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☆第二章本編完結済/120話突破☆【ゴブリンマン】~40代限界フリーランスはゴブリンになっても人間味と仕事が欲しい~  作者: 広瀬
第二章 ゴブリンマン活躍編

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第七十九話 ダンジョンアタック

 バンパイアワイバーンの巣穴は、切り立った岩肌のやや高い位置に、ポッカリと口を開けていた。

 以前のようなダンジョンブレイクを想定して、周囲を警戒するマンナとガッタだったが、外から魔物らしき存在が出入りしているような形跡はない。


 ノアは左手をかざして日光を避けつつ、自分の目でもダンジョン入口の状況を確認する。


「こーれは……外に溢れ出すリスクはなさそうか。じゃあ予定通り、ダンジョンアタック決行!」


 リーダーのノアが号令を出すと、兵士たちはダンジョン周囲に陣取り警戒を開始する。

 その様子を確認してから、ノアは地面から見た巣穴の高さを目視で測り、短く詠唱する。


 すると、地面がモコモコと盛り上がり、階段状に形成されて巣穴に届いた。

 即席の足場の完成である。


『すごいな、魔法は本当に便利だ』


 洋市が感心して足場を見ていると、ガッタが特に悪気もなさそうに足場を作った理由を説明する。


「俺とかマンナはロープで登れるんだけど、セミーンは重装備だし、ノアは身体そんなに鍛えてなくて自力じゃ登れないから階段……」


「悪かったわね!これでも街の女どもに比べたら力こぶあるんだから!」


 ガッタの声が聞こえ、大声で開き直るノア。


「い……いや、そういう意味じゃなくてよ……」


 慌てるガッタの様子を見て、マンナがフォローする。


「リーダーはパーティーの頭脳になってくれればそれでいいの。詠唱すら満足にできないザル頭の誰かさんとは違ってね」


「おい!そこまで言うこと……」


「い、いや、そこで喧嘩してどうすんのよ!」


 今度はノアがあたふたするのを見て、マンナはペロッと舌を出し、ガッタもため息をついてセミーンの後ろに回った。

 長い付き合いで、マンナもガッタも、直情的なノアを落ち着ける方法を知っていた。


 そんな様子をセミーンは冷静に観察しつつ、最前線で戦えるよう武器と盾を構えた。

 ノアが階段の位置からパーティーのもとへ戻ってきたのを見て、マンナと洋市もノアの後ろにつく。


 セミーン、ガッタ、ノア、マンナ、洋市の順番で縦に並ぶと、ノアがダンジョン内での陣形について説明する。


「ヨウイチ、ダンジョンの中が広くなったら、前後左右に広がる『十字』の陣形をとるけど、入口から少し歩いたところまでは狭いと思うから、基本的にはこの一列の隊列を継続するから。後方の警戒はよろしくね」


「分かりました」


 マンナからの説明と指示を受けて、洋市はいよいよ異世界でのパーティーバトルだと気合を入れた。




 セミーンがランタン型の魔道具を使って周囲を照らし、パーティーは通路を慎重に奥へと進んでいく。


 次第に周囲の空間が開けてきて、天井も心なしか高くなってきた頃、洋市は神秘的な風景に出会った。


「これは……鍾乳洞か?」


 洋市の目には、地球で見るところの鍾乳洞のような光景が広がっていた。

 垂れ下がったつらら石には、まるで星の光のような淡い輝き。


 光のない洞窟の中に、優しい光がわずかに点滅しながらぽつり、ぽつりと灯っている様子は、プラネタリウムを連想させた。


「綺麗に見える?ヨウイチさん。これはダンジョン内に生息している虫が光ってるのよ。どんな虫かは興味ないから知らないけど……ね」


 マンナによると、ダンジョンにもモンスター以外の生物は生息していて、中には虫や爬虫類のような生き物はモンスターの餌として招き入れられていることもあるという。

 地球のヒカリゴケとは違う、異世界ならではの生き物の生態系について、さながら社会科見学の感覚で興味深く周囲を見渡していた。


 やがて十分な広さのある空間まで到達した後、パーティーは直ちに十字の陣形へと移行する。

 その時──


「接敵!左から来る!」


 マンナの鋭い声が響き、直後、闇の中からコウモリのような姿をしたモンスターが飛び出してきた!


「おらっ!!」


 マンナは手元に用意していた黒革の鞭を振るう。

 パアァァン!とソニックブームを放ちつつ、コウモリの翼を捉えて地面に叩き落とす!


 すかさずセミーンが斧で首を刎ね、息の根を止めた。

 血が飛び散ることはなく、淡い光とともにコウモリは翼と小さな魔石に変わった。


 セミーンは慣れた手つきで魔石と素材を回収し、自分が背負っているマジックバッグへと放り込んだ。

 何か手伝おうと思い、洋市はセミーンに声をかける。


「背負いましょうか?私のバッグで」


「気にすんなヨウイチ、多分な、複数匹がバーッとまとめて出てくるのは、もう少し奥に行ってからだと思うぞ。今はそんなに気ぃ張るな。ダンジョンはこれからだ」


 少し肩に力が入っている様子の洋市を見て、セミーンが気負いをほぐそうとする。

 洋市もその意図を汲み、少し深呼吸して元の位置に戻る。


 その後も、一行は散発的に現れるコウモリや、小動物型のモンスターを静かに素早く退治しながら、ダンジョンの奥へと進んでいく。


 やがて、左右に立派な石柱のようなものが築かれている、幅広い下り階段が現れた。

 マンナが洋市を連れて下の様子を窺う。


「これは下階への階段なんだけど、一応、斥侯は階段周囲に罠がないかどうか確認しておくの」


 洋市が質問する。


「例えばどのような?」


「第一層ではまずないんだけど、階段周辺に落とし穴があったり、特定の段を踏むとモンスターが出現したりするのが多いわね」


「性格悪いですね」


 洋市が素直な感想を言うと、マンナはふふっ、と笑った。


「まあ、ダンジョン自体が生き物っていう説もあるくらいだから。ちなみにここにはないわ。落とし穴なら大抵、分かりやすく地面の色が周囲と違うし。モンスター出現の罠は、段差が少し緩くなっていたり、逆に急になったりするポイントは注意ね。ここは大丈夫」


 確認を終えた後、一行は隊列を崩さず階段を下っていく。


 階段は踊り場式で何度か折り返されており、石造りながら団地やホテルの非常階段のように続き、底へ底へと一行を導いていく。

 数回踊り場を過ぎた後、次の階層に着いた洋市たちの目の前には、おそらくかつて街(・)だ(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)があった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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これからも『ゴブリンマン』をよろしくお願いいたします。

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