↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぞ×まぞライフ  作者: 篩獅師(ふるいしし)
【第1話 ミノアと石の祝祭】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/34

第1話の25 「おやすみなさい」

 何発か打ち上げ花火を見たところで、コンコンと部屋の扉がノックされました。


「誰か来ましたか?」


 ミノアはパタパタと足音を立てて部屋の入り口に移動し、ドアを開けました。


「こんばんは。夜分にすみません」


「あっ、こんばんはです」


 見れば、ドアの前にコカゲが立っていました。 


「もしかして、もう就寝中でしたか?」


「いえ。花火を見ていました。中に入られますか?」


 ミノアの問いにコカゲは無言で首を振りました。


「様子を伺いに来ただけなので、直ぐに退出します。お部屋の方は問題ありませんか?」


「はい。こんな過ごしやすいお部屋は初めてです。お肉が熟成されるくらい、ぐっすりと眠れそうです。どうもありがとうございます」


 ミノアは深々と頭を下げて、感謝を伝えました。


「なるほど。これで益々美味しいお肉になるわけですね。砦に来られるのがとても楽しみです」


 コカゲはミノアの身体を上から下まで、肉質を品定めするように視線を動かしました。


 ★


「それでは私もこれで。どうか砦まではご安全に。おやすみなさい」


「色々とご心配をいただき、ありがとうございました。私もなるべく明日は早めに伺います。おやすみなさい」


 お互い、ぺこぺこと頭を下げました。

 ミノアが顔を上げると、コカゲがまた、ミノアのことをじっと見つめていました。

 今度は何かを考えているかのような素振りを見せています。


「何かありましたか?」


「いえ、ふと感じたのです。失礼かも知れませんが、今のミノアさんはとても良い香りをされていると思いましてね。心が落ち着くようなまろやかな香がしています。ミノアさんは私よりもずっとお若いようですから、それだけ素敵な香りがするのかも知れません」


 コカゲはそう評価しました。


「まろやかな香りですか? 石鹸は使っていませんが、お風呂では熱いお湯で汗をきっちり洗い流しましたし、だとすればトウモロコシのお茶や、金平糖の匂いでしょうか?」


 ミノアははしたなくも、腕を上げて脇の下の匂いを嗅いだり、胸元を広げて中の匂いを嗅ぎました。


「最近ちょっと、お胸が乳臭くなってきたので、それかもとは思いますけれど、良い香りと言われるとちょっと嬉しいです。でも安心してくださいっ! コカゲさんも『加齢臭』はしていませんから!」


「当たり前です!」


 長命の闇エルフであるコカゲは、ほんの一瞬だけ、イラッとした表情を見せました。


 ★


 コカゲが立ち去った後、少し間をおいてからミノアは厠に行って用事を済ませると、夜風の入る窓を閉め、ベッドにもぐりこみました。

 昼間は蒸し暑かったのですが、夜になるとこの辺りは少し気温と湿度が下がるようで、むしろ少し冷える感じでした。

 薄い毛布にくるまり、それこそ乳牛のように横になりました。


「それではおやすみなさい。あなたもしっかり疲れを取ってください」


 枕元に置いたがま口のミミックに、ミノアはそう伝えました。

 外はまだ賑やかな様子だったが、どっと疲れが出たのか、ミノアはすぐに深い眠りに落ちていきました。

 こうしてミノアの慌ただしく、長い一日がようやくおしまいになりました。


(第1話 おしまい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。