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閑話    とあるサバイバーの話

短めでごわす。




 カン!カン!カン!


「おう新入り、なかなか気合入ってるじゃねえか!その調子で気張れよ!」


「うす!」


 ここはとある鉱山。

 俺はここに住み込みで働きに来ている。

 理由は簡単だ。

 金がないからだ。


「お前が新入りか!いい体つきしてるじゃねえか!」


 知らない男にバチンと肩を叩かれる。


「うっす!あざす!」


 痛くも痒くもない。

 俺が神からもらったギフトは、『無敵の体』。

 俺の体は外からのダメージを一切通さない。

 完璧なチョイスだと思っていた。

 そう思っていたのだが。

 まさかこんなところで働くことになるとは…。


「おいマッスル!金を掘り当てたら特別報酬が出るからな!がんばれよ!」


「うす!」


 この名前も気に入らない。

 神がつけた俺の新しい名前は、『マッスル・ヴィクトリー』だ。

 俺は試しに偽名を使おうとしたが、口から出た言葉は『マッスル・ヴィクトリー』だった。

 恐ろしい強制力だ。

 だが幸いなことに、この世界の人間は俺の名を聞いて笑うような人はいなかった。

 センスの違いだろうか。

 ここの親方も、いい名前だと言ってくれた。

 …うれしくはなかったが、正直ホッとした。

 この名の代償に手を入れたサブギフトは、『衰えない筋肉』だ。

 どんな怠惰な生活をしても、生前鍛え上げたこの筋肉は衰えることはない。

 素晴らしい効果だ。

 俺は生前はプロレスラーだった。

 毎日鍛え上げないと筋肉はどんどん衰えていくことは知ってる。

 この『無敵の体』と『衰えない筋肉』の組み合わせは最高だ。

 そう思っていたのだが………。


 二日間飯も食わずに、やっとこさ街にたどり着いた俺に待っていた現実は厳しかった。

 金がなければ飯も食えず、夜は野宿。

 そんな俺をここに連れて来てくれたのが、ここの親方だ。

 腹を空かした俺に飯を食わせ、寝る場所と食事が保証されている仕事がある、とここに連れて来てくれた。

 しかも月一で給料も出る。

 「助かった」と思った。

 しかし、腹いっぱい食って落ち着くと、そうも言ってられないことを思い出す。

 俺は殺し合いをさせられるためにこの世界に来たということを。

 だが、考え直す。

 他のサバイバーも、俺と同じように金で苦労している筈だ。

 確か神は、一年間で準備しろとか言っていた気がする。

 つまり、この一年間真面目に働き、懐に余裕ができたところで、いざ決戦。

 こういうことだろう。

 ならここは最適だ。

 三食寝床付きで、鉱山内では金を使う心配もない。

 金は溜まっていく一方だ。

 俺の他にもここで働いているヤツはたくさんいるが、どいつもこいつも根性がなさそうで、ひーひー言いながらつるはしを振っている。

 こんなもの、俺が生前日課にしていたトレーニングに比べればなんてことはない。

 たまに落石事故で、骨折したり死亡するヤツがいるらしいが、俺には無敵の体がある。

 ここは俺にとって天職だ。

 一緒に働いている連中からも、俺は一目置かれ始めている。

 生前はプロレス以外では散々悪口を言われ続けてきた俺がだ。

 悪くない気分だ。

 ここでしばらく働きながら外の情報を集めるのもいいだろう。



 そう思い、今日も俺はつるはしを振り下ろす。


次話、学院編突入!

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