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元婚約者が浮気相手と結婚式を挙げた日に私は王子様と出会った  作者: 蔵前
第二部第五章 家族への挨拶

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母親と比嘉江兄弟 父は脱落?

 私と母が居間に戻ると、私達が不在の中で語り合っていたはずの父とナオキ君達の空気がとても重苦しいものとなっていた。


 まず、父がいるけどいない。


 この寒いのに居間の掃き出し窓を開けてそこに座り、外に繋いであるゴン太を引き寄せて抱きしめているという姿なのだ。そして放っておかれているらしきナオキ君とマサオ君が、私の父のそんな無作法さなど無頓着な様子でニコニコしている。――窓が開いているだけじゃない寒さを感じる。


 あなた達が私の父に何て言ったかしたの?


 聞くべきだと思いながらも、私は彼らにお茶菓子を黙々と出した。

 だって私こそ、ゴン太と触れ合いたくなることを知ることになったら怖い。


「なずなちゃんて、ちょっと臆病?」

「安心して。僕達はお利口さんしていたよ?」


 不安を掻き立てるな!!


「もうお父さんたら。娘のために色々動いてくださった方々に、なんて失礼を。ああ、お茶請けが冷凍のアメリカンワッフルでごめんなさいね。あの人達のせいで外に出られなくて」


「僕は感激ですよ、お母さん。パリッとしたワッフルにバニラアイスと生クリームに冷凍ベリー。そこにチョコレートソースですよ。毎日遊びに来たくなるぐらいのごちそうおやつですよ!!なずなさんの思い出の味って素晴らしい!!」


 思い出?

 私、こんなおやつママに作ってもらった事など無くてよ。

 イケメンにはここまで出来ちゃうもの?

 私が母親に反発心を抱いたのとは違い、ナオキ君はとっても嬉しそうだ。

 けれど私こそこのアメリカンワッフルに感動だ。


「まあうれしい。先日スーパーで見つけて、懐かしいと買っておいて良かったわ」


 母は嬉々としてアメリカンワッフルについて語る。

 アメリカンワッフルはベルギーワッフルと違い、生地がサクッとして甘くない。それはホットケーキみたいに食べるかららしい、とかなんとか。

 だから焼いたベーコンや目玉焼きを乗せてメープルシロップという組み合わせも美味しいし、今のようにアイスを乗せてチョコレートシロップなんて素晴らしいものにもできるのだとか色々。


「兄さん、聞いた? 帰りにスーパー寄ろう。僕もベーコンエッグ乗せてメープルシロップに挑戦したい!!」


「煩くて申し訳ありません。こいつはいつまでも子供で」


 マサオ君は柔らかく微笑む。

 私は余計な事を言わないようにと、ワッフルに齧りついた。

 兄弟で人を誑し込むときは、弟は僕と騙り幼い子を演じ、兄の方は世間を知っている大人を演じるのね。なんて今は言うべきじゃない。母がしっかり誑し込まれているみたいだけど、それが私達の同居を許してもらうための目的なんだし。


 私個人的には、親が同居を許してくれなくてもいい、なのだけど。


 だって下世話な話だけど、彼らと一緒だとオナラ一つできない気がする。

 とにかく私は、急いで次の部屋を見つけるべきね。


「いいえ。うちのなずなだって子供ですわ。それでお話だと、なずなを勝手に妬む人達から匿いたいってお話でしたわね。でもそうしたら、あなた方がいざ恋人を作りたくても動きが取れなくなりますわよ」


 母!!

 私こそお荷物宣言ヒドイ!!


「お母さん。私達こそ、結婚を前提にお付き合いしていただけたらと、なずなさんに希望を伝えている所です。もちろん、同居に関してきちんとした倫理観をお持ちのなずなさんを煩わせることは致しません。私達はなずなさんに選んで貰おうと必死です。彼女に誠心誠意尽くすことは、お母さん、誓います」


「まああ!!こんな素敵な人にそこまで言っていただけるなんて。今すぐに結婚していただきたいぐらいだわ」


 だから、母、不良債権押しつけるみたいな言い方!!

 私こそ母に何か言わねばと慌てたが、母は母だった。

 井戸端会議やら女社会で揉まれてきた人なのだ。


「でも心配ですわ。この子は私と同じで普通のつまらない女です。きっと遅かれあ早かれあなた方のような素晴らしい方々には釣り合わないと気付く事でしょう。ですから、深い仲になっていないここでお別れするべきだと思いますの。太陽のような強い光に慣れた後の暗闇は、ただの暗闇よりも深くなりますわ」


 母は私達の関係について最初から反対だったのだ。

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