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友達百人できるかな?(笑)

 今日は氷魔術の授業。

 しかし俺の足取りは重い…。


「孤独だ…」


 友達が欲しい。

 いや、別に友達を作りに来てるわけじゃないんだけどね。

 でも話し相手がいないって、結構きつい。

 前の世界ではどうやって友達作ってたっけ?

 なんとなくいつも間にか友達ってパターンばっかりだったからなぁ。

 いや、やめよう。

 俺は秘密だらけの異世界人、サバイバーだ。

 どうせ友達ができても話せないことだらけで苦労するに決まってる。

 友達はあきらめよう。

 …向こうから友達になりたいってときは拒まないけど。

 まあいい、授業が始まる。


 氷魔術の適正診断も相変わらずバケツだ。

 この世界のバケツの威厳が半端ない。

 水の入ったバケツを用意して、手を水の表面に触れるか触れないかぐらいまで近づける。

 炎魔術の逆で、今度は魔力を放出してひたすら温度を下げる。

 表面に薄い氷の膜ができれば適正有り。

 できなくてもあきらめずに練習するように、とのこと。

 バケツの水が全部凍れば合格。

 午後の実技に出席できるようになります。


 これは正直簡単だった。

 火よりも氷の方が触り慣れてるせいかもしれない。

 他にも一人できたヤツがいた。

 確か昨日ファイヤーボールを一発で的に当ててたヤツだ。

 ミスター・ファイヤーボールと名付けよう。

 炎は結構できる人多かったけど、氷は俺とミスターだけだった。


 午後の授業。

 俺とミスター・ファイヤーボールと先生(確か名前はレオナルド)の三人だけ。

 なんか気まずい空気だ。


「人数も少ないことだし、二人とも自己紹介をしようか」


 お、ナイスなフリだぜ。

 先手必勝、俺からいこう。


「キラ・キイラです。…えっと、よろしくお願いします」


 なんも気の利いた事言えなかった…。

 コミュ力が足りない!


「レイ・グランドーだ。よろしく」


 相手も似たようなもんだった。

 自己紹介は引き分け。

 ん?


「グランドーって、確か先生もグランドーでしたよね?」


 違ってたら恥ずかしい。

 その時は切腹して詫びよう。


「私はレオナルド・グランドー。レイは私の息子だ。グランドー家は代々氷魔術を最も得意とする一族だ」


 貴族のパターンですか。

 もしや入学式で噂されてた魔術の天才はレイのことか?


「キラ君はどこかの貴族の子か?キイラとは聞かない名だが」


 その名は暇神ひまじんの悪ふざけです。


「両親は平民かな?この世界にはいないのでよくわかりません」


 嘘は言ってない。

 うちの父さんの好物は納豆ご飯。

 そんな貴族はいないだろう。

 生粋の凡人だ。


「孤児か?」


 おやおやミスター・ファイヤーボール改めレイ君よ。

 初めて喋った言葉が随分とえげつないじゃないか。

 まあでも近いっちゃあ近いな。


「孤児みたいなもんですかね。家はないけど最近は冒険者になったんで特に不自由はしてないです。この学院は寮もあるし」


「自由で楽しそうだな」


「自由だけど、ほぼ自己責任だから結構大変ですよ。ちょっと前にも森でひどい目にあいましたし」


「…おしゃべりはその辺で終わりにして、授業に移るぞ」


 ああ、せっかく仲良くなれそうだったのに…。


「まずはアイスボールからだな。レイ、手本を見せてやれ」


「はい、父上」


「学院では先生と呼べ」


「わかりました、先生」


 レイが右手を前に出すと、氷の玉が現れ、的に向かって飛んで行った。

 ゴッと音を立てて的に命中。

 あれは当たったら痛そうだ。

 でも要領はファイヤーボールと同じだろう。

 それを氷でできるかどうかだ。


「やってみていいですか?」


「やってみなさい」


 氷は物質化でちょいちょい作ったことあるから楽勝だろう。

 問題は的に当たるかどうかだ。

 よ~く狙って……。

 ボコォ!


「当たった!」


「ほう、なかなかやる」


 先生からもお褒めの言葉が!


「問題ないようなので次の魔術に移る。次はアイスランサーだ。レイ」


「はい」


 完全にレイがレオナルド先生の助手と化している。

 レイが手を上に掲げると、氷の太い槍が現れた。

 先は鋭く尖っている。

 レイの手が前に倒れると同時に氷の槍が的に飛んで行った。

 見事に命中。

 氷は的に刺さっている。

 人相手にこれをやったら即死だろう。


「おお…」


「これがアイスランサー。氷魔術での遠距離戦でのメインにもなる魔術だ。やってみろ」


「はい!」


 しかし、レイは的に当てるのがうまいなあ。

 俺も負けてはいられない。

 氷で槍を作って……せいっ!

 ザンッ!

 俺の槍は的を僅かにはずれ、土に刺さった。


「ああ、おしい……」


「なかなか才能があるな、当たるようになるまで練習だな」


「先生!」


「なんだ?」


「魔力切れです!」


「……そうは見えんが」


 なぜみんな疑う。

 おで、うそ、づがない。


「他の人は魔力切れるとどうなるんですか?」


「…普通は息切れ、汗、倦怠感が伴う」


 ほう、今後の演技の参考にさせてもらおう。


「いえ、本当は俺もだるくて辛いんですが、がんばって痩せ我慢してます」


「…まあレイの魔力量はトップクラスだからな、気にする必要はない。それだけの才能があれば十分だ」


 なんか知らんけど慰められた。


「おいキラ。お前の氷はいつ消えるんだ?」


 レイは自分の聞きたいことだけズバズバ聞いてくるな。


「俺の氷?」


 はっ!

 レイの氷は消えているのに、俺の氷は地面に刺さったままだ!


「と、溶けて水になれば、その内消えると思う…」


「……キラ君が魔力切れなら今日はもう終わりにしよう。私は少し調べものがあるので、これで失礼する」


 レオナルド先生はそう言って、俺が作った氷をささっと回収して持って行ってしまった。

 レイもそれについていくようだ。


 一人残された俺。

 ………別に寂しいわけではない。

次からは0時にあげようと思います。

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