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元婚約者が浮気相手と結婚式を挙げた日に私は王子様と出会った  作者: 蔵前
第二部 第二章 幸運な者は悪意を呼ぶ

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悪い誘いには悪い事が連なって

マサオ君は恰好だけでなく、今は悪い男を演じ中らしい。

 私の厄落としに彼を散財させたらどうかと誘って来たのだ。

 なんて悪い男。

 そして私はそんな事を言われて上手に返せる女ではない。

 出てきた言葉は、とっても間抜け。


「え?」


 タクシーは私達が乗り込むものと思ってドアを開けている。

 そして私はまともな返しも出来なかったけれど、自分自身を曲げるような行為はしたくはない。付き合ってもいない男の人に驕られるなんて駄目。

 私はマサオ君にわかるように、大きく首を横に振る。


「なずなちゃん?」


「マサオ君の気持は嬉しいわ。でもね、私は自分の欲しいものは自分で買いたいの。お金が足りなかったら、それは私には分不そう……おう」


 言葉尻がおかしくなったのは、マサオ君が私に向けた笑顔が光り輝くようだったから。本当に嬉しそうに微笑んでいる。お陰で私の腰が抜けそう。


「マサオ君」

「君は――」

 ブルルルル。


 マサオ君はスマホのバイブに最高の笑顔を消し、言いかけたことなどそっちのけでコートのポケットを探ってスマホを取り出した。

 そして彼は大きく舌打ちをして、タクシーのドアを自分で閉めた。


「マサオ君?」


「君の部屋に急ごう。見守りストーカーから緊急案件だ」


「え?」

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