悪い誘いには悪い事が連なって
マサオ君は恰好だけでなく、今は悪い男を演じ中らしい。
私の厄落としに彼を散財させたらどうかと誘って来たのだ。
なんて悪い男。
そして私はそんな事を言われて上手に返せる女ではない。
出てきた言葉は、とっても間抜け。
「え?」
タクシーは私達が乗り込むものと思ってドアを開けている。
そして私はまともな返しも出来なかったけれど、自分自身を曲げるような行為はしたくはない。付き合ってもいない男の人に驕られるなんて駄目。
私はマサオ君にわかるように、大きく首を横に振る。
「なずなちゃん?」
「マサオ君の気持は嬉しいわ。でもね、私は自分の欲しいものは自分で買いたいの。お金が足りなかったら、それは私には分不そう……おう」
言葉尻がおかしくなったのは、マサオ君が私に向けた笑顔が光り輝くようだったから。本当に嬉しそうに微笑んでいる。お陰で私の腰が抜けそう。
「マサオ君」
「君は――」
ブルルルル。
マサオ君はスマホのバイブに最高の笑顔を消し、言いかけたことなどそっちのけでコートのポケットを探ってスマホを取り出した。
そして彼は大きく舌打ちをして、タクシーのドアを自分で閉めた。
「マサオ君?」
「君の部屋に急ごう。見守りストーカーから緊急案件だ」
「え?」




