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勇者はいる、主人公はいない  作者: 虹鳥
第1章・のどかな草原トラストリン

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休みは必要である、再会もある

目が覚める、空を見てみると朝になっていたけど

タスメさんは目を覚ましていなかった

品子さんも蜜巳さんも部屋に来ている様子が無かったら誰も目を覚ましていないんだろう

でも、起こすのは悪いと思いラジオ体操をして水を飲む

そうやっている内にタスメさんは目を覚ました


「ふわぁ………あれ?なんで俺はベットにいるッスか?

って勇者ソラアミセント!?」

「えと、おはようございます

昨日は急に倒れたらしくて本当にすいませんでした!」

「謝らなくていいッスよ!

……元気に起きれてよかったッス

ご飯は……?食べれてよかったッス」

「はい、栄養は取らないといけないと思っていますので」


……と、話しているとノックの音が聞こえて来た


「千斗ー!起きてる?!

元気になった!?」


大きな声で声をかけているのは品子さんだ、早起きして真っ先に駆けつけて来たのだろうか?

本当に心配かけさせたようでてすまなかった……


「起きてる!蜜巳さんもいる?」

「いるよ!入るね!」


鍵を開けると、すぐに扉が開いて中から品子さんと蜜巳さんが

……って思っていると品子さんはすぐに俺の両肩を鷲掴みにして真正面に見据える

って近い!?圧があってちょっと気圧されてしまう

心なしか、肩を掴んでいる両手の握る力も強くて痛い!


「大丈夫!?病気とかかかってない!?」

「い、痛い……品子さんソレ痛い…………落ち着いて離してほしい」

「あっ!?ゴメン!

……大丈夫?」

「千斗さん…………昨日は馬車に乗った後に倒れてしまいましたが…………身体の方大丈夫ですか?」

「えっと…………今は大丈夫だ、でも心配かけさせてゴメン」

「本当に心配したよ!昨日の昼ぐらいか全然起きなくてぇええええ!」

「あがあがあがあが!?ちょっと前後に揺らさないで!目が回る!」


こんなギャグマンガのように前後に大きく揺らされることって本当にあるんだ

脳みそがシェイクされるような感じで目を回しかけたけど、蜜巳さんに止められてようやく品子さんは落ち着いたようだ


「はぁ……ハァ…………異世界に行くところだった」

「もうここは………異世界ですが………?」

「まあ、冗談だ

その、俺が倒れたあとってどうなってた?」

「あのね!まず領主の所から出ようととしたら、千斗が馬車で倒れたの!

私が回復魔法を使ったけど全然起きなくて!」

「体じゃなくて…………心だと思ったから………しーちゃんに言ったんだけど…………」

「でも、心の疲れってお話しできないのにどうやっていいか治したらいいか分からなくて!」


この世界の魔法の1つには、精神に作用する物もある

魔物との実践訓練にて……魔物であっても殺してしまった罪悪感を抑えるために密かに俺にかけられていたが……人の精神に影響をするというのは、術者にとっても罪悪感が強いものになる

ナリアン先生が嫌がっていたように


「あまり、気持ちに触れる魔法は良く無いッスし、俺は自然に起きることを提案したッス」

「ありがとう、多分魔法で起きたとしても、俺は寝ていたかもしれない

……その、丁度お昼時だったけど食べたか?」

「一応は作ったッス、食わないのは体に毒ッスし」

「………私は………あまり喉を通りませんでした」

「私は食べたよ!

でも、いつもよりも食べられなかった」

「……すま」

「もう謝らないで!」

「う、あ、ハイ」


気圧されてしまった、でもつい謝ってしまうかもしれない


「お昼の後は……?」

「俺はそのままソラアミセントの様子見をしていたッス、時折預けた馬の様子を見ながら普通に待っていたッス」

「私たちはね、ちょっと色々と怒涛だったからタスメに千斗をお願いして散歩してた」

「しーちゃんに…………そのままついて行きました」

「…………2人で、ゆっくりと考えたい事があったのか?」

「んーそんな感じ」

「はい…………聞いた話が想像以上に

心にきたので…………………悪意って本当に………嫌い」


2人も2人で休息をしていたらしいな

それだけ、あの前勇者の話しは本当に心に来た


「それで帰ってきても夜になっても千斗が全然起きなかったの!」

「本当に…………過労で死んだのかと……………心配になりました」

「ある程度の容体は見れるッスから診たッスけど、命は大丈夫だったッス」

「そ、そうか」


高校生にて過労死になるとは……いや、多分あの疲労感を抱えたまま何日も過ごしたら本当に過労死をしてしまうだろう


「夜ご飯を食べても起きなかったから、私たちは寝たよ」

「タスメさんにも…………1回休むように言いましたが……………」

「心配だったッスから、椅子に座りながら起きていたッス

でも気が付いたら寝てしまったッスが……」

「多分真夜中に目が覚めました、書置きとか食事とかすい……じゃなくて、ありがとうございます

タスメさんは椅子に座ったまま寝ていましたので、ベットに寝かせた後に寝ました

もちろん食事の方もしてから寝ました、そして起きて……今に至ります」


謝らないようにしたけど、そのせいか謙遜してしまって敬語になってしまう


「………とりあえず、千斗は今日はギルド依頼も完全に休んで欲しいッス」

「そーだよ!今日は休んで!」

「絶対に…………休んでください!」

「………ハイ

……でも、3人もゆっくり休んで欲しい」

「もちろんよ!」

「そうします…………」

「俺は、馬たちと過ごすッス

その方が好きッスし」


そう言いながら、これからの傾向をまとめて朝ごはんも食べて宿を後にした

今回は宿の従業員さんにお手数をおかけしたのでいつもよりも感謝の言葉を伝えた

本当に申し訳ない……

宿前で解散をして、今日は絶対に仕事をしない約束をして、夜にギルドに集合することを言って

それぞれで別れて行った

いままでずっとギルドの仕事をして行ったし、その疲労は全く感じなかったけど

精神的な方面で急速に限界を迎えてしまった

以前に品子さんに「回復魔法でずっと動くのは心が休まないから危険」って言っておきながらこのありさまだ

知りたいと考えて本当に心身をおろそかになってしまった

今日は本当に休もう

作品とかだとこの後に、なんだかんだで巻き込まれて……って展開になるだろうけど、今回に関して緊急事態が起きた時には本当に助けを呼ぶことにする

……とりあえず気ままに歩いて行くか


…………

…………


朝ご飯は食べたけど、昨日の昼を抜いたからか小腹がまだ空いている

ちょっと見かけた料理屋さんによって軽く食べる

大きなショックを受けてはいたけど、流石に味が分からないぐらいのレベルではなかった

色々と疲れていたからか、濃い味が身に染みる

王都セカンドルトで防衛戦をした後の時もそんな感じだった

けど、今回は肉体的な疲れではなく精神的な疲れだ


「はぁ……なんだかようやく落ち着いたような……それとも、一時的に元気になったって感じかな?」


独り言もそう口から漏れていた

でも、本当に今日は何をしようか?

することは特に思いつかないし……ヒューラルにいてしばらく過ごしているから、ある程度の街の様子は分かる

でも、現代にあるようなお店とかは無いし、時間を潰すとしたら何をするべきだろうか

いや、するべきと言う考えはやめておこう


「おはようございます」

「え……ああ、おはようございます」


道端を歩いていた女性の方に挨拶をされた

いつもだったら普通に挨拶できたところだったけど、普通に遅れてしまった

……こうやって一般人に挨拶されることを考えると、本当に街から信頼されていったんだな

そんな気持ちが身を沁みていく


「あら?元気がないわね?大丈夫かしら勇者さん??」

「あ、すいません

その、色々と聞きまして」

「色々?」

「その……ヒューラルで1年前に何があったかってことをです

セメリさんやシキギさん、それに領主ツキウス様とギルドマスタースイトから聞きまして

そのショックが、受け止め切れていなくてですね

他の人達は、ちょっとそれぞれの事をして休息を過ごしています」

「あら……」

「おかしいですよね……その被害を受けたヒューラルの人達よりも俺の方が落ち込んでて……」

「……でも、あなたは初めて聞いたからじゃないかしら?」

「どうゆうことでしょう?」


初めて聞いた?確かに俺らは一昨日に聞いたけど

実際に被害を受けた人たちの心の傷がまだ残っているんじゃないだろうか?


「たしかに、私たちは1年前に落ち込んでいたわ

今でも崩れている所はあるし、水は汚れたままよ?

でも……その出来事は1年前の事

いまでも落ち込んだりしていたらあいつらの思うつぼだと思うし、悔やんでいる暇があるなら畑の鍬を動かせ!ってうちの家訓だから!」

「……セメリさんやシキギさんと話したのですが、2人は殺されたはずなのに落ち込んでいなくて

本当にたくましいですね、そんなにも心強いのですか?それとも異世界に生きていた俺たちと考えが違う感じですか?」

「多分後者ね?1年前の事は確かに生きていて初めての事だったけど、それまでは普通に生きていたわ?

私以外の人も普通に暮らしてはいるし」


本当に心強いし、目の前にいる方以外にも同じ考えを持っている方がいるのか

でも、今までの依頼をしてきて1年前の事を重く抱えている人は見かけなかった

世界規模で考えたら落ち込んでいる人はいるかもはしれないけど、この街にはいないのかもしれない


「元気出して……は、ちょっと強制かしらね?

あなたのペースで落ち着くまで休んでて、あなたもあなたの仲間たちも元気になるを持っているわ

素敵な仲間たちと一緒にいるってよく見かけているってよく聞くし」

「……お気遣いの方、ありがとうございます

昨日領主の場所に行った後、あの湖を調べるために必要な道具を頼んでいまして……現在はその完成を待っています

アミルクリスタルを手に入れるだけでなく、勇者として必ずしも湖の元凶を何とかして元に戻します」

「……ふふっ、この調子なら魔王もあっという間ね」

「はい、もちろん魔王も討伐します!」


そう言いながら別れて行った

ちょっと足を止めてしまって申し訳ない気持ちもあったけど、相手が笑顔で本当に良かった

今の話を聞いてちょっと元気が出てきた

そうだよな、落ち込んでいる場合ではないな

でも、今日は本当に休息を取りたい

何処に行こうか……なんて思って気ままに歩いていると


「…あれ?気が付いたらなんでここにいるんだ?」


何かの運命の導きなんだろうか、それともなんとなく脚が勝手に動いたのだろうか?

気が付くとそこは一昨日行ったばっかのセメリさん達の家の前にいた


「規制本能でもないし、今日は依頼をしないって感じだけど

アポなしで行っていいのか?」

「……なあ」

「へあぁ!?」


家の前で行こうか悩んでいると、急に後ろから声をかけられて変な声を出してしまった

背後を見てみると、そこにはセメリさんがいた


「そんな驚くようなことを俺は言ったか?」

「いや、ごめん、ちょっと考え事をしてて

滅茶苦茶驚いてしまった」

「何で驚くんだよ?

前に言ったように会いに来たんじゃないのか?」

「え?あ?え?」

「……大丈夫か?」


そうだ、セメリさん達から1年前の事を聞いた後に

「個人的に会いに行く、日常的な話をしよう」って約束したんだったな


「……大丈夫、ちょっと昨日に領主様とギルトマスターから色々と聞いて

ボーっとしながら歩いていたら、ここにいた」

「ふーん?

そういえばさ」

「どうしたの?」

「さっきさ、アンタの仲間達が来てな?

シキギと遊んでいるし、俺と同じ髪色の男も動物達の世話をしているんだ」

「品子さんも蜜巳さんもタスメさんもここに来ていたんだ……」

「3人とも、いつかアンタが来るって言っていたし

ちょっと外を見渡していたら、つっ立っていたんでな

声をかけたんだ」

「そうか、ありがとうな」

「んでさ」

「ん?」

「何を話す?」


……そうだな、せっかくな事だ

ここに来たんだったら休日を堪能するか


「そうだな、今日はのんびりと

俺のいた世界の事でも話そうか」

「……ああ、いっぱい聞かせてくれ」


それからは心行くまで話した

コッチの世界には何があるのか?

どんな遊びがあって、どんなものがあって

この世界で再現できることもできないことも自然と話し合った

セメリさんは結構大人びている様子ではあったけど

でも、子供らしく目を輝かせて聞いていた

今日中に話し終わらなかった時は次の日に

次の日で終わらなかったらまた次の日に話し続ける

……そうだよな、ずっと戦ってばっかりはしんどいだけ

こういったんんびりと過ごす日々も勇者として……大切なんだろう

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