第1話の13 「あのミノタウロスの女の子、まだ食べるんだ」
「さてと、お腹も軽くなって、また余裕が出来ました。まだまだ何かを食べてみたいです」
軽くなった身体を確かめるように、ミノアはトントンと、胸を揺らしながらジャンプしました。
ミノアのお腹もそれに応えるかのように、『も~』と鳴き声を上げました。
それからいただいたトウモロコシの束をリュックとフラップの間に突っ込んでから、その分重たくなったリュックを背負いました。
最後に頭陀袋をたすき掛けにすると、ミノアは再び美味しいものを探して食べ歩きを始めました。
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主に通りに並んだ屋台の料理でしたが、どれもふるさとでは味わえないものばかりで、大食いのミノアは大満足の様子でした。
お陰で何度も何度も、ほっぺたが落ちそうになりました。
「このお肉入りの蒸したお饅頭、ふっくらふわふわで柔らかい感触です。私のお胸よりも大きいです。お母さんのお胸くらいでしょうか? 将来、これくらいになりたいものですね。それではいただきます」
そんな評価をしたミノアは、両方に持ったお饅頭を一つずつ食べ始めました。
「う~ん、これもとっても美味しいですっ!」
食べ応え十分、口の中いっぱいに広がる肉汁に、ミノアは幸せそうな笑みを浮かべました。
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「あのミノタウロスの女の子、まだ食べるんだ」
ハーピィ姉妹の妹ヒヨも姉と一緒にお祭りを回っていましたが、その先々で何度かミノアの姿が目に留まりました。
大きな荷物を背負った牛柄の服を着た女の子は、意外と目立つので、つい目で追ってしまうのです。
今はちょうどミノアが大きなお饅頭二つを、自分の胸の大きさと比べているのが見えました。
思わずヒヨは自分の小さな胸に視線を落として、諦めたように小さく息を吐きだしました。
それから隣で獣肉の串焼きを食べている姉の胸元に目を向けました。
「どうかしたの?」
「別に」
そっけない返事をしたヒヨは、手に持っている獣肉の串焼きを黙って食べ続けました。
その時。
「あの~、お二人ともちょっと良いですかね~?」
「ん?」
「ん?」
不意に声をかけられて、二人同時にそっちを振り向きました。
ハーピィ姉妹に声をかけたのは、魔道具・写真機を携えたニーハでした。
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小さなトロールの兄妹、テツとコハクの二人は、金平糖がたくさん詰まった瓶を持って、ミノアを探していました。
ミノアの尻尾を悪戯に引っ張ったお詫びとして、渡そうと思ったからです。
「牛の姉ちゃん、どこ行ったかな~?」
「まだその辺で食べているんじゃないの?」
二人で手をつなぎながら、更に混雑し始めた人ごみの中をキョロキョロと探し歩きました。
しかしこの混雑ではらちが明かず、テツはコハクを肩車しました。
「これで見えるか? いたら教えてくれ」
「うん。わかった」
テツもまだ子どもなので、そんなに背丈はありませんでしたが、それでもさっきに比べれば、周りの様子が少しは見えるようになりました。
(つづく)




