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アーガイル君としばき合い


 ここ最近、俺は使える魔術が順調に増えている。

 接触しているものの温度を上げるヒートアップ。

 逆に温度を下げるクールダウン。

 そしてオリジナルの、『物質放出』。

 炎や氷魔術と同じ要領で、魔力で作った物質を飛ばす魔術だ。

 これにより、剣や槍、矢などを作って飛ばせるようになった。

 俺の中二魂に火が付くぜ。

 投げた方が早いって?

 いやいや、見た目のカッコよさは大事だ。

 雷魔術に関しては進歩がない。

 あの破廉恥な授業は継続されている。

 強化魔術は治癒力強化を覚え、いよいよ授業に出る必要性がなくなった。

 近々サボるかもしれない。


 剣術の授業では、ついに対人稽古が始まる。

 自分がどのくらい剣術ができるようになったか、ついに試すことができる。

 正直カーマインの皆様といると自信を失うので、ここらで調子に乗りたい。

 稽古の前に、革の鎧と木彫りの兜が全員に貸し与えられた。

 鎧系は初めて着たが、意外にも軽かった。

 魔物の素材だろうか。

 これなら大した防御力は期待できないかもしれないが、スピードが落ちることもない。

 火耐性装備が見つかるまでの繋ぎに買っておいてもいいかもな。

 

「じゃあ二人一組で稽古を行うぞー、自由にペアになれー」


 マズい。

 剣術の授業にはレイもミリアもいない。

 知り合いどころか会話すらしたことがない。

 ど、どないしよう!

 みんなどんどんペアを作ってる!

 お、一人浮いてる人がいるぞ。

 アイツとペアを組む!

 俺は勇気を振り絞って話し掛けた。


「ねえねえ、相手がいないなら俺とやらないか?」


 そいつは立派な獣耳と立派な尻尾がついた獣人族の男だった。

 返事がない。

 やらないか?というアプローチはまずかっただろうか。


「……いいぞ」


 ここは友達を作るチャンス!


「俺はキラ。よろしく!」


「アーガイルだ」


 この世界の男はみんなテンションが低すぎる!

 パズを見習え!


「兜、つけないの?」


「………」


 あれれ~、無視されたぞ~?

 新しいサブギフト『獣の友達』がまるで機能していない。

 ああ、もしかして耳の位置が人族と違うから被りたくないのかな。

 ま、いっか。

 頭は狙わないようにしよう。


「じゃあ一組づつ打ち合いしてもらうからなー、本気でやれよー。武器は剣と盾の好きなの使えー」


 そうして一組ずつ打ち合いを始めたのだが…。


「なんかみんなやる気ないな…」


 なんだろう。

 手を抜いているんだろうか。

 動きも遅いし、見え見えで大振り。

 ただのチャンバラ遊びだ。


「真面目にやる奴いないのかなあ…」


 そんな風にぼやいてしまった。


「ふん、所詮人族の剣なんざ、あんなもんだろ」


 俺のぼやきを聞いていたのか、隣で見ていたアーガイルが答えた。


「そうなの?俺が知ってる剣士はみんな強かったけどなあ。こう、シュビッと動いて、ドゥバッと斬って、食らった俺はダッハーンって感じで」

 

 と言っても師匠とクリスとジェイムスさんくらいしか知らんけど。


「俺の生まれた村の戦士達も強かった。いつか俺もああなるんだと憧れたもんだ」


「次、お前たちの番だぞ」


「あ、はい」


 ちっ、また友達できそうなタイミングで邪魔されたぜ。

 なんだこれ、呪いか?


「悪いが本気でいかせてもらうからな」


 とアーガイルが言う。


「もちろん。お互い全力でぶつかろうじゃないか」


 と俺。

 木製の剣と盾を持って、構える。


「では、始め!」


 合図と同時にアーガイルが詰め寄る。

 振りかぶった剣を俺の脳天目掛けて振り下ろす。

 こいつ、速い!

 盾で斬撃を横にそらし、袈裟に斬りかかる。

 アーガイルは盾で防御し、驚いたように大きく距離を取った。

 いい脚してやがるぜ。

 一瞬のダッシュで距離を開けたり詰めたり。

 獣人はみなこうなのか。

 それとも強化魔術か。

 まあいい、強化魔術は俺も使える。

 ジェイムスがやってた技でいくか。

 俺は剣を前に構え、勢いよく地面を蹴った。

 一瞬で距離が詰まる。

 そのままの勢いで喉元目掛けて突きを放った。

 が、アーガイルがギリギリで避ける。

 そして反撃。

 ヤバッ!

 避けれない!

 ジェイムスはどうしてたっけ?

 思い出せん!

 盾で防御だ。

 受け止めた!

 今度はアーガイルの盾が俺の顔面に迫る!

 咄嗟に剣を持った右腕でガード。

 いてぇ!

 お互いの両手が止まった至近距離。

 俺は一歩踏み込み、アーガイルの鳩尾に膝蹴りを叩き込む。

 と同時にアーガイルの頭突きが俺の顔面にクリーンヒット。


「ぐはぁっ」


 アーガイルは膝をついて悶絶している。

 対する俺は鼻血をだらだらと流している。

 痛い。

 鼻の奥がつーんとして、鉄の味が広がる。


「そこまで!」


 観戦していた生徒達から「おおぉ」と歓声が聞こえる。

 とりあえず治癒力強化で鼻血を止めたが、アーガイルは無事だろうか。

 一応アーガイルにも治癒を掛けておく。


「大丈夫?」


「ああ、問題ない。お前、強いな。なんて名だったか」


 おい!

 もう俺の名前忘れてんのかよ!!


「キラだ。キラ・キイラ」


「そうか、キラ。俺はガイルの息子、アーガイルだ」


 いや、俺は覚えてるからね!


「おう。よろしく、アーガイル」


 こうして、俺はアーガイルと友達になったのであった。


 どうやら俺とアーガイルは、剣術の授業を受けている生徒の中では強い方みたいだ。

 全身強化魔術を使っている俺はともかく、アーガイルはすごいな。


「アーガイルは強化魔術を使えるの?」


「俺が使えるのは嗅覚強化と聴覚強化、あとは足だけ身体強化できるぞ」


「へえ、強化が得意なんだね」


「獣人族は強化魔術が得意なやつが多いぞ。他はからっきしだが」


「確か人族は炎魔術が得意なんだっけ。でも炎魔術ってあんまり使えないよなあ。街や森でやったら火事になりそうだ」


「それでも魔術が使える人間は使いたがるやつが多いから質が悪い」


「まあ確かに使いたくなるか」


「キラはなんの魔術が使えるんだ?」


「俺は一応全部使えるけど」


「は?全部って?」


「炎と氷と雷と強化かな」


「氷と雷もか?なんだお前、魔術師だったのか?」


「使えるけど、すぐ魔力切れになっちゃうんだよ。その点、剣術は素晴らしい。剣さえあればいつでもどこでも使えるしね」


「魔術師は魔力切れしたらただの雑魚だからな。キラは槍術は受けてないのか?」


「先に剣術始めたんだけど、俺は多分槍と剣の両方習ったら、どっちも中途半端で終わる気がしてさ。だから槍術は選ばなかったよ。アーガイルは槍術受けてるの?」


「ああ。森で狩りをするときは槍をよく使うからな」


「ふーん、リーチが長い武器は森ではイマイチって誰かから聞いた気がするけど」


「確かに長い剣は扱いづらいかもしれないが、槍は問題ないぞ。投げたりもできるしな!」


「ほう。俺も槍術の授業も選んでおけばよかったかも」


 とまあこんな風に、アーガイルは仲良くなれば結構話もするタイプだった。

 こんなにちゃんとお話しできた男友達はこいつが初めてだ。

 俺はついに各授業においての孤独から完全に開放されたわけだ。

 喜ばしいことだ。

 これなら学院生活を頑張っていける。

 そんな気がするのであった。

サブギフトがついに機能した!?


次話0時更新予定でげす。

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