わたくしはとりあえず鼻血を拭いて欲しかった
あと5話くらい後に出てくるハズ。
御久里 明良
イニシャル同じにしたかっただけです
ガボガボガボガボガボガボガボガボッッッ!!!!!
ざばあぁあん!!
「あ~の~女かぁぁぁああいっっ!!!」
いきなり思い出した前世の死に様に、苦しみも忘れて思わず見事な海老ぞり状態で叫んでいた。
あらやだこれ、背筋自己新記録じゃない?!って違うわ!
「……っお嬢様!!…ご無事ですかっ!」
離れて控えていた使用人が焦った声を上げて駆け寄ってくる。
(えぇっ?お嬢様って私?…あれ?わたくし、よね?)
前世ってなに?
わたくしは声をかけられた途端にまたもや混乱する。
水の中で見えたモノはなんだったのか?
海老ぞりのまま固まってしまった。
「セイッ!」
グイ!グイィィッ
「ぐえっ」
そんな状態に余程慌てていたのだろう、使用人は掛声と共に襟首を掴んで一気にわたくしを持ち上げる。
…カエルのような声が出てしまった。ヒドイ、令嬢なのに!
…ん?令嬢?…使用人??
あれ?私は、どうしたんだ?あれ?わたし…わたくし?
令嬢でアラフォーでゴメちゃん飼って、て…6歳
……………………………………………………え?
あれ? えぇと
なんだ、このキモチワルイの
「お嬢様!あれほど3回転は危険だと言われておりましたのに…お水はあまり飲んでないようで安心いたしました。すぐにお医者様をお呼びいたします。お鼻もお痛わしい…」
「はっ!…ごめんなさい。そうよね、幼児の場合水深10センチくらいでも溺死の可能性があるものね…」
「…お嬢様」
混乱しつつもわたくしは反射的に謝った。強打した鼻が痛い。
しかしこんな身近に危険が潜んでいるものなのね(自爆だけどな)愛読書にも確かに載っていたもの。
「『泣き虫監察医の事件簿ケース1 ちょっとまって!その死因、本当に事故?自殺?』にあった通りかなりヤバかったわ」
「…泣きむ………………はい。確かに危険ですわ」
使用人の南風さんが同調してゆっくりと頷く。しゃがんでから視線をわたくしの位置にあわせて、ニッコリと微笑んでくれた。
「でもご安心くださいませ。それに日本のお医者様はとても優秀ですから鼻血も直ぐに止まりますわ」
「ありがとう、鼻血も直ぐに止まるのね」
綺麗な微笑みにうっかりときめくのは男女共通の病気だよな…
…あれ?何でわたくし名前を知ってるんだ?あ、お嬢様だからだっけ?ん?幼児?
……て、あら?
戸惑っていると、南風さんが首を傾げながら聞いてくる。
「もしかして思い出した?」
「?」
じっと見つめてくる南風さんの黒い瞳に、戸惑う小さなわたくしの顔が映っている。
何故、口調が違うのだろうか?いや、これが本性だった?
小さなわたくしって、なに?
私はオバサンだしそもそもデカイ。君、いい身体してるね?自衛隊に入らないかい?ってくらいに。
「ここは日本じゃないわ」
「??」
南風さんは一度口を閉じ、暫し考えた後、また口を開いた
「リングリンドリンナール」
リングリンドリンナール?
……リング リンド リンナール!!!
「…はうっ!!」
その名を聞いて頭に激痛が走る。有り得ない速さで血流が巡る様な衝撃に眼を見開いた。叫ばずにはいられない!
「うぅ…うゥウォオォオオォオォォ……ッッ!!!!」
「そう水です水なんですこれが水なんですよヘレ」
「ウォーターじゃねーよ!奇跡起きてないからっ…フゴッ」
…時間差で思い出すなんて、やはりオバサンだからかしら?
揺らめく池に映るのは雄叫びなどまるで似合わない幼い美少女。
悪役令嬢
南風さんにアホなツッコミをした後、わたくしは白眼を剥いてぶっ倒れた。
そしてそのまま2日間寝込んだのだった。
あら、南風さんボケてた?




