忍び寄るサバイバーの影
短いパターンのやーつ。
パズ・ディラン、冒険者ランクC、元狩人。
王都の冒険者の間では面倒見が良く、憎めない性格で知られている。
そんな彼だが、なぜか固定のパーティーは組まない。
理由は一つ。
金だ。
彼は大人数でパーティーを組み、その結果自分と取り分が減ることを嫌っている。
パーティーの必要経費はみんなで出し合うのが基本だ。
剣士などと一緒に組むと、剣を駄目にされてしまったら多額の出費となる。
それに比べ、パズは弓を使うのだが、ほとんど金がかからない。
彼には魔力で矢を生成する、物質化魔術があるからだ。
一日に生成できる矢は五十本。
十分な数だ。
そんなパズからすると、戦う度に装備を消耗するような輩は、正直迷惑である。
そのため彼が受ける依頼は、少人数参加型の依頼であったり討伐依頼が多い。
魔物の解体作業は元狩人の経験から得意であるため、そこらの冒険者よりも買取金額は優遇される。
彼はそんなに金を集めて何に使うのか。
娼館である。
彼は王都の歓楽区の常連中の常連。
世にいう駄目な大人である。
そんな彼だが、最近とある冒険者と運命的な出会いをした。
王都から少し離れた森の中。
そこで彼らは出逢った。
その冒険者は、パズと戦闘スタイルがよく似ていた。
隠密行動からの遠距離攻撃。
黒い鉄のクロスボウのような謎の武器を使い、必殺ともいえる破壊力の攻撃を放つ。
大きな音が出るという弱点はあるが、それに見合っただけの威力と連射性能がある。
一撃の破壊力は、パズには足りなかったものだ。
聞けば、パズと同じように、一日に打てる回数に限りはあるが、次の日にはまた同じ回数打てるようになるという。
金のかからない武装、撤退のタイミングもパズと近い。
その冒険者は、強力な攻撃力は持ち合わせているが、森での魔物の追跡術や解体の知識などはないらしい。
俺とコイツが合わされば…。
パズは、迷わず言った。
「俺と組もうぜ!」
その冒険者、名を『エイジ・ナカバヤシ』。
最近王都に来たらしい。
パズとエイジのコンビは稼ぎまくった。
お互いに足りない部分を補い、理解もしあえる理想的なコンビとなった。
パズはある時、思い出したように聞いた。
「そういや王都の近くで盗賊の死体が転がっていたことが、ありゃエイジがやったのか?」
エイジは「そうだ」と答えた。
なぜその話になったかは覚えていないが、パズはその時の自分が受けていた依頼について話した。
エイジは、途中で拾われた『キラ』という少年に興味を持った。
会ったのは約二か月前。
パズの魔術を人目でコピーした魔術の天才。
しかしこの世界の常識をまったく知らなかったという。
なんでも自分の過去の記憶はないとか。
「興味あんだったら、今度紹介してやるぜ!キラも冒険者登録してたからな!いずれギルドで会うだろ」
それを聞いたエイジはにやりと笑った。
パズはその笑顔を見て、言いようのない不安のようなものを感じたのだった。
今回短かったので、次話には二話分のビタミンCを入れておきます。
次話0時更新予定であります。




