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事情聴取 冒険者ギルド編


 俺とパズは今、ギルドの小部屋内にいる。

 周りの冒険者の証言からこの騒ぎの重要参考人として捕らえられたのだ。

 部屋には、俺とパズが座っている後ろに武装したギルド職員が二人。

 テーブルを挟んだ正面に偉そうな禿親父が一人。

 その後ろの部屋の出入り口にこれまた武装したギルド職員が一人。

 もはや完全に犯罪者扱いである。

 偉そうな禿親父が喋り始めた。


「俺はルパート・スミス。冒険者ギルド、ベルベゴード支部のギルドマスターだ。まずは二人とも冒険者カードを出してもらおう」


 俺とパズは黙って冒険者カードを渡した。


「ふむ。パズ・ディラン、Bランク。キラ・キイラ、Eランク。おい、調べて来い」


「はっ」


 職員が一人、部屋から出ていった。


「さて、まずは我々ギルドが先程聞いたことを君らにも聞いてもらおう。

 まず、パズ・ディラン、キラ・キイラの二人がギルド内で会話していて、そこにもう一人男が現れた。しばらく三人で話していると、パズが男に弓を向けた。その後、男はギルドから出ていった。その直後、キラが箱のような物を地面に設置し、それが爆発した。

 とまあこんなところだ。概ね合っているか?」


「はい」


「まあそうだな」


「まず、ギルド内で爆発を起こしたのはキラ。ということで合っているか?」


 なっ!?


「違います!」


「どう違うのかね?」


「ギルドから逃げた男が時間差で爆発する道具を置いていったので、それを鉄の箱で覆う最中に爆発したのです」


「時間差で爆発する道具?そんな話が通用するとでも思っているのか?」


「……パズさんは、あの道具の事、知ってたんですよね?」


 手榴弾を見たパズの顔面蒼白っぷりは記憶に新しい。


「……ああ」


「ではパズに聞こう。君はその爆発する道具を知っていたのか?」


「エイジが使う道具だ」


「そのエイジというのは?」


「エイジ・ナカバヤシ。最近出会った冒険者だ」


「そのエイジ・ナカバヤシは、君ら二人と直前まで話していた人物か?」


「ああ、そうだ」


「君とエイジの関係は?」


「相棒…だと思っていた」


「思っていたというのは?」


「あいつはキラを殺そうとし、それを俺が止めたら今度は俺ごと殺そうとしやがった」


「その道具とやらでか…」


 その時、ギルド職員が戻って来た。

 ギルドマスターのルパート・スミスに資料を渡す。


「おい、もう一人分調べて来い。エイジ・ナカバヤシだ」


「はっ」


「ふむ。君ら二人とも犯罪歴はないようだ。エイジ・ナカバヤシについては何か情報あるか?」


 それは俺も気になる。


「俺は初対面です」


「俺がエイジとあったのは一か月くれえ前だ。最近王都に来たって言ってたな。あと、見たこともない武器を使う」


「見たこともない武器?」


「黒い鉄のクロスボウみてーな武器だ。デカいのと小さいのがある。デカいのは、一瞬で何発も金属の弾を飛ばす。グレーターベアが穴だらけになって即死するほどの威力だ。もう一つも同じようなもんだが、こっちは連射ができない劣化版だな。あとはさっきギルドで使ったのだ。何かしてから投げると、しばらく時間をおいてから爆発する鉄の玉だ。装備は一日すればまた使えるようになるらしい」


 ハンドガン、マシンガン、手榴弾か。

 くそ、何個ギフト持ってんだよ!

 しかも一日で弾薬補充サービス付きとか。

 チートだ!


「にわかには信じがたい話だな。エイジとやらの犯罪歴はわかるか?」


「聞いたことないが、一度盗賊四人を返り討ちにしたことはあるらしい」


「それだけの武器があれば可能か。それで、そいつはなんでキラを殺そうとしたんだ、パズ?」


「わからねー。キラと俺が会ったのは護衛依頼の最中なんだが、その時の話をエイジにしたら、キラに興味を持ったんだ。そんで、なんなら紹介してやるって…」


「それで紹介してら殺そうとした?エイジにはキラの事をなんて話した?」


「護衛依頼中に、溺れてるのを拾った。記憶がない。魔術の天才。こんなとこだ」


「魔術の天才というのは気になるが、殺すような理由は見つからないな。キラは何か心当たりは?」


 ドキン。


「初対面って言ったじゃないですか」


「そうじゃない。殺される理由に心当たりはないか、と聞いてるんだ」


 さあどうするか。


「そういや、エイジがキラに『サバイバーだな?』とか、『サバイバーであろうがなかろうが、疑わしい奴は殺す』って言ってたな」


 おぅ…パズ、それは言ったらあかんやつや。


「サバイバー?なんのことだ?」


 下手な誤魔化しはバレた時が怖いな。

 しょーがない。

 言うか…。


「言ってもいいですけど、人払いできますか?」


「聞かれたら拙いことであるのか?」


「拙いなんてレベルじゃない。俺の命に関わる問題です。俺も自分の命は大事なので、どこの誰かも知らない奴の前では話せません」


「……お前達、席を外せ」


「危険です!!なぜ…」


 職員の一人が反対するが、ルパートは鋭い視線で黙らせる。


「おいお前、俺を誰だと思っている。それともこの餓鬼一人に俺が後れを取るとでも?」


「………いえ、失礼しました」


 職員はパズを立たせ、部屋から出ていった。


「おい、餓鬼。変な真似したら殺すからな」


 ギ、ギルドマスター超おっかねえ…。


「は、はい」


「じゃあ話せ」


「ルパートさんは、異世界人について、どれくらい知ってますか」


 ルパートは少し考えてから、喋り始める。


「異世界人は百年以上前、人族と魔族の戦争において人に勝利をもたらし、この王都を作った五人の英雄とされている。戦争終了後、一人は人族の王に、残る四人は王都を守護する四大貴族となった。その後、今から約五十年前に異世界人が大量に現れ、互いに殺し合ったと言われている。その時の異世界人は無差別に力を振るい、その結果多くの人々が巻き添えを食らった。俺が知ってるのはこんなとこだ」


 思ったよりすごく知ってますね。

 王が異世界人?

 五人の英雄ってことはまさか五人でチームを組んだのか!?

 その手があったか!!

 さすがに生き残っただけあって頭がいいぜ!


「で、それがなんなんだ?」


「ああ、はい。俺も異世界人なんですよ」


「………続けろ」


「異世界人は百人召喚されていて、最後の五人になるまで戦えって、この世界に来る前に言われました。それで、みんな神から不思議な力を授かっていて、それを使って殺し合えと」


「そんなの言うこと聞く奴いるのか?」


 ちっ、鋭いな。

 しゃーない、言うか。


「生き残った五人は、願いが叶えられるそうです。元の世界に戻ることもできるとか」


「………で、サバイバーというのは?」


「神が決めた異世界人の呼び方です。この世界の人はみんな『異世界人』としか言わないみたいなんで、エイジ・ナカバヤシはサバイバーで間違いないと思います」


「この事を知ってる人は他にいるか?」


「王立アベノ学院の校長には話しました」


 トムのことは黙っておこう。

 彼は貴重な地下協力員だ。


「お前が授かった力というのは?」


 なんて言おうかな。


「魔術が人より得意ってことですかね。これ以上は言えません」


「………お前には悪いが、この件は俺の手に負えん。王に連絡させてもらう」


 え、うそやん!


「っ!!そんなぁ!!」


「近日中に城まで連行されるだろうな」


 ルパートが立ち上がった。


「あ、ちょ、待って!」


「なんだ?」


「パズさんはエイジ・ナカバヤシの情報を知り過ぎてます。生きてるとわかったらきっと口封じに殺されちゃうかもしれないんですけど」


「わかった。パズはギルドで保護する」


「ありがとうございます。それともう一個あるんですけど」


「はぁ。今度はなんだ?」


「俺も顔が割れてるんで、できれば全身を隠せるローブなどをいただけると、生存率がぐっと上がるんですけど」


「わかった。用意しよう。お前の身柄もしばらくギルドで預かるから危険は少ないはずだ」


「それは助かります。しばらくの間、よろしくお願いします」







 ルパートが部屋から出ると、パズと職員達が待っていた。


「ギルドマスター、これだけは言わなきゃなんねーことがあるんだ!」


「なんだ?」


「坊主が、キラが魔術であの爆発に対処しなかったら、俺もそうだが、あの場にいた何人も死んだはずなんだ!あいつは自分の身を守っただけかもしれねーが、あいつのお陰で何人も命拾いしたはずだ!それだけは忘れないでいて欲しい!」


「キラがいなければこんなことも起こらなかったのも事実だろう?」


「まあ、そうなんだけどよ」


「安心しろ。あいつが何人もの命を救ったということは報告しておこう」


「ありがてえ!しかし、その報告ってのは?」


「この件は俺の手に余る。王に報告することにした」


 パズと職員達に動揺が走る。


「あとパズ。キラによると、お前は今後エイジ・ナカバヤシに口封じに命を狙われる危険があるそうだ。しばらくはギルドで身柄を保護させてもらうが、構わないか?」


「それは…確かにそうだが」


「どの道二人の身柄はしばらく拘束させてもらうからな。おとなしくしていろよ」


「………」




 こうしてキラとパズは、今回の事件の重要参考人として身柄を拘束されたのであった。

このゲームのポイントは五人でチームを組むことです。

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