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【ゴブリンマン】~40代フリーランスが異世界でゴブリンになったら、人助けポイント稼がないと人間に戻れなくなった件~  作者: 広瀬
第一章 「ゴブリンマン」誕生編

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閑話 神の側 魔王の側

閑話です。

次のエピソード(第五十一話)は、6/3~6/4に更新予定です。

「だから!これが限界だったんですって!」


神となって間もない、ある男は言う。


「いや、確かに彼の動きは想像つかなかったけどさ、でもあんまり権限は濫用したくないんだよ」


その男の上司、いわゆる兄神が言う。


二柱は、件の人物について、その対処を議論していた。


「あのオッサン、なんでいきなり異世界転移者を増やそうとしたのか……いや、こっちの事情も魔王側の事情も全然分かってないから、そこは説明が本来は必要だったのか……クソッ!」


「やったことはしょうがないよ。でもね、君が思いつかなかっただけで、色々な方法はあったんだよ。例えばヨウイチ君だけがこっちに飛べるように、こちら側で先に準備しておくとか」


「“世界観の歪み”は、こっちじゃ好き勝手出現させられないんですよね?じゃあ結局仕様変更なんて無理でしょ?」


「魔王側の動き自体は読めたんじゃないかな。ヨウイチ君がオノダ……だっけ?あんな辺鄙なところにいたこと自体は偶発的だったけど、それがもとで魔王も準備不足になったわけだし」


「結局、不自然な変異者を魔王は見張らなきゃいけなくなった、ってことでしょ?でもそれだけですよ」


「そうとは限らんさ。現に、魔王はヨウイチ君のことを()()()()()()()節がある」


「……どういうことです?」


「本来、ヨウイチ君は()()()()()()()()()人間なんだ。厳密には、魔王が期待しているような能力を持ち合わせてなかった。残虐性とか、狂暴性とか、殺意とか、怨嗟とか、そういうものをね」


「だとしたら、魔物になるのはおかしいんじゃないですか?」


「うーん、その辺は微妙なんだけど、あの人、何か常人とは違うこだわりがあるっていうか、逆に何かを捨ててしまったっていうか、そんな感じの魂なんだよねえ」


「何です?それ?」


「えーとね、自分を認めて欲しいって気持ちが泥臭くなったようなものがあって、でも、どこか自分が生きることに執着してなくて、生と死の狭間を揺れ動いてる……っていうのかな」


「うーん」


「でもね、実はこの魂の形状って、ゴブリンに似てるんだよ」


「え?」


「ゴブリンって、人類は馬鹿みたいに思ってるけど、あれはあれでやっぱり知性があるんだよね」


「まあそうですね、ゴブリンが職業を持つのも、かつて一時代を築いた名残ですし」


「そうだね、それをアルトヤ界の人類が知らないだけで」


「結局、彼らが滅んだのは……おっと誰か来たようですね」


二柱は、さらに上の親神がやって来たのを見て、この「テラ界」と呼ばれる世界の、地球という惑星・日本という国で起こった、あるイレギュラーの対処を続けていた。




腐臭漂う大地に佇む、黒曜石のような色の石材で建てられた、壮観かつ重厚なデザインの神殿。

その奥にある玉座に座る、二本の巨大な角を持った毛むくじゃらの存在。


かつてアルトヤ界を絶望のどん底に落としたとされる、魔王その人は、玉座の目の前にあるクリスタル柱と、その中に封じ込められている人間の姿を見ていた。

そして、独り言ちる。


「人間ハ 面白イナ ハロウ」


ハロウと呼ばれた、クリスタル柱に封じ込められている人間は、自身の現状を嘆く様子もなく、静かに眠っている。


「アルトヤノ 人間ハ 互イノ タメニ 生キテイテ ソレガ 自分ヲ 活カス コトダト 知ッテイル ダカラ ツケイル 隙ガアル」


魔王は続ける。


「コレハ 要スルニ 思イヤリ トカ 慈愛 トカ 人間ガ 呼ブモノダ」


さらに続ける。


「ダガ 地球ノ 人間ハ オソマツ……ハハハ!!オソマツ、オソマツ!!特ニ 日本ハ 面白イ」


魔王は、何かを嘲笑っているようだ。


「地球デハ 人間 同士ガ 殺シ合ウ 段階ガ ズット 続イテイル」


魔王は、口角を上げた。


「一見 平和ダガ ヒトリ ヒトリガ イビツナ 魔物ダ 本性ヲ 現セバ 誰モガ 魔物ニ ナレル」


魔王は、あるゴブリンとなった人間のことを考えている。


「アイツハ ゴブリン ソックリダ 自分ノ 利害ト 他者ノ 利害ヲ 調整スル ダケデ 生キ延ビテ キタ」


魔王は、おそらく彼が聞けば、怒り出すことを言った。


「結局 アイツ自身ハ 誰カラモ 愛サレナイママ 生キテキタ ソシテ ソレユエニ ゴブリンハ 人間ニ ナレナカッタ」


魔王は、今のテラ界についての感想を、長々と述べた。


「コイツラハ ゴブリンヲ ハルカニ 超エル 邪悪サヲ 心ニ 秘メテイテ ソレハ 同時ニ 深イ 愛ニモ ツナガル ソノ ハザマデ 揺レ続ケテイル 何ト 不安定ナ 生キ物カ」


魔王は、つい最近覚えた言葉を、低い声で呟いた。


「確カ ()()()() ダッタカ」


魔王は引き続き、テラ界とアルトヤ界の狭間で、実験を続けることを決めた。


本稿における魔王の日本人・地球人に対する感想は、あくまでも魔王自身の歪んだ視点による解釈です。

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