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乙女は黄金よりもマカロンを好む

次回

ときめいてプラチナマイスター!!あなたへ捧げるスーパーラブ&スイーツ!リターン:R18

の秘密に迫ります

迫れるのか?


一部修正&追加しました

 ピチチチチチ


 目を覚ますと、世界は柔らかな朝の光に包まれていた。


(小鳥の声を目覚まし代りに起きるって世俗的じゃないわよね)


 部屋中に溢れるキラキラした輝きが眩しくて、目を瞑り何度も寝返りをうつ。


 池の縁で白眼を剥いてからどのくらいたったのだろう。

 フカフカなベッドは心地よく、本当はこのまま何も考えずにいつまでも眠りについていたい。


 でも、それでは駄目なのだ


 前世の私と今世のわたくしの記憶、また感情等は混沌(カオス)を経て気を失っていた時間に程好く混ざりあったようだ。


 気を失う前は「身体は子供、精神はオバサン」という感じが強かった。だが今は少しだけ違う。

 精神年齢が下がってしまう、という事ではなく仕草や喋り方が器寄りになったような気がする。もしや段々と本来の年齢に合わせて変わっていくのでは?と不安にもなったが、よくよく考えればそれこそがあるべき姿なのであまり気にしないことにした。


 前世での一人称は私、こっちではわたくしだが、取り敢えず怪しまれないように、最初のうちは意識して咲沙良をしようと決めた。


 お喋り

 →100パー :咲沙良


 心での突っ込&ボヤキ&語り

 →フィフティーフィフティー :オバサンと咲沙良


  殺意&本音

 →100パー :オバサン


 よぉし☆では早速言ってみましょー!


 わたくしは心を落ち着け目を据えて呪文を唱えた。


「わたくしわたくしわたくしわたくしわたくしわたくしはたくしぃわたくすぃはタクシィー!!taxi!!フゴッ」


 ノォ、ノォ!ノォオォォォォォォォォォォォォォ!

 タクシィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!


 …ごめんなさい。嘘を吐きました。最初のうちは心の声やツッコミはオバサン85パーで行こうかと思います…



(しかし…これからどうすれば良いのか)


 ここはリングリンドリンナール。

 乙女ゲーム「ときめいてマイ☆スター!あなたに捧げるラブ&スイーツ」の世界。


 闇の主護島ナレイア。

 その闇の主護を受けし御星グループ。


 御星 咲沙良。

 ゲームのポジション:悪役令嬢…に、なる予定。


 自分はこの先、この御星咲沙良として生きていかなくてはならないわけだ。未だにピンとこないけど…。

 そもそも現実なのかはたまた轢かれてしまった私が造り上げた虚構なのか。

 ああネガティーブ…もう、気にしないことにしたでしょ!


 悪役令嬢って…この子、確か今はまだ6歳なのよね?

 ゲーム開始時の年齢は16歳…10年も後なのにひと目見て直ぐに「あ、こいつあの悪役令嬢じゃね?」って分かったわ…

 それってスゴくない?酷くないっ?全く顔面変わらずに育ってきたのか…とガックリしてしまう。老け顔なの!?す、少しだけ今はあどけないけどねっ!


 前世を思い出した事で咲沙良としての6年間の記憶と感情も、今のわたくしの中にある(あ、ちゃんとわたくしって言えてるのね!)

 それで分かったのだ。()()()は色々と抱えているということを。メンドクセーことを。


 ウルトラスペックを持ち、かつ超美しく頼りになるお姉様の阿莉亜(ありあ)。天使でピュア、愛らしく長男として大事にされる弟の聡史(さとし)。その間に生まれてしまった()()()()()の自分。


 大きすぎる瞳も白すぎる肌もクルクルしている髪も大嫌い。自分に自信が無いから自分の事も大っ嫌い。


 ね、何だかちょっともう病んでますよね?うん。自分に自身がなくかつ自分が大嫌いな悪役令嬢とは如何に?!


 咲沙良はけして普通ではない。

 前世の私は第三者として冷静な目で見ることが出来るから分かるんだけれど、むしろハイクラスなんじゃないかしら。

 妖精の様な容姿(黙っていれば)に本当は輝ける高スペックだって沢山持っている(輝けてないけど!)

 サボリ癖、寂しがりやとひがみ根性が思い込みの激しさを増長し、自分をただの次女と位置付けてしまっただけの残念な子。


 だいたい、お父様もお母様も決して贔屓などしてはいない。すべからく愛してくれていたはずだ。

 阿莉亜が両親に付いて多くのパーティーやイベント事の参加を求められるのは長女の役目として仕方のないことだし、最初に物を買い与えられるのも、単純に先に必要となるからだ。

 聡史はまだ4歳と幼く、色々と手がかかる時期である。好奇心が旺盛で、目を離したら何をしでかすかわからない所があり、色々と構ってしまうのは親としては自然な行為だった。


 でもそれでも。そうだとしても。気に食わない。

 咲沙良だってまだ6歳だったから、寂しくて、我慢が出来なかった。超ヤキモチ焼きだ。

 わたくしはどうでもいいんじゃないのか?自分に自身がないから聞くことも出来ない。それで更に思い込みも拗らせてしまう。ノー!


 そんな理由からとにかく両親に誰よりも一番にかまって欲しくて、目立とうと我儘や癇癪でいつも必要以上に大袈裟にアピールをしていた。KYも貫いた。騒げば自分の側に来てくれるから。

 気がつけば回りからはそういう子だと位置付けられてしまうほどに。


 (だから私はわたくしにちょっと同情しちゃったのよね。っていうか私も私が好きじゃなかったから…でも、やはり限度ってものがあるのよ。何故言わない?叱らない?)


 いつの間にか咲沙良は癇癪を起こせば何でもいう通りになると思い違いをしてしまってたし、両親も取り敢えず望みを叶えてあげるコトが一番楽な対処方法だと、我儘に対して直ぐに頷いてしまっていた。コミュニケーションの崩壊。

 これじゃあ悪化するだけだよね。そもそも咲沙良が求めていたものと違うし。事実ずーっと自分のコトが嫌いなままだ。


 自分の事が好きじゃない、好きになれない、むしろ嫌いだって言えてしまう人はいると思う。

 私はゴメスに救われていたところが大きい。依存と言われてもかまわない。むしろ生きていく為に理由付けが出来たからこそ色々と頑張れた。大事なモノや存在があれば執着も生まれ、気持ちの比率が嫌いな自分を越えてしまう。オー単純!


 咲沙良にとっての執着した存在は片思いの相手だった。

 相手にとっての咲沙良の評価と言えば、KY我儘状態で体当たりされ続けられてはさもありなん…大嫌いだ!…うおう。

 ストレートに嫌だと、大嫌いだ来るなと表情にも言葉にも出されていたのだっけ。だと言うのに…

 私もビックリしたのだが、咲沙良はそんな所も良いなと思っていたらしい。ストレートな言葉と態度が、虚偽や遠慮にて扱われた自分の世界にキラキラとした感情となって溢れだしてしまった。


 ここにドM疑惑浮上。


 とにもかくにもこの痛い恋心をきっかけに、咲沙良は悪役令嬢のレールの上を走り始めてしまったんだと思う。婚約者というポジションももぎ取って。走り続けた結果、行き着く先は破滅転落排除の結末まっしぐらとも知らずに。


 婚約者ルートは強制退学の上(卒業式の日って意味わかんねーよ)主護様も消滅し確か極北の果てに浮かぶ孤島にある更正施設にてアザラシやら蟹やらの加工を安い賃金にて勤しむエンディングだった。


 住み込みで1日2食付き。…朝5時から夕方5時まで流れ作業に勤しむ。今なら働き方改革とかあってブラック企業リストに名がバーンと載るはずよ。きっとお昼休憩は10分もなく食事はただ補給の為だけに詰め込む形じゃないかしら。別にいいわよ安い賃金でも他に使いようがない立地条件だし、1日2食もダイエットだと思えば耐えられそう。その2食もカッタイパン屑とウッスイスープと言う名の水なんだわ。ああ、1番のポイントは住み込みってところよね。トイレとかお風呂が共通でも別に構わないわ。お風呂なんてくそ寒い所もだったら週2でもいけそうだし。やだ、お風呂なんて無いわね。桶に冷水を張って拭くくらいだわ。この年でトイレで恥ずかしいとかほぼ消えたし、人間生きてればブーもプウもあるのよアハハハハハハハハア


 …………はうっ!!

 違う違う違うだろー!!思考がオバサンになっていたわ!

 って言うか極寒の中の水産加工作業に対して舐めたような発言をしてしまい大変申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます。


 話を戻しまーす


 色々と布石があるようですがわたくしは積極的にゲームの様な人生を送りたくないし、破滅するかも知れない人とも関わりたくない。…だけど。


(そんなの関係ない!…ですわね!)


 悪役令嬢予定の御星咲沙良の人生を普通に楽しく生きてみ(あげ)たいと思った。


 主人公を虐められるって事は、自分にも16歳になるまでに主護様が付くという事だ。

 確か殆どの攻略対象者のエンディングで、わたくしは主護様が消えてしまって駄目人間扱いされていたっけ。まあ、記憶のある今の自分ではそんな扱い受けるつもりなんて更々ないし、そもそもにゃんこ型の主護様を蔑ろに!邪険に!適当に扱うつもりはないしっ(ここ大事)

 学院には強制入学だから会わないって選択は皆無…ここは1つモブに徹して普通のお嬢様を満喫ってどうかしらね。あれ?この考えテンプレかしらね?


 悪役令嬢ではなく普通の令嬢としての人生を思い描いてみる。愛だの恋だのイベントだのに振り回されない人生を。


 だから婚約なんてしません。フラグは折っちゃいまーす(七歳で婚約?中身グランマが幼児に恋とか悪いけどナイナイ)



「あ、よく物語補正とか強制力だとか聞くけど、大丈夫なのかしら?」



「モブには影響なかったですね」

「!?」

「あ、モブって私のことですよ?」


 思いもしなかった突然の声かけにビックリした。

 わたくしを助けてくれた(だろう)使用人の南風さんがドアの前に立ち、恭しく頭を下げてからこちらへ向かって歩いてくる。


 気配なんてしなかったんですけど……

 いつの間にソコに居たのだろうか?全く気づかなかった。


「あの、いつからっ…そこ、いたの?」

 やはりトークが実年齢に寄ってしまっているようだ。たどたどしくてこそばゆい。


「わたくすぅいはtaxiからです」


 ギャアーーーーーーーーーーーーー!!!!


「嘘です最初からでした」


 いやぁーーーーーーーーーーーーー!!!!


「笑いを噛み殺し音も立てずに床を転がり回っておりました」


 逆にス.ゴ.イわ!! 髪、乱れてないよね?


 ナンナノ?このヒト…

 話が逸れてしまったのを戻せとばかりに、勇気を出してワタシは南風さんの眼を見つめた。

 それに答えるように彼女が微笑んで、さらにわたくしの元へと近付いた。


「記憶は安定しましたか?しかし2日とはジェラシー感じます」

「…はい?!」


 何が?

 と言うより、何でこのヒト普通に()()()()()()()()?自分でさえ本当はまだ信じられないのに。


 転生者って


 何とも言えぬ不安が込み上げてきて、1度合った視線を反らす。だって、怖いではないか。

 怯えたわたくしに気付いたのか、南風さんはフフっと小さく声をあげた。


「私も転生者って言ったらどうですか?同じ日本人」

「は、へっ?」

「20歳の時に一度死にました」


 えーーーーーーーー!!まさかの年下!!


「目覚めた時点で本当は旦那様に御連絡しなくてはならないのですが…」


 南風さんは1度言葉を切り、また続ける。このヒト溜めて言うの好きだな…


「不可解な事が多いでしょう。お互いの紹介も兼ねて、是非ともこの世界のコトを御説明させて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?…()()()?」


 転生者としての余裕?先輩としての配慮?確かに説明は有難いけれど…


「あの、な、南風…さん」


 ここは頷くしかないだろう。もっと正しく現状を理解したい。わたくしはコクリと唾を飲み込んで、乾いた喉を潤した。


「だったら…」


 怖い。でも、知りたい。


 だか、それよりも、それよりもまず伝えたい事がある


 これからのわたくしに関わる緊急事項


 譲れないお願い。

 わたくしはこの願いを、いいえ、問題を今すぐに解決しなくてはならない


 だからわたくしは言う!!!!


  注】皆様ここで思い出してもらいたい


 冒頭⏩️部屋中に溢れるキラキラした輝きが眩しくて、目を瞑り何度も寝返りをうつ



 キラキラキラキラキラキラギラギラしてたんですぅ!



 正直部屋の説明状況をかなり端折っていた。現実拒否をすることで精神の安定を図ったに過ぎない。


 目覚めてわたくしを包んだ眩い光は朝の光と()()()()

 例えるなら某将軍の金の寺や某太閤の黄金茶室!

 全てが金色でコーディネートされていた




 咲沙良まさかの金色好き



 落.ち.着.か.ね.え.Yo!!




「この金changeでお願いします」


「ハァイッ!ヨロコンデッ!!」



 南風さんは即答でした。


 聞けば家族も辟易していたらしい。

 すまなかったYo。






 翌日には希望通りコーディネートはマカロンカラーにchangeされていました。


 お父様が歓喜したそうで何よりです。



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