25.文化祭の光と影
体育祭は楽しかった。
あのあと、俺は徒競走に出ようとした。
綱引きは足を引っ張るだけだろうし、玉転がしは片手使えないと難しいだろうし、借り物競走は普通に面倒くさそうだし、玉入れは、なんとなく嫌だったから、徒競走に出ようとした。
でもなんかチャンバラが終わって退場しようとしたら、なんとびっくり。医者がそこに居た。あと実況席にいるはずだったうちの先生も。
そのあとはびっくり。正座させられて、医者からの説教。とても貴重な経験だなぁと思いつつ、医者の話は右から左へと抜けていった。俺の耳は都合がよく、俺に都合の悪い事を言われていると思った多その都合の良さから都合の良い耳が話を右から左へと流してくれる。流石は都合のいい男。
そしてさらにびっくりなのは、担任まで怒られていたということ。どーして出場させたのかだとか、棄権させる事もできただろとか、まあ色々。
そしてそしてびっくり。医者が帰った後、責任転換でまた俺が先生から怒られた。酷い。びっくりしすぎてビッグになっちゃう。は?
まあ色々と貴重な経験を経て、今日この文化祭に挑む訳でございましてですね。
えー。俺は一体何をしているのかと、自問自答することになった。
「うちの店に是非よっていってくださーい」
えー。なんと言いますか、呼び込み?キャッチセールス?とにかくそれをしている。
でもね。正直町中でこんな事してる人いたらどうする?まあ素通りするよね。少なくとも、行きます、なんて事は言わないじゃん?
もし行く気があったとしても、自分で行くじゃん?まあ道がわからなかったら聞くかもしれないけど、ここ学校。店を開くのは校門からすぐ近くの場所にずらっと並んでるから、迷うとかないのよ。だから俺に聞いてくる事とかないのよ。
つまりまあ、やりがいなんてものが一切ない。
そしてね。こう、衣装がね。とても面白いというか、とりあえず道行く人に苦笑いを浮かべられる感じ。
簡単に言えば、看板を服にしてる感じ。わかる?
真っ白の服を着てできる限り服での主張を抑え、なんか黒板みたいなあれを前後に掛ける。そして店の場所とどんなメニューなのかとかを描いてる。何処にこんな才能の奴を見つけたのか知らんけど、商品の絵だとかなんか凄い黒板アートが出来上がってる。
そんなのを、前後に掛けてる。
そしてチラシみたいなのも配る。これはどこの店も同じで、客を呼び込みたいから、こういう感じになる。でもチラシを配っても効果あるの?
「お疲れ」
「お疲れ。そっちはチラシの減るペースが速いですな」
「なんか、人が良く集まるから」
そして、対抗馬と言うのも変な話なんだけど、俺と一緒にチラシを配っているのはフォーセさん。まあ一緒と言っても、隣で配るんじゃなくて、効率重視、つまり別々に配ってる。まあ同じキャッチセールス枠。
でもね。フォーセさんって、美人だから。ナンパチックな野郎とかも寄ってくるんだよ。まあどうやってそんなのを追い払ってるのか知らんけど、とりあえず人が寄ってくるから、その分チラシの減りも速いってもんだ。
だって、ねえ?俺はこっちからチラシを配りに行っても一定距離を保つ人が大半なのにたいして、フォーセさんは何もしなくても人が寄ってくる。やっぱ世の中顔なんだよ!くそが!
ちなみにこのキャッチセールス、俺はこれ以外できないからって理由で、フォーセさんは美人だから看板娘的あれで選ばれてる。
「休憩の時間だね」
「ようやく?ようやくこの苦行から解放されるの?」
「ま、まあ、お昼休憩ってだけで、1時間も休憩できないし、そのあともどうせやらないとだけど」
「はー。逃げ出したい」
体育祭とは打って変わって、やりがいもなにも無いのに、給料が一切でないやりがい搾取状態。最悪だよ、マジで。
「一緒に屋台回らない?」
「マジですか!」
「食いつきっぷりにちょっとびっくりだけど。じゃあ来て」
マジですか。屋台を一緒に回っちゃって良いの?本当に良いの?これだけでもこの文化祭はやった価値がある。
「あー。確かに、2人きりとは言ってなかったな」
「なんや。うちがおったら悪いんか。これだからエロ親父は」
「というか、ボクはこの空間に必要なのか?おとなしく午後の部に合わせて休憩したかったんだけど」
「そんなこんをつめてたら文化祭楽しめんやろ。だからうちが連れて来た」
えー。フォーセさんに誘われホイホイついて行ったら、なんとそこにはフーコとリヒトがいた。現場からは以上です。
あ、エロ親父って言われた事は無視します。
「いやボクも明日にはまとまった休憩があるから、その時で良いんだけど」
「なんやなんや。うちと一緒に回るのが嫌ちゅうんか」
「今回るのが嫌だと言ったんだよ」
「お前、そこまで嫌がらんでも」
「ボクはヴァンとかフーコさんみたく、1時間近く休憩がある訳じゃないんだよ。25分。わかる?25分しかないんだよ。だからおとなしく休憩しておきたかったんだよ」
「まあまあ、遅れたってええやないの」
そんな適当で良いのか委員長。
そしてリヒトの気持ちが分かったわ。うん。流石にそれだけしか休憩無かったら、屋台とかを回る元気はないよな。
「ほら、時間もないないんやし、さっさといくで」
「時間がないのならボクは誘わないで欲しかったよ」
まあ、時間がないリヒトには悪いけども、せっかくフォーセさんと一緒に屋台を回る、つまりは文化祭を回るチャンスがあるんで、精一杯楽しませてもらう。
「これええな。うまそう」
「お前、どんだけ食べるの?」
「文句ある?」
「いや無いよ無いけども。それでも花のティーン、花の女子高生なんだし、そういうのって気遣うものなんじゃ」
「うちのおかんみたいな事言わんでもええねん」
「あ、一応は気にしてたのね」
えー既に、屋台を4つほどはしごしております。フランクフルトにたこ焼きイカ焼き、そして焼きそば。
俺はイカ焼きを頂いた。ソースの味がイカと生地にマッチして、とても美味しかった。たこ焼きも頂いた。熱々でカリカリ中はふわっ、でとても美味しかった。けど舌が火傷した。熱々だった。付き合いたてカップルぐらいアツアツだった。
まあこれで腹一杯にはなってはないけど、ちょっとこれ以上の出費は流石に不味いので、ここらでブレーキを踏んだ。
でもフーコは違う。
今言った4つの料理すべて平らげた。ちなみにフランクフルトは2本食べてた。
こう、屋台飯ってさ?どれもこれも脂っこいじゃん?そんなのを沢山食ったらさ。こう、カロリー摂取量がヤバくなりそうというかさ?太るんじゃないの?
「あ、まさかうちの焼きそば狙ってたな?このスケベ野郎め。どや?一口いるか?」
「いやいらんよ。もし欲しいならリヒトからたかるから。それとスケベって言っておいて一口すすめてくれるその心優しい気持ちはありがたく受け取る」
「いや別にボクもあげないよ?」
「俺だってもらうつもりないよ?」
「私の食べる?」
「その誘いではとても嬉しいけど、流石にね?」
さっきも言った通り、お金が無いからブレーキをかけた訳で、腹がいっぱいになっている訳じゃない。
だから食べていいのなら、そりゃお言葉に甘えたい所存でございますが。
こう、フォーセさんのを貰うのはね?何というか、色々と不味い気がするのよ。間接なんちゃらでダメな気がするのよ。こう、男のあれを色々刺激しちゃう。
「そう?じゃあいいけど」
ああああああ。勿体ない事したかも。やっちまったなぁ!
「ボクはそろそろ時間だから」
「じゃあ今日はおひらきやな」
「その言い方だと、また次があるような言い方なんだけど」
「ん?明日はフォーセも暇な時間がある訳じゃん?じゃあ明日はもっと詳しいところとか見れるじゃん!楽しみだなー」
「「「……」」」
なんか純粋に楽しみにしてるフーコを見ると、断るって選択肢が湧いて出てこない。なんかちょっかい出そうとしてたのが申し訳なくなってきた。
「じゃ、仕事にもどろっか」
「帰る時にまたあおうや!」
なんか死亡フラグ的なあれなんだけど。まあなんでも良いや。
ちなみにうちの出し物は、わたがしソーダ屋。まあいわゆる、映えを意識した料理、料理?飲み物を売っている屋台なんだけど。
さっきも言ったけど、屋台は校門の近くでやらないとだから、教室は何もない状態になる。
でもせっかくわたがしソーダなんていう映えの飲み物を作るんだから、どーせだし教室も映え映え空間にしようやという委員長の一声のせいで、とても大変な日々を過ごした。まあ主に小道具制作係が、だけど。
そして教室は見事に黒板アートなりあの天使の翼みたいなあれだったり、なんかブランコだったり色々ある。
で、その空間を利用するには、500G払うか、飲み物を買うかの2つの選択肢がある。まあできる限りソーダを買って欲しいから、普通に利用する場合はちょいと高い利用料金を払う必要がある。
「よければうちの店に寄ってくださーい」
とまあ、そういった内容が、この配っているチラシに書いてある。だからちゃんとチラシを配りたいんだけど、まあ俺は顔人気がないようで、人がやってこない。近寄っても離れられる。
結果、チラシが減らない。俺の仕事が終わらない。
「手伝おうか?」
「…お願いします」
まあ、こうしてフォーセさんが隣で手伝ってくれる環境が整ったから、この仕事も悪くないと思えた。ちゃんちゃん。
あと。俺達の出し物は、なんか知らんけど最優秀賞的なあれを受賞した。店は勿論繁盛した。俺はその現場に立ち会えなかった。
次回は私がやりたいだけど、二人三脚のアロウさんだったらバージョンが投稿される予定でございます。その次はヴァンは一般人Cぐらいの人と組まされる予定です。
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