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美形天才王子の長期戦 ~周りから完璧王子と言われるけど、彼女は難攻不落だったので長期戦で行きます~  作者: りなる あい
第八章 命を懸けた最後の愛

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8-6.

第八章ラストです!

私が目を覚ましたのは、騎士団の宿舎のベッドの上だった。

魔力を使い果たして、どうなることかと思ったが、すぐに治療してもらえて大丈夫だったらしい。

あの事件では、生徒も騎士団も怪我を負ったが、幸い死者は出ていないという。

本当に良かった。


それに、魔物と合体していた少年の命も助かったと聞いた。

魔物が消えたあと、少年はその場に倒れていて、今は特別保護されることになったらしい。


――死者が出ていないということは、ソランティア王子も無事なんだ…!

魔物の攻撃を受けて倒れた姿が最後だったから、すごく心配だった。


よかった。

もう会えないかと思った。

また会えるんだ。

すっごく喜んでいる自分がいる。


怪我を負った人たちはどんどん回復していき、後日、王様から「戦ったみんなへ報酬を用意したい」という申し出があった。

回復を待って、王城で栄誉授与式が開かれることになり、私も参加することになった。


私はどんな褒美をもらうべきか――

授与式が開かれるまでの間、正直とても悩んだ。

ほかの人たちは報酬金や爵位をいただいていたけど、私にはどれもピンとこなかった。


この世界で、私にしかできないことは何だろう?

自分の心が、本当に求めるものは何だろう?

何度も、何度も、自問した。

わたしが望むものは……

わたしがこれから歩んでいく道で、必要なものは――





王城の大広間は、煌びやかなシャンデリアに照らされていた。

高座には王様が座り、華やかな衣装をまとう貴族たちがずらりと並んでいる。


私が礼をして会場に入ると、その視線が一斉にこちらへ注がれた。


「今回の事件では、生徒と騎士団を救ってくれてありがとう。君がいなければ、全滅していたかもしれない。本当にマミーナ・フェルには助けてもらった。」


「そのようなお言葉をいただき、光栄です。ですが、私だけの力ではありません。ソランティア王子の助けがなければ、私はなにもできませんでした」


「記憶魔法を使って、実際の状況は確認させてもらっているよ。君は偉大なことを成し遂げた。そんな君に、何か褒美を与えたい。君は何を望む?」


わたしは一呼吸おいて、口を開いた。

緊張で、言葉が少しだけ震える。


「……わたしは……騎士団には入らずに……魔法学校の教授になりたいです」


しん、と空気が静まり返り、わたしの声だけが大広間に響いた。

その瞬間、貴族たちの驚きが空気に伝わる。


――黒魔法は、世間が恐れるほど悪いものじゃない。

わたしがそれを学んだのは、絶望の中で光を見つけるためだった。

それは、自分と向き合い、心の奥深くにある真実を受け入れるための魔法。


王様の目がわずかに見開かれた。

そして、少し間をおいて、私の目を見つめながら問いかけてきた。


「それはどうしてかな?」


会場が再び静まり、ざわめきがかすかに立ち上る。

私はまっすぐに王様を見つめ、想いを言葉にした。


「黒魔法は、確かに強力で、扱いを誤れば危険です。けれど私は、その魔法の中に、もっと深い意味を見つけました。絶望の中にいたとき、黒魔法が教えてくれたのです――自分自身と真剣に向き合い、心の奥にある“本当の気持ち”を受け入れる強さを。

それは、争うための力ではありません。

自分と調和し、他者と愛と共感で繋がっていくための、静かな光です。

だから私は、黒魔法の正しい在り方を伝えたい。争いではなく、癒しと和解のために――その使い方を魔法学校で教えたいのです。それが、私の望みです」


そのときだった。


わたしの中で、あのときの女神のような方の声がよみがえる。


『あなたが選んだ“受け入れる”という行為が、光をもたらしました。

それは、これからの時代を照らす最初の灯火になるでしょう。

争いではなく、愛と調和で癒す世界。あなたの歩みが、その道を創るのです』


――そう、これがわたしにできること。

黒魔法の良さを伝えていくこと。

戦うのではなく、相手さえも包み込む世界を目指して。


わたしは、まっすぐ王様の目を見た。

これが、わたしの覚悟。


「君の想いを聞かせてくれてありがとう。君の褒美については、こちらでもしっかり検討し、後日連絡しよう。本日は、ご苦労であった」


「ありがとうございます」





後日、第二王子であるソランティア様も、褒美を受け取ったと聞いた。

なんと、王族を抜けて公爵になるというものだった。

最初にそれを聞いたときは、「それのどこが褒美なの?」と疑問に思った。

けれど、それは――第一王子との権力争いから降り、彼を支えるという、王族内での意味を持った決断なのだと知った。

一般市民のわたしには、すべてを理解するのは難しいけど、きっと王子なりに、すごく考えて決めた褒美だったのだと思う。


王族も、大変だ。

王族として生き続けるのも大変だけど、王族を抜けるのもまた、大きな覚悟がいる。

わたしたちには想像もできない世界が、そこにはあるのだと思った。


しかも――王族を抜ければ、結婚の相手も変わってくる。

王族のままなら、上位貴族との結婚しか許されないけれど、貴族になれば、その制限がなくなる。

婚約者の地位を狙って、令嬢たちが競い合っているらしいけど……

わたしには、まだその世界のことは、よくわからない。


明日から最終章です!

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