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冒険者教育論  作者: ゆきつき
2章熱血体育祭、文化祭
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20.スタート直後

『よーい、スタート!』

『おっと、スタートの掛け声に合わせて能力の一斉使用。誰かを狙ったのかな?それとも混沌を作り出す事が目的だったのかな?それにしては皆の息が合いすぎてるぞ』


 ……。

 能力の対処法ってのは、まあ1つしかない。躱せ。でないと死ぬ。

 まあ死ぬってのは大袈裟だけど、怪我は必至。

 だって、考えてみて欲しい。あなたは包丁なんて弾き飛ばせるよ、って言えるほどの鋼鉄の肌を持ってるか、って話だ。そりゃ一定数そういう人がいるのだろうけど、まあそんなの全人類の0.1%とかしかいないだろ。

 で、もちろんだけど、俺はその0.1%には入っていない。ごくごく普通の、触ったら、あ、筋肉質、って思うぐらいの肌と言うか体をしている。


 まあ若干話は逸れたけど、あながち逸れてはいなくて。あなたは火が肌に当たって火傷しませんか?とか、酸性の液体をかけられても無事でいてられますか、って質問されたら、まあ普通の人間なら、NOと答えるはず。俺もその1人。

 で、能力ってのは火を出したり毒物を生成したり、まあ本当に色々とある。で、そんなのを防ぐのなんてのは、常識的に考えて無理なんだよ。


 だからね?そういう能力に対しては、躱すしか無いのよ。

 剣での攻撃は剣で防いだりもできるけど、能力での攻撃は能力では防げない、訳でもないけど、基本的には無理だと考えるのが定石。

 だってもし自分の能力が火を出す能力だとして、相手がかまいたち的なあれを攻撃手段としていた場合、火では防ぎようがないじゃん?いやまあ俺の想像力不足って可能性も無きにしも非ずなんだけど、まあ多分無理じゃん?

 だからやっぱり、能力ってのは躱すのが一番無難な選択肢って訳よ。


 で、なんでこんな能力の防ぎ方についてペラペラと語ったのかと言えば、だ。


「ありがとうございます、助かりました」

「大丈夫、問題ないよ。私達は一番ポイントが高いから、合図直後の油断しているのを狙うって、わかってたから」

「いや、うん。ありがとうございました。おかげで助かりました」

「だから大丈夫。それとなんで敬語を使ってるの?」


 えー。スタートの合図と同時に、能力ぶっぱしてきやがった。狙いは俺。あ、これは傲慢とかじゃなくて、マジでガチで俺を狙ってた。俺達のペアを狙った、のもそうなんだけど、それでも攻撃の矛先が俺だった。

 何故かって?そんなの決まってるよなぁ?学園の人気者とペアを組んじゃ、男どもから反感を買う。予想は出来てた。ポイントが高いとかもあるだろうけど、絶対にそんなんじゃない。私怨での攻撃。

 まあフォーセさんがその事をあまり理解してなかったら、話すのを辞めたけど。


 まあ一言で言えば、沢山の能力で、俺を狙って脱落させようとしてきた。

 まあ1つ1つの攻撃の威力は俺を気絶させる事のない、大した事のない、って訳ではない程度の、まあ怪我をさせる程度の威力の攻撃。

 でもね?塵も積もればやまとなでしこって言うじゃん?まさしく今の攻撃がそれでね。一発一発は大した事なくはない攻撃でも、それが積もればガチで気絶必至、最悪全治半年とかの怪我を負うようなレベルの攻撃をしてきた。


 でもまあ、こうして俺は無事なのである。これもそれもフォーセさんの能力のおかげ。ちなみにフォーセさんの能力を知ったのは、ダンジョン探索をするってなって、互いの能力説明の時に知った。けどまあ、それがどのぐらい便利なのか知らなかった。

 フォーセさんの能力は、まあ言ってしまえば影。影を操ったり、まあいろいろ。その1つが、影身を覆う、みたいな事をする能力。その能力の使い方のおかげで、俺は無事、無傷で済んだ。

 もちろんだけど、俺とフォーセさんを繋ぐ固い絆もそのままである。え、そんな固い絆なんてものないだろって?ハイ言い直します。固く結ばれた紐は無傷です。


「最初に攻撃されるのは想定内だけど、想像以上に攻撃の数が多い。これじゃ迎撃できない」

「えっと、とりあえず、ですね?ゴールに向かうのが先決かと、俺は思うんですよ、ええ。とりあえずこんな人混みの中じゃ、どこから攻撃されたかもわからないし、さっさと先頭に出る必要があると思うんだよ。そうなったら格好の餌食ではあるけど、見えないところから攻撃されるよりかはマシだと思うんですよ」

「…でも、人混みの中に混じれるからこそ、私達が狙われない事もある」

「そこだよ。とりあえず、今は流れに任せるのがよさそうかも。どこかで戦闘集団と先頭集団が出来上がるはずだから、その隙をついて先頭に出れれば」

「わかった。そうしよう」

「そんな全面的に信用されると、滅茶苦茶不安になるんだけど」


 俺にはこの体育祭を楽しむという目的があるけど、リヒトとかみたいに、この体育祭でアピールを、って程熱が入っている訳ではない。だから最悪、ここで脱落しても良い。よくはないけど、まあ良い。クラスでの出し物、わたがしソーダ店を先行してオープンしてるから、そっちの手伝い、か俺が一番初めに店をオープンするかどっちか知らんけど、とにかくお店を開く事もできるから、暇する事はない。

 だから最悪、俺がここで脱落するのは良いのよ。


 でもね?どういう心意気で挑んでるのか知らないけど、とりあえず徒競走で1位を取ったフォーセさんに、こんな場所で脱落させる訳にはいかない。だからなにがなんでも、二人三脚を突破する必要がある。


 だからね?そう簡単に俺を意見を採用されるのは、とても不安になるんだけども。不安で不安で夜も眠れないよ。夜なんて過ごしてないだろって?例え話じゃん。




___________




「来た」

「先頭が飛び出した」


 先頭が飛び出したら、次に起きるのは。


「やっぱり先頭潰し」

「ポイントとか見る前に攻撃するんだ」

「ポイントが高かろうが低かろうが、1位でゴールできたらポイントがもらえるって言ってたんだ。じゃあ他のペアに1位を譲る訳にはいかないから、1位を潰そうとするんだよ。多分」


 まあ俺ならそうするかなー、で話してるから、誰しもがそうだという確証は一切ない。


「これで戦闘集団ができ、たな。低くてもポイントが欲しい集団の出来上がりだ」

「あと、純粋に速さでの先頭を争う集団も、やっぱりできた」

「一応、ここまでは想定出来た事。こっからは基本アドリブ合戦になるだろうな」

「大丈夫。私達は負けない」

「そう言って貰えると大変嬉しいですけどね?スタート直後の事もあるし、現在進行形で俺は片腕を吊るしている状態だし、足を引っ張る事が想定されるのですが、そこはいかがでしょう?」

「大丈夫。私が守る。今度こそ」

「男としては守られたくないんだけどなー」


 でもなんだろ。今のセリフ、とてもときめいちゃった。

 2話連続ときめいて話が終わってるヴァンは、チョロインですね。

 このあと11時にもう一話投稿予定ですので、よければ読んでください。


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