
「・・・・・・あいつか?」
と険しいかおをしていた。
目を開けると、声が聞こえる前と何も変わらない殺風景な部屋が見える。
・・・・・・あの本すごっ!!
そう思うのと同時に早く新しい魔法が使いたくてウズウズしていた。
・・・・・・よし!!これから、どんどん学んで行こっと♪まずは、ご飯ご飯!!
あー!お腹がへったよー!!
ここまで読んでくださったかた!ありがとうございます!!やっと、由真編が一段落しました。私としても、ふぅ!って感じです。
さて、お次はいよいよ、王都へ行く唯の物語・・・・・・と思いきや、少し寄り道として謎が深い少年、クロエの物語といきたいと思っています!
次回も是非みてくださいね!




