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元婚約者が浮気相手と結婚式を挙げた日に私は王子様と出会った  作者: 蔵前
第二部第五章 家族への挨拶

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私になりたかった子

 私はようやくカドクリーニングの次男の妻、セリアについて思い出した。

 だけど思い出した事で、やっぱり彼女は理解できないと思った。


 確かに私は彼女と会っていた。

 一瞬だけ。


 それで知り合いって認識はどうなの?

 私が彼女を知らないと言った途端にカドクリーニングの人達が一斉に私に敵愾心を向けたのは、ありもしない私と彼女の過去もでっち上げていたってことよね。


「私も思い出したわ」


 これは私ではなく母である。

 全員の視線が集まる中、母は溜息交じりに語り始めた。


「なずなのふりをした万引き事件の後、噂を聞いた上条さんが教えてくれたのよ。ちえちゃんと同じ小学校だったそうでね、塾でちえちゃんがいないのに約束があるからと偽ってちえちゃんの部屋に上がり込んだそうなのよ。それでその子が帰ったあとは、ちえちゃんの持ち物がいくつか消えていたって。だから、坂枝芹亜(さかえだせりあ)には気を付けなさいって」


 母がセリアの名前を聞いたのは、ちえの母からだったのか。

 私はスマートフォンを取り出しており、驚いたそのまま親友に鹿渡芹亜(かどせりあ)、旧姓坂枝芹亜(さかえだせりあ)について送っていた。


坂枝芹亜(さかえだせりあ)が私になりすまして不倫や泥棒してた。一体どういう人なのか、ちえが覚えている事教えて」


 果たして、文字を打つ時間を考慮しても、驚くほどの速さで返って来た。

 おっとりして人の悪口を言わない上条千叡子(かみじょうちえこ)が、光速の早さで罵詈雑言に近い人物評価を送って来るとは思わなかった。


「嘘吐きの腐った奴。自分の手に入らなければ他人の持ち物を平気で汚す。これから会わない? 言いたいことが千以上あるから語って良い?」


「ちえはセリアについてすごく怒っているみたい。私に会って話したいって」


「俺も話が聞きたい。呼んで!!」

「あのおっとりした美人だよね。呼んで」


 ナオキ君もマサオ君も、ここは私の実家なのですけど。

 そして、私のママもパパも完全に鳥海家の子供の顔をしてるナオキ君とマサオ君について、何も思う事は無いようだ。私の両親も娘である私をなりすまして悪事を働くセリアにはかなりの怒りを抱いている、からだよね。


「あら、来てもらいなさい。千叡さんなら大歓迎よ」

「来てもらって。私も今こそあの気味の悪い子について全部知りたい」


 私はちえに、実家にいるから来て、と送った。

 すると返信は、外で会おう、だった。

 久しぶりにエイレルのフードコート行かない? と。


 久しぶりだなんて、私はちえとエイレルのフードコートに行った事など無い。


「あれぇ」

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