第2話の1 「あらら?」
さて、ミノアが『イシキリの町』で一夜を過ごした翌日。
宿を引き払ったミノアは、砦に向かう前にまた祭が行われている町の中を歩いて回りました。
前日、ミノアが吹き飛ばした荷台の残骸があった場所は綺麗に片付けられ、何事も無かったかのように、幾つかの出店が並んでいました。
今日も相変わらず賑やかでした。
即席で作られた小さな舞台では、滑稽な寸劇が行われていました。
広場では曲芸が披露されていました。
路上では旅の吟遊詩人による歌が流れていました。
「昨日は気づきませんでしたが、こういうのを見ると、やっぱりお祭りって感じがしますね。ふるさとと違って、出し物が多いです」
辺りを伺いながら、ミノアはそんな独り言を言いました。
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コカゲには夕方までに砦に来てくれればと言われていましたが、念のためミノアは早めに向かうことにしました。
「宿屋でも朝食をいただきましたが、ちょっと物足りなかったですね」
ミノアのお腹の牛さんが、さっきから『も~、も~』と催促するように鳴いていました。
なので腹ごしらえとばかり、昨日コカゲからもらったパスを使って、幾つか屋台をハシゴすることにしました。
「今日は大好きなお米が食べたいですね。そう言えばふるさとを出てから、まだ一度も食べていません。あまり馴染みがないのでしょうか…」
そんな心配をしていたミノアでしたが、親子丼やかつ丼のようなどんぶりものを見つけ、それぞれ大盛でいただきました。
「臭みもなく、どちらのお肉も柔らかくて、とても美味しいです。これ、自分でも作ってみたいです」
店主の話では、どちらも農作物などを荒らしたり、町や村に侵入して害をなす魔物系の動物で、その駆除した際のお肉を使っているとのことでした。
「言われなければ、魔物系の鶏さんと豚さんのお肉だなんて、わかりませんでした。どちらも美味しかったです。どうもごちそうさまでした」
ミノアはいただいた命に対して、変わらぬ敬意をもって手を合わせて感謝を示しました。
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朝食の追加分を食べ終えたミノアは、再び歩き始めると、今度は道端で開かれているちょっとした蚤の市に出くわしました。
こういうイベントも、お祭りならではの楽しみでした。
道の両側に幾つものテントが張られ、その下に敷物を敷き、色々な品々が並べられていました。
掘り出し物を見つけようと、既に多くのお祭り客たちで賑わっていました。
街道の合流地点でもあるので、この時とばかりに様々な品物が集まってくるのです。
「ほえ~。随分とほこりっぽい匂いのするものが、たくさん売られていますね~」
鋭いミノアの鼻が古臭い匂いを感じました。
するとそれまでただ首から提げられていただけの『がま口のミミック』がピクリと反応し、また小さな両手と両足をピョコンと出しました。
「あらら? こんなところでこの子の手足が出るなんて珍しいですね。どうかしましたか?」
ミノアがそう尋ねると、言葉を理解したのか、ある方向に腕を向けたました。
「あっちへ行くようにとのことでしょうかね? じゃあ、行ってみましょう」
ミノアは示された方向に行ってみることにしました。
(つづく)




