11話 初めての依頼〜その3〜
10話の続きです。楽しんで読んで貰えるように書いたのでよろしくお願いします。
雷が落ちた瞬間、魔力箱が稲妻を吸収して変形した。
その姿はまさしく黄金と漆黒の稲妻を強調される龍だった。
魔力箱を持っていた手は雷が打たれたとしても何ともなかったが俺の手の上には手のひらサイズの龍が寝転んでいた。
そして、何もなかったかのように空は晴天に戻った。
「何が起こったんだ?」
ザックさんをはじめ、その場にいた皆は困惑していた。
皆の言動を見るとこういうのは、見た事がないみたいだ。
「な、何ですかその形は!?」
一番最初に気付いたのはパンクさんだった。
そして、次々と手の上に乗っている龍に関心を持って近づいて驚いている。
「俺にもよく分かんないですけど、他にはこんな事になった人はいないんですか?」
「初めて見たので分かんないですが、何処かの国で生きているような魔力箱を聞いた事があります。たぶん、予想ですがダンジョン産って事が原因だとは思いますが…因みにですが魔力量を聞いてもよろしいですか?」
「いいですよ。少し確認しますね。」
確か…セシルさんが冒険者カードを起動させて真ん中のルーキーの部分を押すとステータスが見れるって言ってたよな…
そう思い、冒険者カードを起動させてステータスを確認した。
オウガ22歳
0ファミリア
魔力1000?+28
スキル:サーチ
あれ?サーチしか載っていない。
普通のスキルは載って、特殊スキルはなんで載らないのだろうか?と疑問に思ったけど気にしない事にした。
まぁ、いいか。そういう仕様なんだろう。
「これ見えます?」
何も考えずに聞くと、気まずそうにその場にいたパンクさんとザックさんとメルさんが顔を逸らした。
あれ?俺、なんかやっちゃいました?
「オウガさん、普通は自分以外の人にステータスは見せないものなんですよ。」
どうやら、見えるけど人に見せてはいけないらしい。
「すいません、知りませんでした。」
冒険者カードをポケットにしまって魔力量が1000?+28だからどう言ったらいいか考えた。
面倒臭くなり、1028でいいやと考えるのをやめてパンクさんにそのまま言うと、メルさんが驚いて言い返して来た。
「本当に1028なの?」
俺は何をそんなに驚いているのかその時は分からなかった。
「はい、1028ですけど何かおかしいですか?」
「おかしくはないんだけど、魔力量1000超えてたらほとんどの人は王都に行って活躍して有名になってる人ばかりだから。」
有名じゃなくてすいませんね…
俺が顔を歪ましていると、何か感じ取ったのかメルさんが言い訳をしてきた。
「あのね、オウガ君を偏見して言った訳じゃなくてね。」
「メル!言い訳は苦しいぞ!」
ゼンさんがメルさんに突っ込みを入れる。
「そうだよ。オウガ君に失礼だよ。誤った方がいいと思う。」
ザックさんもメルさんに謝るように促した。
「オウガ君、本当にごめんなさい。でも、これだけはわかって悪気があった訳じゃないの。」
落ち込んだ様子でメルさんは謝ってきた。
「大丈夫ですよ。それは分かってたので、でも少し心が…」
俺は胸の辺りを押さえてしんどそうにした。
「えっ?」
メルさんは目を見開いて心配した。
「冗談ですよ!」
「ちょっと驚かさないでよ!」
そんなやり取りをしてその場を賑やかした。
「因みにザックとゼンさんとメルさんは魔力量ってどのくらいあるんですか?」
最初に口にしたのはザックさんだった。
「僕は310だね。」
「俺は270だ!」
「私は250よ」
続いてゼンさんとメルさんも教えてくれた。
聞くと、そのくらいの魔力でもここら辺では多い方らしい。
「それにしても、オウガさん。魔力が1028とは驚きました。やはり、オウガさんと契約して良かったです。それにしても、その形態で魔力箱は機能するのですかね?」
パンクさんが嬉しそうに言ってきた。
「そうですね、やってみます。」
ロウさん達がやっていたように、入れる物を龍の形をした魔力箱に当てた。
すると、龍の口が開いて手に持っていたイメナリア草を吸収した。
龍の形をした魔力箱が起動する。
龍は手の5cmくらい上の空中を舞い、稲妻を帯びて飛んでいる。
何だこれ!?
なんか、かっこいいけど…
「一応、入りましたね。」
「こんな魔力箱があるなんて凄いです!噂で聞いた事しかなかったので本当にあるのか疑っていましたがこれが生きてるような魔力箱!」
パンクさんは興奮して感激している。
「でもこれってどうやって出すんですか?」
「えっと、これは…」
興奮しすぎて戸惑って言葉に出ない。
「少し待って下さい。このような魔力箱は初めて見た物ですから多分通常と同じなら頭の中で出したい物を考えると出てくると思いますが…」
やはり、初めて見る物だからパンクさんの説明は歯切れが悪かった。
とりあえず、やってみる事にする。
頭の中で考えると、龍の口からイメナリア草が地面に出て来た。
「出て来たんで通常と同じみたいですね。」
「それなら、良かったです。」
俺は、イメナリア草をまた吸収させた。
「このアースラプトルはどうしますか?」
「このアースラプトル三匹はオウガ君に受け取って欲しい。」
「そんな、俺は途中から入って助けただけですから大丈夫ですよ。」
「そんなの関係ないよ。倒したのは君達なんだから、貰う権利は君達にあるんだよ。」
「そうだぞ、貰っとけって!」
俺の背中を叩いたのはゼンさんだった。
「すいません、少しいいですか?先程見えてしまったのですがオウガさん、今冒険者カードに入っているお金が0ファミリアだったと思うのでザックさんもああ言ってますし、頂いた方がいいと思いますよ。」
パンクさんには見えていたらしく、優しく言ってくれた。
「そう、僕たちはここら辺では名の知れた冒険者だしお金はある程度持ってるつもりだよ。これから先必要な物もあるだろうからあるに越した事はないと思う、だから貰ってくれないか。」
ザックさんがそう言うもんだから有り難く頂くことにした。
「それなら、有り難く頂きますね。」
俺はアースラプトル三匹を魔力箱に吸収させた。
魔力量が1000以上あるから余裕で入った。
「オウガさんはこれから何処に行く予定だったのでしょうか?」
パンクさんが聞いてきた。
「イメナリア草の依頼を受けていたのでドライ村に報告しに行く途中でしたね。」
「それは好都合!私達もドライ村に行く途中だったのですよ。お金は払いますので一緒に護衛してもらっても大丈夫でしょうか?」
「それはいいですけど、ツインローズの3人は大丈夫なんですか?仕事を奪う形になりますけど…」
「それは大丈夫です。ツインローズの皆さんにも許可を得ていますし、皆さんにしっかりと護衛の代金は払わせてもらいますよ!」
「そうだぜ!オウガ、仕事を奪ってくれてかまわねーよ!俺らが楽になるだけだからな!」
ゼンさんが仕事が楽になると喜んでいた。
「ゼン、僕達もちゃんと護衛しないとダメだからな!」
「そうよ!ゼンはすぐ調子に乗るんだから。」
「分かってるって!」
ザックさんがゼンさんに喝を入れた。
俺は、魔力箱をポケットに入れようと手に取ろうとしたら逃げて俺の周りの空中を回っている。
まぁ、いいか。
離れる訳ではないから放置する事にした。
「それでは行きましょう!」
俺とツインローズの皆さんは荷車を囲むように配置して歩き、パンクさん家族は荷車に乗った。
俺はパンクさん御一行とドライ村に帰る事にした。
道中、この世界の初日に出会ったリスのようでウサギのように耳の長い魔物が出て来た。
「メルさん、小さい魔物が出て来ましたけどどうしましょう?」
俺の横に配置されているメルさんに言った。
「え?ああ、それはリトルムンクね。よく何処にでも出てくる魔物よ。ルーキー用の魔物だし、そんなにお金にならないからほっといても問題ないわよ。」
メルさんはそう言っているけど、一応魔物図鑑で確認する。
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図鑑No.8
耳栗鼠[獣類]
希少度 白
危険度 1(無害レベル)
(説明)
耳が長く、聴力に優れている。少しの音でも感じ取り、興味本位で近づいて来る。非常に弱く、戦いやすいが逃げ足は速い。
肉は硬く、食用ではあるが味はイマイチ。
図鑑効果 魔力+1
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リトルムンクか…
特に見た目が可愛いってだけで需要は無さそうだ。
二郎!
『任せてモヴ』
だけど一応、リトルムンクも二郎に任せて締め上げる。
そして、魔力箱の龍の口から吸収させた。
俺の周りを浮かんではいるがちゃんと機能はするみたいだ。
そして、後は何事もなくドライ村に帰ってきた。
続
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次回の投稿は3日後の18時になります。
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