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なぞ×まぞライフ  作者: 篩獅師(ふるいしし)
【第1話 ミノアと石の祝祭】

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第1話の19 「今から『鬼ごっこ』が始まるよ~!」

 賑わう祭の真っ最中、爆発現場はもっと騒然としていました。

 ミノアを載せた荷台は内側から木っ端みじんに吹っ飛び、中にいた誘拐した魔族たちも、その衝撃で全員外に投げ出されていました。

 攻撃魔法なみの威力でした。

 荷台を引っ張っていたサイのような魔獣も、その衝撃で気を失い、お腹を上に向けてひっくり返っていました。

 また荷台の床も割れ、衝撃で車輪の軸が前後とも折れ、荷台は全く動かなくなっていました。


「あっ! お姉ちゃんがいるっ! 何か、しばられてるよっ!」


「よしっ! 助けるぞっ!!」


 殆ど残骸になった荷台の上に、芋虫のように転がっているミノアの姿がありました。

 他にも同じように縛られた小さな魔族の子どもも転がっています。

 大急ぎで駆け寄ると、ミノアのさるぐつわを外しました。


「牛の姉ちゃん、どうしたんだっ!?」


「あなたたち、助かりました。私、あのあと誘拐されちゃったんです。他の子どもたちや動物たちも同じです。誘拐犯のこと、みんなに知らせてください!」


 ミノアは早口で、要点だけを伝えました。


「わかった。みんな~!! 今から『鬼ごっこ』が始まるよ~! この人たちが『鬼』だから、捕まえて~~!!!」


「捕まえた人には、賞金も出るみたいだよ~!! みんな~、頑張って~!!」


 二人が大きな声を上げると、周囲から歓声とも、怒号とも、よくわからない声が上がりました。

 昼間からお酒で酔っている魔族も多いので、むしろ盛り上がりを見せていました。


「そいつは、おもしろい!」


「今年は隠しイベントがあるのか?」


「よし。賞金は俺のもんだっ!」


「酒代を稼ぐぞっ!!」


 などと、そんな声も聞こえてきました。


「まずいぞっ! みんな、ばらけて逃げろっ!」


 誘拐犯の魔族の誰か声を上げると、蜘蛛の子を散らすように、それぞれが四方八方へと散らばって逃げ出しました。


「よっしゃっ! 『鬼』をとっ捕まえるぞっ!!」


「おおっ!!」


 そして誘拐犯の魔族たちの後ろ姿を追いかけて、賑やかな鬼ごっこが始まりました。


「牛の姉ちゃん、大丈夫か?」


「牛のお姉ちゃん、立てる?」


「大丈夫です。ありがとうございます。ちょっとやりすぎちゃいましたね」


 兄妹に腕を取られながら、ミノアは身体を起こしました。

 辺りを見回すと、吹っ飛んだ残骸や、こちらを注目している魔族たちの姿が目に入りました。


「取り敢えず先に他の子どもたちや動物たちを助けてからにしましょう」


 ミノアの言葉に、トロールの小さな兄妹は頷きました。


 ★


「賞金の出る鬼ごっこ!?」


「何か騒がしくなったと思ったら、そういうことか! そうとくればヒヨちゃん、ここで待っていてくれる? お姉ちゃんの分、食べてていいからさっ。私、ちょっと稼いでくるわ!!」


 そう言ってケイは屋台で買ったポップコーンの紙袋を、妹に押し付けました。

 そして両手と一体化している翼を羽ばたかせ、建物の向こうに素早い動きで飛んで行ってしまいました。


「あっ、お姉ちゃんっ!?」


 ヒヨはそれをただ見送るだけでした。


「こんなに食べたら、喉がカラカラになっちゃうよっ!」


 地団太を踏んだヒヨは、仕方なく陽射しを避けられる日陰に入り、適当な場所に腰を下ろしました。


「誰もいなくなっちゃった…」


 さっきまで賑やかだった辺りの様子が、あっという間に静かになってしまいました。


 仕方なくヒヨは街路樹の影がさしている植え込みのブロックに腰掛けると、ポップコーンを一つ、二つと口に入れました。


「しょっぱい…」


 ヒヨは何とも言えない複雑な表情を見せました。


(つづく)

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