第1話の6 「うまそうに食べてくれるね~」
ミノアは軒先の席に荷物を置いてから代金を支払い、食べやすいようにと首から下げていたがま口を胸の間にしまいました。
「では、エレキエルの大ウナギさん。いただきます」
手を付ける前にミノアは一度手を合わせてから、大ウナギのかば焼きの串を受け取りました。
両手でちゃんと持たないと安定しないくらい、ずっしりとした重みがありました。
スンスンと鼻を鳴らし、美味しそうな香りを改めて確認してから、ミノアは一口、大きな口でかじりました。
「んっ!?」
その途端、これまで食べたことのないような、何とも言えない美味しさが、身体の中に染みわたりました。
「これ、とっても美味しいですっ! 身もふわふわで、口の中どころか、身体いっぱいに甘辛さらが広がっていくようですっ!! ふるさとでは滅多にウナギさんは食べられませんでしたけど、食べるときはただ焼くだけでした。こんなに美味しくなるんですねっ!」
ミノアは幸せいっぱいの笑みを浮かべて、そう表現しました。
「うまそうに食べてくれるね~。そう言ってくれるとこっちも嬉しいよ」
焼いたザクロも嬉しそうな笑顔を見せました。
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はむはむと口を動かし、早々と食べ終わったミノアは、もう一串、いただくことにしました。
「ちょっと待っていておくれ。直ぐに焼きあがるから」
「焼きあがるまで見ていても良いですか? 私、お料理も好きなので、いつか自分でもやってみたいです」
「こりゃ、やりにくいねえ。商売上、秘密なんだが、うまそうに食べてくれる牛のお嬢ちゃんに免じて、今日は特別に見学させてやるよ。その代わり、今後はうちの食堂をひいきにしておくれ」
そう言って特別大きなものを網の上に置きました。
「ありがとうございますっ! 必ずまた食べに来ますね!」
ふんすと鼻息を吹き出してミノアは即答しました。
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それからミノアは、手際よく最初から焼き上げていく様子を、そばで見学させてもらいました。
暑い夏の日差しを背中に受けつつ、七輪の強火でもあぶられ、汗をたっぷりかきながらも、ミノアは一歩も退くことはありませんでした。
焼きあがるのを催促するかのように、ミノアのお腹が『も~!』と、今日一番の大きな鳴き声を上げました。
「お嬢ちゃんはお腹に牛さんでも飼っているんかい? そっくりな鳴き声だねえ。あのじーさんが間違えるのも無理はない」
「えへへへ~♪」
ザクロにつっこまれて、ミノアは少し照れた感じに笑いました。
(つづく)




