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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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約束は……

「それで、改めて聞くがアミルクリスタルはどこにあったんかの?」

「改めて言うよ!千斗が王都から借りた魔道具で湖の中にあることが分かったの!」

「でも…………汚染されていて……………もはや湖が毒になっていて…………入れない状態でした」

「って事だ、どうにかしてあの湖に入る手段を見つければ取ることは出来そうなんだが……親父、何か手はないか?」

「………あるには、ある」

「その手段とは何ッスか?」

「……この首飾りを、勇者たちが使えば湖を干上がらせることはできる

それにこれがあれば新鮮な空気を作れるから、探すことはできるんじゃ」

「……」「……」「……」「……」「……」「……」


誰一人も「じゃあそれを貸して」と言わなかった

元々2個あったのがあいつらに捨てられて、1個のみ

そもそも研究中に作っていたからこそ、更にもう1個作る……なんてことは簡単にはできない物だろう

そんなにも希少なのを借りるなんて……とてもじゃないと言えない

ギルドマスターも「手はないか?」と聞いていたけど、本当は首飾りを使わない手段が欲しかったんだろう

話題を逸らしてみるか……?


「ところでで領主様」

「どうしたのじゃ?勇者ソラアミセント?」

「新鮮な空気を作れる、と言っていましたが

それって自分とその周囲の人達が吸えるという事ですか?

それとも、自分のみですか?」

「あまり試したことは無いが、自分のみじゃ」

「それでしたら、何か……マスクがさらに強化されたようなガスマスクのように空気をろ過する違う魔道具とか作れませんか?

それこそ、その首飾りのを更に節減して新鮮な空気を吸うだけのとか、全身を覆って湖の毒素を受けないで潜水できる服とか……

無茶なことを言っていたらすいません」


潜水服とかガスマスクとか、この世界にあるかどうか分からないし

それに、紙のように発想はあったとしても必要性が無いと作れない可能性だってある


「……いや、言いたいことは分かる

わしの持っている首飾りが欲しいんだろ?」

「いえ、欲しいわけではありません

……本当は『貸して』欲しい気持ちはありますが希少でしたら無理をしなくても……」

「……」


領主は一旦考え込む、相手から首飾りの事を言われて結局「貸して欲しい」って言ってしまった

一応無理をしないのは承知の上で伝えたが……


「……親父、勇者達に協力してくれないか?」

「…………」


そう言う娘の言葉を聞いて、一度深呼吸して話し始めた


「勇者達、今までわしはずっと目を逸らしていた

今日言われて信じたいところがあるが……数日待ってもらってもいいかの?」

「どうしてですか?」

「……たしかに話をして、君たちが前の勇者と違うことは分かったからの

でも、いままでヒューラルの様子を見てこなかったことは事実じゃ」

「ハッキリ言ってしまうが

数は少ないけど、しばらく顔を見せなかったから領主に対して不満に思っている人もいる」


ギルドマスターの正直な事を聞いてしまったけど、事実だったら話さなきゃいけないことだ

今まで目を逸らしてきた報いと言えるかもしれない


「……やはりそうなるか、だからこそ勇者達との相談が終わったら

今日にでもすぐに街にでてちゃんと自分の目で様子を観ていきたいんじゃ

今の街の人達は勇者の事をどう思っているのかをの」

「それを観て、心から信じれるようになれたら……貸していただけるという事でしょうか?」

「……そうじゃ、それにガスマスク自体は別に数日あれば問題ない

国によっては普通に売ってあるが、今からとなると作らなければいけないがの

勇者達にサイズの合う物をな」


ガスマスクってそんなハイテクなのこの世界にあったんかい!?てっきり無いかと思ったいたよ!?

だけどもやっぱり水中を探すとなると毒性のある水に触れないために水を干上がらせたりなどが必要なるな

あの首飾りを使うにしても、使わない人もガスマスクは常に付けていた方がいいだろう


「だからその数日間、準備をして過ごして欲しい」

「分かりました、アミルクリスタルだけでなく湖の原因も調査してきます」

「分かったよ!それに無くしたもう1つの首飾りは探すよ!」

「………もちろん……………つかった首飾りも返します

……………必ず!」

「湖の解決のための準備とサポートは任せて欲しいッス」

「ああ………ご武運を祈っているぞ」


そう言われて部屋を出て屋敷を出ていった

真実と約束、真実自体は非常に残酷な物であって心に深く来たし

本当だったらその元凶を今すぐにでも何とかしたい

けど、今は目の前の事を終わりにしなければいけない

言葉だけでなら誰だって言える、けど本当に解決をしてみんなが安心できるくらしにしなければいけないんだ

正義の為とかではなく、自分の気が済まないからな


屋敷を出て武器を回収して、そのままギルドマスターと別れ……と思ったけど何か話しかけてきた?


「……勇者達」

「どうしましたか?」

「みんなは……その数日間、具体的には何をする?

……いや、何をしたい?」

「俺は、とりあえずギルド依頼をしたり、個人的にセメリさんと会ったりして親睦を深めたいです」

「私はね!同じく依頼をしたりシキギちゃんと遊びたいよ!」

「私も…………依頼をして……自分の世界にあった遊びを………………教えたいです………」

「そうか、それでタスメ、アンタは?」

「勇者達のしたいことを尊重したいッス

正直……ここまでの行動は正しいと思っているッス」

「ああ、本当にそうだな

私はアンタらの事に関してできる限りの協力をして行くことにする

湖を元に戻す手助けをな……」

「ありがとうございます!

必ずしも湖を直しますので」

「まあ、多分そのうち親父から『ガスマスクを作って欲しい』って言われると思うし

何も言われてない時は基本的にギルドマスターとしての仕事をして行く

結界の関係で街の外には行けないけど、できることはする

何か困ったときは基本的にギルドの最上階にいるから来てほしい」


ギルドマスター……初めて会った時から信用していただき本当にありがとうございます

それだったらちょっとお願いしてもいいかな?

お願いとはちょっと違うかもしれないけど


「でしたら今ちょっとした質問してもいいですか?」

「ああ、いくらでもしていいぞ」

「いくつもの城が落ちて来たという話をしていました

ほかの国の事にはなりますが、湖以外の他の場所に落ちた城ってどうなりましたか?」

「詳しいことは聞いてはいないが、別の国から戻って来た冒険者曰く基本的には破壊したらしい」

「破壊できるのですか?」

「ああ、内部に入って魔物の全滅を確認した後に、次が湧く前に地道に解体をして行けば壊すことができる

もしくはその地域にいた人からの情報で勇者が地形ごと破壊したりしたとかは聞いたが……気まぐれで壊したり壊さなかったり、破壊したとしても土地が荒れ果ててしまったりと決して良いことは無かった」

「そうでしたか……」


やはり前勇者ってロクな結果を残してなんだな、全部を壊すこともしないし

この世界をゲーム扱いしているから地形に対することは何にも考えてない

ツッコミどころの多い作品でよくある、森の中で爆発的な炎魔法を使うような奴だろう


「あの湖の城……現時点では遠くから強い魔法とかで爆破して下手な破壊するのは危険ですよね?」

「ああ、あんなにも湖に毒が広がっているんだ

下手な事をして毒物が湖周辺だけでなくこの街の周辺にまで広がってしまえば一体の木々が全滅する可能性がある、正直内部に入るのも危険かもしれないが……」

「アミルクリスタルに頼ることになりますがそれで身を守ることにします

それがあったら、多分俺たちを守れると思いますので」

「ああ、というかほかの国にも行かなきゃいけないんだろ?

湖が元に戻ったら冒険者の人達にお願いして城を破壊できるだろう

ひと段落したら先に進んでも構わない」

「ありがとうございます」


例えば城の中に魔物がいた場合……そいつが元凶だ

ソイツを倒せばほかの冒険者の人達も安心できるし、湖の毒を取り除ければ普通に行けるはずだ

そこまで長居するつもりはないからここは甘えさせてもらうことにしよう


「しかし、王様って何故そんなにも勇者の事を言わないことにしたんだろうか?と思いましたが

さっきまでの領主様と同じような理由だったと思います」

「というと?」

「……セメリさんには少し話しましたが好きの反対は嫌いではなく無関心

王様自身がいる国では『勇者』という言葉すら聞きたくなかったと以前の説明でおっしゃりましたが」

「ああ、王様は自分で口に出した瞬間にパニックになったと言っていたな」

「はい、さっきまでの領主様は俺達に『早く帰って欲しい』と言う姿勢が見て取れました

国をまとめる人からしても、守っている人々にとっての脅威でしかないのは今すぐにでも離れさせたいという気持ち

だからこそ……前の勇者(クソども)と今の勇者(おれたち)は同じ“勇者”と言われているだけで同じ物と思い……こちらから寄っても拒絶をして“違うもの”と知ろうとしなかった

そういった様子が王様と似ている……と思いました

……俺自身も元の世界で『生きては行けない存在』と思うぐらい嫌っている人もいますし」

「そうか、けど親父は1つの国を統べていたが、親父とは違って王様は世界を統べていたんだ

トラウマや拒絶的な気持ちがそこはかとなく大きかったんだろうな」

「はい、最初の謁見以来一切として会えませんでした」


……ふとギルドマスターの顔が目に入った

前までは厳しい顔をしていたけど、今はちょっと優しげな顔をしている


「……いままで親父に対して勇者を拒絶している姿勢に腹が立っていたけど

そう聞いてみると、私もちょっと似ているような考えを持っていたのかもな

親父の事を考えずにただただ腹を立てている所をな……」

「ねえ!ギルマスさん!」

「どうした?」

「私からもお願いがあるの!」

「ああ、言ってみてくれ」

「お父さんのことが分かったなら、1回2人で話し合って!」

「え?さっき話したんだが………?」

「えっと……えっと」

「あの……しーちゃんは…………ギルドマスターとしてではなく………………普通に娘として……親子として…………会話したほうがいい…………って言いたいんだと思います」

「そう!ありがとうみーちゃん!」

「そういうことか」


静かに親子として、考えのすれ違いも発生していたんだろう

そういったのは本当に会話を交わしていくのが一番だろう


「分かった、合間を見つけてちゃんと会話をすることにする

私たちはヒューラルの未来を担う者共だからな、私たちが仲悪くなっていては守れるものも守れなくなるしな」

「頑張ってね!」


そう言ってギルドマスターもギルドの方へ戻って行った

さて、俺達はこれからどうしよう

体感的には昼だしそろそろ昼ご飯を食べることにしたいな

そう思って馬車に乗って……


「え、あ、」

「千斗!?」

「千斗………さん?!」

「ソラアミセント!?」


馬車に足を付けた瞬間、前のめりに体勢が崩れる

操り人形の糸が切れたかのように体の自由が奪われる

前日に大きなショックを受けて寝不足な状態で本日を迎えて

残酷なことを連日続けて聞いた

元の世界で鬱ゲーをやった時に大きなショックを受けた時ははいろんなことが頭をめぐって寝れない夜もあった

でも俺が聞いたことはゲームではない、この異世界で実際にあった事だ

そのような情報量の濁流を受けきれているようで受けきれてなかった

ついさっきまで立っていたど、どこかで「もう休める」とちょっとでも無意識の中で考えていたんだろうか?その瞬間に倒れた

最期に3人の俺を呼ぶ声を聴いたのを最後に意識が遠のいて行った


……

……

…………

…………


「………ん、あれ?」


目が覚める、場所は……どこかの宿のベットの上だ

寝ていたのか?それとも気絶していたのか?


「……活動限界でも来ていたんだろうか?」


何て独り言を話しても、言葉は虚空へと消えて行った

皆はどこに?

って思い周囲を見わたしてみると……


「……あ」


そこにはタスメさんがいた、けど椅子に寄りかかって眠っている状態でいた


「もしかして、俺が起きるのを待っていた?」


ちょっと周りを見渡してみると、机の上には書置きの黒板とちょっとした食べ物が置いてあった

……まずは書置きを読んでみる


「千斗!起きてもゆっくり休んでね!」

「千斗さん……しっかりと……………休んでください」

「ソラアミセント、もし俺が寝ているときに起きたらこれらをゆっくり食べて休んで欲しいッス

明日はギルドも休んで欲しいッス」


…………心配、かけさせてしまったみたいだ

たしかに昨日から無理をしてしまって「知りたい」という気持ちが先走って自分の体への心配がおろそかになっていたようだ

……本当にごめんなさい

これは内心ではなく、明日言葉にしてちゃんと謝っていくことにしよう

一応自分の健康に関しては現世にいた時から気を使っていたつもりだったけど

こんなにも抜けていたんだな

明日は仕事の事を忘れて休むことにしよう

用意されていたご飯を食べて水を飲み

椅子に座っていたタスメさんをベットに横にした後に

俺も寝ることにした

今度は本当に心配かけさせないようにしないと


一度目を覚まして、色々と行動したはずだったのに

まだ体の疲れは取れてなかったからか、瞳を閉じると

一気に意識が遠のいて行った

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