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冒険者教育論  作者: ゆきつき
1章ダンジョン探索
12/30

12.レッツぱーりー

「いらっしゃい。たいしたものは振舞えないけど、まあちょっとしたパーティー気分で楽しんで行ってくれ。いやぁ、腕が鳴るなぁ」


 アロウの父さんは、言うならそう。お節介焼きってやつ。だからこうして、俺の退院祝いとか色々とやってくれる。それに人数が多少増えたぐらいじゃ、逆に嬉しそうにしたり。


「う、うちには何もないけど、ゆっくりしていってね」

「なあヴァン。なんでボク達を先に帰らせようとしたんだ?」

「さっきも言わなかった?アロウが自分の世界に入り始めたら、周りに迷惑をかけそうだったからだよ。あいつはなんだかんだで気遣いとかできるけど、なんか自分の世界に入ったらマジで周りが見えなくなるから」

「でも、用事も大した事ないとは言わないが、ボク達を追い払う事でもなかっただろ」

「そんな事言われたってだな。俺だって用事を聞かされてた訳じゃないんだから」


 てかアロウの言う用事を既に知ってたなら、わざわざ俺の拠点に戻ってこないで、アロウの家に直接向かうから。


「それにしても、アロウちゃんの家、綺麗だね。モデルルームみたい」

「あはは。(あたしの部屋にはあげられない)」

「いいなぁ。うちなんて、結構汚いから、こういう綺麗な家って憧れちゃうよ」

「そ、そう?」


 こうなるなら、フーコも来てもらった方がよかったのかな。


「ねえアロウの父さん」

「なんだい?」

「もう一人ぐらい増えたって問題ない?」

「ああ、問題ないさ。友達でも呼ぶのかな?」

「まあそういう感じ」


 フーコは友達なのだろうか?まあ確かに女子の中じゃ親しみやすいと言うか、とても話しやすい人にはなるけど。言って女子だから、そんなに関わる事はないんだよな。


「ねえ、フーコ呼び出す事できる?」

「できるけど、なんで?」

「なんでって言われてもな。なんかフーコ抜きで大騒ぎするのもなんというか、失礼とは違うけど、申し訳ないと言うか」

「本当に?」

「いやまあ、あいつも俺の事を心配してくれたからな。退院祝いつうなら、フーコも居てもいんじゃねえの。別にアロウも良いだろ?」

「なんか仲間外れ感あるけど、フーコちゃんだったらいいよ。話しやすいし」

「じゃあそういう訳なんで。お願いできる?」

「わかった。私としても、フーコちゃんがいた方が良いし」



 数分後。



「お祝いするなら、うちも最初から呼んどけやボケ!」

「俺もついさっき聞かされたんだよ。それとそんなに怒るなよ。ちゃんと呼んだじゃん」

「久しぶりやね、アロウちゃん」

「久しぶり、フーコちゃん。夏休み入る前、ぶり?」

「そんぐらいやろな。いやあ、それにしてもアロウちゃんの家に招かれるなんて、嬉しさの極み。目からうろこやで」

「それは意味違うだろ」

「目から涙」

「ただ泣いてるだけじゃねえか」


 やっぱフーコがいる安心感ね。こう、実家のような安心感と言いますか。誰に対してもフレンドリーと言うか、親しみやすさがあるおかげで、良い雰囲気を出してくれると言うか。


「いちいちうるさいなぁ。だからモテないんだゾ」

「なんでモテない事知ってんだよ」

「え、ホントだったの?御免ね?」

「腹立つなぁ」


 まあモテないのは事実だから言い返せないんだけど。

 去年はまあ、お受験の時期も重なって女子同士でも交換、してたな。女子はこういいう行事はとことん祝うから、普通に交換し合ってたね。これ言い訳にできないね。まあ言い訳を続けさせてもらうけど、お受験の時期も重なって、男子誰もチョコを頂けないと言う、哀れな事件が起きた。もちろん俺もその被害者。


「いやぁ。正直どんなもの作れば良いのかわからなかったんだけど、とりあえずパーティー料理を意識してみたよ」

「「おおー」」


 ピザにスパゲティにポテトフライにパエリア?にその他色々、とても美味しそうな料理がずらり。

 待って30分ぐらいしか経ってないはずなんだけど、沢山の料理が出て来た。これの何が恐ろしいって、これを全部アロウの父さん一人が作ってるって事と、料理屋みたく厨房が広いって訳じゃなくて、ごくごく一般的な一般家庭のキッチン程度の広さしかない場所で、この効率を叩き出していると言う事だ。

 すげぇ。

 流石はエプロン姿が似合う男だ。


「ホントなら僕と娘とヴァン君三人の予定だったんだけど、お友達が大勢来てくれてよかったよ」

「いえ」

「呼んでもらえてうれしいです」

「うまそー」


 なんか一人だけ感謝じゃなくて、料理の感想を言ってる。場違いと言うかなんというか。

 まあでも確かに、とてもうまそうな料理がずらりと並んでいる。腹が減って来た。今まで入院食とか言う、質素な料理ばかりだったから、こういう、ジャンキーではないんだけど、味付けが濃ゆい料理は恋焦がれてた。


「じゃあ食べて食べて。遠慮なんていらないから」

「じゃあ」

「「「「「いっただきまーす」」」」」




 お喋りしたり、ダンジョンでの探索の話をしたり、アロウとの思い出、みたいなのを話したり等々、なんだかんだで1時間と30分ぐらい経った。

 料理は完食した。とてもびっくりな事に、全体の3分の1を、フーコが食べた。アロウの父さんの分もあって6人前あったはずなのだが、その3分の1をフーコが食った。

 まあ俺達は食べると言うよか会話を楽しんでた節があるんで、ちょびちょび食べてたんだけど。フーコは違って、がっつり食べて、がっつり話すってしてた。


「じゃ、おじゃましました」

「美味しかったです」

「こんなうまいもん、始めて食べましたよ、うち」

「お世辞でもありがとね。またうちに来てね。アロウとヴァン君、両方の事、よろしく頼むよ」

「はい」


 3人が帰って行った。……いいなぁ、フォーセさんと一緒に帰るとか、リヒトめ許さん。

 まあ2人きりじゃないから、許す。


「じゃ俺も」

「ヴァン君はうちに泊まっていくと良いさ。その体だ。独りだと色々と不便だったりするだろ?その点うちに入れば、いつでも僕はいるからね」

「ヴァンがうちに居る間は、基本アタシもいると思うけどね」

「まあそういう訳で、だ。しばらく家で安静にして過ごすと良い」


 そうは言ってもなぁ。こう、やっぱりアロウが幼馴染とは言え、なぁ。女子の家にお泊りと言うのはどうかと思ったり思わなかったり。


「それに、傷口が開いたりしたら困るだろ?ここに居たら、まあ包帯を巻きなおすと言った簡単なことでも代わりにやってあげられるんだ。悪い話じゃないだろ?」

「まあ、そうですけど」

「それに、言っちゃなんだけど、ママはまだしばらくは帰ってこないと思うから、心配する必要なないよ」


 確かにそれも懸念事項ではあるんだけど、別にそっちを心配してた訳じゃないんだよなぁ。女子の家に泊まるという行為自体に問題があるような気がするんだよなぁ。


「じゃあお風呂の準備をしてくるよ」


 あ、泊まる事が勝手に確定した。


 えっと。俺、風呂入って良いの?左腕だけじゃなくて、右足左足もギプスがあるというか包帯ぐるぐる巻きにされてるし、なんなら右腕だって包帯は巻いてるからね。更に言っちゃえば全身至る所に怪我してるせいで、全身包帯野郎と言っても異存ない。

 そんな奴が風呂なんて入って良いのだろうか?


「布団はアロウの部屋で良い?」

「いや、リビン」

「それでいいよ」

「!?」


 なんかアロウさんが許可出しちゃった。え、ダメでしょ。それこそフーコじゃないけどさ。普通もっと男女の壁的なあれって、もっと分厚いはずなんじゃないの?貞操観念どうなってんの?


「はは。まあアロウもヴァン君の事を心配してたんだ。色々と話してやってくれ」

「ちょ、そういうのは言わなくていいんだよ、パパ!」

「心配してくれてありがとねー」

「む、ムカつく言い方」


 って言っても、話す事なんてない、とは言わないけどさ。言える事ってほとんどなくない?病院での生活の愚痴ぐらいよ?タイミング悪く尿瓶に用を足してたら看護師さんが来た事とかしか愚痴れないよ?しかもこんな話、女子にすることでもないだろうし。

 それになんなら、仲が悪い訳じゃなないけど、特段仲がよろしい訳でもないから、男女二人きりにされたら困っちゃうよ?

 お、俺には、フォーセさんと言う、心に決めた思い人が…


「あ。ヴァン君、その状態じゃお風呂に入れないか」

「流石に、傷に障ると思うけど」

「アロウ、食器洗いかヴァン君の体を拭く、どっちがいい?」

「食器洗い、嫌だ。今日はいつもより多いし。それならヴァンの体を拭く方がマシ」


 なんかとんでもない理由でアロウが俺の体を拭く事が決定したんだけど、え?食器の量が多いから洗い物嫌ってのもわからんでもないけど、よくそんな理由で異性の体を拭く決意できますね。俺には考えられ、いや、これは異性の体を見る良い機会なのでは?まあ俺が見る訳ではないけど。


「じゃ、お風呂に行こうねー」

「俺はおじいちゃんか」

「でもそんぐらい不自由な体でしょ?」

「チっ、反論のしようがない」

「ほら、行くよ」


 えー。確かに汚れを落とす訳だから風呂に行くのは理解できるけどさー。


「なんで女子に体を拭われないといけないの?」

「ナニナニ?アタシに裸を見られるの、恥ずかしーんだー。そーなんだー」

「お前じゃなくて、女子に見られるのがな?それとこういうシチュエーションだから恥ずかしいんだよ」

「え、どこまで見せるつもりなの?」

「自分はどこまで見せれるの?」

「……背中、かな?」

「俺もそうだよ。そして言ったよな?いくら背中とは言え、シチュエーション的に嫌なもんは嫌なの」


 まあ別に、けつを見られようがそんなに恥ずかしい訳ではないけどさ。しょうみ男だし。そんなにみられる事が恥ずかしいと思う事はない。

 流石にすっぽんぽんはキツイけど、女子の前でなら普通に着替えぐらいできるし。パンツを見られようがどうとも思わないし。恥ずかしいと思わんし、もちろんそれ以上の感情を抱く事もないし。


 まあそれはそれとして。女子に拭いてもらうというシチュエーションのせいで、何されるにしても恥ずかしいと思ってしまうの。この年頃の男の子は多感な時期なの。色々と考えちゃう事があるの。大変なの。


「アロウは嫌じゃない訳?」

「いやー。嫌とかじゃなくて、これは義務よ。誰かがやってあげないといけないんだから、アタシがするの」


 あらやだこの子、義務感強いわ。


「とにかく、もう1週間」

「ダンジョン入ってから多分3週間は風呂入ってない」

「え、汚い」

「確かに俺は綺麗好きだし、風呂は好きだけど、ダンジョンじゃせいぜい体を拭くぐらいしかしないし、そんなに綺麗に拭える訳でも無いし、更に言えば2週間なにもできなかったのは絶対的に不可抗力。それは俺のせいではない」

「と、とにかく。早く脱いで。拭いてあげるから」

「そりゃどーも」


 女子から脱いでと言うセリフ、さてはご褒美なのでは?

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