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冒険者教育論  作者: ゆきつき
2章熱血体育祭、文化祭
27/30

番外編.二人三脚、アロウとペア

この話は18話の続き、いわゆるifルート的なあれです。

「悪いけど、アロウと組ませていただきます」

「なんか勝手にアタシが悪者みたいに扱われてるのは癪かなぁ!?」


 とは言ってもね。学園の人気者のお誘いを断るって、なかなかに失礼な事してる気分になるからさ。


「そう。ごめんね、迷惑だったかな?」

「そーじゃないんだけど、えっと、こんな接近するようなのじゃないのなら、また誘っていただけると大変ありがたいのですが」

「そう、わかった」


 あー、怒ってないかな?大丈夫かな?失礼な事した気がするよ。

 でも、しょうがない。俺は残念ながら甲斐性なしで意気地なしだ。フォーセさんと密着するなんて、そんな事できっこないよ。こう、心臓がバクバクしすぎて破裂しちゃうよ。


「えっと、アタシとペアでよかったの?相手はあのフォーセさんだった訳だし」

「いや、うん。あんな美人と隣に居てられないし、俺にそんな資格はないから」

「まあ確かに、こっちが気おくれするレベルの美人だもんね。羨ましいよ」


 女子にすら羨ましがられる顔って、よっぽど美人なんだろうな。こう、あるじゃん?男が思う美女でも、女子からは普通とか思われてる顔って。まあそんなの個人の感想でしかないけど。


「……」

「ここは、『ふっ、アロウは俺の中の一等星だぜ』とか言ってくれてもいいじゃん!」

「少女漫画の読みすぎなんじゃないの?」

「確かに読みすぎなのは否定しないけど!」

「否定しないさいよ」

「でもアタシだって恋する乙女なんだよ!自分があんなに可愛い顔になれたらなって思うんだよ!」

「俺にキレないでよ。過程はどうあれ結果はアローを選んだんだし」

「そ、そんな事言われても」

「俺変な事言ってないよ?」


 ちなみにアロウを選んだ理由は、丁度フォーセさんを選んだ理由の逆である。

 幼い頃からの付き合いなので、隣に居ようが心臓がドギマギしないから。それだけである。 

 あとはまあ、話しやすいってのも、あるかな?結構大事よ?話しやすさ。作戦の共有とか、色々するのにもコミュニケーションって大事だから、うん。話しやすいって大事だと思う。


「じゃ、行きますか」

「作戦はどうするの?」

「後ろで争ってもらうのを期待して、俺達はさっさとゴールを狙う。正直アロウも武器が無いと大した事できないし」

「他人にそう言われると腹立つ」

「まあまあ。で、俺の場合は武器があっても遠距離攻撃はさっぱりな訳で。誰が遠距離の能力を使えるのかわからない以上、俺達は無難にゴールを目指すべき」

「へー」


 まあこれが、遠距離攻撃できない人の定めですよ。


「まあそういう事でいい?」

「でも私、100ポイントしかないけど、本当に足りるの?」

「俺と同じような考えが万越えユーザー全員がやってるって考えてみ?他の100点ユーザーのをとっても、些細なもんだと思う訳よ。いやまあ全員がスルーを決め込んでゴールを目指した場合はその100点は結構大きいかもしれないけど、どーせ戦闘狂がいるんだし、100点程度で覆るような差じゃないって」

「そーかな?」

「まあここで1位を取らないといけないって訳じゃないだろうし、そんなに焦る必要はないんじゃない?それよかハチマキを取られない事を意識するべきだと思う」

「ヴァンがそういうなら、それで良いけど」

「やめて、俺を全面的に信用するのはやめて。自身なくすから」


 なんでか知らんけど、他人から全面的に信用されたら謎に不安になる、あるある。


「まあでも、アタシたちが動きも制限されてる中で出来る事って、あまりないもんね。ならゴールを目指すのが無難かな」

「そー言って貰えると助かるけど、これが正しいかと言われれば全く自身ないから、もしなんかあってもぼくを責めないでね」

「……」

「責めないでね!」


 俺は知っている。彼女は、案外容赦がないのである。本当に嫌な事はしてこないけど、煽るとかは全然やってくるのである。

 この無言は、とても不安である。



__________





 現在、苦戦必至の55度の坂に到着した次第でございます。


「大丈夫?疲れてない?」

「えっと、普通の人なら、7㎞弱走れば、余裕で疲れると思うんだよね、アタシ」

「今から通称死の坂だけど、大丈夫?担ごうか?」

「なんかその心配は明後日の方向に向いてる気がするんだけど」

「でも見ての通りにお姫様だっこは左腕がこれだから」

「あんたの中に人を抱える行為って、担ぐかお姫様だっこの2択しかないの?」


 いやぁ。俺だってできる事ならお姫様だっこをして、女性をたたせたいよ?でもね?腕がね?死んでるの。いや生きてるけど、腕が欠けちゃってるの。だから使うなって、医者からは言われてるの。だからお姫様だっこなんてしちゃいけないの。

 どこからともなく、そもそも体育祭に出るな、って声が聞こえた気がしたけど、それは気にしない。


「お、おんぶとかさ。あるじゃん」

「ああ、そいやそだた。ほれ、ヴァンの背中、空いてますよ?」

「いや、それは流石にヴァンに負担を掛けさせるだけだし」

「大丈夫。特訓で合計40㎏ちょいの負荷をかけながらの100㎞マラソンにも挑戦済みだから」

「なんか馬鹿な事してるね、ヴァン」


 いやぁ、あの時は死ぬかと思った。なんだかんだで7時間ぐらい掛かった。マジで死ぬかと思った。

 まああの時の事を思えば、たった1㎞もないような距離で女性一人担ぐぐらい、なんとでもなるはずだ!ガンダ、


「じゃ、お願いするね」

「ほいほい。……、なんだ、軽いじゃん。もっと早くからこうしとけばよかった」

「か、軽い?本当に?」

「ん?ああ、そーいや女子は気にするんだったな、忘れてだだだだだだだ、首絞めないで。普通に死ぬから」

「アタシが女性じゃないみたいな言い方はやめようね?」

「ごめんて」


 そーゆーつもりで言ったんじゃなかったんだけどなぁ。こう、普通に女性全般が、体重を気にしているって事をわすれてただけなんだよ。

 それに、アロウが軽いって言ったのは本当よ?お世辞とかじゃないよ?女の子ってこんなに軽いんだなぁ、と感動したぐらいには軽かった。あ、感動したのと同時に、これだけ軽くて大丈夫なの、っていう心配も発生した。


「じゃ、行くぞ。舌、噛むなよ」

「うん」


 それにしても、なんでこの学園のすぐ近くに、こんな地獄みたいな坂があるの?いやまあ鍛えてるから、この坂は鍛え甲斐のあるいい坂だとは思うけどね?それを7㎞ちょっと走らせてから行かせようとする学園の意地の悪さよ。まあ俺は7㎞程度ではへばらないけど。


「じゃ、さっさと先頭に行こうか」

「え、ちょ、速っ!アタシが一緒に走ってる時より速いんじゃ」

「そうか?」


 まあ確かに、ちょっとアロウの速さに合わせてたとも言えるかもしれないけど。そこまで変わるかな?


「ここからはゴールまで一直線だから、絶対に暴れるなよ」

「え、ちょ、この坂だけじゃないの?いやー、ゴールされる時にヴァンの背中とか、サボってるみたいでいやー」

「ええい、黙れ黙れ。アロウはおとなしくおとなしくしてればいいんだ」




____________




『1位の姿が見えて来たぞ!』

『これは、アロウヴァンペアですね。あー、アロウがヴァンの背中にいるが、どーやら暴れてるね』

『確かにこれはちょっと恥ずかしいか!?だが正直なところ羨ましいぞアロウ!ヴァンは普通に美形だからな!』

『ちょっと私情挟まないでくれる?これ実況なんだけど』

『おっと失礼しました。っと、物凄い勢いで、アロウヴァンペア、1位でゴールです!2位以降のペアは一切見えません!まさに圧倒的1位!怪我人が一体全体どーやってあんな速度で走れると言うのか!?次の競技に期待したいですねー』

『でもポイントが低かったら、最後の種目に出れないじゃない』

『まあまあ。ささ、引き続き、レース展開を眺めましょう!』


 うん、俺にしてはなかかない良いペースで走れた気がする。


「うう、恥ずかしいよ。こんなところ見られたらお嫁にいけないよー」

「別にお姫様だっこって訳じゃないんだし、恥ずかしくないだろ」

「ヴァンにはわかんないんだよ、ばーか」


 そんなに怒られるような事言った?まあバカだのアホだのの罵詈雑言は聞きなれてるから、こういうのは無視するのが一番。






_________







 なんかよくわからんけど、決勝なるものが存在して、決勝進出しました。やったぜ。

 次回は宣言通りに一般人Cぐらいの人とペアを組ませてみたいと思います。と思ったんですけど、結局スタートからその子をおんぶしながら走るとかいう脳筋行為に走るので、多分ないです。


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