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☆第二章本編完結済/120話突破☆【ゴブリンマン】~40代限界フリーランスはゴブリンになっても人間味と仕事が欲しい~  作者: 広瀬
第二章 ゴブリンマン活躍編

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第百二十一話 決着……?

 洋市は一か八かの賭けに出た。

 大綱のような鞭が振り下ろされようとする刹那、身体強化した腕を全力で振り抜き、ミナの足元を狙う。


「!!」


 仮面をつけたまま鞭をふるった弊害か、ミナは隠形で隠れた洋市の真空の刃に気付けず、足元に衝撃を感じる。

 黒タイツを穿いたように真っ黒なミナの足元付近、その空間が一瞬歪むが、洋市のスキル【風刃】はその歪みごと切り裂くようにして、ミナの脚を斬りつける。


「アガッ」


 妙に間の抜けた声を出した後、ミナは少しよろけ、その影響で大鞭は亜希の結界をわずかにそれた。


「いやっ!!」


 大鞭が自分の横に叩きつけられたのを目の当たりにして、思わず恐怖の声を出す亜希。

 ともあれ、洋市の機転によって、結界への大鞭直撃は避けられた。


「亜希さん!!」

「アキィ!!」

「アキちゃん!!」


 間近に大鞭が迫ったのを見て、洋市はただちに結界の中へと戻り、亜希の下へ駆け寄り状態を把握しようとする。同時に、亜希の安否が分からないバルカスとノアは、再びパーティーの体勢を立て直して攻撃に移ろうとする。


「アンデッドは無視だ! 親玉を叩くぞ!!」


バルカスの指示が飛び、真っ先にガッタが動き出す。


「野郎ォッ!!」


 ガッタは周囲のアンデッドを振り払った後、ミスリルメイスに魔力を込め、洋市がこじ開けた風穴に一撃をぶち込む。

 再び空間の歪みは発動するものの、打撃がミナの脚に届いた手ごたえを感じる。


「グッ」


 華奢な身体に見えるミナは、自身の目の前の闇をまとって防御する。

 その闇はたちまち鞭状になり、ガッタを遠くへと吹き飛ばす。


「うわっ!!」

「オラ次行くぞ次!!」


 日本の黒に染まったプロレスラーよろしく、セミーンは勢いよく光属性を帯びた鎧兜でミナの鞭近くに飛び込んだ後、持っていた魔石で聖杖を発動させる。

 聖杖から放たれた光線は、太い黒鞭を切り裂いてミナのもとへ届く。


「フン」


 ミナは足元の影をパーテーションのように立てて、光を影に吸わせる。

 影はあっという間に消えていったが、その間にミナは高く飛び上がり、再び太くこしらえた黒鞭をセミーンに振り下ろす。


「ぬおっ!!」


 躱すことができず、鎧兜のまま黒鞭を食らうと、セミーンは建物の地面にうつ伏せになる形で叩きつけられる。

 意識が飛ぶのを辛うじて抑え、聖杖を支えに立ち上がろうとするが、そこに第二波が飛ぶ!!


「【闇穴(ダークホール)】!!」


 とっさにトゥイはセミーンの真上に黒い穴を作り、そこに黒鞭を吸収させようとする。

 すべてを呑み込む前に穴は消滅したが、そのわずかな隙を突いて、セミーンは前に突進しながら聖杖を発動させた。


「グウゥ!!」


 真っすぐな聖光は、ミナの顔を覆っていた仮面に当たる。

 仮面がひび割れ、そのすぐ後に粉々になって散らばると、そこには真っ赤な目を見開いたミナの顔があった。


「ハッハァ!! ヤルネ!!」


 もはや自分の意思が残っているのか分からないほどに、ミナの異様な高揚感は周囲を威圧する。

 目の前にいるセミーンに向けて、目から広範囲に赤い光線を放つ。


「うおっ!!」


 鎧にかけられていた光属性補正が消え、みるみるうちに鎧が溶けていく。

 その一瞬、スキル【隠密】で姿を隠したマンナは、ミナの後ろからアイテムを取り出し背中に強く叩きつけた!!


「これでどう!?」

「コノッ……」


 マンナが叩きつけたのは、闇属性や呪いの影響を軽減する呪い除けの札と、札の力を増幅する紙札だった。

 次第にミナの赤い目の光が失われていく中、ノアはアンデッドを避けながら長い詠唱を終え、強力な魔法を放つ。


「火の精霊よ、太陽にも近づくほどの光の渦で、悪しき者どもを輝き焦がし給え!! 【炎光の渦(ボルテクス・フレイム)】!!」


 白く輝く炎は渦を巻き、ひるんだミナの姿を隠す。


「ギャアァァァ!!!」


 しかし、その渦の中で何が起こっているのかは、ミナの悲鳴を聞けば明らかだった。

 白光の渦が収まったとき、そこには花魁の衣装がボロボロになったミナの姿があった。


 その上に跳んでいたバルカスは、バスタードソードを真下に構え、真っすぐミナの額に突き刺した!!


「………!!」


 額から真っすぐ、長い剣に全身を貫かれたミナは、そのまま動かなくなった。


「これは……助からない……」


 その様子を遠目に見て、洋市は戦いが終わったと判断した。

 だが、その判断は間違いだった。


「ぐ……はっ……」


 ミナに致命傷を与えたはずのバルカスは、再び剣を掴むことなく、ミナの前に倒れた。


 バスタードソードが刺さった「ミナだったもの」は崩れ去り、バルカスの影から再び花魁の姿となったミナが出現する。


「キキ イッパツ」


 洋市はバルカスが倒れたことに驚きつつも、現状を何とか分析しようと試みる。


 ミナは何らかの方法で今の身体を捨て、別の身体に乗り換えたのか?

 俺たちがミナだと思っていたものは、実はミナではなかったのか?


 しかし、わずかな時間で答えは導けるはずもなく、洋市は突発的に走り出した。


 ミナがバルカスにとどめを刺す前に。

 届けと念じて打つ。


「スキル【風刃】!!」


 雑念なく打ち放った真空の刃は、今まさに鞭をバルカスに振り下ろそうとしたミナの右手を捉える。


「……ッ……コノヤロウ!!」


 黒鞭は刃にはじかれ、洋市は走り出した勢いのまま、ミナの両手を掴む!!


「スキル【催涙毒】!!」

「ンガッ!!」


 マスクが外れたミナの顔に、強烈な催涙毒が吹きつけられる。

 過去のトラウマも災いしてか、ミナは強烈に咳き込んだ!


「ゲホアッ……オエッ……グホッ……」


 洋市は直感した。


 いける。

 首を刎ねられる。


 動きがスローモーションに見える。


 咳き込むミナ。

 鞘からゆっくりとマチェットを抜く。

 右手でしっかりと持ち手を握る。

 そのまま大きく振り上げる。

 花魁の衣装に目を遣り。

 そこからわずかに除く白い首。

 少しずつ振り下ろす。

 首に刃が通る。

 赤い断線が見える。

 そのまま押し切ろうとする。

 黒鞭が右手に近づいてくる。

 左手で黒鞭をつかむ。

 下に体重をかける。

 赤い断線は広がり、首から血がにじむ。

 右手が止まりそうになるのをこらえる。

 さらにマチェットを下ろす。

 重く生々しい手応え。

 さらに刃を沈める。

 抵抗を感じる。

 このままいっていいのか躊躇う。

 刃をずらして側面から切るように軌道を変える。

 抵抗がなくなったのを確認して振り切る。



 目の前が赤くなった。



 ──────────


 > 魔王の刺客「ミナ」を討伐

 > ゴブリンスカウト Lv.45にアップ

 > スキル【隠形】がLv.3にアップ

 > スキル【夜目】がLv.6にアップ

 > スキル【盗取】がLv.5にアップ

 > スキル【風刃】がLv.8にアップ

 > スキル【身体強化】がLv.6にアップ

 > 【勇気の欠片(中)10獲得】 → 【勇気の欠片(小)】は継続保持

 > 持ち物「水魔法」が魔法【水魔法】に変化


 > クエスト【契約・隣人の盾】継続中

 > 継続期限なし

 > 危機対象の排除に伴い、人間形態維持ボーナス+1,000分+α

 > 人間形態維持時間の全回復

 > 分数調整 4500 / 4500分




 > イレギュラー【魔王の呪い】

 > 同人種への攻撃、および殺害による人間味の変化

 >[人間味] 80 → 20 へ反転


 ──────────


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ページ下部からの評価(☆)、ブックマーク、ご感想など、いつも大変励みになっております。

これからも『ゴブリンマン』をよろしくお願いいたします。

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